02)フォイーユ
「こんにちはノエル・カーマインさん」
貴方を乗せた馬車を出迎えたのは、ライトグレーの長髪を三つ編みにして肩から前に垂らした青年だわ。
なかなか良い男じゃな〜い?
ノエルは好み?
「まぁ、嫌いじゃないわ。それよりもほらユーリ隠れてて。お城で悪魔が発見されたらシャレにならないわ」
ああん。何するのよ。
いくら、形無き悪魔だからって、無理矢理ハンドバックに押し込めるなんて乱暴よね〜。
仕方ないから、覗き穴からこっそり見せてもらうわね。
「私はフォイーユと申します。これからはあなたのお世話係となりますので、以後お見知り置き下さい」
フォイーユと名乗り、礼儀正しくお辞儀をしたわ。
あら?このお辞儀の仕方は教会式だわ。
くわばら、くわばら。見つかったら殺されるわね〜。
言っとくけど、アタシが見つかったら貴方は、悪魔を遣って王子をたぶらかしたってコトで、死刑必至だから気を付けてね〜☆
「ノエルさん。これからあなたの部屋に案内します。迷子にならないように付いて来て下さいね」
フォイーユが馬車から降りる貴方の手を取ったわ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「今日はお疲れでしょう。この部屋を自由にお使い下さい」
あ〜ら、これはまた何て素敵なお部屋かしら!庶民の出でかる貴方にはもったいないくらいゴージャスよ。
「王子様も悪くないかも」
現金な子ねぇ。
貴方はさっそく部屋の中へと足を踏み入れて行こうとするわ。
でも待って、フォイーユが何か言いたそうね。
「え?」
貴方が不思議そうに振り返ると、フォイーユは唐突に貴方を抱き締めちゃったわ。
「可愛そうに。王子に見初められたばかりに、まだ若いあなたが犠牲になるなんて。怖いでしょうに…」
優しい手つきで貴方の髪を撫でるわ。
どう?ノエル。母性愛に近い感じだけど。
「…ラッキー」
そう言うと思った。