第6章 ― キスの味
私は胸の奥に、あの鈍い痛みを抱えていた。
誰かを愛して、その気持ちが返ってこないとき、いつも生まれる痛み。
私はカズオにキスをした。
もっとゆっくり進めるべきだったのかもしれない。
でも私は、彼も私を望んでいると信じていた。
胸の締めつけは苦く、脈打つようで、
いつも消えるまでに何日もかかる。
まるで、私の一部がまだ相手の口の中に残っているみたいに。
午後、大学の料理の授業ではグループで作業していた。
ナラと私、それにユミとアイコの姉妹。
三人は交代で私に触れていた。
腕に手を置き、
指を絡め、
長い抱擁で私を支える。
それがなければ、私は立っていられなかった。
私にとって、それは空気より必要だった。
以前は、先生が誰かに頼んで私の世話をしてもらっていた。
でも今は違う。
彼女たちが自分からやってくれる。
時々ユミやアイコは、私の頬にキスをする。
ただ、私の笑顔を見るために。
あの笑顔――
私の顔いっぱいに広がる光。
体のすべてを動かしてしまう、あの感覚。
でも、彼女たちの間には
唇と唇が触れるような親密さはなかった。
その熱は、まだ存在していなかった。
ユミとアイコが食材庫から戻ってきた。
「カズオに会ったよ」
ユミが言った。
「ヨーコにキスされたって言ってた。
しばらく誰にもキスしてないんでしょ?」
— キスは禁止されてるの。
私は腕を組んだ。
「人を苦しめるだけじゃなくて、
大学中が大騒ぎになりかけたからね」
ナラが言った。
まるで世界を私から守るみたいに。
「友達から愛情をもらう方がいいでしょ?
あちこち走り回るより」
私は眉を上げた。
本当は――
みんなから愛をもらう方がいい。
みんなの触れ方を。
「やっぱり、あいつは期待してたんだ」
ナラは不満そうにつぶやいた。
「彼、文句言ってたよ」
ユミが続けた。
「胸が苦しいって。
ヨーコのせいかって聞いてきた」
彼女は肩をすくめた。
「そうだよって言った」
そして少し微笑んだ。
「私、ヨーコに最初にキスされた一人だから」
彼女は小さくため息をついた。
「忘れられない感覚なの。
混乱するけど……素敵」
私は恥ずかしくなって、
自分の唇を指でなぞった。
でも心の奥では火が灯っていた。
キスの話を聞くだけで、
もっと欲しくなる。
私はいつも、キスへたどり着く道を見つける。
そして、そのあと人は変わる。
私を恐れる人もいる。
依存する人もいる。
思い出す。
男の子たちが、
もう一度私の唇を感じるために争っていたことを。
母が校長の前で泣いていたことを。
校長は私の状態を理解してくれた。
でもキスは禁止された。
代わりに、
みんなに私を抱きしめるよう頼んだ。
まるで、
一つの依存を別の依存で置き換えられるかのように。
でも問題は――
一度味わった人は、
忘れないということ。
そして私も。
「私、ヨーコにキスされたことない!」
アイコが言った。
まるで懇願するように私を見ながら。
ユミとナラが止まった。
空気が少し熱くなった。
「ヨーコ、キスして」
アイコは真剣だった。
私の笑顔はすぐに浮かんだ。
ほとんど無邪気な笑顔。
「もう!」
ナラがパン生地を強く叩いた。
顔は真っ赤だった。
「嫉妬してるのよ……」
彼女はため息をついた。
「アイコ、ちゃんと愛情を込めてやりなさい。
ヨーコには必要なの」
少し間を置いて続けた。
「でも言っとく。
一回じゃ足りなくなる」
彼女は私を見た。
「そして、できなくなったとき苦しむ」
「なんで嫉妬してるの、ナラ?」
ユミが疑うように聞いた。
ナラは深く息を吸った。
そして言った。
「私たち、キスしてるの」
小さく、でもどこか独占的な笑み。
「ヨーコには、私たちが与えられる全部が必要」
彼女は静かに続けた。
「そして私は……ヨーコが必要」
「それって恋人じゃない?」
アイコがからかった。
ナラは少し目をそらした。
「みんなが思ってるのとは違うけど……
でも、そうかもしれない」
彼女の目は輝いていた。
私は黙っていた。
体の奥が温かかった。
アイコは後ろから私を抱きしめていた。
とても近くて、
首の後ろに彼女の呼吸を感じた。
私はゆっくり顔を向けて、
彼女の頬にキスをした。
彼女も顔を向けた。
唇が触れそうになる。
ほんの少しの距離。
もう少しで――
でも彼女は、
最後の瞬間で離れた。
私は小さく微笑んだ。
満たされない、かすかな笑み。
「あなたのキスが欲しい」
アイコははっきり言った。
「あなたは特別すぎる。
苦しくなっても構わない。
今日、帰り道で――本当のあなたを感じたい」
「ナラ、かなり動揺してるけど」
ユミが言った。空気を和らげようとして。
「でも、こんなに幸せそうなナラを見るのは久しぶり」
「私は深刻なアイデンティティ危機なのよ」
ナラは皮肉っぽく言った。
まるで冗談みたいに。
でも、完全な冗談ではなかった。
「ヨーコに手を出すなら、十回は考えなさい」
— ユミもキスしてくれる?
