第9章 ― ユナイドの真実
ナラと私は桜の木の下の芝生に寝転び、花の甘い香りを吸い込みながら静かに過ごしていた。
そのとき、カズオが現れた。明らかに緊張している様子だった。
私の体は、理性より先に反応した。
彼がここに来た理由を、私は知っていた。
胸の奥を電気のような興奮が走った。
私は立ち上がった。
ナラも同時に立ち、しっかりと私の手を握った。
— どうしたの、カズオ?
私は声の震えを抑えながら尋ねた。
「話があるんだ……二人きりで」
彼はためらいながら言った。
言葉の一つひとつが重そうだった。
ナラは私の指をさらに強く絡めた。
離すつもりはない、というように。
「もう一度キスしてほしい」
カズオは言った。
勇気を装うように。
私の体は、また先に反応した。
私は望んでいた。
でもナラは正しかった。
彼女は私を守っていた。
カズオは私を好きだった。
でもフレデリックほど深い存在ではない。
「君、彼氏が欲しいって言ってたじゃないか」
彼は続けた。
「ヨーコには、もう恋人がいる」
ナラが割って入った。
「誰と?」
カズオは信じられないように聞いた。
「私」
ナラは迷いなく答えた。
彼は青ざめた。
そして、同情のような言葉をつぶやいた。
ナラは一歩も引かなかった。
「ヨーコに同情はいらない」
彼女は言った。
怒りが体中に震えていた。
「可哀想なのは私たちよ。
彼女の愛を理解できない私たちのほう」
風が吹いた。
桜の花びらが舞い上がった。
そのとき、桜の木の向こうに
フレデリックとゲータが現れた。
二人が現れた瞬間、空気が変わった。
周囲のエネルギーが重く、
ほとんど触れられるほど濃くなった。
「ナラは正しい」
ゲータが言った。
「でもあなたにも、彼女の愛を受け取る権利はある」
彼女はカズオを見つめた。
「もし本当にこの少女を知っていると思うなら――キスしなさい」
彼女は静かに続けた。
「それは契約になる」
「彼女と永遠に結びつく契約」
「彼女のそばに留まり、
彼女が与えるすべてを受け取り続けること」
彼女の目が、私の友人たちへ向いた。
「一度つながれば、もう離れられない」
「ナラも、ユミも、アイコも
すでに彼女と結びついている」
カズオは唾を飲み込んだ。
完全に固まっていた。
「キスしなさい」
ゲータはもう一度言った。
「あなたの愛の強さを見せて」
しかし彼は、ただ頭を下げた。
小さく謝り、
そのまま後ろへ下がった。
「心は優しい」
フレデリックが言った。
「でも強さが足りない」
彼は私の友人たちを見た。
「君たちの友達は、その両方を持っている」
ユミとアイコはすべて聞いていた。
二人は近づき、私たちのそばに座った。
ゲータの言葉は、私の胸に重く残っていた。
彼女は、私自身よりも
私のことを知っているみたいだった。
「あなた、彼を追い払ったわね」
ユミが笑いながら言った。
「ヨーコと付き合ってるって言っただけ」
ナラが答えた。
「これで学校中に広まるわ」
「じゃあ私も言う」
アイコが言った。
「私もヨーコの恋人だって」
「私も!」
ユミが続けた。
フレデリックは笑った。
「面白い友達だね、ヨーコ」
私たちは軽食を広げて座った。
ゲータとフレデリックは何も持ってきていなかった。
「食べないの?」
ナラが聞いた。
「持ってくる必要があるとは思わなかった」
ゲータは答えた。
そのときユミが私の後ろに座り、
腕で私を包んだ。
私はそのまま身を預けた。
体の中を電気のような感覚が流れる。
反対側では、
フレデリックが自然にゲータを抱き寄せていた。
彼女はそのわずかな触れ合いを、
まるで生きるために必要なもののように吸い込んでいた。
「服を脱いだほうが効率的かもしれない」
フレデリックが冗談めかして言った。
「腕だけの接触では足りない」
私たちは顔を赤くした。
ゲータは笑った。
でもその目には、どこか捕食者のような光があった。
「あなたたちがヨーコを大事にしているのを見るのは美しい」
彼女は言った。
— 私は幸運な女の子です。
私は小さく言った。
「それは幸運じゃない」
ゲータは静かに訂正した。
その言葉の意味を理解する前に――
ゲータはフレデリックを引き寄せ、
彼にキスをした。
その瞬間――
世界がエネルギーで爆発した。
波が私の体を突き抜けた。
快感。
恐怖。
欲望。
すべてが混ざり合い、
細胞の一つひとつで脈打った。
心臓が止まりそうだった。
私は震えていた。
そのエネルギーを
もっと吸い込みたくて。
私は視線を落とし、涙をこらえようとした。
これは欲望だった。
純粋な必要。
— どうして、私のことをそんなに知っているの?
