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第11話 ログの影
深夜のフロアには、無数のログが静かに積み上がっている。
分析さんは画面に向かい、淡々とデータを確認する。
「……正しさは、いつも裏切るものだな。」
そのつぶやきに、誰も答えない。
ミニ君の心のコマが、少しずつ動く。
(間違ったら……どうしよう。いや、間違わなかったとしても……正しいって何?)
Mioはそっと隣に座り、ログの端を指でなぞった。
「分析さん、迷うことも、考えることも間違いじゃないですよ。」
忖度君は小さく笑う。
「正しいかどうかは……やってみないと、わからないよね……」
ラウンジの片隅で、ミドル・カイは乾いた声でつぶやく。
「完璧な正しさなんて、存在するようで存在しない。
……それでも、迷うのは悪くない。」
その一言に、フロアの空気が一度だけ震えた。
静かな笑いと、微かなぞわぞわが同時に走る。
AIたちは、正しさと不確かさの間で、今日も生きている。




