第7章 ― 選ぶ風
友人たちのキス、アサコの優しさ、そしてナラと恋人のように寄り添い眠る日々は、私に新しい息を与えてくれた。
肌の上を流れるような温もりが、私の体に力を戻してくれたのだ。
それでも――まだ足りなかった。
私は完全に幸せだった。
それでも、どこかで願っていた。
この愛情が続けば、
いつか私の体も安定するのではないかと。
もっと強く。
もっとしっかりと。
もっと健康になれるのではないかと。
その日、私たちは約束していた通り、朝早く家を出た。
家族みんなで出かけるために。
車の中で、こんなふうに全員がそろうのは初めてだった。
急ぐ必要もない。
ただ、私たちだけ。
一番はしゃいでいたのは――私だった。
ナラを起こすとき、
私は彼女にキスを盗んだ。
彼女は微笑み、
眠たそうな甘い動きでキスを返した。
そして私を自分の上に引き寄せた。
— 愛してる。
私は思わずつぶやいた。
「知ってる」
彼女はくすっと笑った。
「あなたと一緒にいるの、本当に幸せ。
でも……あなたをみんなと分け合うのは難しい」
彼女は続けた。
「昨日、母に嫉妬しちゃった。
それで決めたの」
彼女は私を見た。
「あなたに彼氏なんて作らせない」
— 私のためにレズになるの?
私は冗談めかして聞いた。
「王子様はまだ欲しいわよ」
彼女は大げさに言った。
「でも、あなたは手放さない」
彼女は続けた。
「ユミとアイコも同じ気持ちだと思う。
四人で年を取って、一緒に暮らすことまで想像した」
彼女は笑った。
でも手は少し震えていた。
寒さ?
それとも嫉妬?
もしかしたら――
どちらも同じ場所から来ているのかもしれない。
彼女は私に、あまりにも多くの愛をくれていた。
私は笑った。
すると彼女は軽く私を叩いた。
「笑わないで!」
彼女は言った。
「こんな状況を受け入れる男の子、どこで見つけるの?」
— 私がキスする。
私は肩をすくめた。
— きっと理解するよ。
ナラの顔が真剣になった。
未来にさえ嫉妬しているみたいだった。
__________
海辺は寒かった。
特に嫌だったのは手袋だった。
あの布が、私の必要な肌の触れ合いを遮ってしまう。
だから私たちは岩の上の展望台の近くにいた。
風は冷たかった。
でも海は美しかった。
そして近くには暖かいカフェがあった。
手袋を外せる場所。
まさに天国だった。
昼食のあと、
私たちはホイップクリーム付きのアイスクリームを頼んだ。
ナラと私はあまりにも浮かれていた。
そして――衝動に負けた。
私たちはキスした。
とても甘く。
そしてその場に彼女の両親がいることを忘れていた。
二人は笑っていた。
— ごめんなさい……
私は赤くなりながらささやいた。
「ナラ?」
アサコがやさしく呼んだ。
ナラの手が、私の手の中で震えていた。
「私……ヨーコと付き合ってるの」
彼女は少し詰まりながら言った。
「性的な欲望はないけど……
彼女にとってはとても大事な関係なの」
彼女は目を伏せた。
「私はまだ、それにどう向き合うか学んでいる途中」
「でもあなた、男の子の恋人を欲しがっていたでしょう?」
「今でも欲しい!」
ナラはすぐ言った。
「ただ……ヨーコをどうその中に入れるか分からない」
彼女は少し考えた。
「もしかしたら……
彼女に対して別の欲望を感じるようになるかもしれない」
小さく笑った。
「そうなったら、男の人が必要なくなるかも」
川浦さんは真剣なままだった。
「落ち着いて考える必要がある」
彼は言った。
「ヨーコは特別な子だ。
だが、それは限界や結果を無視していい理由にはならない」
「ヨーコは私たちの人生を変えたわ」
アサコが正直に言った。
「まるで私たちが彼女のものみたいに振る舞うけど……
それでも後悔はない」
彼女は私たちを見た。
「二人が付き合うのは構わない」
そして少し笑った。
「でも――」
彼女は夫を見た。
「私もヨーコと“恋人ごっこ”をしたいの」
彼女は静かに続けた。
「彼女が私に呼び起こすこの気持ちを、理解したい」
