第55話 首相から一般市民へ、ソフィアーヌ首相からサンナへの贈り物
55話目です。
2023年10月29日に第1話「No.1 クリスターク・ブルー」の回を投稿してから、2年が経ちました。
連載2周年を迎えた本作を今後ともよろしくお願いいたします。
まあ10年は連載していきたいと思っています。
(※今回の登場人物たちについては、前々回「○第54話-62話の主な登場人物の紹介」の回をご参照ください)
アンシー・シェルージェ・サンナ・ミレイヤ・ブロイス皇子・ソフィアーヌ首相たちの会談中、「セイヌ川(※1)沿いに大量の怪魚型魔獣たちが現れた」と兵士たちより報告が入り…
アンシー「大量の怪魚型、例の「24の怪魚」がこの国に現れたとしか思えないわ」
ウェンディ「押忍!だとしたら探す手間が省けたッス!」
ミレイヤ「24の怪魚?」
「一体何のことなのですか?」
シェルージェ「ミレイヤさん、シェルージェたち、そのお化け魚の手掛かりを掴もうとしてこの国に来たんだよぉ」
ミレイヤ「なんですって?」
シェルージェ「とにかく変わった魔獣なの」
「早く見つけて倒さなくちゃ」
ススキ「私たちも騎士団に協力しましょう」
ホヅミ「それじゃあ、早速ぅ出陣ですぅ」
サンナ「み、皆さん、私もご一緒させてください!」
リンカ「サンナさん?」
サンナ「24の怪魚のことはまだよく分からないけど、セイヌ・パリス市(※1)を荒らそうとしているのなら、私だって黙ってられないわ…」
「この町は私の故郷なんだもの、ご先祖様の代から守ってきた大切な教会もあるのだから…」
ソフィアーヌ首相「アドレンデ騎士団長」
アドレンデ「ハッ!」
ソフィアーヌ「私はサンナさんとお話ししたいことがあります」
「先にミレイヤ様やラープの皆様をお連れしてください」
アドレンデ「かしこまりました」
ミレイヤ「アドレンデ騎士団長、私も賢者として戦場へ参りますわ」
「子供や若い女性たちの命を守れるのでしたら、私はいかなる魔獣とも戦いましょう」
ダニエラ「ダニエラ、ミレイヤ様のため、戦う」
クリスフォーン「私たち親衛隊もミレイヤ様と共に参ります」
「どうかよろしくお願いします」
アドレンデ「ミレイヤ様たちのご意思、確認させていただきました」
「ベレスピアーヌとラープ、共に力を合わせてまいりましょう」
ブロイス「ミ、ミレイヤ、わ、私も行こう…」
ミレイヤ「お兄様、ご無理はなさらないでください」
ブロイス「大丈夫だ…私たち兄妹はいつでも一緒だ…」
ラープ帝国親衛隊①「ご安心ください、ミレイヤ様」
「ブロイス皇子には我々親衛隊がついております」
ラープ帝国親衛隊②「我々がいる限りブロイス様には指一本触れさせません」
ミレイヤ「分かりました」
「親衛隊の皆様、お兄様をよろしくお願いいたします」
ラープ帝国親衛隊①「ハッ!」
ミレイヤやブロイス、ラープの騎士たちはアドレンデ騎士団長と共に一足先に部屋を出た。
部屋の中にいるソフィアーヌ首相は兵士たちと話し、その後兵士たちはある物を取りに行くため部屋を出た。
サンナ「ソフィアーヌ首相?」
ソフィアーヌ「サンナさん、もう少しだけお待ちください」
「あなたにお渡したい物がございます」
サンナ「私にですか?」
ある物を取りに行った兵士たちが部屋に戻ってきた。
ベレスピアーヌ兵①(フランクナイト)「お待たせしました、こちらでございます」
ベレスピアーヌ兵②(フランクナイト)「サンナ様、どうぞお受け取りください」
そう言って兵士たちは、サンナにピンク色の大きな宝石が付いたロッドと、バラの花の形をした盾を渡した。
サンナ「こ、このロッドと盾は!?」
ソフィアーヌ「ロッドは「ローズクォーツロッド」、盾は「ローズトルマリンの盾」でございます」
サンナ「ど、どちらも魔力がすごいですね…」
ソフィアーヌ「サンナさん、そのロッドと盾を差し上げます」
「どうかお役に立ててください」
サンナ「そ、そんな!?私なんかがこんなすごい物を!」
ソフィアーヌ「市内に現れた魔獣たちは早急に駆除する必要があります」
「そのロッドや盾が魔獣たちとの戦いに活かせるのでしたなら、ぜひお使いください」
サンナ「で、ですが、私にはもったいないと言いますか…」
ソフィアーヌ「サンナさん、世の中には政治家や著名人たちが多くいますが、その中で万人が納得できる政策や意見をお口にできるお方など、そうそういるものではありません」
「もちろんそれはこの国の首相である私にも言えることなのです」
サンナ「そんな、私はソフィアーヌ首相の人柄や政治を悪く思っているわけでは…」
ソフィアーヌ「サンナさんが私のことをそのように思っていただいても、私の支持率は5割程度」
