第38話(前編) シェルージェ memory ④ ~ 船旅、砂漠旅、目指すは盗賊団のアジト ~(前編)
38話目です。
海賊というのは豪快で威勢がいいイメージありますね。
そのためキャプテン・ゼベルクというキャラもそういう溌剌としたイメージで考えてみました。彼が77歳(3年前当時)のご老人であっても海賊であるのなら。
ちなみに今回ゼベルクが口にする「海に生きる海賊たちの知恵ってもんだ!」の台詞には元ネタがあります。
(※今回の話も前編と後編に分かれています)
<主な登場人物の紹介>
◎シェルージェ・クランペリノ(女・当時15歳)
・黄色い髪をしている名門公爵家クランペリノ家の人間で、3年前の大公(※サフクラントの国家元首)オルブラング・クランペリノの孫娘。
マナーや教養にうるさい貴族の生活が嫌になり、さらに最愛の父マグダイドを亡くしたことで、家出を決意。荷物をまとめ実家である王宮を抜け出す。
公都(※サフクラントの首都)でロイズデン(偽名ヨークガルフ)たち盗賊と出会い、彼らと共に公都を脱出する。
今は少しでも周りにバレないよう、緑色のかつらを被り、伊達メガネをかけて変装している。
この物語における重要人物の一人。
○ヨークガルフ(本名:ロイズデン・ギナデルク)(男・当時44歳)
・サフクラント公国の南の国、ナプトレーマ王国(※1)の元騎士団員。
騎士団員から盗賊になった男。
ヨークガルフは盗賊としての偽名。
騎士団から盗んだ「スカラベのケペシュ」という鎌型の剣を使いこなす。
公都でシェルージェと出会い、共に行動するようになる。
○モルバッサン(男・当時43歳)
・ナプトレーマ王国で暗躍する盗賊。
ロイズデン(偽名ヨークガルフ)を盗賊の仲間に誘った一人で、今ではロイズデンにとっては良き相棒。
モルバッサンは盗賊としての偽名。
「イエロースコーピオンのケペシュ」という剣を使いこなす。この剣はサソリの尾のような形をしており、モルバッサンがケペシュに魔力を込めると剣の先端が伸びる。
○キャプテン・ゼベルク(男・当時77歳)
・ナプトレーマ王国やサフクラント公国の近海などを縄張りとしていた海賊の頭。
キャプテン・ゼベルクの名は海賊としての名前であり、彼の本名ではない。
ゼベルクの海賊団はロイズデンの盗賊一味とは同盟関係にあり、よく行動を共にしている。
豪快で威勢のいい性格で、ロイズデンたちとも仲がいい。
白髪頭で三角帽子を被り、白い髭を蓄えている。
「黒鰐の舶刀」という舶刀を武器にしている。
☆○オドン(男・当時39歳)
・ナプトレーマ王国で暗躍する盗賊。
モルバッサンと共にロイズデンを盗賊の仲間に誘った一人。
オドンは盗賊としての偽名。
石板を武器にし、魔力を込めると巨大なナイルフグを具現化できる。
オドンは具現化したナイルフグを「ミウルス」と名付けている。
誕生日は7月9日。
☆○ダルハリド(男・当時41歳)
・ロイズデン一味の盗賊。
ダルハリドは偽名で本名は不明。
(☆:新キャラ)
(名前のみ登場)
▲ガレスディンガー(男・享年38歳)
・サフクラントの公都に住んでいた市民。闇市で儲けたり、詐欺行為をしたりと、生前の彼は真っ当な人生を歩んでいなかった。
禍々しい魔力を放つコブラの彫刻に触れたことで、精気を吸い取られ死亡した。
△アッデム(男・当時31歳)
・ゼベルク一味の海賊だった男。
△ビサローム(男・当時33歳)
・ロイズデン一味の盗賊だった男。
ビサロームは偽名で本名は不明。
シェルージェが大公の孫娘であることを知り、高貴な彼女と行動したくないと思い、他の仲間たちと共に一味を去った。
(引き続き3年前の回想シーン)
3年前、ケルビニアン暦2047K年6月前半。
サフクラント公国の岩絵海岸に現れた海賊船「ブラック・クロコダイル号」。
シェルージェ・ヨークガルフ(ロイズデン)・モルバッサンの三人は船に乗り込んだ。
ヨークガルフとモルバッサンは同盟相手である船長のキャプテン・ゼベルクにコブラの彫刻を破壊したことを報告し、
キャプテン・ゼベルク「よくやってくれたな。正直、破壊どころかあの彫刻が見つかるとも思ってなかったぜ」
「闇市に品が流れていったら探すのは困難だからよぉ」
ヨークガルフ「俺のほうもうまくいくとは思ってなかった」
「だがあんたが言っていた骨董品屋のオヤジが思い当たる人物やその居場所を教えてくれたからな。そのおかげだ」
キャプテン・ゼベルク「あの骨董品屋は昔から裏で闇市と通じているからな」
「まあ俺みたいな77のジジイの知識が役に立って良かったよ」
ヨークガルフ「闇市を通じ彫刻を手に入れたのはガレスディンガーという公都に住む男だった」
「奴は高い値で他所に転売しようとしたのか、単に自分のコレクションにするだけだったのか、彫刻を手に入れたその目的までは分からなかった」
「だが一つ言えるのは、あの彫刻の魔力で犠牲になる人間を減らせたことだ」
モルバッサン「もしガレスディンガーが他の奴に彫刻を売ってたら、手に入れた奴が魔力に呑まれ死んでいたかもしれないからな」
ヨークガルフ「まあガレスディンガー自身はそのどす黒い魔力で死んじまったんだろうが、今回の目的は果たしたと思っているよ」
モルバッサン「俺たちが公都に行ったのは、「盗まれたコブラの彫刻を見つける、もしくは破壊する」ってことだからな」
ヨークガルフ「とはいえ一応死人も出た。少しは後味の悪さを感じているよ…」
キャプテン・ゼベルク「彫刻を持っていた俺が言うのもなんだが、あまり気にするな」
「ガレスディンガーって奴がどういう人間かは知らねぇが、闇市や詐欺で儲けているような奴だ」
「真っ当な最期を迎えられなくても仕方ねぇよ」
ヨークガルフ「それもそうだな……」
ヨークガルフ「あと、あんたの船から彫刻を盗み出したアッデムって男の行方は最後まで分からなかった」
モルバッサン「この国の盗賊とかに彫刻を渡し、そいつ自身はどっかに逃げたんだろうな」
キャプテン・ゼベルク「アッデムのことも気にしなくていいさ」
「初めから俺が集めた宝を盗むつもりだったんだろう。仲間になる振りをしてな」
ヨークガルフ「まったく…」
「そもそもあんたがあんな危険な彫刻をコレクションしてなきゃ、こんな事にはならなかったんだぜ」
キャプテン・ゼベルク「そう言うなよ、ヨークガルフ」
「高価だろうがやべぇもんだろうが、いろいろ集めんのが俺の趣味なんだからよぉ」
モルバッサン「盗賊としてその気持ちが分からんわけでもないが…」
キャプテン・ゼベルク「あのコブラの彫刻は時折禍々しい魔力を放ってたからな」
「だから俺も魔力を封じ込める特殊な布を巻いて保管してたんだが…」
ヨークガルフ「あれで時折の魔力かよ。ガレスディンガーの部屋にあったときは、どす黒い魔力を大量に放ってたぞ…」
キャプテン・ゼベルク「だったら奴と接触したことで、彫刻の魔力が暴走したのかもな。まあ今はとなって推測の域だがよぉ」
コブラの彫刻に関する話が終わり、ゼベルクはヨークガルフと一緒にいるシェルージェのことで、
キャプテン・ゼベルク「ところでヨークガルフ」
「お前と一緒にいるその緑の髪のお嬢さんは一体誰なんだ?」
「それにお前と一緒について行ったビサロームたち三人もいねぇじゃねぇか?」
「一体どういう訳なんだ?俺に話を聞かせてくれよ」
ダルハリド(仲間の盗賊)「そうだな。頭やモルバッサンが無事だったのは何よりだが、あいつらのことも気がかりだぞ」
ルシア(シェルージェ)「じ、じゃあ、ルシアちゃん、みんなに自己紹介するね」
ヨークガルフ「待て、ルシア」
「お前の代わりに俺が全部話してやるよ」
ヨークガルフ(ロイズデン)はシェルージェの本名、公爵家で現大公の孫娘であること、シェルージェのことでビサロームたちが一味を抜けたことなどを話した。
ダルハリド「それじゃあその娘、クランペリノ家の人間で、しかも現大公の孫娘だって言うのか…」
盗賊①(怒りながら)「頭!あんたとんでもないことしてくれたんじゃないのか!」
ヨークガルフ「シェルージェが誰であろうと自由を求めている」
「俺はその手助けをしたまでだ…」
ダルハリド(怒りながら)「だからその娘を俺たち盗賊の仲間にするってわけか、おい!」
ヨークガルフ「盗賊や海賊は自由なもんだろ?」
「俺だって元は真っ当な職業の人間だったんだ。一味にどんな立場の人間がいたとしてもそれも自由のうちだと思うぜ…」
盗賊①「はっ!とんだロリコン頭だな!」
「今回ばかりは心から見損なったぜ!」
ダルハリド「名門公爵家の出で現大公の孫娘、こんな娘を誘拐していたのが国にバレたら、俺たちは全員処刑されるだけだぞ!」
盗賊①「確かに俺たちはならず者の盗賊たちだ」
「心の底から処刑を恐れているわけじゃねぇが、一日でも長生きしたいとは思ってんだよ!」
シェルージェ「だ、大丈夫だよぉ、シェルージェちゃんがいる限りそんなことはさせないから、ね」
モルバッサン「ここは黙ってろ、シェルージェ」
「今のお前の言葉はダルハリドたちには届かない」
ダルハリド「ビサロームたちの気持ちもよく分かる!」
「その娘と一緒に行動していくのはリスクがデカすぎる!」
盗賊①「それならビサロームたちと同様、俺たちも一味を抜けさせてもらうぜ!」
ヨークガルフ「分かった、分かった」
「好きにしてくれ、俺は止めねぇから…」
ここでゼベルクが、
キャプテン・ゼベルク「ハッハッハッ!そうか一味を抜けるか!」
ダルハリド「ゼベルク!あんたはヨークガルフの行動に何も思わねぇのか!?」
キャプテン・ゼベルク「姫様の誘拐だあ?」
「いいじゃねぇか、そこまでできる盗賊なんか今時まずいねぇよ」
海賊①(ゼベルクの部下)「まったくだ、盗賊どころか海賊だってそんな度胸のある奴はそうそういねぇな」
盗賊①「あんたらが何を言ったて、俺は頭のことを肯定しないからな」
キャプテン・ゼベルク「考え方は変えられねぇか…」
「まあ、お前ら二人をナプトレーマの陸地までは連れて行ってやるよ」
(脅すような口調で)「だから航海中は大人しくしているんだな。お前ら自身の身の安全のためにもよぉ…」
ダルハリド「チッ!」
盗賊①「おい、オドン」
「お前は何も言わねぇが、どうなんだ?」
オドン「俺は頭を信じるぜ、何があってもな」
ダルハリド「まあお前はモルバッサンと一緒にヨークガルフを盗賊としてスカウトした奴だからな」
「俺たちよりも頭のことを慕っているんだろうよ」
盗賊①「だが、オドン」
「お前がどう考えていようが、俺とダルハリドはここで抜けさせてもらうぜ」
オドン「好きにしろよ。頭だっていいって言ってんだからよぉ」
シェルージェ(心の中で)「(なんかシェルージェのせいでギクシャクしちゃったなあ…)」
次の日、船の上で、
シェルージェ「なんか緑いっぱいの島が見えるよ」
キャプテン・ゼベルク「あそこはマデーラ島(※2)だ」
「島の照葉樹林地帯は太古の森の姿そのままだっていわれてるんだぜ」
ヨークガルフ「確かあの島は「サフクラントの真珠」とも呼ばれているんだよな」
海賊①「それだけ神秘的できれいな島だってことだ」
シェルージェ「シェルージェ、そんな島がサフクラントにあるなんて初めて知ったよ」
キャプテン・ゼベルク「おいおい姫様、ありゃあ自分の国の領土なんだぜ」
「せめて頭の中には入れとけよ」
ヨークガルフ「仕方ねぇよ」
「勉強が大嫌いだから国内の地理すらもよく知らねぇんだとよ」
キャプテン・ゼベルク「ハッハッハッ!いろんな意味で面白ぇ姫様だなあ!」
ダルハリド(小声)「(チッ!人の気も知らないで呑気なもんだぜ!)」
数日後、ナプトレーマ王国の海岸にたどり着き、
シェルージェ「へぇ、ここが砂漠の国ナプトレーマかあ」
「緑のあるサフクラントとは全然違うねぇ」
モルバッサン「砂漠は初めてなんだよな、砂ぼこりとかもすごいから気をつけてくれよ」
ヨークガルフ「しかし今回も大した読みだったな、船長」
「航海中、騎士団の警備船に全く遭遇しなかったしよぉ」
キャプテン・ゼベルク「ハッハッハッ!無駄な争いを避けるのも海に生きる海賊たちの知恵ってもんだ!」
盗賊①「まあ何であれナプトレーマに戻ってきたんだ、俺とダルハリドはここで失礼するぜ」
ダルハリド「送ってくれて感謝するぜ、ゼベルク」
ヨークガルフ「お前ら、盗賊稼業は続けるんだったよな…」
盗賊①「俺もダルハリドも別の盗賊団に入るさ」
「だから今度砂漠で会ったときは敵同士だろうな」
ダルハリド「まあ、あんたのことを心底嫌っているわけじゃない」
「精々殺し合いにならないことを祈ってるよ」
ヨークガルフ「ああ、そうだな…」
ダルバリドともう一人の盗賊は去っていった。
ヨークガルフやシェルージェたちもゼベルクに別れのあいさつをし、
ヨークガルフ「それじゃあ、ゼベルク。俺たちも失礼するぜ」
モルバッサン「ここまで送ってくれてありがとうよ」
キャプテン・ゼベルク「ハッハッハッ!礼を言うのは俺のほうだ!」
「あのコブラの彫刻を探し当てて破壊してくれたんだからな!」
シェルージェ「シェルージェ、ヨークさんたちについて行くよ」
「ありがとうね、ゼベルクさん」
キャプテン・ゼベルク「貴族の姫様、ヨークガルフは今盗賊をやっているが、こいつは元ナプトレーマの騎士団員だぜ」
シェルージェ「えっ!?ヨークさんって騎士団の人だったの!?」
ヨークガルフ「余計なこと言いやがって…」
キャプテン・ゼベルク「元だろうと、そこは騎士団員」
「ノーブルプリンセス(※3)を守るのがお前の役目だってことを忘れんなよ」
ヨークガルフ「忠告として受け取っておく」
オドン「心配すんなよ、頭」
「シェルージェのことに関しては俺たちもできる限り協力するからよぉ」
キャプテン・ゼベルク「よぉーし、お前ら!」
「錨を上げて、船を出せ!」
海賊②「キャプテン!次はどこへ行くんだ?」
キャプテン・ゼベルク「おうよ!ナプッサーラの港町(※4)だ!」
「いつも通り民間の船を装って補給を受けるぞ!」
海賊③「それじゃあ、黒鰐の船首像も収納して、帆も白い無地のやつに変えねぇとな」
海賊④「あの港町に行けるのは楽しみだ!」
「白い建物が立ち並ぶあの港町は、とにかく海産物が美味いからな!」
海賊⑤「おまけに裏で海賊と取引している商人たちが何人もいるとこだ!」
「補給にはもってこいだぜ!」
ゼベルクの海賊一味は出航した。
ゼベルクたちと別れ、砂漠を歩くヨークガルフやシェルージェたち。
ヨークガルフたちは、砂漠の砂が目に入らないよう、布を巻き、顔を隠している。
一方シェルージェは自分の顔がまず知られていない異国のナプトレーマに来たことで緑色のかつらを外したが、目を守るため、伊達メガネはまだかけている。
移動中に、
シェルージェ「ヨークさんって、元騎士団員だったんだ」
「初めて知ったよぉ」
ヨークガルフ「あまり俺の口からは言いたくなかったんだがな…」
シェルージェ「騎士団の人たちって世の中じゃ立派だと思われてるんだよ」
「なのに盗賊になっちゃうなんて」
ヨークガルフ「そこにいるモルバッサンとオドンが俺を盗賊に誘ったんだよ」
「俺は最初乗り気じゃなかったんだがな」
モルバッサン「だけどあんたは来てくれたじゃないか」
「約束の時間より少しだけ過ぎてたが、あの広場に(※5)」
「あの時は本当に嬉しかったねぇ」
オドン「あんたに声をかけた俺たちの目に狂いはなかったってことだ」
ヨークガルフ「正直ギリギリまで迷ってたよ、あん時は…」
「だが騎士団の生活に限界を感じたから、俺は盗賊になったんだろうな…」
シェルージェ「なんだかそう考えると、ヨークさんもシェルージェちゃんに似てるね」
ヨークガルフ「そうだな…お前も貴族の生活に嫌気を感じたから、俺たちについてきたんだしな…」
モルバッサン「似た者同士だからこそ、頭はシェルージェを放っておけなかったんだろ?」
ヨークガルフ「…」
砂漠を歩き続ける一行。時間も夜になり、
シェルージェ「うー、寒」
「砂漠ってこんなに寒いとこなの?まるで氷の世界じゃん」
ヨークガルフ「日中は暑いが、夜は冷え込む」
「砂漠ってのは一日の寒暖差がすげぇんだよ」
シェルージェ「すごいのは分かったけど、本当に寒いよぉ!」
「シェルージェ、風邪引いちゃうよぉ!」
モルバッサン「もう少しだけ辛抱してくれ」
「もうじき集落にたどり着く」
オドン「俺たちだってむやみやたらに砂漠を歩いているわけじゃない」
「ちゃんとアジトまでの道のりを考えて動いているんだ」
夜になったがなんとか町までたどり着いた。そして町の宿の食堂で、
シェルージェ「わぁ!パンに美味しそうなお肉!」
「これ全部食べていいのぉ!」
ヨークガルフ(小声)「(アジトの中じゃこんな豪勢な食事は出せねぇ)」
「(俺たちの仲間になる歓迎ってことで食べてくれ)」
シェルージェ「ありがとうね!シェルージェ、美味しくいただくよ」
ヨークガルフ「牛肉や羊肉を香ばしく焼いたんだ」
「どれも美味いぞ」
シェルージェ「えっ、豚さんのお肉はないの?」
ヨークガルフ「この国と隣のダールファンじゃ宗教的な理由で豚はほとんど食わねぇんだよ」
シェルージェ「えー、豚さん食べないってすごくもったいないよぉ」
「サフクラントの人たちはイベリコ豚のお肉が大好きなんだよぉ」
ヨークガルフ「古くからの風習だ。俺に言ってもしょうがねぇ」
一方モルバッサンとオドンは、
モルバッサン(小声)「(しかしこんないい宿に泊まれたのもシェルージェのおかげだな)」
オドン(小声)「(実家から持ってきた金は自由に使っていいって言うんだ)」
「(だったらここはお言葉に甘えようぜ)」
(※後編へ続きます)




