第41話(前編) 貴族の国、サフクラント(前編)
41話目です。
35~40話までは、主に家出をして盗賊になったシェルージェの回想シーンを書きましたが、今回はシェルージェの家出中に、シェルージェの家族や貴族の名家たちがどうしていたのかを書いております。
(※今回の話は、前編・中編・後編の3つに分かれております)
<主な登場人物の紹介>
<クレード一行 計12人>
(宝石の騎士団クリスタルナンバーズ 3人)
◎クレード・ロインスタイト(男・?歳)
・青色の髪をしている本作の主人公である魔法剣士。
持っている剣の名は「魔蒼剣」、盾の名は「アイオライトの盾」。
魔法の宝石グラン・サファイアにより、クリスターク・ブルーに変身できる。
自分の出身地や年齢など、過去の記憶をいろいろなくしている。
声のイメージ:内山○輝さん
◎オリンス・バルブランタ(男・29歳)
・緑色の髪をしている元ルスカンティア王国騎士団の騎士。
馬にまたがり騎兵として戦うことが多い。使う武器は槍(翠電槍他)と斧。愛馬の名は「ベリル号」。
魔法の宝石グラン・エメラルドにより、クリスターク・グリーンに変身できる。
ナプトレーマ王国(※1)ではシェルージェと二人っきりになり、彼女と楽しいひと時を過ごした。
本来は真面目で大人しい人物ではあるが、シェルージェに対してメロメロになってしまう。
何かとシェルージェにくっついて行動しており、今は彼女と結婚しようとまで考えている。
声のイメージ:天﨑○平さん
◎アンシー・ヒズバイドン(女・22歳)
・白い髪をしている新人音楽家で、ムーンマーメイド交響楽団の非常勤楽団員。
武器はハープと鞭。ハープの名は「ホワイトコーラルハープ」、鞭の名は「真珠貝の鞭」。
魔法の宝石グラン・ホワイトパールにより、クリスターク・ホワイトに変身できる。
天才ピアニスト、チャロックスキーの一人娘。
声のイメージ:小○唯さん
(ナンバーズの協力者たち 9人)
△ナハグニ・鵺洸丸・ウェンディ・ホヅミ・ススキ・千巌坊・リンカ・沖津灘・タオツェイ
・クレードの協力者たちだが、今回は出番なし。
<その他人物>
◎シェルージェ・クランペリノ(女・18歳)
・黄色い髪(※長髪)をしている女盗賊。
武器はブーメランやナイフ、投げナイフなど。ブーメランの名は「サンフラワーブーメラン」、ナイフの名は「イエロークォーツナイフ」、投げナイフの名は「カナリアンスローナイフ」。
魔法の宝石グラン・シトリンにより、クリスターク・イエローに変身できる。
実は貴族の国サフクラント公国の前大公の孫娘だが、貴族の生活が嫌になり家出した。
家出から3年後、オリンスたちと実家であるクランフェルジスの王宮(※2)に戻り、南のナプトレーマ王国に行っていた事、盗賊の仲間になっていた事などを家族に話した。
この物語における重要人物の一人。
声のイメージ:鈴代○弓さん
○ラプシェイア・クランペリノ(女・43歳)
・シェルージェの母。娘シェルージェへの愛情は深く、彼女に優しく接している。
公爵家の当主を引退した父オルブラングに代わり家を継いでおり、「クランペリノ公爵」の称号を持つ。
○マーシャ・クランペリノ(女・70歳)
・シェルージェの母方の祖母で、オルブラングの妻。
ラプシェイア同様、孫娘シェルージェにはとても優しい。
○オルブラング・クランペリノ(男・72歳)
・シェルージェの母方の祖父。
サフクラント公国の前大公で、第23代国家元首。「クランペリノ大公」の称号を持っていた。
現在は大公だけではなく、公爵家の当主も引退している。
クランペリノ家はサフクラントの三大公爵家の一つである。中でもシェルージェやオルブラングたちの家系は本家である。
○マデレウス・ガフィルダーデ(男・61歳)
・サフクラント公国騎士団団長で、マタドールナイト(※)。
(※サフクラントの騎士は、闘牛士をモチーフにしており「マタドールナイト」と呼ばれる)
大らかで細かい事は気にしない性格だが、戦いのときだけは鋭い顔つきになる。
貴族の国の騎士団長だけあって彼自身も伯爵家の出。
☆○ロベルジーノ・クランペリノ(男・当時70代)
