第12章 ― 私たちが恐れるものの重さ
朝は重く、灰色だった。
細かな雨が降り続き、何日も続いた晴れの日のあとに、静かに街を濡らしていた。
ナラと私は傘の下で肩をすくめながら校門をくぐった。
濡れた髪が頬に張りつき、寒さに小さく震えていた。
それでも――
ゲータとフレデリックが入口で傘を置いているのを見た瞬間、
私の気分は一気に燃え上がった。
私は思わず笑った。
そして走り寄り、
勢いよく二人を抱きしめた。
手袋をしていたから安全だった。
だから迷いなく触れた。
ナラも同じように抱きしめたが、
二人は彼女の肌に触れないよう、非常に慎重だった。
それが――
前日、隣町で感じた違和感を
また呼び覚ました。
私は落ち着いて二人を観察した。
注意深く見る必要さえなかった。
異様だった。
刺すような寒さなのに、
あまりにも軽い服。
湿った風にも反応しない。
暖かい教室へ急ぐ様子もない。
そして雨が降り続いているのに、
二人の服は乾いたままだった。
まるで――
天気そのものが
二人に触れていないみたいに。
首の後ろを何かが走った。
彼らは私に似ている。
少なくとも、私への接し方は。
でも――
深い違いがあった。
生きすぎているような目。
人間の限界を超えた強さと耐久力。
そして、光の下で微かに震えるほど滑らかな肌。
— どうしたの、私の天使?
ゲータが尋ねた。
またその呼び方。
私の天使。
そのあだ名には、
どこか幼い響きがあった。
私を内側から裸にしてしまうような。
彼らはいったい何者なのだろう。
彼らは、
私の「本当の恋の物語」なのだろうか。
それとも――
もっとあり得ない何か?
「ヨーコ?」
ゲータがもう一度呼んだ。
私ははっとした。
— あなたたちが誰なのか、知る必要がある。
ナラと私は、質問しないと決めていた。
でも好奇心は燃えていた。
「まず中へ入ろう」
フレデリックが言った。
「君たち二人とも、唇が紫になっている」
彼は暖かい廊下を指した。
— でもあなたたちは違う。
私は言い返した。
— 濡れてもいないし、寒さも感じてない。
— 手袋もしてない。
ゲータは深く息をついた。
「私たちは違うと、前にも言ったでしょう」
彼女は言った。
「あなたに似ている」
— 愛のエネルギーで生きているという意味ではね。
私はすぐ返した。
— しかも、その力は私よりずっと強い。
— 私はユナイドだと言った。
— でもあなたたちも?
「違う」
ゲータは答えた。
「私たちはただ――あなたを愛している人間」
私は思わず、ばかみたいに笑った。
いつもそうだった。
誰かが「愛してる」と言うだけで、
私の思考は降伏する。
質問も、論理も、
すべて忘れてしまう。
私はほとんど浮かぶように教室へ入った。
席に座るとすぐ、
ゲータが指先で私の頬に触れた。
その瞬間――
私の体はほどけた。
柔らかく。
甘く。
完全に。
熱いめまいが広がり、
思考がひとつずつ崩れていく。
授業中、私が考えていたのはただ一つ。
雨。
どうやってキスをもらうのか。
私はナラの手を強く握った。
少しでも安定するために。
__________
チャイムが鳴ると、
私はほとんど走るように教室を出た。
ナラ、ユミ、アイコも一緒だった。
廊下の向こうから
二人が現れた。
「私の天使、雨が降っているわ」
ゲータが言った。
「どこでおやつにする?」
— 教室で。
私は即答した。
— でもその前に、
— 私のキスが欲しい。
アイコが眉をひそめた。
