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第52話(前編) 女子たちのベレスピアーヌ共和国旅行(前編)

52話目です。

物語の視点がクレードたち男性陣から、アンシーたち女性陣に切り替わります。


6番目の国、ベレスピアーヌ共和国では、フランス・ベルギー・ルクセンブルクの世界遺産をモデルにした町・遺跡・自然などが登場します。


52話の前日譚となる『宝石の輝士団クリスタルナンバーズ SIDE STORY② -女子たちのアイルクリート共和国旅行-』(短編)も投稿しました。こちらもよろしくお願いします。


(※今回の話は前編と後編に分かれています)


(※今回の登場人物たちについては、前回「○52話・53話の主な登場人物の紹介」の回をご参照ください)

ベレスピアーヌ共和国、建国約1570年の国家で、国内には歴史ある教会や聖堂などが多く残っている。

以前は、ベレスピアーヌ王国という君主制国家だったが、260年ほど前、民衆による政治を中心とした共和制国家に移行した。

人口約7千万人。



ケルビニアン暦2050K年8月4日。

(魔法武装組織メタルクロノスの宣戦布告まで、あと28日)


クレードたち男性陣と一旦別れることになったアンシーやシェルージェたち女性陣はアイルクリート共和国の北東、ベレスピアーヌ共和国に来ていた。


ポン・デュ・ガルルの町(※1)で…


リンカ「川の上さ立派なアーチ橋が架がってるだ」

 「あれがこの町のシンボルだべか?」

カルパーラ(チョコレートパンを食べながら)「近くの案内版によると、約2000年前に造られた水道橋で、今も周辺の町や村にお水をたくさん供給しているようですわ」


シェルージェ「水道橋かあ、公都のセルゴビーア地区(※2)にも立派なのがあるよね」

ビオランテ「この町のものにしても、公都のものにしても、水道橋は人々の生活を支えているのですよ」



次の日5日。

ナンシースタニーズ市(※3)にやって来たシェルージェたちは、凱旋門を抜け、広場で…


シェルージェ「わあ、きれいな広場」

 「噴水もあるし、いいとこじゃん」

ススキ「ネプチューン、海の神様をイメージした噴水ってことね」



次の日6日。

サランケ=レ=アルバンの町(※4)で、昼食を食べていた。

シェルージェ「うまっ!お肉やお野菜のソテー、めちゃ美味いじゃん!」

 「塩味が効いて、最高だよぉ!」

アンシー「さすがは大きな製塩所がある町ね」

 「質のいいお塩だわ…」


料理を運んできた店員がシェルージェたちに、

おばさん(店員)「この町で作られた塩はベレスピアーヌの特産品の一つなのよ」

 「お土産にもなっているから、塩を目当てに観光に来る人も多いのよ」



次の日7日。

ベレスミディアの町(※5)に来たシェルージェたちは、次の町へ向かうため小舟に乗り運河を進んでいた。


ホヅミ「運河のぉ周りにはぁ木がぁたくさんありますぅ」

船頭のおじさん「日差しよけのためにプラタナスや糸杉を植えたんだよ」

 「まあおかげで運河の景色も良くなったんだが」

アンシー「まるで森の中を船で進んでいるみたい。素敵ね」


シェルージェ「これで船頭さんが可愛い女の子だったら、もっと良かったんだけどなあ…」 ボソ…

船頭「ん?」

 「今何か言ったかい、お嬢ちゃん」

ウェンディ「いや、なんでもねぇッス」

