第57話(前編) No.5 クリスターク・ピンク(前編)
57話目です。
5人目の戦士に関する話です。
「No.○○」の回は作者の僕にとっては特別な回です。
連載2年で5人目まできましたが、No.としては、まだ全体の3分の1だったりします。
(※今回の話は前編と後編に分かれています)
(※今回の登場人物たちについては、「○第54-62話の主な登場人物の紹介」の回をご参照ください)
ケルビニアン暦2050K年8月13日。
(魔法武装組織メタルクロノスの宣戦布告まで、あと19日)
セイヌ・パリス市内(※1)に現れた怪魚型魔獣たちを倒すため、セイヌ川(※1)のポント・ヌルフ橋(※1)にまでやって来た、アンシー・シェルージェ・サンナたち。
サンナは橋の上で双子の妹であるフレイと出会い…
サンナ「フレイ!無事で良かったわ!」
フレイ「サンナ、お父さんたちから昨日聞いたわ」
「公爵家のお孫様たちとヴェルセイユ宮殿(※2)に向かったて…」
サンナ「短い時間だったけど、ソフィアーヌ首相ともお話しできたわ」
「そして首相から、このロッドと盾を頂いたのよ」
フレイ「何よ、桃魔の水晶玉だけじゃなくて、そんな凄そうな物まで手にしちゃったわけ」
「鬼に金棒じゃない……」
怪魚型魔獣たち「ギッギッギッ!」
ベレスピアーヌ兵①(フランクナイト)「怪魚型め!負けはせんぞ!」
フレイ「あ、あたしもまだいけます…」
サンナ「フレイ!疲れているなら無理しないで!」
「私が回復魔法をかけてあげるから!」
フレイ「心配しないでよ、サンナ…あたしは騎士団の正団員よ…」
「簡単に音を上げないわ…」
シェルージェ「もお!可憐なサンナちゃんと違って妹ちゃんは頭固いよ!」
「お姉さんにコンプレックスでもあるわけ!」
フレイ「!?」
アンシー(心の中で)「(どうやら図星のようね…)」
「(妹さんはサンナさんに比べ魔力が弱いけど、そういうのも関係してそうね…)」
怪魚型魔獣たち「ギン!ババッ!」
ベレスピアーヌ兵②(女性・フランクナイト)「フレイさん、シスターのお姉さんの言う通りよ!」
「今無理をしないで!」
フレイ「…」
「分かりました…私は一旦後退します…」
サンナ「さあ、フレイ!こっち来て!」
怪魚型魔獣たち「ギッ!ギー!」
シェルージェ「妹ちゃんの代わりにシェルージェたちが相手になるよ!」
アンシー「シェルージェ!ここは変身しましょう!」
シェルージェ「えっ、生身でも勝てそうだよぉ」
アンシー「24の怪魚がこの近くいると思うの!」
「だったら変身して私たちの魔力を強化すれば、それに釣られて現れるかもしれないわ!」
フレイ「へ、変身って?」
サンナ(妹フレイに回復魔法をかけながら)「宿で聞いた宝石の戦士に変身する能力のことですね」
サンナ「アンシーさん、シェルージェ様、お力があるのならここはお願いします」
「魔獣は魔力の反応に敏感なところがあります。その魔力で怪魚たちの親玉を呼び寄せることができるのなら、どうか…」
アンシー「サンナさんもああ言ってるんだし、いこう、シェルージェ!」
シェルージェ「よーし!」
アンシーはグラン・ホワイトパールを、シェルージェはグラン・シトリンを手に持ち、
アンシー&シェルージェ「カラーチェンジ&クリスタルオン!」
二人の体が強く光り変身した。
ホワイト(アンシー)「祝福のパール!クリスターク・ホワイト!」
イエロー(シェルージェ)「幸運のシトリン!クリスターク・イエロー!」
ホワイト&イエロー(ポーズを決めながら)「宝石の輝士団!クリスタルナンバーズ!」
マスクとスーツ姿の二人に周りも驚き、
ベレスピアーヌ兵③(フランクナイト)「なんだ、あの二人は!?」
「あんな姿の戦士、見たことがないぞ!」
フレイ「ほ、本当になんなの…何をイメージしてあんな姿に…」
サンナ「確かに変わった姿よね。でもすごい魔力を感じるわ…」
「全てを飲み込んでしまうくらい恐ろしいほどの…」
ホワイト「いくよ、イエロー!」
イエロー「任せてよ、ホワイト!」
怪魚型魔獣たち「ギギルップ!」
ホワイト「鞭で相手するわよ、怪魚たち!」
「真珠貝の鞭!さざ波打ち!」
ホワイトは左右に鞭を大きく振り、複数の魔獣たちをなぎ倒した。
怪魚型魔獣たち(断末魔)「ギ…ビデ…」
怪魚型魔獣たち「ギンガガッ!」
イエロー「イエローちゃんはナイフで勝負しちゃうよ!」
「イエロークォーツナイフ!アマリージョ(※3)スラッシュ!」
怪魚型魔獣たち「ギギッ!?」
黄色い魔力のオーラを纏ったナイフを使い、イエローは素早い動きで魔獣に近寄り切り裂いた。
怪魚型魔獣たちを倒したイエローだが、スーツの変化を感じていた。
イエロー「ホワイト!イエローのブーツからレモン号の気持ちを感じるよ!」