・シェルージェやオルブラングたちの親族で、クランペリノ家の分家の出。
分家の出ということで最高位の公爵にはなれないが、彼自身には侯爵の称号が与えられており、「クランペリノ侯爵」とも呼ばれる。
古都トレスリード市(※3)などを治めている。
誕生日は7月14日。
☆○サフクランドス公爵(女・当時50代)
・本名は、ベルンディーネ・サフクランドス。名門公爵家サフクランドス家の当主。
サフクランドス家はクランペリノ家と肩を並べるサフクラントの三大公爵家の一つである。
普段は公都(※サフクラントの首都)セルゴビーア地区(※4)のアルカサル(城)で暮らしている。
誕生日は8月18日。
☆○バルデンベイル公爵(男・当時60代)
・本名は、アデルフェルト・バルデンベイル。名門公爵家バルデンベイル家の当主。
バルデンベイル家はクランペリノ家と肩を並べるサフクラントの三大公爵家の一つである。
普段はサフクラントの南部地域、ポルトベイル市(※5)の王宮で暮らしている。
誕生日は6月24日。
☆○アンドロランス公爵(女・当時40代)
サフクラント公国北部の山間地域、マドリフ=ペラフィーダ=クラロン地方(※6)を治めているアンドロランス家の当主。
アンドロランス家は三大公爵家に次ぐ名門公爵家といわれている。
誕生日は3月14日。
☆○ピスパルカー侯爵(男・当時50代)
・本名は、リグレイドス・ピスパルカー。サフクラントの侯爵家の中でも名家といわれているピスパルカー家の当主。
ナプトレーマ王国騎士団に所属するイザベリスは前妻との間にもうけた娘。
娘のイザベリスの他に息子のスクレイザー(イザベリスの弟)もいる。
誕生日は10月11日。
☆○エルンビーナ・サフクランドス(女・当時20代)
・サフクランドス公爵、ベルンディーネの娘。
誕生日は9月14日。
(☆:新キャラ)
<名前のみの登場>
△ロイズデン・ギナデルク(男・47歳)
・ナプトレーマ王国で暗躍していた盗賊(元騎士団員)で、偽名として「ヨークガルフ」と名乗っていた。
3年前公都でシェルージェと出会い、彼女を仲間にして盗賊として育てた。
面倒見がよくシェルージェからはとても慕われていたが、ピラミッド(※7)での戦いの後、姿を消した。
▲キャプテン・ゼベルク(故人・男・享年80歳)
・ナプトレーマ王国やサフクラント公国近海などを主な縄張りとしていた海賊の頭。
盗賊ヨークガルフ(本名、ロイズデン)の同盟相手であった。
病の進行により亡くなる。
△レプチェール・グスタヴィアン(女・当時30代)
・シェルージェの母方の叔母で、オルブラングのもう一人の娘、ラプシェイアの妹。
姓である「グスタヴィアン」の由来は、18世紀スウェーデンの国王が好んだロココ風の様式「グスタヴィアン様式」より
現在はサフクラントではなく、ガーランゲルド王国(※8)に在住している。
△ナプトダリオン160世(男・32歳)
・ナプトレーマ王国の現国王で、国の代表者。第244代国家元主。
ナプトレーマでシェルージェと関わり、クランペリノ家や大公であるサフクランドス家宛に手紙を書く。
△パオトゥーラ・ナプトダリオン(女・27歳)
・国王160世の妻でルスカンティア王国の王妃。美人。
シェルージェは家出した後の事を家族にいろいろ話した。
王宮を抜け出した方法、公都で盗賊ヨークガルフ(本名、ロイズデン)と出会った事、公都を流れる下水道の裏道を通った事、ヨークガルフの同盟相手であるキャプテン・ゼベルクの協力により南のナプトレーマ王国に来られた事、ナプトレーマでロイズデンたちと盗賊をやっていた事、ゼベルクがその後病により亡くなった事、オリンスやクレードたちと出会った事など。
シェルージェの話を聞いた母ラプシェイアは、
ラプシェイア「あなたと思われる黄色い髪の女性が盗賊たちと行動していた…」
「ナプトレーマの伝令隊から伝えられた話を聞いて、とても驚いてしまったわ…」
「公爵家のあなたが、まさか盗賊の仲間になったんじゃないかって…」
シェルージェ「お母さん…」
ラプシェイア「シェルージェ、私は公爵家の娘として盗賊たちや彼らの行動を許すことはできないわ…」
