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第42話 変身!ブルー・グリーン・ホワイト・イエロー!

42話目です。

サブタイトル通り、クレード・オリンス・アンシー・シェルージェの4人が揃って変身する回なのですが、この先(サフクラントから先)の展開を考えると、レアな場面だと思っています。作者としては。


(今回の登場人物たちについては、前回「○第42-46話の主な登場人物の紹介」の回をご参照ください)

ケルビニアン暦2050K年7月16日の昼。クランフェルジスの王宮(※1)の大広間。


シェルージェが王宮に戻った知らせを聞き、大広間にはサフクランドス大公を始め、多くの貴族が集まっていた。

クレードたちは彼ら貴族に軽く自己紹介をした。


ウェンディとサフクランドス大公(名は、ベルンディーネ)は貴族の家同士の付き合いや交流により、互いに顔を知っていることから、

ウェンディ・京藤院「押忍!ベルンディーネ様、お久しぶりッス!」

サフクランドス大公「ウェンディ、あなたとは随分前に会ったとき以来ね」

ウェンディ「押忍!15年くらい前ッス!」

サフクランドス大公「そうね。もうそれくらいになるわよね」


サフクランドス大公「あれから京藤院家には行っていないけど、キヨタダさんとレベジーニさんはお元気かしら?」

ウェンディ「押忍!父君も母君も健康で元気ッス!」

 「夫婦仲良くやってるッス!」

サフクランドス大公「そうなの」

 「機会があればお会いしたいものね」


続いて、ウェンディは大公の娘のエルンビーナと、

エルンビーナ「ウェンディ・京藤院さんですね」

 「わたくし、大公の娘である、エルンビーナ・サフクランドスと申します」

 「母共々、よろしくお願いいたします」

ウェンディ「押忍!ベルンディーネさんの娘さんッスね」

 「初めてお会いしたッス」

エルンビーナ「私は京藤院家にもワトニカにもまだ行ったことがないものでして…」

ウェンディ「押忍!だったらキョウノミヤ藩に来たときはウチが地元を案内するッス!」

 「お寺や神社がぎょうさんあって、和を感じる千年の都ッス!」

エルンビーナ「風情のある都なのですね。いつか訪れてみたいですわ」


大公や娘のエルンビーナと話をした後ウェンディはピスパルカー侯爵そうろうこうしゃくとその息子スクレイザーにあいさつした。そしてナプトレーマで侯爵の娘イザベリスと出会い、協力し合ったことなどを話した。


