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第18話 家族と友達

 お昼休憩になるとみんな友達と雑談しながらご飯を食べたり、または見に来ていた家族と一緒に食べてたりしていた。


 そんな中、俺も今日は家族が見に来ているらしいので後から弁当を貰う事にしていた。


 Lime(ライム)で伝えれた場所付近に来ると父さんが手を挙げていたので、俺は気恥ずかしさを覚えながらも急ぎ足で向かう。


「七緒お疲れ様! ちゃんと見てたよ。良く頑張ってたな」


「七緒お疲れー! リレー1位凄いじゃん。おめでとう」


「お疲れ」


 父さんと母さんが労い褒めてくれるのに対し、兄さんの態度は素っ気ないものだった。


 兄さんとは仲が悪い訳ではない。仕事もしているので中々話すタイミングとかが無いだけだし、元々兄さんは落ち着いた性格ではしゃいでいる所はあまり見た事がない。


 昔は一緒にゲームとかしていたし、今でもたまにアニメの話を少ししたりするから寧ろ仲はいい方なのではないかと思う。


 まぁあんまり相談毎とか日常会話はしないけど、兄弟はこのくらいの距離感だと思っている。


「ありがと、練習の時は1位取れた事なかったから皆めっちゃ喜んでた」


 笑いながらそう告げると「はいこれ、弁当。友達と食べるんでしょ?」「あぁそうだったね。友達待たせるのも悪いから早く行きな」と母さんが弁当を渡して父さんが友達を気遣うように言う。


「ありがと」


 三人に手を振るとみんな優しい笑顔で振り返してくれた。



 家族に俺の頑張っている姿を見られるのは恥ずかしいけど、褒められるのは悪い気は全くしない。

 何気うちの家族は仲がいいなと思いながら、光と海と待ち合わせした場所に急いで向かう。



「あれ? やっほ七月さん」


「ん? あっ! やっほ柊くん」


「あれ、友達とご飯食べないの?」


「あぁいや食べるよー。家族に弁当貰いに行くところー」


「あ、そうなんだ。そんじゃ、またね」


「うん、またねー!」


 俺と同じ感じかと思いながら、別れると後ろから微かに「もしかして彼氏だったり?」という声が聞こえてきた。


 俺はチラッと振り返るとどうやら七月さんの家族は近くにいたようで、さっき俺と話している所を見られていたようだった。


 果たして本当に俺の事を言っているのかは定かじゃないが、もし俺だったらと考えると恥ずかしくなりその場を急いで去った。




 〇〇七月明奈視点〇〇



 お昼休み、お弁当を受け取りに家族を探していると柊くんから声を掛けられた。

 いつも私から声を掛ける事が多かったから少しびっくりしている。大抵声を掛けてくるのは何か用がある時とかだけ。

 でも今回は特に何も用がないのに話しかけてくれた。用がないのに話しかけてくれた事実で前よりも仲良くなっていることを実感して嬉しい気持ちが湧いてきた。


「お姉ちゃん、こっちこっち!」


 近くから聞き覚えのある声が聞こえて目をやると妹の紗英(さえ)が立ち上がって手を振っていた。


「あー! よかった、見つかって。てか、紗英も来てたんだ?」


「そだよ。無事たどり着けてよかったよお姉ちゃん。ところでさっき話してた人誰―? もしかして彼氏だったり?」


 ニヤニヤと口元を手で隠しながら問うてくる紗英に私は「違う違う! クラスメイト!」と反射的に否定して答える。


 が、咄嗟に口にしてから「いや違うか……」と自分の発言も否定する。


「え? やっぱり彼氏なんだ?」


「いや、彼氏ではないんだけど、ただのクラスメイトってわけでもないんだよね」


 私の言葉が理解できなかったのか紗英は小首を傾げて「どゆこと?」と聞き返してくる。


「……友達」


 自信を持ってそう答えると紗英は「あぁね?」と頷き一応納得したが、表情は何かを言いたげな表情をしていた。



「明奈、取り敢えずお疲れ様。凄い頑張ってたな」


 お父さんの言葉に照れながらも「100メートル走は4位だったけどねー」と苦笑する。


「でも殆ど差はなかったからそんなに落ち込まないでね」


「うんうん、ほんと滅茶苦茶惜しかったよねぇ」とお母さんと紗英が優しく励ましてくれた。


「まぁリレーで1位取れたしそれでプラマイゼロだよ!」


 落ち込んでないよってことを伝えるためにピースをすると三人共笑ってくれた。


「あ、友達と食べるんだったよね。はいこれ」


「午後も頑張ってなー」


「お姉ちゃんファイトー!」


「ありがと!」


 お母さんからお弁当を受け取りお父さんと紗英(さえ)の応援を貰い、私は「それじゃ待たせてるから」と言い友達の元に向かった。





 〇〇柊七緒視点〇〇


「ねぇねぇ、体育祭終わったらどっか遊び行かない?」


 三人で雑談しながら弁当を食べていると突然海が提案してきた。


「俺は別にいいけど、光は?」


「あーちょっと聞いてみるわ」


「うん」


 疲れは多少あるにはあるが、この後にある競技にはほとんど出ないので俺はゆっくり耐力を回復することが出来る。それに体育祭終わりに友達と遊ぶのは青春って感じがして一度はしてみたいと思っていた。


 光とも2年生になった今年から知り合ってまだ1回も遊びに行ったことはない。

 光はいつも学校が終わったら用事があるのか直ぐに帰る事が多い。バイトもしているらしいが、バイトじゃない日も早く帰っている。


 光がスマホで誰かに連絡を取り暫くすると珍しく微笑みながら口を開いた。


「おっけぇ。大丈夫っぽい。俺も行ける」


「よっしゃあぁぁ」と嬉しそうに海がはしゃいでいるが、大げさすぎないか? 俺も結構嬉しくはあるけどね。本人には言わないけど。


「気になったんだけど、誰に聞いたの? もしかして彼女か?!」


「え、そうなん?!」


 俺も気になってはいたが、まさか海が言うように本当に彼女なのか? 全然あり得るな。こんな世話焼きで心配してくれるいい奴だし……。


「いや違う違う」


「本当にぃ?」


 否定するも信じない海がウザったらしく追及するが光は「ほんとほんと」と苦笑しながら返答する。


 それでも疑いの目をやめない海にうんざりしたのか、光はほんの少しため息を吐いて「妹だよ」とサラッと答えた。


「妹いたんだ」


「あぁ」


「ぇぇ! 妹ちゃん!! 今度会わせてよ!」


「お前だけは絶対やだ」


 連絡したのが妹ってことは、毎日妹の為に早く帰っていることか。妹さんはまだ小さいのかな? やっぱり光は面倒見がいいなと改めて光が奢ってくれたジュースを飲みながら思った。



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