第1話 女の子とコラボ配信
取り敢えず4話くらいまで読んでやってください.......。
既に20万文字くらい書いてるので、頑張って推敲します。
本作には、APEXやVALORANTなどのゲームをモデルにした架空のゲームが登場します。(知らなくても全然問題ないです!)
「あのさ……もしかして、柊くんって配信者の『ragi』……だったりする?」
「え……?」
首を傾げ、スマホを見せてくる同じクラスの七月さんの突然の言葉に俺は身を硬直させる。
七月さんの顔からスマホの画面に恐る恐ると視線を移すとそこには『ragi』と書かれたツニッターのSNSアカウントが表示されていた。
「え?」
なんでバレた……?
〇〇〇
「見てくれてありがとーお疲れ様でしたー」
そう言って配信を切り、息を吐きながら椅子の背もたれにもたれかかる。
少し間を置いて配信が切れたことを確認してから今日のコラボ相手に声をかける。
「今日はありがとうございました」
『いえいえこちらこそありがとうございました!」
「良かったらまたやりましょ」
『はい!』
定型的な社交辞令のようなやり取りをし、通話を抜けるとヘッドホンを外してpcを消し水を飲み一息つく。
俺は趣味でゲーム配信をしているゲームやアニメが好きなただの高校生だ。Vtuberが流行りだしてからはや数年。最初の頃は俺も見ていた。そしていつか俺もVtuberになれたらいいなぁなんて思っていた。
だってゲームしてリスナーと話をしてそれだけでお金を稼げるなんて夢のような職業だ。夜遅くまでなんなら朝方までゲームをしてても怒られない。好きな時間に寝て好きな時間に起きる。そんな生活を送れるかもしれないんだ。
ゲーム好きな人は一度はなってみたいなと思ったことがあると思う。
でも実際現実はそう甘くない。大手事務所に所属していない限りまず見てもらえない。見てもらえないという事はスパチャとかも貰えないし、なんなら収益化さえできない。とてもVtuber一本じゃ食っていけない。
最近は個人勢Vtuberも多く出てきたがその寿命は悲しいもので3か月や1年くらい。憧れのVtuberになって、さぁ俺も私もと頑張って配信をするが結果が全然出ずに病んだり諦めたりして次々にいなくなっていく。
Vになるのもお金はかかるものでpcを持っていなかったらそこそこのスペックのpcを買わないと配信が重くなって見にくくリスナーをイライラさせてしまう。最低でも20万とか30万くらいのデスクトップpcを買わないといけない。
勿論それ以外にもモニター、マイク、ヘッドホンやイヤホン。そしてVtuberとして一番必要な立ち絵やモデリング。そして表情を読み取って立ち絵に反映させるためのwebカメラなどなど。活動名のロゴだったりしっかりとやりたいなら必要なものが沢山ある。
立ち絵やモデリングも拘りたい、高クオリティなのを求めたいなら何十万もかかる。勿論安いのや無料で使える汎用アバターなんてのもあるが、やっぱり高クオリティでオリジナリティのあるVの方が伸びやすいのが事実。
とまぁこんなにお金がかかるのに凄く大変なものだということを個人勢が増えてきたことによって知っている人が増えただろう。
かくいう俺もその一人。やるなら早い方がいいと思い、俺は高1の頃にバイトを頑張っpcやらモニターやら買った。けど思ったよりも高くなって立ち絵やモデリングを頼むお金はなかったので今ただの配信者として配信している。
バイトしてお金貯めて依頼すればいいと思われるだろうが、バイト詰め込みすぎて死んだ。
もう一生分働いたと言っても過言ではないくらいだ。それは流石に嘘だが。
配信者、ストリーマーも伸びれば十分それだけで食べていけるので取り合えず俺は配信を始めた。
けれど、どれだけ色んな人とコラボしても長時間ゲームしても視聴者参加型をやっても全然伸びなかった。
基本的に同接は0だ。もうやめようかと思ったけど、お金ももったいないし、ただゲームするだけじゃ勿体ないしどうせならってことで配信を付けてもう今では趣味で配信しているような形に落ち着いた。
やっぱり限られた人しか伸びられないのがこの業界。
ゲームも突出して上手い訳でもトークが面白いわけでもないし、声に特徴があるわけでもない平凡な俺は夢を諦めることにした。
「おはよー七緒」
「おはよ」
教室に入ると友達の松山光が手を挙げて挨拶してくるので俺は重い瞼をこすりながら挨拶を返す。
「なんだ? また夜遅くまでゲームしてたのか?」
「まぁ、そんなとこ。でも、いつもよりは早めに寝たよ」
「ふーん、絶対それでも遅いと思うけど一応聞いておこうか。何時に寝たんだ?」
「2時半」
どうだ俺にしては早いだろとドヤ顔で腕を組んで光の質問に答えると、光は呆れたのか額に手を当てため息を吐く。
「まぁ確かにお前にしては早い方だが、もうちょっとどうにかしないとまじで早死にするし病気になるぞ」
「ははは、大丈夫だ。俺にはこのエナジードリンクがあるからな。これがあれば俺は無敵だ!」
朝から買ってきたエナドリを開けてゴクゴクと喉に流し込んでいく。炭酸がいい具合に刺激になり、目が覚めてくる。
「そういうとこだぞ……」
光は2年生になってから出来た友達だ。俺と違い、そこまでゲームやアニメが好きなわけじゃない。なんだろう、広く浅く色々な事を知っている奴だ。