「でも盗賊をしていたほうが楽しかったのよね…貴族の生活よりもずっと…」
シェルージェ「その通りだよ、お母さん」
「貴族の孫娘として生きているよりも、ずっと楽しかったよ」
「なんていうかさ、のびのびと自由に生きれたって感じがするもん」
ラプシェイア「のびのび、自由…あなたには押し付けるような教育をするよりも、そういう大らかな育て方のほうが合っていたのだと思うわ…」
「でものびのびと自由にあなたを育てることはできなかった…貴族の血や誇りがどうしてもそれを許さなかった…」
ラプシェイア「お父様もそう考えていた…私以上に…」
オルブラング「そうだな…」
一方オルブラングはシェルージェの話を聞いて、
オルブラング(心の中で)「(キャプテン・ゼベルク…)」
「(あの凶悪な海賊が亡くなっていたのか…)」
「(それにこの公都で闇市が開かれていたとはな…)」
「(兵士たちに調べさせ、取り締まりを強化せねばなるまい…)」
ここでオリンスが、
オリンス「まあいいじゃないですか、もう過ぎた事です」
「シェルージェちゃんはその3年の間、今までよりも楽しく生きることができたんです」
「僕はそれが何よりだと思っていますよ」
オルブラング「緑色の髪の君がオリンス君なのか?」
オリンス「はい!お祖父様!」
オルブラング「君はナプトレーマでうちのシェルージェと出会い共に行動したようだが、具体的にはシェルージェとはどういう関係なのかね?」
オリンス「はい!将来シェルージェちゃんと結婚したいくらい彼女を愛しております!」
「お祖父様!どうか僕とシェルージェちゃんの仲をお認めください!」
オルブラング「シェルージェ…お前は彼のことをどう思っているんだ?」
シェルージェ「うーん…ナプトレーマでは美味しいご飯を食べさせてくれたり、ピラミッドやイビサーレ島(※9)では一緒に戦ってくれたりしたけど、シェルージェからしたらオリンスは大事なお友達かなあ…」
オルブラング「オリンス君、シェルージェは君のことを恋人ではなく、友達だと思っているようだが…」
オリンス「だったら世界中の誰よりも僕がシェルージェちゃんの友達になってみせます!」
「そしてゆくゆくは友情から大きな愛へと発展させてみせます!」
マーシャ「あらあら、随分前向きなお方ね」
オルブラング「念のため聞くが、君はどういう家系の生まれなのかね?」
「私たちのような貴族の出なのか?」
オリンス「いえ!ルスカンティア王国の山奥の村で暮らす木こりの息子として僕は生まれました!」
オルブラング「つまり一般国民の子なのか?」
オリンス「僕自身はそうですが、親友のお父さんはルスカンティア王国の子爵なんです!」
「まあ僕自身が貴族でないことに変わりはありませんが」
オルブラング「子爵家とも繋がりがあるとはいえ、一般国民の子が王族に匹敵する権力や資産などを持つ公爵家の娘と釣り合うと本気で思っているのかね?」
オリンス「本当の愛があれば、身分の差などまったく関係ありません!」
シェルージェ「うーん、今のとこシェルージェにそこまでの愛はないんだけどなあ…」
オルブラング「……」
「もういい。私は疲れた…」
「まだ話があるのなら、明日以降にしてくれ…」
マーシャ「分かりました。今日はもうゆっくりお休みください」
シェルージェ、ラプシェイア、オリンスたちは寝室を出た。
そして広い廊下で、
オリンス「シェルージェちゃんへの想い、きっとお祖父様に伝わったはずだよ!」
シェルージェ「そうかなあ?」
「なんかお祖父ちゃん、オリンスに呆れていたような気もするんだけど…」
マーシャ「まあオリンスさんのことはともかく、シェルージェちゃんが家に帰ってきてくれて、お祖父ちゃん、すごく喜んでいるはずよ」
シェルージェ「そうだよね…お祖父ちゃん、シェルージェのお顔が見れて嬉しいって言ってたもんね…(※10)」
ラプシェイア「お祖父ちゃんも含め、私やお母様もずっとあなたのことが心配だったのよ」
マーシャ「家族だけじゃないわ。他の貴族の方々もあなたを心配していた…」
ラプシェイアやマーシャはシェルージェが家出した後のことを話した。
(※中編へ続きます)




