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第11章 ― 私たちという存在

ゲータから最初のキスを受けてから、十日が過ぎていた。

彼女とフレデリックは、その間ずっと毎朝大学へ来ていた。

土曜日も日曜日も。

ただ――私にキスをするためだけに。

一人につき、ひとつ。

唇が少し長く触れるだけで、私は意識を失いそうになる。

胸の奥から熱い波が立ち上り、魂が体を離れようとするみたいだった。

だからこそ、

二人は私を抱きしめなかった。

触れることさえ、ほとんどしない。

「君に本当に与えたいものを与えられないのは、拷問みたいだ」

フレデリックがつぶやいた。

その苛立ちは、ほとんど私の肌を突き抜けるほどだった。

問題は――

私も彼を望んでいたことだった。

全部を。

遠慮もなく。

生々しく、熱い欲望で。

彼が既婚者だという事実も、

そしてその妻がすぐそばで穏やかに立っていることさえ、

私の体には関係なかった。

ゲータはすべて気づいていた。

気づきすぎるほどに。

それでも嫉妬する代わりに、

彼女は楽しそうに微笑むだけだった。

まるで――

許可を与えているかのように。

奇妙で、

危険な感覚だった。

けれど限界を越えたのはナラだった。

「彼女にあなたを奪われるのが怖くないの?」

ナラは真っ直ぐ聞いた。

ゲータはやさしく微笑んだ。

しかし答えたのはフレデリックだった。

「彼女は僕の命だ」

彼は静かに言った。

「僕の愛だ。

彼女なしでは生きられない」

「私たちは互いなしでは死ぬわ」

ゲータが続けた。

彼の腕に触れる。

それはあまりにも自然で、

体の延長のようだった。

「私たちは一つの存在なの」

それは美しすぎた。

そして同時に――

危険だった。

二人を知れば知るほど、

私はその世界に引き込まれていった。

彼らは長くは留まらなかった。

私の家族や友人との絆に

干渉したくないと言った。

明るく、

内側から安定した力を放っていて、

その静かな強さが

理由もなく私の肌を震わせた。

多くは語らない。

それでも――

観察せずにはいられなかった。

一つだけ確かだったことがある。

彼らの目だった。

そこには動きがあった。

表面の色の奥で、

別の光が流れているようだった。

まるで第二の光が

呼吸しているみたいに。

茶色の瞳は、

日によって微妙に変わる。

生きているみたいに。

その謎が深まる一方で、

もう一つの変化も起きていた。

ナラと私、そして家族は、

以前よりずっと活力に満ちていた。

ほとんど高揚状態だった。

もう絶えず抱きしめられる必要はなかった。

もちろん――

私たちは今でも抱き合った。

ただ、

それが楽しいから。

ナラと私は三キロ太った。

彼女を苦しめていた貧血も消えた。

私はもともと、

困難の中でも幸せだった。

でも今は――

あふれていた。

まるで内側の何かが

解き放たれたみたいだった。

私はスポーツを始めた。

体の中に本当の力を感じた。

まだ理解できない

何かのために調律されたみたいに。

人生はあまりにも速く変わった。

それでも二人はただ微笑むだけだった。

すべてを知っている人のように。

私は知っていた。

強すぎるものには

必ず代償がある。

だから私は決めた。

隣町の図書館で、

アカデミーについて調べることにした。

金曜日だった。

授業のあと、

あの二人が帰るのを見送ってから、

私たちは電車に乗った。

あの古いコンピューターで

何かを見つけるのは地獄だった。

検索の合間に、

私は人類の黄金時代の写真を見ていた。

もし彼らが

未来を知っていたら?

違う運命を選べただろうか。

考えながら、

思考はほどけていった。

そして――

ナラの顔が

すべてを横切った。

彼女の唇。

短くなる呼吸。

欲望が突然、私を燃やした。

ほとんど超自然的な速さで。

フレデリックはすでに説明していた。

たとえ私の周りに

何千人の人がいても、

私はそれでもナラを望む。

理屈では説明できない。

でも――

体には分かる。

深く。

気づいたときには、

私はすでにナラを壁に押しつけていた。

飢えるようにキスしていた。

彼女は私の唇の中で息をのんだ。

まるでそのキスを

何日も――

あるいは何年も――

待っていたみたいに。

「これ以上続けるなら追い出しますよ!」

管理人の女性が鋭く言った。

私はすぐに離れ、顔を真っ赤にした。

— すみません!