 「失礼したっス」


カルパーラ(トリュフチョコレートを食べながら小声で)「(シェルージェ様、オリンスさんやクレードさんたちだけでなく、男性そのものがお嫌いになってしまったのね)」

ビオランテ(小声)「(行く先々で男性全員を拒むようでは、さすがにマズいな)」

 「(オリンスたちがいない今、別の視点で男性たちを見てくれれば良いのだが…)」



次の日8日。

オランジュール市(※6)に来たシェルージェたちは街の劇場に足を運び、演劇を観ていた。


ヴェール(男性)「ジョーヌさん、あなたさえいれば、僕はこれ以上何も望みません」

ジョーヌ(女性)「ヴェールさん…ずっと一緒にいてくださいね…」

ヴェール「もちろんですよ、あなたを誰よりも愛しているのですから…」


騎士のヴェールと平民のジョーヌの恋愛劇が終わり、外に出て、

シェルージェ「怪物と戦うシーンはカッコよかったけど、シェルージェ、最後の恋愛シーンは観てても面白くなかったなあ」


一方ススキは、

ススキ(心の中で)「(私も鵺洸丸さんとあんな恋ができたら、嬉しいなあ…)」


ススキの様子を見ていた仲間たちは小声で…


ウェンディ「(押忍。本当はススキさんだけでも男性陣と行動させれば良かったんッスけど…)」

ホヅミ「(鵺洸丸さんはぁあっちにいてぇ、今はぁ別々ですからねぇ)」

リンカ「(でも今ススキさんと別れたら、おらだぢの戦力も減るだよ…)」

 「(ススキさんには申す訳ねぇげど今だげは…)」


アンシー「(私はそんなに心気にしなくても大丈夫だと思うけどなあ)」

リンカ「(アンシー?)」

アンシー「(鵺洸丸がいなくても、彼女なりに前を向いているはずだわ)」

リンカ「(そだな。クレードさんがいなぐでも、今のアンシーはアイルクリートば旅したった時よりも振り切れている感ずがするべしな)」

アンシー「(リ、リンカ!?)」

リンカ「(やっぱすアンシー自身にもその自覚はあるんだべな。少しは)」

アンシー(複雑そうな顔で)「……」



次の日9日。

次の町へ来たシェルージェたちは、国の政治に携わる女性国会議員の一人ヴァレリアーネと屋敷で話をしていた。


ヴァレリアーネ「魚型の妙な魔獣の話ですかあ…」

 「申し訳ございませんが、私は特にそういう話は聞いてはおりませんねぇ…」

 「ソフィアーヌ首相もご存じかどうか…」


ヴァレリアーネは「24の怪魚」について全く心当たりがないようだが、シェルージェは彼女を見て不機嫌そうだった。


ビオランテ(小声)「(シェルージェ様、国会議員様の前ですよ。他国でいえば貴族様のようなお方ですよ)」

 「(もう少し明るい笑顔をなさってください)」

シェルージェ(小声)「(そんなこと言ったって、この人コロコロ太ったおばさんじゃん)」

 「(シェルージェ、太ったおばさんなんかよりも若くて可愛い女の子とお喋りしたいよぉ)」

ビオランテ(小声)「(シェルージェ様!間違ってもそのようなことはヴァレリアーネ様におっしゃってはなりませんよ!)」

シェルージェ(小声)「(ビオランテちゃん、女性なら誰でもいいってわけじゃないんだよぉ)」


ヴァレリアーネ「まあ、本日はもう日も暮れておりますし、我が屋敷にお泊りになってください」

 「我がストックレオス邸(※7)は「総合芸術作品」ともいわれ、内装・外装、家具・食器、庭園・花壇など、屋敷中のあらゆるものが芸術的で素晴らしいデザインをしているのですよ」