そして、俺が配信をしていることは知らない。だってなんか恥ずかしいし、全然有名じゃないのに言ったところで……って感じだ。
それに配信ではこいつの前で見せたことない姿や話なんかもぶっちゃけてしているので見られたら絶対からかわれるに決まっている。
でもまぁ寝不足の俺を心配してくれている優しい部分もあるいい友人だ。
5時間睡眠なのに授業中大丈夫なのかと言われれば自信を持ってうんとは頷けない。何故なら、ノートを取っていたり手を動かしている時は大丈夫なのだが説明、解説パートに入ると急激に眠気が襲ってくるからだ。
先生のゆっくりとした口調と小難しい説明が相まってどんどんと意識が飛んでいく。頑張って目を開けようとするが鉛のように瞼が重い。そして気が付いたら休み時間になっていた。
「おい、エナドリ飲んでもダメじゃねーか」
バシッとまだ寝ぼけて覚めない頭にノートを叩きつけて起こしてくる光。
「ほら、ノート」
「まじありがとう、助かる」
「はいはいジュース奢れな?」
「おっけ」
ノート提出なんかもテストの時にあるのでちゃんと板書しとかないと成績が落ちてしまう。
俺はありがたく寝ていて書けていなかった部分を写させてもらうことに。
やっぱ持つべきものは友人だ。
その日もなんとか無事に学校を終えることができた。
今日は帰ってから軽く動画編集して……そのあと22時からゲームコラボだっけか。明日の午前中は体育祭の事について話合うようなので夜遅くまで出来そうだ。
今日のコラボはなんと女の子との1対1でのコラボだ。以前大勢でゲームコラボをした時一緒に遊んだ事がある女の子なのだが、今回はあっちから誘ってきてくれたので断る理由も特になく了承した。
女の子と二人きりでゲームできるとか普通ならご褒美でしかない。まぁ相手のリスナーさんがいるだろうから完全な二人きりではないが。それでも一般男子高校生からすれば嬉しい事には変わりないと思う。
「っともうこんな時間か……」
色々と済ませた後に編集のキリのいいところまで終わらせ時間を確認すると21時45分を回ろうとしていた。
配信途中でトイレに行かなくて済むように用を足して、配信の準備を進めると通話がかかってきた。
てっきりサーバーの通話でやると思っていたので個人通話がかかってくるとは思わず身体が跳ね上がる。
サーバーボイスチャットするより個人ボイスチャットの方が親密度高く感じて勝手に一人でドキドキしてしまう。
「う゛うぅん」
声が裏返って変な風にならないように、一度咳払いをしてから通話に応じる。
『あ、こんばんわー!』
「こんばんわー」
『この前ぶりだね。今日はよろしくねー!』
「うん、よろしく」
彼女の明るく元気で、しかし澄んでいて聞き取りやすい声がヘッドホン越しに伝わってくる。音量調整ミスって凄い大音量だったのでこっちで調整することに。
「純粋に気になったんだけど、あきななはなんで今日俺を誘ってくれたの?」
ふと会話を続けるために誘われた時、疑問に思っていたことを聞いてみる。
『んー? 単純にゲームしたかったけどほら、ヴァルラントって一人でやるの怖いから誰かと一緒にやりたかったんだよね。でもねでもね、誘える人がラギくんしかいなかったんよ』
「あーなるほどね。この前一緒にやった人とか今日別ゲーやってたりするもんね」
ヴァルラントとはFPSのゲームでキャラ毎で違うスキルを駆使しながら銃で戦う5対5のゲームだ。
ヴァルは専門用語が多かったり、戦略とか座学が多少必要だ。だがまぁ何度もプレイすれば自然と分かってくるので座学は必ずしも必要とは限らない。エイムがいいとランクも上がっていくしね。
フルパじゃないとネットの人、野良の人が同じチームメンバーになるのだが、その野良が試合を妨害するトロール行為をしてきたり、ボイスチャットやテキストチャットで暴言を吐いてきたりする事もある少し治安の悪いゲームだ。
昔は今よりも治安はよくて稀にあるかないかくらいだったのだが、プレイ人口が増えたりしてそんな人が多くなった。
敵チームからのテキストチャットも届いて煽られたりする事もあるが、トロールやすぐに暴言を吐いたりするトキシックが味方に来た時の方が何倍もつらい。
精神的に参ることもあるし、普通に気分が悪い。全然楽しくゲームができないなんてこともある。
勿論ミュート機能はあるのだが、チームプレイが基本だしVCを使ってコミュニケーションを取る方が勝つ可能性は高くその判断が難しい。
普通に良い野良を引くこともあるし……。
だから一人でやるより誰かとやった方が、そういう事があった時精神を落ち着かせる事もでき、励ましてもらえ、楽しくできる。
一石三鳥くらいある。それくらいソロは辛い環境になってきている。
運営もその対処を頑張ってはいるみたいだが、BANされてもサブ垢とかを作って来たりしてまぁ減らない……。
『そそそ、かと言って初対面の人誘うのちょっと勇気いるし……めんどくさかったからどうせ暇そうなラギくんでいっか! ってなった』
「なんだよ暇そうって」
あははと笑い合いながらもあきななは感謝を述べてくる。
あきななはヴァルはしたいけど一人じゃ怖いから、暇そうな俺を誘ったらしい。そうとなれば、俺はもしもの時はちゃんとあきななが楽しめるようにしっかりと盛り上げたり励ましりしなくちゃな。
いいプレイをしてかっこいいと思って欲しい下心は捨てて、今日は勝つよりも楽しむ事、楽しませる事に重きを置いてプレイしようと決めた。




