第57話(後編) No.5 クリスターク・ピンク(後編)
(※57話の後半部分です)
ポント・ヌルフ橋の上で戦い続けるホワイトやサンナたち、そこへ伝令隊が駆けつけ…
ベレスピアーヌ兵⑤(伝令隊)「アドレンデ騎士団長!ご報告がございます!」
アドレンデ「一体どうした?何かあったのか?」
ベレスピアーヌ兵⑤(伝令隊)「ハッ!シャンデンヌ島(※1)に巨大な怪魚型魔獣が出現しました!」
「このままでは、島内にあるノートルディア大聖堂(※1)やベレス・シェペール教会(※1)にまで被害が及んでしまいます!」
「騎士団長、何卒ご対応を!」
アドレンデ「巨大な怪魚!?もしやアンシーさんたちが追っている…」
ホワイト(アンシー)「兵士さん、その怪魚、大きさ以外に何か特徴はございましたか!」
ベレスピアーヌ兵⑤(伝令隊)「ハッ!額に「24」という数字が書かれておりました!」
「実に奇妙な姿でございました!」
イエロー「それならあの2と4の怪魚だよ!やっぱりこのセイヌ・パリス市にいたのね!」
ホワイト「イエロー!すぐに島へ行こう!」
「私とあなたで決着をつけるのよ!」
イエロー「そうだね!そいつをやつけるために、ここまで来たんだもんね!」
ベレスピアーヌ兵⑤(心の中で)「(奇妙なマスクとスーツの戦士たち…だが今は…)」
ベレスピアーヌ兵⑤(伝令隊)「シャンデンヌ島はこの橋を渡った先にあります!」
「どうか皆様のお力を!」
怪魚型魔獣たち「ギガガッ!」
ベレスピアーヌ兵③(フランクナイト)「川からまた大量の魔獣たちが!」
ホワイト(アンシー)「子魚を出して私たちの邪魔をする気ね!」
イエロー(シェルージェ)「そんなの無駄だって言ってるじゃん!」
サンナ「アンシーさん、シェルージェ様、ここは私たちで食い止めます!」
「お二人は一刻も早くシャンデンヌ島へ向かってください!」
ホワイト「サンナさん!?」
サンナ「お二人は怪魚の親玉を倒すための希望なのです!」
「ここは私や騎士団の人たちに任せてください!お願いします!」
イエロー(シェルージェ)「サンナちゃん!それじゃあ、シェルージェたち行っちゃうよ!」
サンナ「私は、アンシーさんとシェルージェ様を信じております!絶対に倒せると!」
イエロー「ありがとう、サンナちゃん!」
「シェルージェたち、負けないんだから!」
フレイ(心の中で)「(サンナ、そんなにはっきりと物を言えるなんて…)」
イエロー「よーし!」
「ここはサンナちゃんたちに任せて…」
ホワイト「ちょっと待って、イエロー!」
「私が持ってるグラン・ジェムストーンの一つが光っているわ!」
イエロー「えっ!?誰か変身できる人が近くにいるの!?」
ホワイトは袋から強く光っているジェムストーンを取り出して、
ホワイト「ジェムストーンの波動…サンナさんからだわ!」
イエロー「それじゃあ、サンナちゃんが新しいクリスタークの戦士になれるの!?」
サンナ「クリスタークの戦士!?それはお二人と同じ…」
ホワイトはサンナに、
ホワイト「サンナさん、あなたも私たちと同じ力を手に入れることができるのよ!」
「どお、受け入れてくれる!?」
サンナ「わ、私が特別な戦士になれるのですか…」
サンナは少し黙ったが、口調を変えて話し出した。
(口調を変えたのは、客人ではなく、共に戦う仲間としてアンシーとシェルージェを意識したため)
サンナ「分かったわ…私も特別な力を受け入れる…」
「二人と同じ戦士になるわ」
フレイ「サンナ!?あなた、あの光る石のこととか、よく知ってるの!?」
「アンシーさんたちの魔力の源が何だか分かるっていうの!?」
サンナ「私も詳しくは聞いてないけど、少なくとも私はアンシーさんとシェルージェ様のことを信じている」
「だからお二人が宿した力も信じたい!」
ホワイト「サンナさん…」
怪魚型魔獣たち「ギガッ!ギーギッ!」
イエロー(戦いながら)「サンナちゃん!クリスタークの戦士になるんだったら、急いで色と宝石を決めちゃって!」
「魔獣たちは待ってくれないよぉ!」
サンナ「分かったわ!」
「戦士のモチーフを自分で決められるのなら、私はピンク色とルビーを選ぶわ!」
「人々を愛する心、愛情溢れる戦士に私はなりたい!」
ホワイト「ピンクとルビーね」
「大丈夫、その色と宝石は私たち女性組が使っていいってことで、クレードたちと話をしているから」
ホワイトは光るジェムストーンをサンナさんに渡し、
ホワイト「サンナさん、石を持ちながら、「カラーチェンジ&クリスタルオン」と言って」
「そして強くイメージして、クリスタークの戦士となった姿を」
サンナ「分かったわ、アンシーさん」
「やってみるわね」
サンナ「カラーチェンジ&クリスタルオン!」
(心の中で)「(愛情を持った、ピンク色とルビーの戦士…)」
「(アンシーさん、シェルージェさん、そして神様を信じて変身してみせる…)」
