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第47話 塔の町パニック!

47話目です。

今回は(R15作品というのもあって)下ネタ回になりました。

苦手な方はご注意ください。


(※今回の登場人物たちについては、前回「○47話・48話の主な登場人物の紹介」の回をご参照ください)

ケルビニアン暦2050K年7月29日の夜。

クレード一行はサフクラント公国との国境の町、マントビオネータの町(※1)を抜け、次のサンル・ジミニャールの町(※2)に来ていた。

中世の時代から続く歴史ある町並みには、現在14基の塔が残っており、「塔の町」とも呼ばれている。


高い塔が立ち並ぶこの町の宿の一室でクレードたちは、

シェルージェ(眠そう)「うーん…」 うとうと…

鵺洸丸「この国に来て一日目でござりまするが、張り詰めた空気は感じませぬ…」

リンカ「町の雰囲気も穏やがだし、物の怪によるでったらだ(※3)被害もなさそうだべ」

ホヅミ「24の怪魚はぁこの国にぃ来てないかもぉしれないですぅ」

タオツェイ「まあ異変がないのなら、それが一番だと思うがな」

ウェンディ「押忍!でももう少しこの国で情報を集めておきたいッス!」

クレード「アイルクリートで情報を集め、そしてこの国の北にあるベレスピアーヌ共和国に行くわけか」


千巌坊「ベレスピアーヌへの到着は来月の4日頃になりそうだ…」

ススキ「そのかんに、何か分かるといいわね…」

カルパーラ「まあ、穏やかに済むのなら、それでいいじゃないですか」

 「わたくしも旅先でいろいろお菓子を食べてゆったりしたいとこですし」

ビオランテ「カルパーラ!旅を楽しむもいいが、私たちはシェルージェ様の護衛役なのだ!」

 「その自覚をだな…」


話の途中だが、シェルージェは、

シェルージェ「ビオランテちゃん、カルパーラちゃん」

 「シェルージェ、もう眠いよぉ…」

 「話なんていいから、もう休もうよぉ…」

ビオランテ「シェルージェ様、それでしたら我々はこの辺で…」


ここでオリンスが、

オリンス「シェルージェちゃん、お眠なの!?」

 「だったら俺と同じベッドで寝ようよ!」

シェルージェ「一緒のベッド?オリンスと?」

オリンス「うん!シェルージェちゃんは今日からずーっと俺と一緒に寝ようね!」


アンシー「ちょっと待ちないよ!」

 「あんた一体何を考えてるのよ!」

オリンス「言った通りだよ。シェルージェちゃんと同じベッドで寝るんだ」

 「でも大丈夫。まだ一線は越えないから安心して」

ウェンディ「押忍!何、爽やかに言ってるんッスか!」

リンカ「アラサー男が18の女の子ど同ずベッドで寝るなんて、大犯罪だべ!」

ホヅミ「もしかしてぇ、親衛隊の部隊がぁいなくなるときをぉ狙ってたんですかぁ?」

 「だとしたらぁ、最低最悪ですぅ!」

ビオランテ「それ以前に私たち護衛役がいる前でよくもそのような真似を堂々と!」

カルパーラ「シェルージェ様から今すぐ離れなさい」

 「さもなくば、あなたに矢を放ちますよ」


シェルージェ「みんな、そんなに怒ってどうしたのぉ?」

 「オリンスと同じベッドで寝ることがそんなにいけないことなのぉ?」

ススキ「そ、それはね…」

アンシー「大人の汚れた世界の話よ!シェルージェは知らなくていいから!」


ナハグニ「アンシー殿、それは聞き捨てならぬぞ」

 「ご両親が汚れたからこそ、拙者らは今ここにおるのではござらんか?」

リンカ「止めてぇー!そった(※3)話、おら聞ぎだぐねぇだ!」

ウェンディ「ナハグニは引っ込んでるッス!」


アンシー「オリンス、とにかくシェルージェから離れなさい!」

 「私たちがここいる限り、あんたを部屋から出さないからね!」

ビオランテ「我がサフクラント公国騎士団の誇りにかけて、シェルージェ様の清きお血を守り抜いてみせる!」

カルパーラ「シェルージェ様、私たちのところへいらしてください」

 「そのほうが安全なのです」

リンカ「んだ!明日、みんなでシェルージェちゃんにいっぱいお菓子を買ってあげるだ!」

 「だからオリンスと一緒さ行っちゃダメだ!」

ススキ「そうよ、今日は私たちと同じお部屋で寝ましょう」


シェルージェ「うーん…」

 「女の子たちがあそこまで言ってるし、オリンスと同じベッドに入らないほうがいいのかなあ?」

オリンス「シェルージェちゃん!俺たちは友達なんだ!」

 「同じお布団で寝ることはお互いの友情を確かめ合うことでもあるんだよ!」

アンシー「ふざけたこと言わないで!」

 「シェルージェ、オリンスの言うことなんて聞いちゃダメよ!」


ここでクレードがオリンスとシェルージェの前に立ち、

クレード「もう止めろ、お前ら」

 「部屋の中とはいえ、これ以上騒げば他の客や従業員たちに迷惑だ」