私はからかうように聞いた。
楽しそうに。
「ヨーコ……」
ナラがため息をついた。
「あなた、本当にどうしようもないわ」
彼女は正しかった。
そのあとの授業は、パンどころじゃなかった。
みんなで分けた、あの柔らかくて温かいパンさえ、ほとんど味が分からなかった。
私の体は震えていた。
これから来るキスを思って。
そして初めて――
それは私が奪うキスではなかった。
私が求めていた愛を乗せて、
向こうから来るキスだった。
授業のあと、私たちはカズオを見かけた。
彼は近づいてこなかった。
ただ、私を見ていた。
あの、抑えすぎた目で。
彼は私を欲していた。
もしかしたら愛していたのかもしれない。
でも感じることを拒んでいた。
誰かが私の愛を拒むとき、
私の中で暗いものが育つ。
捨てられる恐怖。
不安。
そして、ずっと私を食べ続けてきた孤独。
午後の冷たい空気の中、
私たちは公園へ歩いた。
入口に入った瞬間、
アイコが私の腰に腕を回した。
やさしく引き寄せる。
私は顔を向けた。
まるで差し出すように。
そして彼女の唇に触れた。
キスはしっかりしていた。
温かかった。
そして、
思っていたよりずっと長かった。
私の胸が彼女に触れ、震えた。
唇が触れたまま、
アイコが微笑んでいるのを感じた。
離れたとき、
彼女は頬を赤くしていた。
とてもきれいだった。
ユミとナラが見ていた。
二人とも固まっていた。
でも理由は違う。
ナラは――
あの無邪気な嫉妬を浮かべていた。
私はそれが好きだった。
そして同時に、
ナラにもキスしたくなった。
一番深い痛みを伴う愛が、
彼女のものだと伝えるために。
「ヨーコ……あなたの唇、本当に気持ちいい」
アイコがため息をついた。
私の心臓は爆発しそうだった。
— そんなふうに言われたの、初めて。
「あなた、私を愛してる」
彼女は言った。
— 愛してる。
私は迷わず答えた。
「違うの、ヨーコ」
彼女は首を振った。
「あなた、本当に私を愛してる」
— 愛してる。
私はもう一度言った。
そして指で彼女の唇に触れた。
私は彼女の丸い顔を両手で包んだ。
そのとき、
涙が一滴、彼女の頬を流れた。
「どうやってあなたを手放せばいいの?」
彼女はささやいた。
「こんなに愛してくれるのに……」
— あなたも私を愛してる。
私は静かに言った。
— だから、あなたも離れたくない。
「愛してる」
アイコは言った。
「でもできない……
でも、したい」
そのときナラが近づいた。
そして、思いがけない優しさで
アイコの頬にキスをした。
「私たちの世界へようこそ」
アイコは瞬きをした。
驚いていた。
そして次の瞬間、
彼女はナラに抱きついた。
泣きながら。
笑いながら。
彼女の頬に強くキスした。
触れ合いで互いを理解する魂の抱擁だった。
ユミと私は二人に加わった。
四人の体が一つの輪になる。
温もりの流れ。
四つの人生が、
愛のエネルギーで結ばれていた。
「ヨーコ……私のキスも」
ユミが言った。
涙を拭きながら。
「前に一度くれた愛を、
もっと感じたいの」




