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第53話 桃魔の水晶玉

53話目です。

作品タイトルを少し変更してから、初めての投稿です。

「レッド(のヒーロー)も出るけど主役はブルー(のヒーロー)」というこの作品の特徴をタイトルに入れてみました。

レッド(赤)のヒーローではなく、ブルー(青)を主役にしたのは、単純に作者の僕が「色は赤よりも青が好き」だからです。


(※今回の登場人物たちについては、前々回「○52話・53話の主な登場人物の紹介」の回をご参照ください)

次の日8月12日。

(魔法武装組織メタルクロノスの宣戦布告まで、あと20日)


アンシーやシェルージェたちは宮殿の近くにあるサンナの実家「サンディソレイユ教会」に来ていた。

実家の教会でサンナの家族、父ロメンドや母方の祖母レムネイトたちと出会い…


ロメンド「申し訳ありませんねぇ、皆さん。居間も広くないものでして」

サンナ「見ての通り、うちは小さな教会なんです」

 「ですからあんまりたくさん人が入れないもので…」

アンシー「でも、中心街に建ってるんだし、場所だけなら一等地だと思うわよ」

ロメンド「周りが建物に囲まれていて、人の流れも多い所ですしね」

 「小さな教会でも立ち寄る人が多いのがせめてもの救いです」

 「まあ、維持費なども含めいろいろと大変なところもありますがね…」


サンナ「それでも私たちの家系はこの教会を550年くらい維持してきたんですよ」

ビオランテ「550年ですか、結構歴史がございますね」


ロメンド「私たちの先祖は北の月(※北側の大陸)の「サンクレッセル帝国」出身なんですよ」

リンカ「サンクレッセル帝国って昔ムーンリアスにあった国だべ」

ホヅミ「今はぁ国土をぉ新大陸に移してぇ、「サンクレッセル連邦国」に名前をぉ変えてるですぅ」


ロメンド「そうですね、先祖たちが生きていた国も今は政治や制度などが変わっているでしょう」

 「ですが、サンクレッセルがまだ帝国時代だった頃、私たちの先祖がベレスピアーヌに移住して、中心街のこの場所に教会を建てたのが始まりなんですよ」

サンナ「それから約550年、今の私たちや先祖の方々も含め、ベルックリンド家はこの場所で、この教会で、人々のお役に立てるよう奉仕してきたのです」


ロメンド「今の私たち家族は皆ベレスピアーヌの生まれですが、ご先祖様たちの祖国であるサンクレッセルのことは大切に想っております」

 「祖国への想いから、我が娘には「サンナ」と名付けました」

サンナ「はい。私の名前、「サンナ」の「サン」はサンクレッセルの名からきてるんです」

ロメンド「もう一人の娘「フレイ」は、サンクレッセル帝国初代皇帝の皇后、「フレイ・サンジェルドグレイス様」が由来なのですよ」


ここでサンナの祖母であるレムネイトがシェルージェたちに紅茶とクッキーを持ってきた。


レムネイト「ベレスピアーヌ自慢の紅茶にクッキーです」

 「ぜひ召し上がってくださいね」

シェルージェ「うわっ、美味しそう!」

カルパーラ「紅茶もクッキーもいい香りですわ」


シェルージェたちは紅茶やクッキーをいただいた。


シェルージェ「うまっ!さっくりしてて、クッキーうまっ!」

ススキ「紅茶もまろやかで美味しいわ」

 「ヒンナヒンナ(※1)」


ロメンド「サンナさん、皆さん」

 「この後宮殿に向かわれるわけですね」

サンナ「はい。アンシーさんやシェルージェ様たちの同行者として、私もソフィアーヌ首相とお会いするつもりです」

レムネイト「サンナ、だったらあれを持ってくといいわ」

サンナ「お祖母ちゃん、あれって?」

レムネイト「ちょっと待ってて」

そう言ってレムネイトは別の部屋に行き、サンナに持ってきた物を差し出した。


サンナ「これは、お祖母ちゃんが大切にしている「桃魔とうま水晶玉すいしょうだま」じゃない!」

 「どうして私に!」

レムネイト「首相にお会いするのなら、こういうのも持っていきない」

 「何かあったとき力になるはずだから」

サンナ「桃魔の水晶玉は魔獣たちを浄化する聖なる光を放つものだわ」

 「お祖母ちゃん、私は戦いにいくわけじゃないのよ」

レムネイト「まあいいじゃない、手ぶらで行くよりもずっとマシだと思うわよ」


ロメンド「サンナさん、レムネイトさんもあなたを気遣っているのですよ」

 「ここは素直にお持ちいただくのがよろしいかと」

サンナ「お、お父様…」


アンシー「持っていきなよ、サンナさん」

 「街中まちなかに魔獣たちが現れる可能性だって0じゃないでしょ」

サンナ「そうですね…」

 「分かりました…私、水晶玉を持っていきます」


ロメンド「それでは宮殿に向かわれる皆様に神のご加護があらんことを」

 「アーメン」

サンナ「アーメン」


レムネイト「礼拝中のプルムにもサンナのことは話しておくわ」

 「気をつけて行ってらっしゃい」

サンナ「ありがとう、お祖母ちゃん」


教会を出たアンシーやサンナたちは、その日の午後、ソフィアーヌ首相のいるヴェルセイユ宮殿へと辿り着いた。

入り口の兵士にサフクランドス大公が書いた紹介状を見せ、一行は宮殿の中へ入ることができた。そして…


一方セイヌ川には巨大な魚影と謎の影が…

ベレスピアーヌ共和国のソフィアーヌ首相と無事に面会できるだろうか?

そして魚影たちの向かう先は?

次回へ続く。


※1…元ネタはアイヌ語。「ヒンナヒンナ」は「食事、食べ物に感謝する言葉」。

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