ピスパルカー侯爵「左様でございましたか…イザベリスが皆さんと…」

ウェンディ「押忍!シェルージェ様を見つけることができたのは、イザベリスさんのおかげッス!」

ピスパルカー侯爵「イザベリスがシェルージェ様を見つけ、そして連れ戻すために動いてくれたというのなら、娘には「よくやってくれた」と言いたいものですよ。心から…」


スクレイザー「ラプシェイア様たちご家族はシェルージェ様が行方不明になって深く悲しんでおられました」

 「姉上のおかげでラプシェイア様たちに笑顔が戻ったとすれば、僕は弟として姉上を誇りに思いますよ」


ウェンディ「押忍!侯爵そうろうこうしゃくや弟さんには、「元気でやっている」と伝えてほしいと言ってたッス!」

スクレイザー「左様でございますか」

 「姉上がお元気で僕は何よりでございます」


ピスパルカー侯爵「イザベリスには後日手紙を送ります」

 「「私もスクレイザーも元気でやっている」などと伝えることにいたします」


アンシー(心の中で)「(イザベリスさんのことを聞いて、侯爵も嬉しそうだわ…)」

 「(離婚して離れて暮らすことになったとしても娘が心配なのね…)」


一方戻ってきたシェルージェ本人も王宮にやって来た貴族たちにあいさつをしていた。

ドレス姿のシェルージェ「ロベルジーノさん、お久しぶり!」

 「分家のみんな、元気にしてる?」

ロベルジーノ「ああ、見ての通り私も含め、皆健康でいるよ」

 「ただ本家のオルブラングさんが体調を崩してしまったことは何より残念であるが…」


オルブラング「本当に情けない限りだ…」

 「今やまともに歩くこともできず、車椅子頼みだ…」

 「今の私には前大公としての威厳などない…」

ロベルジーノ「そんなに落ち込まないでくださいよ。こうしてシェルージェも無事に帰ってきたんですから」

 「何から何まで不運というわけではないでしょう」


シェルージェ「…」

 「ごめんね、ロベルジーノさん…」

 「シェルージェ、みんなに話さなきゃいけないことがあるんだ…」


サフクランドス大公「あなたが王宮に戻ってきたことは本当に嬉しく思っております」

 「ですが今のあなたには進まなければならない道がある」

 「そうですよね、シェルージェ?」

シェルージェ「大公様…」


ラプシェイア「大公様にはフェリペの間(大広間)に来る前に、ナプトダリオン160世様やパオトゥーラ様のお手紙を読んでいただいたのよ」


サフクランドス大公「シェルージェ、ナプトレーマの国王様や王妃様たちがあなたのために動いていただいたのです」

 「次はあなたの番ではないでしょうか?」

シェルージェ「そうだね…シェルージェ、ちゃんとみんなに話さないと…」


アンドロランス公爵「クレードさんやアンシーさんたち、初めてお会いする異国の方々が何人もいらっしゃるんですもの。何か深い事情があるのはよく分かるわ」

バルデンベイル公爵「話を聞かせてくれ、シェルージェ」

 「どのような事情であろうと我々は受け止めるつもりでいる」

シェルージェ「うん、分かったよ」

 「みんな、よく聞いてね」


シェルージェは、ナプトレーマで盗賊をしていた事、オリンスやクレードたちと出会った事、クリスターク・イエローに変身できるようになった事、魔法武装組織メタルクロノスの事、クレードたちの仲間として自分もこれから同行しなければならない事などを皆の前で話した。


アンドロランス公爵「ま、魔法武装組織だなんて、そんな…」

ピスパルカー侯爵そうろうこうしゃく「我ら貴族にとっては大変好ましくない勢力ですな…」


エルンビーナ「魔獣たちを改造して、自分たちの戦力にするなんて…」

 「考えただけでも恐ろしいです…」

サフクランドス大公「そしてこの世界を相手に宣戦布告しようというわけですか」

 「よくそのような発想が思いつくものですよ」

ロベルジーノ「動機はともかく、改造した魔獣の戦力など未知数でしょう」

アンドロランス公爵「そうですわ!早く対策しないととんでもないことに!」


ここでクレードたちが、

クレード「残念ですが、奴らがいつ宣戦布告するかなど、俺たちでも分かりかねます」

バルデンベイル公爵「ひょっとしたら、すでに宣戦布告しているかもしれませんな」

 「このサフクラントに伝わっていないだけで…」

アンドロランス公爵「そ、そんなぁ!」


ここでマデレウスが、

マデレウス「皆様、電話(※2)の技術もない我々ではムーンリアス全土の情報をリアルタイムで知ることは無理でございます」

 「ですが、すでに世界に異変が起こっているといってもいいレベルかもしれません」

ピスパルカー侯爵「マデレウス騎士団長、何か心当たりがあるのかね?」

マデレウス「あれは我々騎士団がイビサーレ島(※3)に来ていた時の話です」

マデレウス騎士団長、そして鵺洸丸は島で目撃した通称「24の怪魚」について皆に話した。


スクレイザー「魔獣の体に数字が描かれているなんて、どう考えてもおかしいですよ!」

ピスパルカー侯爵「もはや突然変異というレベルではないな」

アンドロランス公爵「不気味にもほどがありますよ!」


バルデンベイル公爵「クジラ並みの大きさ、薄紫の体か」

 「まさか…」

ロベルジーノ「バルデンベイル公爵、何か思い当たる節があるのですか?」

バルデンベイル公爵「ええ、我々バルデンベイル家が治める公国南部地方の貿易商人たちからの話でしてね」

 「なんでもルスカンティア王国へ向かう貿易船に乗った商人たちが、アーブヒルマン島(※4)の沖合で妙な怪魚を見かけたのですよ」

シェルージェ「アーブヒルマン島!?お父さんの故郷だ!」


バルデンベイル公爵「沖合で見かけたことで船に乗っていた護衛の兵士たちは戦闘態勢をとったようですが、その怪魚はこちらに向かってくることもなく、海の中へ消えてしまったようです」