「全ての国民が私を支持しているわけではないのです」
サンナ「そ、それは…」
ソフィアーヌ「私の人柄や政治などが万人に受け入れられていない証拠です」
「ならばここであなたにロッドと盾をお渡しし、そして使っていただけるのなら、私は本望ですよ」
「たとえお一人でも市民の方のお役に立てるのなら、それは政治家として十分に意味のある行動だといえるでしょう」
サンナ「ソ、ソフィアーヌ首相…」
「…」
「分かりました、首相」
「こちらのロッドと盾、存分に使わせていただきます…」
ソフィアーヌ「それでよろしいのです」
「神様にお仕えするシスターとして皆様を導いてあげてください」
サンナ(力強い口調で)「はい!」
シェルージェ「よーし!強力なアイテムも貰ったし一緒に行こう、サンナちゃん!」
サンナ「はい!」
「アンシーさん、シェルージェ様、そして他の皆様」
「私は回復魔法が使えます、どうかよろしくお願いします」
アンシー「私たち8人に回復役はいないからね、頼りにしているよ、サンナ」
サンナ「ありがとうございます、アンシーさん!」
ビオランテ「そうと決まったら私たちも町へと向かいましょう」
カルパーラ「ソフィアーヌ様、それでは行ってまいりますので」
ソフィアーヌ「かしこまりました。皆様のご活躍を期待しております」
ミレイヤたちに続いて、アンシー・シェルージェ・サンナたちも部屋を出た。
ベレスピアーヌ兵①(フランクナイト)「ソフィアーヌ首相、我々はいかがいたしましょうか?」
ソフィアーヌ「このヴェルセイユ宮殿(※2)を今から避難場所として市民の方々に解放いたします」
「どうか大勢の方々をここへ受け入れてください」
ベレスピアーヌ兵②(フランクナイト)「ハッ!」
ソフィアーヌ(心の中で)「(アンシーさん、シェルージェ様、サンナさん、他の皆さん、あとのことは頼みましたよ)」
宮殿の門を出たアンシーやサンナたちだが、他の兵士たちから、セイヌ川から少し離れた場所にも怪魚型魔獣が現れたことを聞き、ウェンディ・ホヅミ・ススキ・リンカの4人はそれぞれ市内の別の場所へ向かうことになった。
ビオランテとカルパーラは、主であるシェルージェと共に行動したいと言ったが、シェルージェからの意見で、二人もまた別の場所へ向かうことに。
ここはサンナの実家であるサンディソレイユ教会。
広い教会ではないが、多くの市民が教会内に避難していた。
ロメンド(神父)「皆様、どうか神様にお祈りください」
「皆様のお命をきっと守ってくださることでしょう」
市民(男性)「神父さん、ここに避難させてくれたことには感謝するが、俺は神様を信じるような人間じゃないぜ」
「祈っているだけでなんでも解決できるんなら、世の中苦労しねぇよ…」
ロメンド「それでは神様だけではなく、神様の手足となり戦ってくださる騎士団や戦士様たちのご活躍をお祈りしましょう」
レムネイト「クッキーを焼いたよ、お食べ」
男の子「わあ、美味しそう」
「ありがとう、お婆ちゃん」
母親「どうもすいません、うちの子供にまで…」
レムネイト「今の私ができることなんて、これくらいしかないからね」
「お子さんが少しでも安心してくれるのなら、それで十分ですよ」
プルム(心配そうに)「…」
ロメンド「しっかりください、プルムさん」
「私たちは市民の皆様をお守りしなければならない立場なのですよ」
プルム「すいません、ロメンドさん」
「こんなときに私たちまで心配そうな顔をしていたら良くありませんよね…」
ロメンド「やはりサンナさんとフレイさんのことがご心配ですか?」
プルム「そうですね、かけがえのない娘たちですから…」
ロメンド「ひとまずサンナさんには「桃魔の水晶玉」を持たせておいて正解でしたね」
プルム「ですがやはりそれだけでは、安心できなくて…」
ロメンド「大丈夫ですよ、私は何があっても、どんなときでも二人を信じていますから」
プルム「ロメンドさん…」
ロメンド「きっと神様が二人に何らかのお力をお与えくださるはずです」
ロメンド「信じましょう、プルムさん。我らが神様のことも、サンナさんのことも、フレイさんのことも」
プルム「分かりました…娘たちのためにも、神様のためにも、まずは私たち聖職者がしっかりいたしましょう…」
第24刻徒ルビジウムの魚率いる魔獣軍団 VS アンシー・シェルージェ・サンナ・ミレイヤ・仲間たち。
ベレスピアーヌ共和国の首都セイヌ・パリス市を舞台に乙女たちの戦いが今始まる…
次回へ続く。
※1…市・川の由来はフランスの世界遺産「パリのセーヌ河岸」(文化遺産 1991年登録)より
※2…宮殿の名前の由来は、フランスの世界遺産「ヴェルサイユの宮殿と庭園」(文化遺産 1979年登録)より