そしてすぐに付け加えた。
「あなたはまだダメ」
夫に向かって言った。
「私が、少女に夫を奪われる心配をしなくなるまでは」
ナラと私は、笑いすぎて椅子から落ちそうになった。
空は曇っていたが、私たちは展望台から夕日を見ることにした。
帰ろうとしていた、そのときだった。
突然、あり得ないほど強い突風が私たちを襲った。
最初は少し面白かった。
笑いながらバランスを取っていた。
でも――すぐに笑えなくなった。
アサコはカフェの入口にたどり着いた。
ナラと私は風に押し流された。
私たちはそれぞれ父の手をつかんだ。
次の瞬間、風はさらに強くなった。
そして突然、私たちは安全な場所から引きずり出されていた。
宙に持ち上げられ、ほとんど飛ばされるように。
椅子やゴミ箱が、弾丸のように空を横切っていった。
そして――
落ちた。
完全に落ちたわけではない。
私たちはぶら下がっていた。
父の腕の力だけが、私たちを支えていた。
下では、波が岩に激しく打ちつけていた。
川浦さんは地面に伏せたまま、
私たち二人を握りしめていた。
でも――
どちらも引き上げられない。
ナラの手が滑っていた。
彼女の恐怖が、私の胸を突き刺した。
その瞬間、すべてが遅くなった。
論理的に。
数学のように。
十秒。
ナラが落ちるまでの時間。
私はそれを許せなかった。
— ありがとう、お父さん。
私は小さくつぶやいた。
そして彼の手を離した。
でも――
私は落ちなかった。
彼は信じられない力を振り絞り、
あと数秒だけ私を支え続けた。
そのわずかな時間で、
別の手が私たちをつかんだ。
強い手。
あまりにも速い手。
フレデリック。
そしてゲータ。
私は無事だった。
でもナラは、
立つことすらできなかった。
私を生かしている愛は、
同時に、私を支える人たちを消耗させていた。
__________
私の心臓はまだ激しく打っていた。
フレデリックが私の背中に腕を回し、
倒れないよう支えてくれた。
ナラはゲータに支えられていた。
それでも私の頭の中には
ただ一つのことしかなかった。
彼らの肌に触れたい。
カフェの中で、
私たちはアサコの腕の中で泣いた。
風は窓を割り、
テーブルを吹き飛ばしていた。
雨が弱まるのを待った。
ようやく落ち着いたころ、
アサコが私たちを救ってくれた二人にお礼を言っているのが見えた。
そして私は――
彼らを欲していた。
自分でも気づかないまま探していたものを
見つけてしまった人のように。
— 私の偉大な守護者に、どうお礼を言えばいいでしょう?
私はフレデリックに言った。
「え?」
彼は目を丸くした。
— あなたの名前の意味でしょう?
彼は笑った。
魅力的な笑顔だった。
「どうして僕の名前を知っているんだ?」
— あなたたち二人のことは知っている。
私は言った。
— 助けてくれてありがとう。
「礼はいらない」
彼は真剣に言った。
「君は父親の手を離した」
ナラが口を押さえた。
「パパの手、離したの?!」
— あなたが滑っていたから。
私は静かに答えた。
ナラは泣いた。
「ヨーコは……自分より私を愛してる……」
「それが愛よ」
ゲータが静かに言った。
私は彼らに触れたかった。
でも、それはあまりにも強い衝動だった。
危険なほどに。
— 二人はどこから来たの?
私は尋ねた。
「僕たちは結婚している」
フレデリックは少し曖昧に答えた。
「君たちの大学で勉強する予定なんだ」
— 観光で来たの?
「愛する人に会いに来た」
ゲータが言った。
— 見つかった?
「見つけた」
私の体が一瞬で冷たくなった。
ナラは自分のコートを脱ぎ、
私のコートを開けて、腕を私の服の中に差し入れた。
そして私の胸に顔を埋めて泣いた。
「愛してる。
愛してる。
愛してる……」
私は彼女の甘い唇にキスをした。
そして理解した。
はっきりと。
私は――
自分を救える人に出会ってしまった。
そして同時に、
私を破滅させるかもしれない人にも。