サフクランドス大公「その怪魚が今回イビサーレ島に現れた怪魚と同一個体だと思うのですか?」

バルデンベイル公爵「額にあるという24の数字までは確認できなかったようですが、大きさや色、去っていくという行動が一致しているかと…」


マデレウス「バルデンベイル様」

 「そのような怪魚の話は今初めて聞きましたぞ」

バルデンベイル公爵「私が兵士から報告を聞いたのは、ちょうどマデレウス騎士団長たち遠征部隊が海に出てすぐの話です」

 「タイミング的には少しずれてしまったようで…」

アンドロランス公爵「バルデンベイル公爵!そのような報告があったのなら、伝令隊を送りすぐに伝えてくださいよ!」

バルデンベイル公爵「次の貴族会議のときに話すつもりでした」

 「しかし同一個体と思しき怪魚がイビサーレ島の川にまで現れたのは、私にとっても想定外でしたよ」


ピスパルカー侯爵「南のアーブヒルマン島、次に我が国のイビサーレ島…」

 「この怪魚は北に向かって進んでいるのですかな?」

ロベルジーノ「そう考えれば、怪魚が次に向かうのは、アイルクリート共和国領のエオリー諸島(※5)、ベレスピアーヌ共和国領のニューカレドニアル島(※6)、ポルンコルシカ島(※7)、タプタ島(※8)などでは?」


ピスパルカー侯爵「アイルクリートのエオリー諸島は火山島の島々ですな」

 「地質学や火山を研究する学者たちの間ではよく知られているようで」


バルデンベイル公爵「ベレスピアーヌのニューカレドニアル島周辺の海には146種ものサンゴが見られ、さらに貴重なジュゴンの生息地でもありますよ」


アンドロランス公爵「ポルンコルシカ島は、「海からそびえる山」などと称される島ですね」

 「赤い花崗岩の断崖、青い海が美しい入り江、常緑灌木マキーで覆われた斜面などで知られていますね」


スクレイザー「タプタ島は僕でも聞いたことがあります」

 「豊穣の神であるオロ神様を祀る風習、祭祀場のマラエや祭壇のアフ、これらは文化的にも民族学的にも貴重とされています」


ロベルジーノ「それらの島々以外にも、火山島のレユニオルン島(※9)やプレマルニー島(※10)など、ベレスピアーヌ共和国は様々な島を有しておりますね」


サフクランドス大公「まあいずれにせよ、どの島も魔獣に荒らされていいはずはありませんね」

エルンビーナ「そうですわね、お母様」

 「どの島も貴重な文化や自然があるのですから」


アンシー(心の中で)「(さすがは貴族の人たちね。大した教養だわ)」

 「(サフクラントとベレスピアーヌはそんなに離れていないとはいえ、異国の島々のことをよく知っているわ)」


ピスパルカー侯爵「とはいえ、その怪魚が陸地を歩けるかもしれぬと思うと、どこに現れるかどうにも予想できませんな…」

ロベルジーノ「川を遡りいきなり内陸部に現れるというもこともありえそうですね…」

アンドロランス公爵「しかし怪魚は海を北へと進んでいる可能性が高いのですから、やはりまずは北に位置するアイルクリートの東部地方やベレスピアーヌに行ってみるのが良いのではないでしょうか?」

シェルージェ「アイルクリートにベレスピアーヌかあ…」


ここでシェルージェの母ラプシェイア、祖母のマーシャが、

ラプシェイア「シェルージェ、旅に出るというのなら、アンドロランス公爵のおっしゃる通り、私もアイルクリート共和国の東部地方やベレスピアーヌ共和国に行ってみるのが良いと思うわ」

