05)ペール(上)
グレイッシュにエスコートされるまま廊下に出た貴方は、子供特有のカン高い声を耳にしたわ。
「わーい!ノエルみぃーっけ☆」
ばたばた足を鳴らし、物凄い勢いで子供が駆け寄ってくるわ。
そのままの勢いで貴方の胸に飛び込んじゃった。
おかげで子供ごと貴方はひっくり返ってしまうわ。
「わきゃあ!」
ノエルってば変な悲鳴ね。
「ほっといてよ」
はいはい。
子供ごとひっくり返った貴方は、後頭部をさすりながら起き上がったわ。
「いたた…」
「ノエルだぁ☆」
押し倒した本人は嬉しそうに貴方に頬ずりしちゃってる。
飛びついた格好のまましがみついてるわ。
あらん。よくよく見ればグレイッシュと同じ顔じゃなぁ〜い?
「え?グレイッシュ君??」
「ううん。ぼくは双子のお兄ちゃんでペールだよぉ☆ペール・トーンっていうの。よろしくね!」
お兄ちゃんねぇ。こっちの方が子供っぽい気がするけれど。
「ペール!同じ顔で庶民に懐くのやめろっ」
「こら、グレイッシュ!仮にも王子のご婚約者様だよぉ!!」
「同じ日に生まれたくせに兄貴づらするなっ」
グレイッシュは不快そうに顔をしかめる。
二人のみ分け方は、眉間のシワの深さかしらね。グレイッシュはとても深いわ。
あと、若干ペールが髪と瞳が薄めで、グレイッシュが濃い感じがするくらい。
何にしたって、並べないと外見上で見分けるのは難しいわ。