「きっとレモン号が力を貸してくれてるんだよ!」
ホワイト「それって、つまり!?」
イエロー(シェルージェ)「レモン号のブーツ融合、このシトリン・アビリティが今発動しているんだよ!」
「前に発動させたときと同じくらい速く動けそうだもん!」
ホワイト「それは良かったわ!私、レモン号と別れて、もうアビリティが発動しないんじゃないかって、少し心配していたから」
イエロー「離れていてもシェルージェとレモン号はいつも一緒ってことなんだよぉ!」
「どこにいてもシェルージェに力を貸してくれてるんだ!」
イエロー「よーし、レモン号との合体パワーで、イエロー、頑張っちゃうよぉ!」
変身と同時にシトリン・アビリティが発動したイエローは高速で動き、ナイフで次々と魔獣たちを切り裂いた。
その頃サフクラントの王宮では、
光るレモン号「プエーッ!」
世話係のメイド①「レモン号の体が黄色く光っているわ!」
世話係のメイド②「レモン号から魔力が溢れてる!」
「きっと離れた所にいるシェルージェ様に力を貸しているのね!」
場面はベレスピアーヌ共和国ポント・ヌルフ橋に戻って…
サンナ「アンシーさん、シェルージェ様、お二人ともすごいわ…」
フレイ「本当ね、姿は変わっているけど、びっくりするくらい強いわ…」
怪魚型魔獣たち「ギビン!ギビン!」
フレイ「魔獣たちがこっち来たわ!」
サンナ「下がってフレイ!ここは私が!」
フレイ「サ、サンナ!?」
サンナは祖母レムネイトから貰った「桃魔の水晶玉」を掲げ、
サンナ「使うのは初めてだけど、うまくやってみせるわ!」
怪魚型魔獣たち「ギビビッ!」
サンナ「水晶玉よ!魔を滅せ!」
サンナが水晶玉に魔力を込めると、水晶玉はピンク色の強い光を放ち、光を浴びた魔獣たちはたちまち浄化された。
怪魚型魔獣たち(断末魔)「ギファ…」
サンナ「魔獣たちの死骸まで焼き尽くすなんて…」
「これがお祖母ちゃんの水晶玉の力なのね…」
フレイ「水晶玉の力もあるかもしれないけど、それだけの魔力を込められるサンナも十分すごいわ…」
イエロー「すごいじゃん、サンナちゃん!」
ホワイト「お祖母さんから貰っておいて正解だったわね」
魔獣たちを一掃した、ホワイト(アンシー)・イエロー(シェルージェ)・サンナたちのもとに、ミレイヤ・ブロイス・ラープ帝国の部隊・アドレンデ騎士団長(ベレスピアーヌの騎士団団長)と部下の兵士たちがやって来た。
ミレイヤはアンシーやシェルージェたちのマスクとスーツ姿に驚き、
ミレイヤ「白と黄色のスーツの戦士…」
「アンシーさん、シェルージェさん、あなたたちなのですね?」
ホワイト(アンシー)「ミレイヤ様!?こちらにいらっしゃったのですか!?」
ミレイヤ「はい。ベレスピアーヌと我がラープの部隊で、エンフェルズ塔(※1)やルーヴェス美術館(※1)の前に現れた怪魚型を駆除し、こちらへ参りました」
イエロー(シェルージェ)「ミレイヤさん、このマスクとスーツ、すごいんだよ!」
「魔力が洪水のように溢れてくるんだもん!」
ミレイヤ「アドレンデ騎士団長より、道中お聞きしました」
「アンシーさんとシェルージェさんは変わったマスクとスーツ姿の戦士に変身できると…」
アドレンデ騎士団長「まあ私も変身したお二人を見るのは初めてなんですがね」
ベレスピアーヌ兵④(フランクナイト)「しかしお姿はともかく、確かに凄まじい魔力を感じますよ」
「あれだけの魔力を戦う力に変えれば、かなりお強いはずです」
一方、
ブロイス「な、何だ、あの奇妙な姿は…私の目には不気味に見える…」
ラープ帝国兵①(騎士)「ブロイス様?」
川からまた大量の怪魚型が現れた。
怪魚型魔獣たち「ギギギ!」
ホワイト(アンシー)「お化け魚!何度現れても無駄よ!」
イエロー(シェルージェ)「イエローたちに敵うわけないもん!」
「そっちが勝ちたいのなら、2と4の怪魚を連れてきなよ!」
ミレイヤ「街を荒らし、子供や女性たちに恐怖を与える魔獣など、まったく許すつもりはありません…」
「アンシーさん、シェルージェさん、子供や女性を守るため私も加勢いたしましょう…」
一方、川の深い所では…
ルビジウムの魚(24の怪魚)「強大ナ魔力ヲ感ジル…何者カガ放ッテイルヨウダ…」
ルビジウムの魚「イイダロウ、強キ者タチガイルトイウノナラ直接相手ヲシテヤル…」
謎の怪物「ギシャアア…」
ルビジウムの魚「オ前モ来ルガイイ」
「我ラニ歯向ウノナラ全テ始末スル」
謎の怪物「ギケケ!」
ルビジウムの魚「マズハ俺ガ相手スル」
「オ前ハ奴ラガ弱ッタトコロヲ狙エ、イイナ?」
謎の怪物「了解シタ。アンタノ作戦ヲ信ジテヤルゼ。ギョギョ」
ルビジウムの魚と謎の怪物は水面に向かって泳ぎ始めた。そして…
(※後編へ続きます)