マーシャ「そうね。怪魚が北へ進んでいるというのなら、この2つの国で何か手がかりが掴めるかもしれないわよ」

シェルージェ「アンドロランスさんだけじゃなく、お母さんやお祖母ちゃんたちまでそう言うんならシェルージェもそれでいいや」

 「もしお化け魚がアイルクリートやベレスピアーヌに現れたとしても、結局はシェルージェちゃんがやっつけちゃうんだから!」


ラプシェイア「クレードさん、アイルクリートの第一魔法大学へ向かわれるようですが、ベレスピアーヌ共和国にも立ち寄っていただけますか?」

クレード「もちろんですよ」

 「24の怪魚がメタルクロノスの改造魔獣だというのなら、俺たちクリスタルナンバーズが叩き潰さなければなりません」

アンシー「メタルクロノスとの戦い、それは私たちナンバーズにとっては宿命なのですから」


オリンス「任せてください!お義母様!お祖母様!」

 「シェルージェちゃんのため、俺は全力で戦います」


ピスパルカー侯爵(小声)「(「シェルージェちゃん」とは…随分と馴れ馴れしいものだ…)」

 「(身の程を弁えてほしいものだよ…)」

スクレイザー(小声)「(ですがあの方のシェルージェ様への想いは確かだと思いますよ、父上)」


クレード「確かに魔法大学にも向かう必要はありますが、特別急いでいるというわけではありません」

 「世のため、人のため、メタルクロノスと戦いましょう」


シェルージェ「ねぇ、クレード・オリンス・アンシー」

 「行くって決めたんなら、貴族のみんなにもクリスタークの戦士の姿を見てもらおうよ!」

 「いっぱいの魔力でシェルージェちゃんたちがすごいって教えてあげたいよ!」

オリンス「そうだね!俺たちがすごいって知ってくれたら貴族の皆さんもきっと安心するよ!」

クレード「ナプトレーマ国王の手紙に書いてある以上、確認のために見ていただきたいか…」

サフクランドス大公「そうですね。可能でしたら、私たち貴族にもお力をお見せください」

ラプシェイア「私たち家族はもう見せてもらったけど、シェルージェの晴れ姿がまた見たいわ」

シェルージェ「任せてよぉ!お母さん、大公様!」


クレード「ジュエルを持て、4人で変身するぞ」

オリンス・アンシー・シェルージェ「オーッ!」


4人「カラーチェンジ!&クリスタルオン!」

グラン・サファイア、グラン・エメラルド、グラン・ホワイトパール、グラン・シトリン。

それぞれのジュエルを手に持ち、4人はクリスタークの戦士へと変身した。


ブルー(クレード)「栄光のサファイア!クリスターク・ブルー!」

グリーン(オリンス)「希望のエメラルド!クリスターク・グリーン!」

ホワイト(アンシー)「祝福のパール!クリスターク・ホワイト!」

イエロー(シェルージェ)「幸運のシトリン!クリスターク・イエロー!」

ブルー「全ての色!全ての宝石!全ての遺産を糧に!」

4人「我ら4人!宝石の輝士団!クリスタルナンバーズ!」


変身した4人の姿に貴族たちは驚いた。

スクレイザー「見慣れないマスクやスーツ姿…」

 「皆さんのようなお姿の戦士様、僕、初めて見ましたよ」

エルンビーナ「なんだか、こう…」

 「未来の世界やサンクレッセル連邦国からいらした戦士様のように思えますわ」

アンドロランス公爵「そうね、ムーンリアスの人間には思い描けそうもないお姿だわ…」


ロベルジーノ「聞いたところによると、最初に変身したクレードさんは過去の記憶をほとんどなくしてしまったようですね」

ブルー(クレード)「はい。そのため俺自身もこのスーツ姿の意味が分からないのです」


バルデンベイル公爵「しかしクレードさんだけでなく、後に変身したオリンスさんやシェルージェも同じような姿になってしまうわけですか?」

ブルー「ええ、ヴェルトン博士は俺のグラン・サファイアから他のグラン・ジェムストーンに魔力を注ぎました」