「ここは恋人ごっこをする場所じゃありません。外でやりなさい」

— ごめんなさい……

— ところで、アカデミーについてもっと調べられる場所はありますか?

「あるものは全部コンピューターの中よ」

彼女はそっけなく答えた。

— ユナイドについては何も出てきません。

私は不満そうに言った。

「ユナイド?」

— アカデミーが保護していた民族です。

「ユナイドについては、何も見つからないわよ」

その断言に、私は息をのんだ。

— 何かご存じなんですか……?

— 教えてもらえませんか?

彼女は少し迷った。

「作り話みたいなものよ」

そう言ってから続けた。

「信じる人もいれば、信じない人もいる」

「アカデミーが逃げたとき、彼らに関する記録はすべてデータベースから消された」

「でも民間の伝承ならあるわ」

彼女は少し間を置いた。

「およそ三百五十年前の話」

「ある宇宙船が、アンテアという惑星で私たちよりも知的な種族を見つけたの」

「彼らは平和に暮らしていた」

女性は少し不安そうに続けた。

「その話では、船長がアリエルという異星人の女性と出会い、恋に落ちた」

「彼女は事故で死んだけれど、遠い星で待つと言った」

「船長は六十年かけて航海を準備した」

「艦隊で最高の船長になり、ついに彼女を見つけた」

「でも、その星の人々は彼と二人の乗組員を地球へ帰さなかった」

「彼らには特別な性質があったから」

彼女は静かに言った。

「そして一度彼らの愛を知ってしまえば、もう彼らなしでは生きられない」

ナラと私は顔を見合わせた。

ゲータが同じことを言っていた。

背筋がぞくりとした。

まるで伝説を聞いているのではなく、

記憶を思い出しているみたいだった。

— でも……ユナイドはどこで出てくるんですか?

私は聞いた。

「宇宙飛行士たちが戻ったとき、言ったのよ」

女性は答えた。

「同じ特徴を持つ人々を守るべきだと」

「アカデミーはそういう人たちを見つけて、村を作った」

「三百年後には二千人以上になった」

「そしてアカデミー崩壊とともに消えた」

— どんな特徴だったんですか?

「触れ合いを強く必要とする」

「愛情深い」

「知能が高い」

「暴力も嘘も理解できない」

彼女は肩をすくめた。

「完璧な人間」

「そんなもの存在しないわ」

ナラは苛立った顔をした。

— その惑星の種族は?

「セクヴェンスと呼ばれていた」

女性は言った。

「私たちに似ているらしいけど……」

「まあ、おとぎ話よ」

ナラはその場で私を抱きしめた。

女性の目の前で。

怒りに震えながら。

「ヨーコはユナイドよ!」

彼女は叫んだ。

「完璧なの!」

「私がずっと抱きしめていないと、彼女は死んじゃう!」

管理人の女性は目を見開いた。

「あなた……聖泉学院の子?」

私の前の学校だった。

私は驚きながらうなずいた。

「連絡先を置いていきなさい」

彼女は言った。

「アカデミーを研究している人を知っている」

「何かわかったら知らせるわ」

— ありがとうございます。

— 私たちが何なのか、知りたいんです。

「お腹すいた」

ナラがぼやいた。

私たちは軽食を買い、座った。

最初の一口を食べたところで、

ナラはずっと考えていたことを口にした。

「ヨーコ……」

彼女はゆっくり言った。

「ゲータとフレデリックって……宇宙人だと思う?」

「誰も宇宙人なんて信じないけど」

— もしそうだったら……

私は小さく言った。

— 私に何を望んでるんだろう。

ナラは強く私の手を握った。

「怖い」

— 私も。

私は答えた。

— でも……あの人たちが私を愛してるのは分かる。

その確信は、

胸の奥を温める熱みたいだった。

突然、ナラが立ち上がった。

そして必死に私を抱きしめた。

「もちろん、あの人たちはあなたを大事に思ってる」

彼女は泣きながら言った。

「でも……あなたはもう、あの人たちの愛に依存してる」

彼女の腕はさらに強くなった。

「もし本当に別の世界の存在だったら……」

彼女の声が震えた。

「あなたを連れて行ってしまうんじゃないかって……怖い」

彼女は、

もうすでに誰かに引き離されかけている人を

必死につかまえるように、

私を抱きしめていた。


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