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第1章 ― 愛を求める身体

四月のはじめ、大学の桜は再び鮮やかな桃色を取り戻していた。あのやさしい香りがあたりに広がり、世界は本当よりも少しだけ穏やかな場所かもしれない、そんな気持ちにさせてくれる。

木陰のベンチには目もくれず、私は最初の桜の木の下へ行き、まだ湿った芝生の上にそのまま腰を下ろした。学生が来るにはまだ早すぎる時間だったが、父が亡くなってから――四日前のことだ――私はもう眠ることができなくなっていた。

私は一人で眠ることを、これまで一度も覚えたことがない。いつも両親に抱きしめられ、その温もりと安心に包まれて眠っていた。

今は、すべてが空っぽだった。

怖かった。

ひとりだった。

病気でもあった。

でも、悲しくはなかった。

悲しみという感情は、私にはいつも奇妙だった。私は泣く。でもそれは、ただ身体が「何かがおかしい」と知らせているだけのようだった。次の瞬間には、同じ強さで笑うことさえできる。

その通りのことが起きた。

道のカーブからナラの姿が現れた瞬間、私は子供のような笑顔を浮かべてしまった。

彼女は十八歳になったばかりで、まっすぐな長い髪が背中の半ばまで流れ、見る者の胸が痛むほど繊細な美しさを持っていた。海辺に近いこの町へ引っ越してきて以来、ナラは私の錨だった。誰よりも私を支えてくれた人。私を理解しようと本気で努力してくれた、唯一の人。

彼女がいなければ、私はきっとずっと前に死んでいただろう。

それだけは、疑いようもなかった。

でも、私の人生のすべてがそうであるように、彼女は私の救いであると同時に、苦しみの源でもあった。

ナラは私を男の子たちから遠ざけようとした――私が簡単にのめり込んでしまうと言って。けれどその代わり、彼女自身が私のそばにいてくれた。抱きしめてくれた。私を生かしてくれる種類の優しさを与えてくれた。

問題は、私が彼女をどう見ているかだった。

情熱とは欲望のことだ。

そして私は彼女を欲していた。

でもそれは身体の欲望ではない。その年頃の私にとって、性というものはまだ遠い概念だった。

私の欲望はもっと深く、もっと貪欲だった。もしできるなら、彼女の唇に自分の唇を押しつけたまま、二度と離したくなかった。

けれど、ルールがあった。

それを破れば、私は彼女という友人を失う――あるいはもっと悪いことに、彼女や彼女の家族に問題を引き起こしてしまう。

だから私は、彼女が許してくれるものだけで生きることを学んだ。

抱擁。

彼女の手のやさしい触れ方。

私が崩れそうになるとき、そっと支えてくれる腕。

彼女にとって、それは一種のセラピーだった。

私にとっては、最も純粋で、そして最も必死な形の愛だった。

「大丈夫? ヨーコ」

彼女はそう言って私の隣に座った。

その心配そうな表情は、彼女に会えただけで嬉しくなってしまった私の気持ちと、あまりにも対照的だった。

「最悪」

私は正直に言った。

「すごく抱きしめてほしい」

「抱きしめるだけよ! また口にキスするのはなし」

彼女はぶつぶつ言った。

「私、レズじゃないって言ったでしょ?」

私は気まずく笑った。

前の日、彼女への引力があまりに強くて、泣きながらキスしてしまったのだ。自分の涙が悲しみだったのか、それとも喜びだったのか、私にも分からなかった。

大事なのは、彼女がそれを許したことだった。

怖がってはいたけれど――拒まなかった。

あれは三度目だった。

最初のキスは、私たちが出会った日にしてしまった。彼女は何日も私から逃げ回ったけれど、やがて私の問題を理解してくれた。謝ってくれた。

そして私は、それがあまりにも嬉しくて――またキスしてしまった。

もう二度としないと約束した。

もちろん、その約束は破られた。

「分かってる…」

私は小さな声で言った。

「でも、どうしても必要だったの。ごめん」

彼女は怒っている様子ではなかった。むしろ、私に何が起こるのかを心配しているようだった。

顔を上げると、彼女の目は少し潤んでいた。

私は彼女の考えていることをほとんど聞き取れるような気がした。

けれど次の瞬間、私は彼女の唇の柔らかさを見つめることに夢中になってしまった。

「クラスのみんな、あなたの問題を知ってるわ」

彼女はため息をついた。

「だから誰も抱きしめるくらいは気にしない。でも、口にキスは…ヨーコ。あなたは男の子にしかしなかったでしょ」

彼女は私を抱きしめた。

私はそれにしがみついた。まるで命がそれにかかっているかのように――実際、そうだったから。

「男の子にキスするのはいいのに…」

私は不満そうに言った。

「恥ずかしいけど、必要な方が大きいの。もう何人にもキスした。みんな、こんな風にすぐ身を任せる女の子と真剣な関係なんて望まない。中にはセックスを求める子もいるし…断ると、怒るの」