「ヨーコ、ちょっと……」
彼女は言った。
「まるで彼らがキスしなきゃいけないみたいな言い方よ」
私は戸惑った。
するとフレデリックが、
私の代わりに答えた。
「そうだ。義務がある」
フレデリックが静かに言った。
「ヨーコは私たちのものだから」
彼は少し肩をすくめた。
「君たちは、そういう考え方ではないみたいだけど」
ナラはため息をついた。
「この人たちは、誰でも自分のものみたいに考えるのよ」
彼女は言った。
「ヨーコがそういうふうに感じるのを理解するまで、私も時間がかかった」
ユミが首をかしげた。
「じゃあ……私たちはヨーコのものなの?」
私はうなずいた。
二人は驚いたが、
すぐに少し緊張した笑顔を浮かべた。
ナラが私たちを会議室へ連れていった。
職員室で鍵を借りてきたのだ。
部屋に入るとすぐ、
私は反射的にフレデリックのシャツをつかんだ。
いつものように笑いながら。
崩れ落ちることが分かっているとき、
私はいつもそうする。
フレデリックは笑った。
私の腰を引き寄せ、
深くキスをした。
強いめまいが襲った。
私はナラの腕の中へ倒れ込み、
彼女が椅子まで支えてくれた。
— 本当は……全部あなたたちに任せたい。
私は正直に言った。
— でも、ほとんど触れることすらできない。
「もうすぐできるようになる」
フレデリックが言った。
「でもその前に、君はまだユミとアイコと付き合っていない」
二人は真っ赤になり、
目をそらした。
— キスするのは好きなんだけど、
— まだ恥ずかしいみたい。
私は説明した。
「もったいない」
フレデリックはからかった。
「ヨーコは愛をたくさん持っているんだから」
二人はさらに赤くなった。
ナラが私の唇に触れた。
そして迷いなくキスをした。
私は完全に溶けた。
「こうしてヨーコが受け取るエネルギーを
少し分散させるの」
ナラは言った。
「その通り」
ゲータが嬉しそうに言った。
「今度はあなたたち二人よ。見せて」
ユミとアイコは真っ赤になったが、
結局その空気に抗えなかった。
私はまずユミにキスした。
ゆっくり。
唇を味わいながら。
エネルギーが流れた。
私から彼女へ。
彼女から私へ。
キスが終わらなくなるほどに。
「気持ちいい……」
ユミがため息をついた。
「ナラの気持ちが分かる」
アイコがぼんやり言った。
「私、レズになりそう……」
__________
軽く食べたあと、
授業に戻る前の最後のキスのために、
ゲータが私に近づいた。
彼女が身をかがめ、
私の唇に触れた瞬間――
雷がすぐ近くに落ちた。
建物が震えた。
その衝撃で
ゲータの集中が一瞬切れた。
次の瞬間――
エネルギーが私の中へ
衝撃のように流れ込んだ。
体の奥で何かが裂けた。
耐えられない熱。
そして――
突然の闇。
体が動かない。
でも意識は残っていた。
死んだ体の中に閉じ込められたみたいに。
呼吸ができない。
心臓が……止まっていた。
それでも私は意識を保っていた。
「しまった……」
ゲータがつぶやいた。
彼女の目に
本物の恐怖が浮かんだ。
世界がさらに静かになった。
遠く。
冷たく。
「ヨーコ?!
ヨーコに何が起きたの?!」
ナラが叫んだ。
「心臓が止まった」
フレデリックが即座に言った。
「今すぐ動く」
彼は私を床に横たえた。
直接肌には触れずに。
「みんな、彼女の顔に両手を置いてキスして」
彼は命じた。
「できるだけ長く耐えろ」
「君たちは死なせない」
死ぬ?
