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第30話(中編) イビサーレ島、オーレ!(中編)

(※第30話の中盤です)

島の奥へと進むクレードたち、目の前に変わった建造物が、

クレード「吊り上げられたゴンドラ…」

 「向こう岸へ渡るにはあれに乗れというわけか?」

サフクラント兵⑲(マタドールナイト)「その通りでございます!このビスカーヤン橋(※18)は魔法の力で動く運搬橋です!」

 「ゴンドラに乗り川を渡ってください!」

ネフェルーグ「ゴンドラは止まっているようですが、動かすことは可能なのですか?」

男「そういうことでしたら、俺たちに任せてください」

クレードたちの前に橋を管理する橋番の男たちが現れた。


橋番①「マタドールナイトではない人たちも多くいますが、皆さんは異国からの援軍ですかい?」

橋番②「まあ、どなただろうと向こう岸へ渡りたいっていうんなら、力を貸しますぜ」

サフクラント兵⑲(マタドールナイト)「お前たち、まだいたのか!」

サフクラント兵⑳(マタドールナイト)「急いで避難するんだ!どこから魔獣が現れるか分からんのだぞ!」

サフクラント兵⑲(マタドールナイト)「我々騎士団の中には橋のことを知っている者たちもいるのだ!必ずしもお前たちがここにいなければならない理由はない!」


橋番①「ハッハッハッ!化け物が怖くて橋番が勤まりますか!」

橋番②「このビスカーヤン橋はムーンリアス全土に誇れる運搬橋!その橋の管理を任されている俺たちの心はヤワじゃねぇってことです!」

橋番①「どんな状況だろうと渡りたい人たちの力になるのが俺たちですよ!」


サフクラント兵⑳(マタドールナイト)「橋に対してどういう想いがあろうと、お前たちは騎士団員のような戦いのプロではない!我が身を守るためにすぐ避難するのだ!」


ネフェルーグ「私としては橋番である皆様のお力をお借りしたいのですがね」

サフクラント兵⑲(マタドールナイト)「ネフェルーグ殿!?しかし…」

ネフェルーグ「皆さんの橋番魂、このナプトレーマ王国騎士団団長のネフェルーグ・ラバルペリドが評価いたしましょう」

橋番①「なんと!ナプトレーマ王国騎士団の団長でしたか!」

橋番②「騎士団長から褒められたのなら、絶対にヘマはできねぇ!」

 「お前ら、ゴンドラを動かすぞ!持ち場につけ!」

他の橋番たち「オーッ!」


橋番①「さあ皆さん、急いでゴンドラに乗ってください!」

 「まもなく動きますぞ!」

橋番②「一度に全員を運ぶことはできません!3回は往復しますので、慌てずお乗りください!」

沖津灘「それじゃあ向こう岸までよろしゅう頼むたい!」

ワイヤーで吊り上げられたゴンドラが動き出し、クレードやネフェルーグたちは乗り込んだ。


そして動くゴンドラの上で、

ホヅミ「わあ、どんどん進んでいってぇ面白いですぅ」

リンカ「観光目的で島に来たわけじゃねぇだべが、これはいい思い出になるだ」

アンシー「そうね、いい眺めだわ」

ススキ「世の中にはこういう橋もあるのね…」


橋番③「そういえば、さっき空飛ぶ絨毯に乗って川を渡った者がいましたよ」

 「高い所を飛んでいたんで顔はよく分かりませんでしたが、その者は全身黄色い恰好をしていました」

ネフェルーグ「信じられぬかもしれませんが、その黄色い恰好の方はクランペリノ公爵家のシェルージェ様です」

橋番③「何ですって!?あの公爵家のシェルージェ様なのですか!?」

ネフェルーグ「ええ、サフクラントのご実家を飛び出し、シェルージェ様は南のナプトレーマ王国へと来ていたようで…」


橋番③「シェルージェ様とは本当に驚きですよ」

 「シェルージェ様といえば3年間も行方不明になっていたらしいですからね」

イザベリス「サフクラントの方々はその事実を前から知っていたのですか?」

イザベリスの父がサフクラントのピスパルカー侯爵そうろうこうしゃくだとは知らない橋番が話し始め、

橋番④「いえいえ、我々サフクラントの一般国民が、クランペリノ公爵家のシェルージェ様のことを知ったのはほんの数日前の話ですよ」

 「サフクラントの出身者がシェルージェ様らしき黄色い長い髪の女性を見かけた…そういう情報がナプトレーマ王国の伝令隊により我が国に伝わり、情報を聞いた現クランペリノ公爵、つまりシェルージェ様の母君であるラプシェイア様が、娘が3年も行方不明になっていたという事実を初めて公表したのですよ」


イザベリス(心の中で)「(シェルージェ様を見かけた出身者はこの私なのだが、ここでは無理に言わなくてもいいだろう…)」

イザベリスは自分がシェルージェを見かけたことやピスパルカー侯爵そうろうこうしゃくの娘であることをあえて口にせず、話を進めた。


イザベリス「ではそれまでシェルージェ様が行方不明になっていたという事実を一般国民たちに隠していたのですか?」

橋番④「ええ、ラプシェイア様や大公様はシェルージェ様の件を公表すると同時に、事実を隠していた事も謝罪したのです」

ネフェルーグ「まあとにかく我々はこの後、マデレウス騎士団長や島を治めるジードランネス公爵ともお会いすることになると思いますので、詳しい話などはまた聞いてみますよ」


ここで他の橋番が、

橋番⑤「シェルージェ様だけでなく、緑色の馬に乗ったマスクとスーツの者もここに来ましたな」

 「乗っていた馬を海亀の姿に変え、亀に乗って川を渡っていきましたよ」

 「すごい魔力を持っている人だと驚きましたが、その人は皆さんと同じ援軍の方で、シェルージェ様の護衛役などをしているのですか?」

クレード「まあ、一応そんなとこだが…」


鵺洸丸「むっ!」

ゴンドラで移動中、鵺洸丸は川の中にいる「何か」に気づき、

鵺洸丸「離れた所ではあるが、川の中に何かいる…」

 「もしや怪魚どもを産んだ親魚かもしれん…」

 「それがし、確認して参る…」


クレード「鵺洸丸、手を貸すか?」

鵺洸丸「いや、クレード殿は強きお方…」

 「今は騎士団と行動するのが良かろう…」

クレード「そうか…」

鵺洸丸「島にどのような物の怪が出現するか分からぬ以上、クレード殿の力はまだ取っておきたい…」


ススキ「鵺洸丸さん、それでしたらクレードさんではなく私が残ります」

鵺洸丸「ススキ殿…」

ススキ「このビスカーヤン橋を守りながら、鵺洸丸さんを待っています」

 「川の中のアンモ(※19)が手強いと思ったら、私を呼びに来てください」

鵺洸丸「ススキ殿…感謝いたす…」

鵺洸丸は潜水道具である水竹筒を手に取り、川の中に潜った。


アンシー(心の中で)「(ススキ…誰よりも鵺洸丸が心配だから気を遣っているのね…)」


橋番③「まあ、最低でもあと5回はゴンドラを動かさなきゃならねぇからな、俺たちとしても誰かが守りに就いてくれたほうが心強い」

橋番④「橋の守りは任せたぜ、ワトニカの嬢ちゃん」

ススキ「ありがとうございます。くノ一の私なら高い所や水の中でも存分に戦えます」


最初に橋を渡ったクレードやネフェルーグたちは、橋の守りをススキたちに任せ先へ進んだ。


夜になり、この日は島の砦で一泊することになった。

そしてクレードたちは砦で、バンリ帝国ランフォン特別区出身の拳法家、タオツェイ・ネイザンロドンという男と出会い、


タオツェイ「まさか、このサフクラントでワトニカの相撲取りと出会うことになるとはな…」

 「想像もつかなかったよ…」

沖津灘「ハッハッハッ!だったら大関経験者であるオイに出会ったあんさんは運がいいたい!」

タオツェイ「あくまで経験者か…どうせなら俺は現役の大関に会いたかったよ…」

 「俺はワトニカの相撲に詳しいわけではないが、横綱に次いで強いのが大関だということは知っている…」

沖津灘「そいつは申し訳ないたい」

 「だが現役なら今この島にいるはずはなかとよ」

タオツェイ「フンッ。ならばお前は力士として異端者ということか?」

沖津灘「ハッハッハッ!相撲会から見ればとんだはみ出し者たいが、今以上に強うなって再び土俵に上がる意志ば持っとーばい!」


クレード「沖津灘は力士としては問題のある男かもしれないが、強くなろうとする意志は確かだ」

タオツェイ「そうか。何であれ俺は強さを求める奴を悪く言ったりはしない…」

 「己の信じる道を行くことだな…」


沖津灘「ハッハッハッ!タオツェイ殿、オイば励ましてくれたことに感謝するたい!」

 「礼と言ってはなんですたいが、タオツェイ殿の修行にお付き合いするたい」

 「今ここでかかってきてもよかとよ」

沖津灘は立ち合いとして両手を床につけた。


アンシー「ちょっと止めてよ、沖津灘。砦の中は相撲をする場所じゃないのよ」

タオツェイ「修行に付き合ってくれるのはありがたいが、今、島には化け魚どもが多くいる…」

 「落ち着いたら相手をしてくれ…」

沖津灘「だったら明日はオイと組んでもらいますたい」

タオツェイ「何?」

沖津灘「オイの実力がどれほどのものか、その目で見てほしかたい」

タオツェイ「いいだろう…期待させてもらう…」


クレード(心の中で)「(タオツェイ…この男を仲間にしてもいいかもな…)


次の日7月2日。

島の砦で一泊したクレードやネフェルーグたちは、それぞれの場所へと向かった。


ネフェルーグやイザベリスたちナプトレーマからの遠征部隊は、シェルージェ(イエロー)とオリンス(グリーン)の跡を追うため、中心街のソロ・クリストバルダーデ地区へ。


クリスターク・ブルーの能力で空を飛べるクレードは、山側を調査するため標高の高いテイデルト山(※20)へ。


魔獣退治を任されたアンシー・ホヅミ・リンカ・沖津灘・タオツェイたちもまたそれぞれの場所へと向かった。

アンシーは風車の丘とも呼ばれるプッチ・フダス・ムリンス地区(※2)へ。

ホヅミとリンカたちは島の遺跡、メメリダの考古遺跡(※21)へ。

沖津灘とタオツェイたちは山間の村、トラムントターナ村(※22)へ。



ここはイビサーレ島、風車の丘プッチ・フダス・ムリンス地区。

風を受けて回る風車のそばでアンシーは怪魚型の魔獣たちと戦っていた。

アンシー「この丘にある風車や墓地も私が守ってみせるわ!」

怪魚型魔獣たち「ギッギッ!」


アンシー「あなたたちには丘に吹く爽やかな風じゃなくて、天から降る宝石をプレゼントするわ!」

 「ヴィースロココ・ヒンメルシュムック(※23)!」

アンシーは音楽を奏でた。

『ヴィースロココ・ヒンメルシュムック:♫♫♪♩♫♬♪♬』


ホワイトコーラルハープより奏でられた音符やト音記号などの光弾は五線譜に乗りながら空へと昇り、そして光弾は宝石のような形となり魔獣たちを目掛け勢いよく落ちていった。

怪魚型魔獣たち(断末魔)「ギャ…」


アンシーの光弾攻撃に兵士たちも驚き、

サフクラント兵㉑(マタドールナイト)「おお、何という強さ!」

 「とても音楽家の方とは思えん!」

サフクラント兵㉒(マタドールナイト)「楽器を奏で、光弾を作るなど、我が国の音楽家たちにできる芸当ではない!」


一方魔獣たちを倒したアンシーは丘の上の風車を見ながら、

アンシー(心の中で)「(風車か…ウインベルクの隣のキンデルダムにはたくさんあるのよね…)」

 「(もしクレードがキンデルダムの人間だったら、クリスタルナンバーズを解散した後も気軽に会いに行けそうだわ…)」

アンシーはクレードのことを考えていた。



ここは島の遺跡、メメリダの考古遺跡。

円形の劇場や競技場、寺院や水道橋などが遺跡として今も残っている。

この遺跡に現れた怪魚型の魔獣たちを退治するため、ホヅミとリンカが来ていた。


怪魚型魔獣たち「ギッギッ!」

ホヅミ「リンカさぁん、ちゃんとぉ戦えますかぁ?」

リンカ「大丈夫だ!おらも古代の遺跡を守ってみせるだ!」


怪魚型魔獣たち「ギチッ!ギチッ!」

リンカ「いくだ!遺跡節を奏でるだ!」

リンカは津軽三味線を弾き始めた。


リンカ「ステージⅠ。定住の開始」

 「垣ノ島遺跡節」


津軽三味線から溢れ出る光弾が土器の形になり、光る土器は魔獣たちを勢いよく吸い込んだ。

そしてリンカが曲を弾き終えると、魔獣たちを吸い込んだ土器が爆発した。

怪魚型魔獣たち(断末魔)「ギ…ギ…」

リンカ「凶暴な物の怪は土坑墓の中で眠っているといいだ」


ホヅミ「ほへー、リンカさんにぃこんな技があったなんてぇ驚きですぅ!」

サフクラント兵㉓(魔法使い)「魔法使いの私でも驚きですよ!高度な魔法ともいえるくらいです!」

サフクラント兵㉔(マタドールナイト)「一体どうやって彼女はあのような技を身につけたのだ!?」

ホヅミを含めリンカの妖力(※ワトニカでは魔力を「妖力」)に皆が驚いていた。



ここは島の山村、トラムントターナ村。

棚田や段々畑、石垣などの景色が特徴的なこの村で、沖津灘とタオツェイは戦っていた。

沖津灘「カットグラス・緑泡張り手たい!」

タオツェイ「紅王蘭流・霓燈光脚げいとうこうきゃく

 (怪鳥音)「アチャーッ!」


沖津灘とタオツェイの強さに兵士たちは驚き、

サフクラント兵㉕(マタドールナイト)「ワトニカの相撲取り…ランフォンの拳法家…二人とも、なんという強さだ…」

サフクラント兵㉖(マタドールナイト)「こんな急斜面で、あれだけの戦いができるなんて…」


沖津灘「奉献の基本技・富寿神宝寄り倒しぃ!」

怪魚型魔獣(断末魔)「ギ…ギャ…」

沖津灘の寄り倒しにより、怪魚型は地面に叩きつけられた。


タオツェイはそんな沖津灘を見て、

タオツェイ(心の中で)「(この男、思っていた以上に強いな…これが大関だった力士の実力というわけか…)」

 「(だが強いのはこの男だけではないだろう…)」

 「(沖津灘と一緒にいたクレードという剣士と、アンシーという音楽家の女も相当な魔力を放っていた…)」

 「(うまく戦いに応用しているのなら、間違いなく強いはずだ…)」


沖津灘「奉献の基本技・銅鏡押し倒しぃ!」

怪魚型魔獣(断末魔)「ギャ…ババ…」

沖津灘「銅鏡押し出しぃ!」


タオツェイ(心の中で)「(サフクラントで準団員として戦っていくことよりも、沖津灘やクレードたちと旅に出たほうが俺にとってはプラスになるかもな…)」



ここはテイデルト山。標高3718mの火山で、サフクラント公国の最高峰。

クリスターク・ブルーに変身したクレードは、サファイア・アビリティ「ジェイブルーウイング」を発動させ、青き鳥の翼で山頂付近までやって来た。


牙犬型魔獣たち「ウガーッ!」

爪犬型魔獣たち「ギャルルーッ!」

ブルー(心の中で)「(山頂付近にいるのは怪魚型ではなく、ザコの牙犬型や爪犬型どもか…)」

牙犬型魔獣「ジャンガーッ!」


ブルー(心の中で)「(倒すだけなら簡単だ…)」

 「(ならば、この戦いで新しい価値を生み出してみるか…)」


爪犬型魔獣「ギャム!ズーッ!」

ブルー「お前らには俺の修行の相手をしてもらう」

 「新たな技を編み出すためにな」


牙犬型魔獣「ウガーッ!」

ブルーは襲いかかってくる牙犬型や爪犬型の魔獣たちを次々と魔蒼剣で斬った。


まずは普通に剣を振るい魔獣たちを倒していくブルーであるが、彼は戦いの中、周りに生えているある植物に気づき、

ブルー(心の中で)「(色鮮やかで細長い植物があるな…)」

 「(兵士たちから聞いた話だと、あの植物は「エキウム・ウィルドプレッティ」といったな)」

 「(細長い形で小さな花々が螺旋状に咲く、その見た目から「宝石の塔」とも呼ばれているらしい…)」


牙犬型魔獣「ウガガーッ!」

ブルー(戦いながら心の中で)「(宝石の塔…宝石の輝士団クリスタルナンバーズの一員である俺に相応しい技になりそうだ…)」

爪犬型魔獣「ギャム!ババーッ!」

ブルー「技のイメージはつかめた、かかってこい」

爪犬型魔獣「ギャバーッ!」


魔獣たちがブルーに襲いかかってきたが、ブルー(クレード)は、

ブルー「魔蒼剣・エキウムジュエルタワースラッシュ」

ブルーは魔蒼剣を持った右手を高く上げ、思いっきり振り下ろした。

振り下ろすと同時に細長い形をした青いエキウム・ウィルドプレッティ形のオーラが発生し、そのオーラと剣の力で魔獣たちを切り裂き、倒した。

魔獣たち(断末魔)「ギャ…フ…」

ブルー「火炎や雷でもない、基礎的なオーラの剣技だが、魔獣たちを倒す力にはなった…」


ブルー(クレード)は一人で300匹程度の魔獣たちを倒した。



ここは立派な城壁を構えるルルゴーン地区(※24)の砦。

この砦の前に多くの怪魚型魔獣たちが現れた。

怪魚型魔獣たち「ギッ!ギッ!」

サフクラント兵㉗(マタドールナイト)「くっ!魔獣どもが!」

サフクラント兵㉘(マタドールナイト)「堅牢な城壁があるとはいえ、油断できん!」

 「我々で迎え撃つぞ!」

兵士たち「オーレ!」

城壁の外側に出た兵士たちは魔獣たちと戦い始めた。


戦闘中、中心街のソロ・クリストバルダーデ地区へ向かうネフェルーグやイザベリス、ナプトレーマ王国騎士団が駆けつけ、

ネフェルーグ「砦の方々に申し上げます。私はナプトレーマ王国騎士団団長のネフェルーグ・ラバルペリドでございます」

 「イビサーレ島に大量の魔獣が出現した知らせを聞き、ナプトレーマより援軍として参りました」

サフクラント兵㉙(マタドールナイト)「ネフェルーグ騎士団長でいらっしゃいますね!皆様のことは伝令隊より聞いております!」

 「行方不明になっていたシェルージェ様と共にこの島に来られたと!」

ネフェルーグ「申し訳ありませんが、今はシェルージェ様と同行してはおりません」

 「シェルージェ様は島に着くや否や、ソロ・クリストバルダーデ地区へ向かうため、一人で行動されましたので」

サフクラント兵㉚(マタドールナイト)「シェルージェ様のことも伝令隊より聞いております!」

 「何でも変わったお姿となり、絨毯に乗り空を飛んだと!」

サフクラント兵㉛(ナプトレーマ騎士団と行動中の)「とにかく我々はシェルージェ様を追わなければならない!」

 「このルルゴーン地区の魔獣どもを倒したら、急ぎソロ・クリストバルダーデ地区へ向かうつもりだ!」


イザベリス「シェルージェ様をお守りするためにも、早急に魔獣たちを片付けます!」

サフクラント兵㉜(マタドールナイト)「あ、あなた様はピスパルカー侯爵そうろうこうしゃくのご息女、イザベリス様では!?」


サフクラント兵㉛(ナプトレーマ騎士団と行動中の)「イザベリス様のお顔を存じている者たちはこの島にもそれなりにおります」

 「だから無理に隠さず伝令隊にも伝えたのですが…」

イザベリス「私が誰であれ、今は一人の戦士として扱っていただいて構いません」

 「ピスパルカー侯爵そうろうこうしゃくは私の父ですが、母とは離婚しているのです」

 「だから私は侯爵そうろうこうしゃく家の娘ではなく、ナプトレーマ王国騎士団員の一人として戦いたいのです」

サフクラント兵㉜(マタドールナイト)「イ、イザベリス様…」


怪魚型魔獣たち「ギッ!ギッ!」

イザベリス「話は以上です。早くこの魔獣たちを倒しましょう」

サフクラント兵㉜(マタドールナイト)「ハッ!」

怪魚型魔獣たち「ギッ!ギッ!ギジャーッ!」


ネフェルーグたちは戦いを始めた。

ネフェルーグはラーレのケペシュを手に持ち、

ネフェルーグ「大いなる太陽の神よ…我がケペシュに力を…」

燃え上がる炎を纏ったネフェルーグのケペシュ。

火炎剣による攻撃で魔獣たちを次々と倒した。


怪魚型魔獣たち(断末魔)「ギ…ギ…」

サフクラント兵㉝(マタドールナイト)「なんという剣技!あれがナプトレーマ王国騎士団団長のお力か!?」

ネフェルーグの強さにサフクラントの兵士たちは驚いた。


イザベリス「ネフェルーグ騎士団長におくれは取りません!」

イザベリスはネクベトのケペシュを手に持ち、

イザベリス「神聖なる鳥、エジプトハゲワシの力を受けてもらいます!」

イザベリスはケペシュに自身の魔力を込め、エジプトハゲワシ形の斬撃を放った。

飛ぶ斬撃を食らい魔獣たちは次々と倒れていった。


イザベリスの魔力や強さに兵士たちも驚き、

サフクラント兵㉜(マタドールナイト)「イザベリス様にあれほどのお力が…」

ナプトレーマ王国の兵士たちがイザベリスについて話し、

ナプトレーマ兵③(遠征部隊・女性・イシスナイト)「彼女は私たちナプトレーマ王国騎士団の中でもかなりの実力者ですよ」

ナプトレーマ兵④(遠征部隊・女性・イシスナイト)「4月に大学を卒業し入隊したばかりですが、強い魔力を放つケペシュを使いこなせているのです」


そしてナプトレーマ兵士たちも、

ナプトレーマ兵⑤(遠征部隊・ファラオナイト)「騎士団長やイザベリスにばかり頼ってはいられん!」

 「ケペシュを取れ!我々も加勢するぞ!」

ナプトレーマ兵たち「オーッ!」



ここは島の中心街ソロ・クリストバルダーデ地区。

色鮮やかな建物に、ヤシの木々や花壇の花々が目につくきれいな街並み、聖堂、教会、広場などがある島の中心街。


先に向かったシェルージェとオリンスは、昨日サフクラント公国騎士団団長のマデレウスたちと合流し中心街にいた魔獣たちを倒した。


しかし魔獣の群れが今日再び現れた。


怪魚型魔獣たち「ギッ!ギッ!」

シェルージェ「もおー!何なのよぉ!」

 「昨日あんなに倒したのに、また何匹も現れて!」

サフクラント兵㉞(マタドールナイト)「お下がりください、シェルージェ様!」

 「騎士団の立場として、あなた様を戦わせるわけにはいきません!」

シェルージェ「別に気を遣わなくてもいいよ!」

 「シェルージェ、そんなに弱くないもん!」

サフクラント兵㉟(マタドールナイト)「し、しかし…」


マデレウス(騎士団長)「ハッハッハッ!忠告などは気にせず我が道を行くその生き方」

 「相変わらずですな、シェルージェ様も!」

サフクラント兵㉞(マタドールナイト)「き、騎士団長!?」

シェルージェ「マデレウスさんの言う通りだよ!シェルージェは簡単に止まらないんだから!」

オリンス「大丈夫だよ、シェルージェちゃん!」

 「君には俺がついている!」

マデレウス(騎士団長)「ハッハッハッ!当てにしておりますぞ、オリンス殿!」

オリンス「任せてください!シェルージェちゃんのためならどんな敵とだって戦います!」


怪魚型魔獣たち「ギッ!ギッ!」

シェルージェ「オリンス!お化け魚たちが来るよ!」

オリンス「教えてやるさ!シェルージェちゃんを愛する俺の力を!」


怪魚型魔獣たち「ギッンブ!ギギッ!」

魔獣たちがシェルージェたちに襲いかかってきた。

シェルージェ「サンフラワーブーメラン!思いっきり投げちゃうよ!」

回転しながら飛ぶサンフラワーブーメランに当たり魔獣たちは次々と倒れていった。


怪魚型魔獣たち(断末魔)「ギ…ギギ…」

サフクラント兵㊱(マタドールナイト)「一度にあれだけの魔獣を退治なさるとは…」

サフクラント兵㊲(マタドールナイト)「昨日の戦いといい、驚きを隠せません…」

サフクラント兵㊳(女性・マタドールナイト)「シェルージェ様のお力、お見それいたします…」


オリンスもまた、

怪魚型魔獣たち「ギン!ギョーッ!」

オリンス「シェルージェちゃんを傷つけさせるものか!」

 「いくよ!ベリル号!」

ベリル号「ヒヒーッ!」

ベリル号に乗ったオリンスは翠電槍を持ち、魔獣たちに向かっていった。

オリンス「ハァァッ!」

オリンスは雷を放つ翠電槍で魔獣たちを突き刺し次々と倒した。

怪魚型魔獣たち(断末魔)「ギ…ベッ…」


魔獣たちを倒すオリンスは心の中で、

オリンス(心の中で)「(グリーンに変身しなければ上手く扱えなかった翠電槍も、今なら存分に扱える!)」

 「(シェルージェちゃんを想う気持ちが俺を強くしたんだ!)」

 「(生身でも翠電槍を扱えるくらいに!)」


そしてマデレウスも戦おうと、

マデレウス「ハッハッハッ!シェルージェ様もオリンス殿も大したものですな!」

怪魚型魔獣たち「ギッ!ギッ!」

マデレウス「それでは私も力をお見せいたしましょうか」

明るく笑っていたマデレウスは表情を変え、鋭い目つきで魔獣たちを睨みつけた。


マタドールナイトのマデレウスは赤い布「ムレータ」を大きく振り、魔獣たちを挑発した。

マデレウス「さあ、来るがいい」

怪魚型魔獣たち「ギッ!ギッ!ギッ!」

魔獣たちはムレータの激しい動きに興奮し、マデレウスに向かって行った。


マデレウスは素早い動きで魔獣たちの攻撃をかわし、持っているエストック(※25)で次々と魔獣たちを刺し、倒した。

怪魚型魔獣たち(断末魔)「ギ…レ…」

マデレウス(ポーズを決めて)「オーレ!」


サフクラント兵㊴(マタドールナイト)「さすがは騎士団長!我らマタドールナイトの誇りです!」

サフクラント兵㊵(マタドールナイト)「我々も騎士団長に続くぞ!」

兵士たち「オーレ!」


クレードやシェルージェたち、ネフェルーグたちナプトレーマ王国騎士団、マデレウスたちサフクラント公国騎士団により島の魔獣たちは退治された。

(※後編へ続きます)

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