「(ハレルヤ……)」
グラン・ジェムストーンを手にしたサンナの体は強く光り輝き、そしてピンク色のマスクとスーツ(下はスカート)姿の戦士へと変わった。
フレイ(驚いて)「サ、サンナ…その姿は…」
変身したサンナ「へ、変身できたのね…」
イエロー「やったじゃん!サンナちゃん!」
ホワイト「サンナさんが変身した戦士の名は「クリスターク・ピンク」、魔法の宝石となったグラン・ジェムストーン(原石)は「グラン・ルビー」と名付けさせてもらうわ」
サンナ改め、クリスターク・ピンク「クリスターク・ピンク…グラン・ルビー…」
イエロー「サンナちゃん!変身できたんだし、シェルージェたちと一緒に来てよ!」
「クリスタークの戦士が三人いれば2と4の怪魚なんて目じゃないよ!」
ホワイト「私もイエローと同じ気持ちよ」
「力を貸してくれる、ピンク?」
ピンク「もちろんよ」
「三人で力を合わせてほしい、そう思って神様は私に力をお与えになったのですから…」
イエロー(心の中で)「(うーん、本当に神様が力を与えたから、ジェムストーンが光ったのかはイエローには分からないけど…)」
フレイ「サンナ…あなたもシャンデンヌ島に行くのね?」
ピンク(サンナ)「それが神様のお導きでもあるのなら私は従うわ、フレイ」
フレイ「だったらこの場はあたしたち騎士団に任せて!」
「お化け魚なんかに負けるほど、あたしたちはヤワじゃないわ!」
ピンク「フレイ、ありがとう」
アドレンデ「サンナさん、新たな力を手にするとは…」
怪魚型魔獣たち「ギギッド!」
ベレスピアーヌ兵①(戦いながら)「騎士団長!」
「団長も橋を渡り、島へとお向かいください!」
ベレスピアーヌ兵②(戦いながら)「橋にいる魔獣たちは私たちで食い止めます!」
アドレンデ「分かりました。この場は皆さんにお任せいたします」
「騎士団長として、アンシーさんやサンナさんたちの戦いを見届けさせていただきますので」
ラープ帝国兵②(戦いながら)「ミレイヤ様!」
「この場は我々が引き受けます!ミレイヤ様も島へお急ぎください!」
ラープ帝国兵③(戦いながら)「大聖堂や教会には子供や女性も多く避難しているはずです!」
「かけがえのない命をお守りするために、どうかお力を!」
ミレイヤ「ありがとうございます。皆様のお心遣い、無駄にはいたしません」
ブロイス「ミ、ミレイヤ…」
ミレイヤ「共に参りましょう、お兄様」
「守らなければならない命があるのです」
ブロイス「わ、分かった…」
「お前が望むのなら、私はなんでも…」
一方で、
ブロイス(心の中で)「(ほ、本当に良いのか…)」
「(あのような訳の分からぬ姿に変身した者たちと行動して…)」
ミレイヤ・ブロイス・アドレンデたちはホワイトたちに近づき、
ミレイヤ「強い光を放った石、そしてサンナさんのご意志を確認させていただきました…」
ピンク(サンナ)「ミレイヤ様…」
ミレイヤ「そのお姿はともかく、今のサンナさんからは力強い魔力を感じます」
「きっとサンナさんのご意志や想いが現れているのでしょう」
ピンク「ミレイヤ様、お褒めいただきありがとうございます」
アドレンデ「皆さん、それではシャンデンヌ島へ向かいましょう」
イエロー「ピンクだけじゃなくて、ミレイヤさんとアドレンデ騎士団長もいてくれるんなら心強いよ!」
ピンク「フレイ!無理はいけないわ!気を付けてね!」
フレイ「サンナ、あなたもね!」
ホワイト(アンシー)やピンク(サンナ)たちは橋を進み島へ向かった。
怪魚型魔獣たち「ギギッ!」
フレイ「サンナたちの邪魔はさせない!」
「あたしたちが相手になるわ!」
怪魚型魔獣たち「ギギルーッ!」
フレイ「相手が魔獣だとしても柔道家として礼を忘れないわ!」
フレイはその場で立礼した。
怪魚型魔獣「ギダ!ギダ!」
向かってくる魔獣に対し、フレイは体を掴み…
フレイ「花の都流!コンコルド一本背負投!」
一本背負投を決め、フレイは魔獣を倒した。
怪魚型魔獣(断末魔)「ギデ…」
フレイ(心の中で)「(サンナ、いえ、お姉ちゃん…)」
「(お姉ちゃんたちの勝利、信じてるわ…)」
妹フレイの想いに応えるため姉のサンナ(クリスターク・ピンク)は、仲間たちと共に大聖堂と教会の島、シャンデンヌ島へと向かう。
次回へ続く。
※1…市・川の由来はフランスの世界遺産「パリのセーヌ河岸」(文化遺産 1991年登録)、橋・塔・島・美術館・大聖堂・教会の名前の由来は同河岸の「ポン・ヌフ」・「エッフェル塔」・「ルーヴル美術館」・「シテ島」・「(パリの)ノートルダム大聖堂」・「サント・シャペル」より
※2…宮殿の名前の由来は、フランスの世界遺産「ヴェルサイユの宮殿と庭園」(文化遺産 1979年登録)より
※3…元ネタはスペイン語で、黄色を意味する「amarillo」より




