プロローグ
私の物語は冒険ではない――最初から、決してそうではなかった。
これはただ、すべてが終わりを指し示しているように見えた中で、それでも私を生かし続けた出来事の、避けがたい、むき出しの記録にすぎない。
あなたは覚えているだろうか。
初めて恋に落ちた瞬間を。
性というものを理解するよりも前に、胸の奥からふいに湧き上がる、あの無垢な熱。
清らかで、震えるように鮮やかで、
そばにいたい、触れたい、包み込みたい――
そして、二度と離したくないと願ってしまう、ほとんど必死な衝動を帯びたあの愛。
人は皆、あの最初の魔法はやがて過ぎ去るものだと言う。
成熟し、形を変えていくのだと。
それでも、心の奥では願っている。
どうか終わらないでほしい、と。
誰にとっても、そうなのだ。
――私以外は。
私は、生まれつき違うのだと言われてきた。
それはただ、人が生きる中で進化していく形なのだと語る者もいた。
もしその「違い」が、ゆっくりと私を殺していくものでなければ、
きっと受け入れることもできたのだろう。
自分の問題は、まだそれが何なのか理解する前から、すでに知っていた。
それは遺伝だった。
両親から受け取った、歪んだ贈り物。
けれど、それがどこまで私を引きずっていくのか――
その深さまでは、想像すらできなかった。
私の愛は、成熟しない。
一度も成熟したことがない。
私は母のように成長するのだろう。
永遠に魅了されたままの女性。
感情のどこかが幼いままの女性。
そして、愛に完全に依存して生きる女性。
一人の男ではない。
――すべての人の愛に。
私は毎朝、恋をして目を覚ました。
恋人にではない。
両親に。
学校の友達に。
ただ優しく私を見てくれる、どんな人にも。
私は触れ、抱きしめ、キスをした。
それが自然であるかのように。
正しいことのように思えた。
美しいことのように思えた。
それなのに、どうして皆は間違いだと言うのだろう。
どうして私は病気だと言われるのだろう。
最初の診断は、精神障害だった。
もっと残酷な医師たちは、知的な遅れさえほのめかした。
だが誰一人として説明できなかった。
なぜ私のIQテストは尺度の上限を超えていたのか。
なぜ愛情から引き離されると、私の体が衰え始めるのか。
子どもが食べ物を失えば衰弱するように、
私は愛を失うと萎れていった。
触れられることも、優しさもないまま、ほんの数週間。
それだけで私は、自分自身の輪郭を失い、
死の縁に立つ骨ばった影のようになってしまう。
私は一人ではなかった。
幼い頃から理解していた。
私の生存は、完全に母に依存しているということを。
そして母の生存は、父に依存しているということを。
私たちは、ひとつの三角形だった。
壊れそうなほど脆い三角形。
互いへの愛情によって支えられていた。
それは、同時に――
腐食するほど強烈な感情でもあった。
私が成長するにつれて、その均衡は崩れていった。
両親から受け取る愛だけでは、
もう私を支えきれなくなっていた。
あなたは、これを大げさだと思うかもしれない。
結局のところ、人は皆、愛を必要としているのだと。
けれど、それとは違う。
それは単なる必要ではなかった。
――能力の欠落だった。
私は憎しみを知らなかった。
拒絶も。
嫉妬も。
羨望も。
悪意も。
嘘も。
怒りは感じた。
だがそれを形作り、意味を与える感情の構造を、私は持っていなかった。
理論上、私は完璧な存在だったのかもしれない。
だが現実には、不完全だった。
ほとんど、人間の中に紛れ込んだ異邦人のように。
彼らの中で生き延びるために、私は学ばなければならなかった。
両親相手なら簡単だった。
見つめるだけで、理解できた。
だが外の世界では違う。
私は勉強した。
観察した。
ひとつひとつの仕草を。
ひとつひとつの言葉を。
自分には存在しない感情を、
辞書で理解した意味だけを頼りに、社会的に再現した。
そして、自分の違いを利用した。
必要なものを手に入れるために。
――愛情を。
私は愛を狩っていた。
時には捕食者のように見えたかもしれない。
誰かを傷つけるためではない。
ただ、他人の愛情を栄養にして生きるために。
やがて私は理解した。
奪う愛の量よりも、
その質のほうが重要だということを。
本当に私を愛してくれる人の愛情は、
より長く、私を支えてくれた。
だから私は、ある友達には特に近づいた。
他の子たちよりも、ずっと。
けれど、どれだけ隠そうとしても、
私の違いは明らかだった。
とくに、衝動を抑えきれないとき。
同級生たちを抱きしめ、
キスをしてしまうとき。
男の子でも、女の子でも関係なく。
唇に。
首筋に。
頬に。
「自分が何をしていると思ってるの?」
そう聞かれると、私はただ答えるだけだった。
嘘をつくことを、私は知らなかった。
笑う子もいた。
恐怖に顔を歪める子もいた。
そして――私たちは町を離れなければならなくなった。
十七歳のとき。
一年以上も孤立した生活のあと、私は病院に運ばれた。
もう少しで死ぬところだった。
両親の愛が私を支えてくれていた。
けれど、それだけではもう足りなかった。
人々が私の問題を知ると、状況は変わった。
学校に戻ったとき、クラスのほとんどはすでに成人していた。
それが、私には幸いした。
何人かの友人は、抱きしめることを受け入れてくれた。
男の子たちは、私のキスを喜んだ。
そしてそれが、しばらくのあいだ、私を生かしてくれた。
だが――それでも足りない。
私が受け取れば受け取るほど、
その分だけ、両親から奪ってしまっていた。
私が生きようともがくほど、
二人は静かに衰えていった。
最初に倒れたのは父だった。
父を失うと、母は感情の支えを失った。
わずか数か月のうちに、二人とも死んだ。
私は一人になった。
弱りきったまま。
そして、自分に何が起こるのか――
私は正確に理解していた。
友人たちは、できる限り私を支えてくれた。
それでも私は毎日学校へ行った。
この体が必死に求めるものを、探すために。
あの頃の私は――「ユナイド」だった。
まだ理解しようとしていた世界の、一部だった。
そして今、私は「セクヴェンス」となった。
かつての私を超えた存在。
かつて知っていた人間というものから、
さらに遠く離れた存在だ。
この物語を理解できる形で語ることは、
とても骨の折れる作業だった。
私は人間の感情の多くを持っていない。
そして今、セクヴェンスとなったことで、
その距離はさらに広がっている。
自分の中に存在しない感情を、どう説明すればいいのだろう。
私には存在しない感情語彙で成り立つ出来事を、どう語ればいいのだろう。
それでも――ひとつの真実だけは残っている。
私がユナイドだったか、セクヴェンスだったか。
そんなことは、本当は重要ではなかった。
重要なのは、ただ一つ。
最初から――
私は一度も、人間ではなかった。