その言葉が
氷のように私の意識を貫いた。
最初に来たのはナラだった。
彼女は強く私にキスした。
目は見開かれていた。
彼女の心臓の鼓動を感じた。
恐怖。
愛。
絶望。
すべてが混ざっていた。
彼女は限界まで耐えた。
そして――
体が崩れ落ちた。
気を失った。
何も変わらなかった。
彼女の体が私の上に落ちた。
それは恐ろしい警告だった。
一人の人生すべてでも――
足りない。
ユミは震えていた。
倒れた友達を見て。
それでも前に進んだ。
「愛してる」
彼女はかすかに言った。
そして私にキスした。
彼女も倒れた。
世界が遠くなり始めた。
倒れた体が増えるたび、
私の一部も消えていくようだった。
フレデリックが彼女をどけた。
「アイコ! 今だ!」
アイコがひざまずいた。
ほんの一瞬迷い、
そして私にキスした。
彼女の唇が触れた瞬間――
彼女の心臓が揺らぐのを感じた。
まるで、
愛することを選ぶことが
幸せな死であるかのように。
エネルギーが上昇した。
私の中で何かが破れた。
そして――
戻ってきた。
私は息を吸った。
そして、
意識を失った。
目を覚ましたとき、ゲータの声が聞こえた。
私とナラは彼女の膝の上に頭を乗せていた。ユミとアイコはフレデリックの膝の上だった。
起き上がろうとしたけれど、世界がぐるぐる回った。
「少し待って」
フレデリックが言った。
やっと座れるようになったとき、
私たちは無意識に二人から距離を取っていた。
彼らが怖かったわけではない。
怖かったのは――
私たち自身だった。
愛のために、
私たちが互いに何をしてしまえるのか。
キス一つで、
命を奪ってしまうかもしれないこと。
「校長先生がここに来たわ」
ゲータが言った。
「え? 私たちが倒れているのを見たの?」
私は驚いて聞いた。
「ゲータの笑顔ひとつで十分なんだ」
フレデリックが説明した。
また一つ、私のリストに加わった。
ゲータは人に強い影響を与える。
「何が起きたの?」
ナラが聞いた。
「私はヨーコをほとんど殺しかけた」
ゲータは言った。
悲しい笑みを浮かべながら。
「そしてあなたたちも危険にさらした」
彼女は続けた。
「それでも、あなたたちは彼女のために命をかけた」
彼女の目が私たちを見た。
「あなたたちは彼女のもの」
その言葉は――
拳のように胸に落ちた。
重くて。
取り消せなくて。
恐ろしくて。
それなのに――
私は、信じられないほど幸せだった。
「あなたたちの心臓は止まる可能性もあった」
フレデリックが言った。
「でももしそうなっても、私たちが解決した」
彼は静かに続けた。
「あなたたちには存在をやめる許可はない」
ナラは顔を手でこすった。
「すごかった……」
彼女はつぶやいた。
「ほとんど耐えられなかった。
体の全部を使い切ったみたい」
「私も同じ」
ユミが言った。
「理解しないといけない」
「話すわ」
ゲータが答えた。
「でも今日はやめておきましょう」
彼女は優しく言った。
「あなたたちを倒したのは――愛よ」
ユミは弱く笑った。
「愛がエネルギーだっていうのは分かるけど……」
彼女は首を振った。
「こんな形だとは思わなかった」
「あなたは私を愛している?」
ゲータがアイコに聞いた。
アイコは赤くなった。
「うん……たぶん」
彼女は小さく言った。
「あなたたちがいないと寂しいし……
近くにいると嬉しい」
「純粋な愛は単純よ」
ゲータが説明した。
「受け取った者は、与える」
「理由を聞かずに」
彼女は続けた。
「私たちがヨーコを愛しているなら、
ヨーコが愛するものすべてを愛する」
彼女は私たちを見た。
「そして今、それはあなたたちにも当てはまる」
「あなたたちは、ヨーコへの私たちの愛を吸収したから」
三人とも微笑んだ。
そのあと、二人は軽食を取りに行った。
私たちは空腹のまま食べた。
そして――
完全に恋に落ちたみたいな気分だった。
その感覚は強すぎた。
もしそこに蝶が一匹飛んできたら、
私たちはきっとその蝶にも恋をしてしまっただろう。
だからゲータは、
授業が終わる前に私たちを帰らせた。
途中で誰かを狂わせないために。
帰る前に、
私は友達を強く抱きしめた。
彼女たちはためらわず、
私のために命をかけた。
愛する者は――
与える。
そしてゲータとフレデリックは去っていった。
もう一日だけ、
秘密を抱えたまま。