 「グラン・サファイアから流れ出た魔力が素になっているため、他の完成品のグラン・ジェムストーンを使い変身しても、俺と同じようなマスクやスーツ姿になるわけです」

 「まあ一度決めたマスクやスーツの色は変えることができませんが」


スクレイザー「つまりクレードさんの宝石が大元になっているから、他の方たちも同じようなお姿になるわけですね」

ブルー(クレード)「そういうわけです」


ピスパルカー侯爵「しかしお姿や見た目はともかく、クレードさんやシェルージェ様からは、凄まじいほどの魔力を感じますよ」

アンドロランス公爵「そうですわね…これだけの魔力なら魔獣なんて簡単に倒せそうだわ…」

ロベルジーノ「シェルージェ、私はそれだけの力を手に入れたことは、確かな強みだと思うよ」

イエロー(シェルージェ)「そうでしょ、ロベルジーノさん!」

 「2と4のお化け魚なんて、シェルージェちゃんが捻り潰してやるんだから!」

ブルー「イエロー、貴族の方々が俺たちの魔力を分かってくれたのなら、もう変身を解くぞ」

イエロー「そうだね。知ってくれたんなら、もういいかな」


4人「カラー&クリスタルオフ」

4人は変身を解いた。


シェルージェ「よーし、クリスタークの力で頑張っちゃうぞぉ!」

 「お化け魚め!シェルージェちゃんが今そっちに行くから覚悟しろぉ!」

アンシー「シェルージェ様、私たちがアイルクリートの東部地方やベレスピアーヌに行くのは情報を集めるためです」

 「そこに24の怪魚がいるとはっきりしたわけでは…」


バルデンベイル公爵「しかしベレスピアーヌにも向かわれるのなら、首相であるソフィアーヌ様宛てに紹介状を書いたほうが良いでしょうな」

アンドロランス公爵「そうですね、アイルクリートの東部地方から北へ進めば、ベレスピアーヌの首都ではセイヌ・パリス市(※11)に着きますものね」

バルデンベイル公爵「首相はこちらの首都にいらっしゃいます」

 「ベルンディーネさん、シェルージェたちがソフィアーヌ首相とお会いできるよう、大公としてお願いできますかな?」

サフクランドス大公「ええ、それは構いませんが…」

バルデンベイル公爵「それでしたら、ご対応をお願いいたします」

 「大公の紹介状があれば首相ともスムーズにお会いできるでしょうから」


話題は変わって、

エルンビーナ「シェルージェ様…旅に出られるのですね…」

シェルージェ「ゴメンね、貴族のみんな」

 「シェルージェ、クリスタークの戦士として世の中のために頑張りたいんだよぉ」

アンドロランス公爵「24の怪魚のことが気掛かりとはいえ、シェルージェちゃんは3年ぶりに祖国に帰ってきたのにね…」

 「改めて思うと、本当に寂しいものですわ…」

スクレイザー「お戻りになったばかりのシェルージェ様がすぐに旅立つことを知ったら、国民たちだって心配になりますよ…」

シェルージェ「本当にゴメンね」

 「でもその分成果も出すからさあ」


ロベルジーノ「ラプシェイアさんやオルブラングさんたち本家の皆さんがお認めになったのなら、私はもうそれで良いと思うよ」

 「王宮内で教養やマナーなどを学ぶことよりも、外を自由に歩くほうがシェルージェにとっては楽しいことだろう」

シェルージェ「分かってるじゃん、ロベルジーノさん!」

 「シェルージェもお部屋の中でお勉強するよりも、お外を歩きたいもん!」


バルデンベイル公爵「しかしシェルージェがクレードさんたちと旅に出るのなら、金銭的な支援も必要になりますな」

ラプシェイア「それについては私たちクランペリノ家がご支援するつもりです」

マーシャ「銀行でクランペリノ家の紋章を見せれば、資金としてお金を下ろせますし、王宮に請求書などを送っていただければ私たちで対応いたしますしね」

ロベルジーノ「クランペリノ家本家の方々だけではなく、私たち分家の者たちも対応いたしますので、そこはどうかご安心ください」