 「お泊りになるのでしたら、ぜひ一つ一つご覧になって…」


シェルージェ「ふーん、まあシェルージェちゃんの王宮には及ばないと思うけどね」

ビオランテ「シェ、シェルージェ様!?」


ヴァレリアーネ「あら?今何かおっしゃいましたか?」

ウェンディ「なんでもねぇッス!気にしないでほしいッス!」

カルパーラ「そうですわ、わたくしなんて天井のシャンデリアの美しさに見惚れていたくらいですもの」

ヴァレリアーネ「そうでしょう!素敵なデザインでしょう!」

 「このシャンデリアだけではなく、食堂に飾られたモザイク画とかも素敵なのよ!」

 「お食事の際は、ぜひご覧になってくださいね!」


リンカ(小声)「(な、なんとか誤魔化せたと思うだよ…)」

アンシー(小声)「(ハァ…シェルージェの尻拭いも楽じゃないわね…)」


この日シェルージェたちは屋敷で一泊した。



次の日10日。

アンシーやシェルージェたちは移動中に…


ビオランテ(馬車を操作しながら)「地図やガイドブックによると、次は「カルカーソンヌの町(※8)」ですね」

カルパーラ(キュベルドン(※9)を食べながら)「この町は二重の城壁に囲まれた城塞都市で、騎士団の拠点となっている大きな砦があるそうです」

 「その砦に行って話を聞いてみましょう」

ススキ「24の怪魚に関する手掛かりがあるといいわね」


シェルージェ「ちょっと待ってよぉ!騎士団の砦ってことは中にいるのは男ばっかでしょ!」

ウェンディ「押忍。そりゃあ騎士団や軍隊は男が中心ッスよ」

カルパーラ「全体で見れば、女性の兵士は少ないですわ」


シェルージェ「それじゃあ、やだ!」

 「男だらけの気持ち悪い場所なんて絶対行きたくないよぉ!」

 「きれいな女の人がいっぱいいる砦でお話ししようよ!」

アンシー「シェルージェ!あなたがオリンスの一件で男嫌いになったのは分かるけど、我慢しなければいけないときもあるのよ!」

 「度を越えていたら、それはもうわがままだわ!」


リンカ「まあまあ、アンシー」

 「オラやシェルージェちゃんだぢは町の外で待ってから、アンシーやビオランテさんだぢで砦さ行ってくるといいべ」


ホヅミ「シェルージェちゃぁん、この近くにぃヴェズレークの丘(※10)っていうぅ眺めのいい場所がぁあるみたいですぅ」

 「ホヅミたちでぇ行ってみるですぅ」

シェルージェ「そうなの?まあ、むさ苦しい野郎たちを見るよりかはずっといいかなあ」


リンカ「アンシー、オラたちはわんつか(※11)出かけっから、あどは頼むだ」

アンシー「悪いわね、リンカ、ホヅミ」

ビオランテ「シェルージェ様をよろしくお願いします」


町の砦には、アンシー・ウェンディ・ススキ・ビオランテ・カルパーラたち五人で行ったが、特に有力な情報は得られなかった。


砦を出たアンシーたちはシェルージェたちと合流。

次の町へ向けて出発した。



10日の夜、首都セイヌ・パリス市(※12)に隣接したルクセンブレック市(※13)に来たアンシーやシェルージェたち。

歴史ある街並み、王国時代の要塞跡が残るこの町の宿で…


アンシー「ここまで旅してきたけど、特にそれらしい情報を得られなかったわね…」

リンカ「やっぱす怪魚が現れそうな、ニューカレドニアル島(※14)どがにえがねば分がらねぇんだべか…」


ビオランテ「明日には首都に着くでしょうから、ソフィアーヌ首相にお会いしお話を聞いてみましょう」

カルパーラ「ビオランテさん、この国の首都も広いですわよ」

 「首相がいらっしゃるヴェルセイユ宮殿(※15)への到着は明後日の12日になるでしょうね」


シェルージェ「ソフィアーヌ首相かあ…きれいなお姉さんだったら良かったのになあ…」

 「6と2歳じゃ、結構おばさんでしょ」

アンシー「シェルージェ!首相は女性なんだから、年配の人だとしてもちゃんと会ってもらうわよ!」

シェルージェ「大丈夫だよぉ、男だとしてもさすがに首相さんには会うよぉ」

まあシェルージェの(若い)女性に対する気持ちはLoveではなく「Like」なので、決してガールズラブ(GL)というわけではないです。


(※後編へ続きます)

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