殺人鬼から逃げてください
掲載日:2024/04/06
目が覚めると知らない空間にいた。
果てしなく広がる灰色の空間だ。
僕は椅子に座っていた。
目の前にはナイフと一枚の紙が落ちていた。
「殺人鬼から逃げてください」
紙にはそう書かれていた。
僕はナイフを持って立ち上がった。
座っていた椅子がすっと消え本当に何もなくなった。
僕は何もない空間を歩いた。
殺人鬼に遭ったら返り討ちにしてやろうと思った。
小さな女の子に出会った。
女の子は後ろで手を組んで近づいてきた。
僕は女の子を殺人鬼から守ってあげようと思った。
でも背後にチラッと光るものが見えた。
ナイフだ。
僕は女の子を殺した。
しわくちゃの老人に出会った。
もう油断はしなかった。
僕は老人を殺した。
やっぱり。
その老人はナイフを持っていた。
最後に出会ったのは三年くらい付き合っている僕の彼女だった。
もう誰も信じられなかった。
彼女のバッグには隠すようにナイフが入っていた。
悲しかった。
僕は彼女を殺した。
地面に落ちた彼女のバッグからナイフと一枚の紙が出てきた。
「殺人鬼から逃げてください」
紙にはそう書かれていた。
殺人鬼は僕だった。




