06)ペール(下)
「まったくもう」
仕方なさそうにため息を吐く仕草は、なるほど、お兄ちゃんぽいかもね。
ペールはくるりと顔を貴方に向けたわ。
それから、小悪魔に似た笑みを浮かべてペールは言ったわ。
「ねぇ、かくれんぼしよぅ?」
「やめとけ、そいつはまだ城の中をろくに知らない」
グレイッシュがペールと貴方の間に立って、止めに入ったわ。
さりげなく守ってくれてるみたい。
「何言ってるんだよ、グレイッシュ。だ・か・ら・隠れん坊するんだよ」
悪戯っぽく笑い、ペールは貴方に飛びついたわ。
「知らないトコってわくわくしない?ヤバくなったらグレイッシュの魔法で探せばいーからさ」
「えっと…隠れん坊くらい、いいんじゃない?」
貴方が困ってグレイッシュを見てると、仕方なさそうに彼はポケットに手を突っ込んだわ。
そして取り出した平たい鉄片を、貴方の手に握らせる。
「発信機だ。無くすなよ」
「まって。そのままじゃ可愛くないよ」
ペールがいったん貴方の手から鉄片を取ると、何やら細工を始めるわ。
何かしらね?
「出来たー。ノエル屈んで」
ん?と小さく首を傾げてお願するペール。
可愛らしいその仕草に貴方はすぐにその場にひざを突いたわ。
貴方の後ろに回り込んで、ペールは貴方の首に紐をかける。
鉄片をペンダントにしたみたいね。
「ノエルってなんかいい匂いがする〜」
「そ、そう?」
「うん。…よぉし出来たよー♪」
ペールの小さな手が貴方の背を押したわ。
「スタートしたら百まで数えてお昼ご飯までにぼくとグレイッシュを見つけてね?」
「ボクも参加なのか?!」
「とぉぜん!じゃあ…スタート!!」