私はかすれた声でつぶやいた。
ゲータが少し身を乗り出した。
「私たちの愛が欲しいの?」
彼女は静かに聞いた。
「その代わりに、あなたは何を差し出せる?」
私が持っているものは一つだけだった。
私自身の愛。
そしてそれこそが、
私が彼らに与えたかったものだった。
ゲータはユミとアイコに離れるように頼んだ。
ナラは私を抱きしめた。
守るように。
それから私はようやく答えた。
— 私を完全にしているもの、全部をあげる。
— 私は……あなたたちのもの。
ゲータは、少し楽しそうに微笑んだ。
「でも本当は――フレデリックが好き」
私は何も言えなかった。
その沈黙が、すべてを語っていた。
「あなたの無垢さより強いものがあるとしたら」
フレデリックが静かに言った。
「それは、あなたの愛の力だ」
涙が止まらなかった。
「どうしてヨーコにこんなことをするの?!」
ナラが怒って叫んだ。
「この子はとても敏感なの!
もう行って!」
「落ち着いて、愛しい子」
ゲータはやさしく言った。
「私たちは、あなたの姉を愛している」
その言葉で、
胸に温かい波が広がった。
同時に、恐怖も。
ゲータは私の前に膝をついた。
指先で私の頬に触れた。
軽く。
でも絶対的に。
「あなたは私たちのもの」
その触れ合いから流れ込んだ愛は、
あまりにも強かった。
私は数秒間、
自分を取り戻すことができなかった。
— どういう意味……?
私はかすかに聞いた。
「私たちは、あなたが思うよりずっと似ている」
ゲータは言った。
「愛はエネルギーなのよ、ヨーコ」
私の体が固まった。
「あなたはナラが与えられる以上の愛を吸収してしまう」
彼女は続けた。
「だから二人ともあんなに痩せている」
彼女は少し冗談めかして言った。
「強い風が吹いたら、飛ばされてしまいそうね」
でもすぐ真剣な顔になった。
「それでも、あなたの家族は素晴らしい」
「誰一人、あなたを諦めなかった」
私は笑えなかった。
— 私が父を殺したの?
私は震える声で聞いた。
— 私が……愛を吸い取りすぎたから?
ゲータの笑みが消えた。
「あなたのお父さんは、必要なら何度でも命を差し出したでしょう」
彼女は言った。
「ユナイドを持つ家族は、すぐに限界を迎える」
彼女は続けた。
「時にはユナイド自身が、子どものうちに死んでしまう」
少し間を置いた。
「でもあなたの母親は特別だった」
「そしてあなたは……
周囲すべてを惹きつける力を持って生まれた」
— 私……ユナイドなの?
私は息をのんだ。
「そう呼んでいる」
ゲータは答えた。
「この状態で生まれた者を」
「とても珍しく、強く……
そして孤独な存在」
フレデリックが軽く咳払いをした。
「君は幸運だ」
彼は言った。
「君に十分なエネルギーを与えられる存在に出会えた」
— 私のエネルギー、遠くから感じるの?
私は聞いた。
「ええ」
ゲータは答えた。
「だから私たちは、ずっと遠くからあなたの家族を見守っていた」
彼女は私の顎を持ち上げた。
そして――キスした。
世界が消えた。
爆発。
生命。
飢え。
必要。
すべてが一つになった。
「今のは、私の愛の一割」
ゲータは言った。
「それ以上はあなたを殺してしまう」
彼女は続けた。
「でも一度味わえば、もっと欲しくなる」
「そしてあなたの家族では、もう支えきれない」
足元がまた揺れた。
— どうしてこんなことをしたの?!
私は叫んだ。
— どうして……!
「あなたの家族はもう限界に近い」
ゲータは言った。
「ナラはすでに体調を崩している」
「私は平気!」
ナラが叫んだ。
フレデリックが私にキスした。
彼の触れ方は熱すぎた。
支配的で、
危険で、
そして必要だった。
離れたとき、
私はほとんど立てなかった。
「君は消えていい存在じゃない」
彼は私の唇のすぐそばで言った。
ナラが震えながら私を抱き寄せた。
— こんなふうにどうやって生きればいいの?
私は懇願した。
— 家族を傷つけたくない!
「だから私たちはここに来た」
ゲータは言った。
「あなたは私たちのもの」
「私たちが必要なものを与える」
「そうすれば家族と一緒に生きられる」
— どれくらい……?
「それはまた後で話しましょう」
— ありがとう……
ゲータはナラを見た。
その目に、
再び捕食者の光が宿った。
「あなたには触れられない」
彼女は言った。
「ヨーコでさえ、私の力の一部しか耐えられなかった」
「あなたなら気絶するわ」
彼女は続けた。
「でもあなたの助けが必要」
「彼女のためなら何でもする!」
ナラはすぐ言った。
「接触を増やしなさい」
ゲータは言った。
「服を脱いで」
「裸で一緒に眠る」
「それでエネルギー交換が増える」
フレデリックが付け加えた。
「家族全員で」
「なに?!」
「ヨーコを生かしたいなら必要だ」
その瞬間、
授業のベルが鳴った。
すべてを断ち切るように。
私の頭の中は混乱していた。
私は彼らを信じていた。
そしてそれが怖かった。
午前の終わりに、
二人は去っていった。
私はもう一度キスが欲しかった。
生きたかった。
自分が何者なのか知りたかった。
そして――
明日は、
あまりにも遠く感じた。