人の触れ合いをそれほど必要としている人間にとって、恥という感情は贅沢すぎるものだった。

「カズオのこと、殴りすぎたわ」

「また触ってきたら、また殴る」

私は言った。

「触っちゃいけないところに触ったの。それに、キス以上のことができるって、友達と賭けまでしてた。どうして私が欲しいのはただの優しさだって分からないの?」

もし彼の触れ方に愛があったなら、私はきっと受け入れていただろう。

そして、もっと求めていた。

「ただの優しさ?」

ナラは言った。

「ヨーコ、あなたは離れないもの。男の子だって、いつもくっついてくる女の子に自分を全部預けたいわけじゃない。何事にも限度があるのよ」

「私の命にも限度があるの」

私はつぶやいた。

彼女は深く息を吸い、胸の奥の不安を押し殺そうとしていた。

「あなたがいなかったら、私どうなってたか分からない」

私は言った。

「ユミとアイコも」

「分かってる。あなたにはそれが必要だって」

彼女は言った。

「私たちは友達だもの。あなたを愛してる」

私は微笑んで、彼女の肩に頭を預けた。

その抱擁の中で、私は溶けていった。

そして世界は、また少しだけ耐えられるものになった。


— ありがとう。私もみんなを愛してる。あなたたちの抱擁も…それに、あなたのキスも……

私は少し頬を染めて微笑んだ。

— 愛のないキスより、ずっと私を満たしてくれるの。

「それで、これからどうするの? お父さんがいなくなって……。一人で暮らすことになるの?」

私は抱擁をほどき、涙をそのまま流した。

言葉を見つけるまで、私は彼女の黒い髪をそっと撫でた。

— 私の母と同じことが起きるの。

— 母も、同じ病気だった。

— ナラ……私は、死ぬ。

喉が震えた。

— 母は父なしでは一か月ももたなかった。

— そして私は……四日間、父に抱きしめられずに眠れないだけで……もう、体が限界なの。

少し沈黙してから、私は小さく続けた。

— 時々思うの。愛をもらえばもらうほど、体はもっと求めるみたい。

— 前は、抱きしめてもらうだけで十分だった。

— でも今は……生き続けるために、いつももう少し必要みたい。

「だめ!」

ナラは必死に私の腕をつかんだ。

「お医者さんに相談しなきゃ。もっと強い薬があるかもしれない」

彼女の心配は、私にとって信じられないほどの喜びだった。

— 薬なんてないの。

私は静かに言った。

— 私を生かしているのは、愛だけ。

それでも、私はやさしく微笑んだ。

— でもね……私は幸せなの。

— この状態で十八歳まで生きられたなんて、もう奇跡みたいなものだから。

「やめて!」

彼女は涙をこぼした。

「あなたを死なせたりしない」

そして彼女は――泣きながら、私にキスをした。

私も泣いた。

でもそれは、幸福の涙だった。

それがどれほど私を満たしてくれるのか、言葉では説明できないほどだった。

— ありがとう……

私は小さくささやいた。

— これがどれだけ私を楽にしてくれるのか、自分でも説明できない。

ナラは顔を拭いながら言った。

「あなたに旦那さんを見つけないとね」

私は目を回した。

いつもの話だ。

— 同情で結婚してほしくないの。

— それに……こんなにべったりな私を、本当に愛してくれる人じゃないと。

— 中には、嫌がる人だっているし……

「分かってる」

ナラはため息をついた。

「私も……最初は少しそうだった」

彼女は少し視線を落とした。

「でも、そのあと……」

「あなたに抱きしめられるとき。

キスされるとき……」

彼女は小さく言った。

「あなたの中から、何かの力が出てきて……私の中に流れ込んでくるみたいなの」

「きっと、それがあなたの愛なんだと思う」

彼女は赤くなった。

「……なんだか、気持ちいいの」

私は彼女の涙をそっと拭った。

— 私も感じる。

私は正直に言った。

— みんなから、何かを吸い取っている気がする。

— そして……それが好きなの。

突然、ナラは決意したような顔で立ち上がった。

「あなたを死なせない」

私は立ち上がり、彼女を見た。

「校長先生に頼んで、うちに来てもらう」

「全部、私の両親に説明するの」

彼女ははっきりと言った。

「あなたは私の家に住むの」

「私の妹になる」

そして、まっすぐ私を見て言った。

「私と抱きしめ合って眠るの」

私の心臓は、爆発しそうだった。

— ご両親……分かってくれるかな……

私は涙を流しながら聞いた。

「もちろん」

ナラはすぐに言った。

「あなたのこと、大好きだもの」

彼女は少し笑った。

「うちの母、いつも言ってるわ。あなたは特別な子だって」

私はその場に膝をついた。

感謝で胸がいっぱいだった。

彼女は私を引き上げ、長く抱きしめてくれた。

体の震えが止まるまで、ずっと。

— 私、重荷にはならないよ。

私は言った。

— 父は……十分なお金を残してくれたから……

「それなら安心ね」

ナラはうなずいた。

「今日からうちに泊まりなさい」

そして、少し笑って続けた。

「それに、あなたの彼氏を見つける時間もできる」

私はまた目を回した。

— もし見つからなかったら?

ナラはむっとした顔で言った。

「そのときは――私があなたと結婚する」

私は思わず笑った。

— でも、あなたレズじゃないって言ったでしょ。

「そうよ」

彼女は深く息を吸った。

そして静かに言った。

「でも……あなたのこと、愛してるの」


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