バルデンベイル公爵「いやいや、クランペリノ家の方々だけに負担をかけるわけにはいきませんよ」

 「我がバルデンベイル家もクランペリノ家を通じ、金銭的なご支援をいたしましょう」

ピスパルカー侯爵「クレードさんたちにはイザベリスのことでお世話になりましたからね」

 「私たちピスパルカー家もお礼ということで、協力させていただきます」

スクレイザー「僕たちがクレードさんたちをご支援することを知れば、姉上もきっと喜んでくれるはずです」

アンドロランス公爵「バルデンベイル家やピスパルカー家のみならず、私たち他の貴族共々ご支援いたしますよ」

 「シェルージェちゃんの力になるというなら、お安いものですわ」

シェルージェ「みんな、ありがとう」

 「お金いっぱいくれる分、シェルージェ頑張るから」


クレード「貴族の皆様、本当にありがとうございます」

 「一行を代表してお礼を申し上げます」


アンシー(心の中で)「(こうなれば私たちの旅費はもう無限にあるようなものね)」

 「(でもだからといって無駄遣いや贅沢ばかりしていては良くないわ。やっぱりお金は適切に使っていかないと…)」


シェルージェ「みんなが助けてくれて準備もバッチリ!」

 「今から旅が楽しみだよぉ!」

 「よーし、2と0の日には出発だあ!」

サフクランドス大公「待ちなさい、シェルージェ」

 「あなた、何か大事なことを忘れていませんか?」

シェルージェ「え、何?」


サフクランドス大公「ナプトダリオン様やパオトゥーラ様からのお手紙にはこう書いてありますよ」

 「シェルージェ様が我が国で行った盗賊行為の処罰については、全て大公様にお任せします。と」

シェルージェ「ああっ!」

サフクランドス大公「まさか盗賊の件をこのまま有耶無耶にするつもりはないでしょうね?」 ゴゴゴゴ…

シェルージェ「あわわ…」

盗賊行為のけじめ。シェルージェはどうつける?

次回へ続く。


※1…王宮の名前の由来は、スペインの世界遺産「アランフェスの文化的景観」(文化遺産 2001年登録)の「アランフェスの王宮」より

※2…サンクレッセル連邦国からの漂流物により、電話(固定電話)のことはムーンリアスでも知られている。なお携帯電話やスマートフォンの名称は知られていない。

(スマートフォンが魔法大陸ムーンリアスの海岸に漂着することもあるが、「薄い板状の謎の機械」程度にしか思われていない)

※3…島の名前の由来は、スペインの世界遺産「イビサ島の生物多様性と文化」(複合遺産 1999年登録)より

※4…島の名前の由来は、マダガスカルの世界遺産「アンブヒマンガの丘の王領地」(文化遺産 2001年登録)より

☆※5…諸島の名前の由来は、イタリアの世界遺産「エオリア諸島」(自然遺産 2000年登録)より

☆※6…島の名前の由来は、フランスの世界遺産「ニューカレドニアの礁湖ラグーン:サンゴ礁の多様性と関連する生態系」(自然遺産 2008年登録)より

☆※7…島の名前の由来は、フランスの世界遺産「ポルト湾:ピアナのカランケ、ジロラッタ湾、スカンドラ保護区」(自然遺産 1983年登録)、ポルト湾のある「コルシカ島」より

☆※8…島の名前の由来は、フランスの世界遺産「タプタプアテア」(文化遺産 2017年登録)より

☆※9…島の名前の由来は、フランスの世界遺産「レユニオン島の尖峰群、圏谷群および絶壁群」(自然遺産 2010年登録)より

☆※10…島の名前の由来は、フランスの世界遺産「プレ山及びマルティニーク島北部の峻峰群の火山と森林」(自然遺産 2023年登録)より

※11…市の由来はフランスの世界遺産「パリのセーヌ河岸」(文化遺産 1991年登録)より

(☆:物語初登場の世界遺産)

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