アンシー「クレード!あなたまでどういうつもりよ!」


クレード「オリンス、お前も早くシェルージェを連れて、部屋へ行け」

オリンス「ありがとう、クレード」

 「君も俺とシェルージェちゃんの夜を祝福してくれるんだね」

クレード「いいから、早く行け」


オリンス「クレードもああ言ってるんだ」

 「行こう、シェルージェちゃん」

シェルージェ「う、うーん…」

オリンスはシェルージェを連れ別の部屋へと向かった。


アンシー「ちょっと、どういうつもりよ、クレード!」

ビオランテ「あなたもオリンスに加担するのなら許さないわ!」

クレード「心配するな」

 「どうせ一瞬で終わる…」

リンカ「えっ?」


タオツェイ「シェルージェ様はオリンスと寝ることに対して抵抗を感じている…」

 「あれでは同じベッドに入っても長く持つわけがない…」


ビオランテ「タオツェイまでどういうつもりだ!」

 「私たち親衛隊のように、シェルージェ様をお守りすると誓ったのではなかったか!?」

タオツェイ「今ここでオリンスを止めたとしても、次の町の宿で同じことを繰り返すだけだ」

 「シェルージェ様には申し訳ないが、お力をお借りしてでも、なんとかしなければならないだろう…」


千巌坊「私はこれまでオリンスの煩悩に対し、目をつぶってきた…」

 「それは煩悩を溜め、爆発させるためだ…」


クレード「ベッドの上でシェルージェから嫌われれば、あいつも相当へこむはずだ」

 「そうすれば反省して、元の真面目な男に戻るかもしれない…」


沖津灘「ハッハッハッ!すでに二人の行く部屋には鵺洸丸殿が向かっとーたい!」

 「本当に何かあれば彼が止めるはずたい!」

 「ここは安心するたい!」


アンシー「だから何よ!それで私たちが納得するとでも思うの!」


ナハグニ「いやいや!拙者は信じておる!」

 「オリンス殿とシェルージェ殿がベッドで愛し合えることを!」

ビオランテ「ナハグニ!貴様は!」



オリンスとシェルージェは別の部屋に向かい、そして同じベッドに入り、

シェルージェ「な、なんか同じベッドの上で寝るって変な感じだよぉ…」

 「オリンスとは同じお部屋で寝たけど、ベッドまで一緒っていうのは、なんか違うっていうかあ…」

オリンス「大丈夫だよ…これも友情を深めるためなんだよ、シェルージェちゃん…」

シェルージェ「ん?」


シェルージェはオリンスの何かに触れ、

シェルージェ「ねぇオリンス、なんか硬いのがシェルージェにぶつかってるんだけど?」

オリンス「あっ!?」

 (心の中で)「(しまった!股間のことを気にしてなかった!)」


ここでシェルージェはテンションが変わり、

シェルージェ「分かった!おちんちんでしょ!」

オリンス「シェ、シェルージェちゃん!?これはね……」

 

シェルージェ「シェルージェ、男の人のおちんちんって全然見たことないんだよ」

 「小さい頃お父さんとお風呂に入った時見ちゃったかもしれないけど、全然形とか覚えてないんだ」

 

シェルージェ「ねぇオリンス、とにかくシェルージェに見せてよぉ」

オリンス「ちょっ!シェルージェちゃん!」

シェルージェは自分からオリンスのズボンとトランクスを下ろした。


それによりオリンスの股間が見えてしまい、それを見たシェルージェは驚き、

シェルージェ「な、何それ!?」

 「変!すごく変だよぉ!」 あわわ…

オリンス(下半身丸出しで)「シェ、シェルージェちゃん…」

 「これは、だからその……」

シェルージェ「いやーっ!こっち来ないでー!」


シェルージェは泣きながら部屋を飛び出した。

オリンス「あっ、ああ…」


その様子を隠れながら見ていた鵺洸丸は、

鵺洸丸「うーむ、これは…」



シェルージェはクレードやアンシーたちの居る部屋に戻り、

シェルージェ(泣きながら)「気持ち悪かった!」

 「すごく気持ち悪かったよぉ!」

 「うわーん!」

リンカ「もう、大丈夫だ…」

 「おらたちがついているだ…」

ススキ「元気出して、シェルージェちゃん…」

カルパーラ「シェルージェ様…誠に申し訳ありませんでした…」

 「私たちがもっと気を配っていれば…」

シェルージェ(泣きながら)「うわーん!あーん!」


アンシー「まあ確かに今騒げば、他のお客さんたちに迷惑よねぇ…」 ゴゴゴゴ…

ビオランテ「ならばこの礼は明日外でたっぷりとさせてもらうぞ!」

ウェンディ「押忍!男どもは全員地獄送りッス!」

ホヅミ「ホヅミもぉ怒ってるですぅ!覚悟するですぅ!」


クレード「分かった、分かった」

 「もう逃げも隠れもしないから、好きにしてくれ」



次の日30日。

一行は宿を出て、ひと気のない町の郊外までやって来た。

そこでクレードや鵺洸丸たちは女性陣から何度も叩かれ、顔が赤く腫れていた。

(ただしススキは鵺洸丸だけは叩いていない)


クレード(赤く腫れた顔で)「まさかシェルージェが自分からズボンを下ろすとはな…」

 「これは完全に予想外だった…」

鵺洸丸(赤く腫れた顔で)「忍びであるそれがしの目でも見抜けなかった…」

タオツェイ(赤く腫れた顔で)「拳法の修行に励んできた俺ですら無理だった」

沖津灘(赤く腫れた顔で)「大関まで昇進できても分からんことがあるもんたい」

千巌坊(赤く腫れた顔で)「人の心というものは大変奥深い…」

 「だからこそ人は己を知り、心や精神を鍛えていくのだ…」

アンシー「だから何なのよ!そんな言い訳通用しないわ!」


一方クレードたち5人以上にボコボコにされたオリンスとナハグニは、

オリンス(かなり赤く腫れた顔で嬉しそうに)「見てくれた…シェルージェちゃんが俺の股間を見てくれた…♡」

ナハグニ(かなり赤く腫れた顔で、すごく嬉しそうに)「女子おなごたちが…愛らしき女子たちが何度も拙者の顔に触れて…」

 「ああ…♡」


ビオランテ「シェルージェ様!どうか男どもに制裁を!」

カルパーラ「そうですわ。これで許してはなりませんよ」

シェルージェ「やだ、やだ、やだ!」

 「シェルージェ、男なんて気持ち悪くて触りたくないよぉ!」

ウェンディ「シェルージェ!だったら棒で引っ叩いてやるッス!」

シェルージェ「それもやだー!」

 「というか、男と一緒にいるなんてもうヤダよぉ!」

 「クレードやオリンスたちなんて、どっか行っちゃってよぉ!」


オリンス「シェ、シェルージェちゃん!?」

 「そ、そんなあ…」

オリンスはシェルージェから「どっか行って」と言われ、深く落ち込んだ。


オリンス「シェルージェちゃん…俺のシェルージェちゃんがあ…」

千巌坊(心の中で)「(これでいい、今のオリンスにとっては必要な薬だったはずだ…)」


クレード「どっか行けか、これでは俺たち男はもうシェルージェと旅ができないな…」

タオツェイ「だったらこれからは男と女でそれぞれ分かれて旅をするか?」


リンカ「でもそれはそれで、いろいろきついべ…」

ススキ「そうね。今男女で分かれてしまったら戦力が半減してしまうわ…」

 (心の中で)「(そうなったら鵺洸丸さんとも…)」


ホヅミ「24の怪魚にもぉ警戒しなきゃぁいけないときですぅ」

 「何かあったらぁ大変ですぅ」

カルパーラ「そうですね。シェルージェ様には申し訳ございませんが、今の状況でそれは…」

シェルージェ「ダメ、ダメ、ダメェ!」

 「この先は女の子だけで旅するのぉ!」

 「シェルージェ、もう決めたんだから!」


アンシー「シェルージェ、本当にここで分かれるんなら、一回話し合いをするべきだわ」

 「悪いけど、もう少しだけ男性たちと行動させてよ」


ビオランテ「シェルージェ様、真面目なお話になると思いますので、どうか今少しの辛抱を」

シェルージェ「ブゥー!」

ウェンディ「押忍!次の町に着いたら、いろいろ話し合うッス!」


ナハグニ「話し合いも何も男だけで行動することになったら、まさしく生き地獄でござるよ!」

 「女子おなごの方々も考え直してくだされ!」

沖津灘「ナハグニ殿、そげな話もひとまず町へ着いてからたい!」

沖津灘はナハグニの体を持ち上げ、騒ぎ立てる彼を押さえた。

男女間(主にシェルージェとの間)で大きな溝ができてしまった。

クレード一行はこの先ずっと男女で分かれて行動することになるのか?

次回へ続く。


まあでも作者としては、「今のオリンスが性欲を抑えるのは難しいかなあ…」とは思いました。


※1…町の名前の由来は、イタリアの世界遺産「マントヴァとサッビオネータ」(文化遺産 2008年登録)より

☆※2…町の名前の由来は、イタリアの世界遺産「サン・ジミニャーノ歴史地区」(文化遺産 1990年登録)より

※3…元ネタは津軽弁。『でったらだ』は「大きい、大きな」、『そった』は「そんな」などの意味。

(☆:物語初登場の世界遺産)

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