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第24話(後編) 決戦のピラミッド!(後編)

(※第24話の後半部分です)

ブルーたちは鯱型魔獣の6つの首に一斉攻撃した。


1つ目の首に、

ブルー(ジェイブルーウイングで空を飛びながら)「青きオーラの剣で貴様を討つ」

ブルーは魔力のオーラを纏った剣で鯱型の首を一つ斬った。


2つ目の首に、

ホワイト「首ばかり動かして体を動かさないあなたにはマーチ(行進曲)を贈るわ!」

 「ヴィルベルムスーベン・水の芸術とパークマーチ(※7)!美しい緑の公園でマーチよ!」

ホワイトはマーチ(行進曲)を奏でた。 

『ヴィルベルムスーベン・水の芸術とパークマーチ:♫♬♩♬♩♫♪♬』

一直線に並んだ音符やト音記号などの形をした光弾が鯱型の首を討つ。


3つ目の首に、

ネフェルーグ「今こそ「ラーレのケペシュ」の力を見せるとき!」

ネフェルーグはケペシュに魔力を込めた。するとケペシュから火炎が噴き出た。そしてケペシュの火炎が鯱型の首を焼き尽くす。

3頭目の鯱型魔獣「グギャッ!?」

ここでイザベリスも、

イザベリス「騎士団長!援護いたします!」

 「神聖なる鳥、エジプトハゲワシの力を宿りし「ネクベトのケペシュ」よ!」

 「今こそ力を!」

イザベリスもケペシュに魔力を込めた。そしてケペシュを振りエジプトハゲワシの形をした斬撃を鯱型の首に向けて放った。

3頭目の鯱型魔獣(断末魔)「グ…ギャ…」

3頭目の鯱型魔獣はネフェルーグとイザベリスの攻撃を食らい倒れた。


4つ目の首に、

イルビーツ「魔神ラジャナーンよ!邪悪なる鯱型に火炎の息を食らわせるのだ!」

魔神ラジャナーン「フォー…」

ラジャナーンは口から息を吸い込み、そして燃え盛る火炎の息を吐いた。

魔神ラジャナーン(火炎の息を吐きながら)「ブォォォ!」

4頭目の鯱型魔獣(叫び声)「ギャビーッ!」

火炎の息が鯱型の首を焼き尽くす。

そしてここでロイズデンが、

ロイズデン「ランプの魔神か、大した能力だな」

イルビーツ「シェルージェ様を誘拐したお前などに評価されたいとは思わないぞ」

ロイズデン「別にいいさ。だが手は貸してやるよ、ダールファンの副騎士団長」

そう言ってロイズデンは持っているスカラベのケペシュに魔力を込め、大きな球体の光弾を鯱型の首に向けて放った。

4頭目の鯱型魔獣(断末魔)「グ…ギャ…」

4頭目の鯱型魔獣はイルビーツとロイズデンの攻撃を食らい倒れた。

イルビーツ「やるな。今は盗賊であっても、さすがは元騎士団員の実力ということか」

ロイズデン「俺の昔話は後でネフェルーグにでも聞けよ」


一方で、

ロイズデン(心の中で)「(さてと、モルバッサンたちも待ってることだし、そろそろずらかるとするか…)」

 「(あばよ…シェルージェ…)」

 「(今度こそ本当にさよならだろうな…)」


5つ目の首に、

ホヅミは三枚の歩兵の駒を相手の陣地まで動かした。そして、

ホヅミ「歩兵さんたち!「成る(※8)」ですぅ」

駒人形(歩兵)たち「!」

駒の分身である歩兵の駒人形たちは成ったことにより、金色に輝く「ときん」の駒人形にパワーアップした。

駒人形(と金)たち「ときん!!ときん!!ときん!!」

パワーアップにより、駒人形の攻撃力などが上がった。

ホヅミ「と金さんたち!あの首の長い鯱型に矢を放つですぅ!」

三体の駒人形(と金)たちは金色の弓を構え、そして鯱型の首に向けて高威力の矢を放った。

5頭目の鯱型魔獣(叫び声)「ギャババッ!?」

駒人形(と金)たちの矢が鯱型魔獣にダメージを与えた。

リンカ「ホヅミさん!おらも続くだ!」

リンカは津軽三味線を弾き、約15mの遮光器土偶を動かした。

遮光器土偶(ギュイィィン!)

遮光器土偶は光る目から光線を放った。

5頭目の鯱型魔獣(断末魔)(断末魔)「ギャ…バ…」

光線が鯱型魔獣の長い首を焼き尽くした。

ホヅミとリンカで5頭目の鯱型魔獣を倒した。


そして最後の6つ目の首に、

6頭目の鯱型魔獣「ギャブブ…」

砂の中に隠してある身体を攻撃されたことにより、鯱型魔獣は弱っている。

それを見たグリーン(オリンス)は、

グリーン(疲労している)「キャメル・ベリル号…シェルージェちゃん(イエロー)のためにも俺はまだ頑張りたい…」

 「だから今一度力を貸してほしい…」

キャメル・ベリル号「ブエーン!」

グリーン「ありがとう…ベリル号…」

キャメル・ベリル号に跨ったグリーンは翠電槍を構え、鯱型魔獣の1頭に向かって行った。

グリーン「ハァ…ハァ…」

疲労しているグリーンだが、そこへ兵士たちが、

ナプトレーマ兵①(ファラオナイト)「オリンス殿!我々にも援護させてください!」

ダールファン兵①(サンドナイト)「共に参りましょう!」

グリーン(オリンス)「あ、ありがとうございます…騎士団の皆さん…」

グリーンは兵士たちに礼を言った。

そして鯱型の長い首に翠電槍を突き刺した。

グリーン「ウオオオッ!」

続いて兵士たちも攻撃し、

ナプトレーマ兵①(ファラオナイト)「これでどうだあ!」

ダールファン兵①(サンドナイト)「くたばりやがれぇ!」

6頭目の鯱型魔獣(断末魔)(断末魔)「ギャ…ギャンブ、ブ…」

グリーン(オリンス)と兵士たちの攻撃により、最後の6頭目の鯱型魔獣が倒れた。


鯱型魔獣の6つの首全てを討ち取ったブルーやネフェルーグたち。そして、

ネフェルーグ「よし、鯱型たちの首が再生しないぞ!」

イザベリス「これもシェルージェ様が砂の中の体を攻撃していただいたおかげですよ!」

イルビーツ「体が弱点だったからこそ、こいつらはその部分を隠していたのでしょうね」


ブルー「イエロー(シェルージェ)はどうした?まだ砂の中にいるのか?」

グリーン「シェルージェちゃん…魔獣はもう大丈夫だよ…」

 「早く帰ってきて…」


砂の中ではイエロー(シェルージェ)が、

イエロー「こいつぅぅ!」

イエローはロイズデン(お頭)から貰った大事なナイフにありったけの魔力を込め、鯱型魔獣の体を何度も刺し続けた。

イエローの強大な魔力に耐えられなくなり思い出のナイフは砂の中で粉々に砕け散ったが、魔獣の体も崩れていった。

リンカ「も、物の怪の巨体がどんどん崩れていくだ!」

ホワイト「やったわ!今度こそ私たちの勝利だわ!」


6つの首を持った大型の鯱型魔獣を倒したクレードたち。

砂の中からイエロー(シェルージェ)も出てきて、

イエロー「どうだった、イエローちゃんの活躍!」

 「砂の中の体に思いっきり刺してやったんだから!」

 「まあ、おかしらから貰った思い出のナイフも砕けちゃったけど…」

イザベリス「シェルージェ様!よくぞご無事で…」

グリーン「良かった…無事でいてくれて、本当に良かったよ…」


ネフェルーグがシェルージェに話しかけた。

ネフェルーグ「サフクラント公国のシェルージェ・クランペリノ様でいらっしゃいますね?」

 「私はナプトレーマ王国騎士団団長のネフェルーグと申します」

 「我々騎士団はここ数日ずっとシェルージェ様をお探しして…」


ここで一人の兵士がやって来て、

ナプトレーマ兵⑥(ファラオナイト)「と、盗賊ロイズデンに逃げられてしまいました!」

 「わ、私もラクダを奪われて…」

ナプトレーマ兵⑦(隊長格)「なんだと、いつのまに!?」

イザベリス「くっ!さすがは盗賊の頭というわけですか!」

 「人を欺くのもお手の物とは!」


ナプトレーマ兵⑥(ファラオナイト)「ですがあの男、持っていたケペシュと黒いカットラス(舶刀)、それにシェルージェ様へのお手紙を置いていったようで…」

イエロー(シェルージェ)「シェルージェちゃんにお手紙!?おかしらが!?」

 「それにその黒いカットラス(舶刀)、ゼベルクさんが持ってた「黒鰐の舶刀」じゃん!」

 「まさかシェルージェにくれるっていうの!?」


イザベリス「ゼベルク?」

 「シェルージェ様と関わりになった盗賊の一人でしょうか?」

ネフェルーグ「いや、シェルージェ様がおっしゃっている人物は、キャプテン・ゼベルクのことだろう」

 「奴が持っていた黒鰐の舶刀がそこにあるのだから、間違いない」

イザベリス「騎士団長、キャプテン・ゼベルクとは?」

ネフェルーグ「イザベリスは知らないようだが、かつてナプトレーマ周辺の海を荒らし回っていた海賊の船長の名だ」

イザベリス「か、海賊の船長!?」 

ネフェルーグ「海賊としてはかなりのつわものだった。だがここ数年奴の話は特に聞いていない…」

 「密かに海賊から足を洗ったのか、それとも人知れず亡くなったのか、いずれにせよ奴の現在の消息については分かっていない…」

イルビーツ「そのようなやからもいたのですね…」

ネフェルーグ「ロイズデンめ、まさかその姿を消した海賊とも手を組んでいたのか…」

ブルー(心の中で)「(キャプテン・ゼベルク…頭と共にシェルージェの誘拐事件に関与した海賊の名か?)」

ネフェルーグ「とにかくロイズデンを探すのだ!まだそう遠くへは行っていないはずだ!」


ここでイエロー(シェルージェ)が皆に、

イエロー「止めてよ!お頭は何も悪くないよ!」

 「悪いのはシェルージェちゃんなんだよ…」

 「貴族の暮らしが嫌になって、それでおうちを勝手に飛び出して……」


話の途中であったが、初変身や一度の戦闘でジュエル・アビリティを2つも発動させた疲労などによりイエローはそのまま倒れてしまった。

そして変身も解けて、イエローは元のシェルージェの姿に戻った。また戦闘中イエローのブーツと融合していた愛ラクダのレモン号も元の姿に戻った。

シェルージェ「うっ…」

レモン号(弱々しい鳴き声)「プエー…」

グリーン「シェ、シェルージェちゃん!?」

 「あっ…」

キャメル・ベリル号「ブッ…」

グリーンとキャメル・ベリル号もジュエル・アビリティを発動させた疲労などにより、それぞれ変身が解けて倒れてしまった。


倒れているシェルージェ「うっ…う…」

イザベリス「シェルージェ様!しっかりしてください!」

ネフェルーグ「こうなればシェルージェ様の手当てや保護が最優先だ!」

 「シェルージェ様のお体に気を配りつつ、急ぎ神殿へ戻るぞ!」

イルビーツ「我々も護衛役としてついて行きます!皆でシェルージェ様をお守りいたしましょう!」


倒れているオリンス「ぐっ…く…」

ベリル号「ヒッ…」

ブルー「グリーン、ベリル号、お前たちもか…」

ホヅミ「オリンスさんのぉほうはぁ大丈夫ですかねぇ?」

ブルー「心配するなホヅミ、こいつは簡単にくたばるような奴じゃない」

 「今はこいつよりもシェルージェを気にかけたほうがいい」

ホワイト「まあオリンスはともかく、ベリル号は心配してあげましょうよ…」


ここで隊長格の兵士が、

ナプトレーマ兵⑦(隊長格)「ネフェルーグ騎士団長、逃げたロイズデンにつきましては?」

ネフェルーグ「今はシェルージェ様をお助けすることが何よりだ。奴については可能な範囲で探してくれ」

 「だがそれほど構わなくてもいい。見つからなくてもある程度のところで切り上げてくれ」

ナプトレーマ兵⑦(隊長格)「ハッ!」

ネフェルーグ「シェルージェ様もあの男が処刑されてほしいとは思わんだろう…」


続いてネフェルーグはクレードたちに、

ネフェルーグ「クレード殿、アンシー殿、シェルージェ様はそなたらと同じマスクとスーツ姿の戦士へと変身した」

 「故にそなたらから、スーツの戦士についての話なども聞いておきたいのだが…」

ホワイト(アンシー)「分かりました。分かる範囲でお答えいたします」

ブルー(クレード)「そうだな。あんたらナプトレーマの人間にはまだメタルクロノスのことを話してなかったからちょうどいい」

ネフェルーグ「メタルクロノス?その名は初めて聞きますが」

イルビーツ「メタルクロノス…オリンス殿がおっしゃっていた例の組織のことですね」

イザベリス「組織?何のことなのですか?」


クレードやネフェルーグたちは気を失ったオリンスやシェルージェたちを連れ、蛇型や鯱型の魔獣たちと戦ったピラミッド周辺を後にした。

クレードたちはその後、ナハグニ・ウェンディ・千巌坊・沖津灘たちと合流し、騎士団と共にアガデプトスの町(※9)の砦までやって来た。


オリンス・ベリル号・レモン号はその日の夜のうちに目を覚まし、オリンスは砦のベッドで、

オリンス「シェルージェちゃん、まだ目を覚ましていないなんて…」

アンシー「千巌坊も他の聖侶たちと一緒に回復魔法をかけているわ」

 「明日の朝頃には目を覚ますかもしれないわね」

クレード「初変身でジュエル・アビリティを2つも発動させたんだ」

 「やはり体への負担もでかかっただろう」

オリンス「俺は新しいジュエル・アビリティを一つ発動させただけだから、シェルージェちゃんほど疲れてないと思うけど…」

クレード「だがそれでも一時いっとき気を失ったんだ」

 「今夜はあれこれ考えず、体を休めろ」

ナハグニ「それがいいでござるよ。オリンス殿はもう横になっててくだされ」

オリンス「ごめん、心配かけて…」

リンカ「気にすることねぇだよ」


ここで沖津灘が、

沖津灘「ばってん(※9)、シェルージェ様がクレード殿たちと同じクリスタークの戦士になったってことは、貴族の姫様もオイたちの旅に同行させるわけですかい?」

クレード「目を覚ましたら、それも聞いてみる気だ」

 「この先メタルクロノスと戦っていくにはイエローの力も必要になるだろうからな」

ホヅミ「そういえばぁシェルージェ様はぁ、貴族の生活が嫌でぇ、家を出たってぇ言ってましたよねぇ」

クレード「そう考えると案外あっさり仲間になるって言うかもな」


ここでウェンディが、

ウェンディ「貴族の生活が嫌ってことッスか…」

 「ウチ、シェルージェ様のお気持ち、よく分かる気がするッス」

アンシー「そういえばウェンディは公家、つまり貴族の娘だったわよね」

ウェンディ「貴族の世界なんて、家柄・血筋・名誉なんかが物を言う世界ッス」

 「上流の貴族たちはその地位を維持しようと必要以上に固執し、下級の貴族たちは上流の貴族たちに少しでも気に入られようとやたらとヘコへコするんッスよ」

クレード「ヴェルトン博士も言っていたな、「一見すると華やかな貴族社会にも激しい格差がある」と」

ウェンディ「「貴族はみんな優雅な世界で暮らしている」なんて夢物語ッスよ」

 「実際はその腐敗ぶりを目の当たりにする嫌な世界ッス」

オリンス「貴族社会の腐敗ぶりか…分からなくもないな…」

 「俺も王族や貴族に仕える騎士団の一員として、そういう方々をそばで見てきたからね…」

アンシー「だったらシェルージェ様のように逃げ出したくなる人がいるのも頷けるわね」

ウェンディ「年頃の娘さんなら、尚の事ッス」

 「腐敗ぶりに耐えるのは楽じゃねぇッスから」


ホヅミ「そう考えるとぉウェンディさんはぁ、恵まれてたんじゃないですかぁ」

 「貴族の娘さんなのにぃ柔道にