殺人鬼から逃げてください
目が覚めると知らない空間にいた。
果てしなく広がる灰色の空間だ。
僕は椅子に座っていた。
目の前にはナイフと一枚の紙が落ちていた。
「殺人鬼から逃げてください」
紙にはそう書かれていた。
僕はナイフを持って立ち上がった。
座っていた椅子がすっと消え本当に何もなくなった。
僕は何もない空間を歩いた。
殺人鬼に遭ったら返り討ちにしてやろうと思った。
小さな女の子に出会った。
女の子は後ろで手を組んで近づいてきた。
僕は女の子を殺人鬼から守ってあげようと思った。
でも背後にチラッと光るものが見えた。
ナイフだ。
僕は女の子を殺した。
しわくちゃの老人に出会った。
もう油断はしなかった。
僕は老人を殺した。
やっぱり。
その老人はナイフを持っていた。
最後に出会ったのは三年くらい付き合っている僕の彼女だった。
もう誰も信じられなかった。
彼女のバッグには隠すようにナイフが入っていた。
悲しかった。
僕は彼女を殺した。
地面に落ちた彼女のバッグからナイフと一枚の紙が出てきた。
「殺人鬼から逃げてください」
紙にはそう書かれていた。
殺人鬼は僕だった。




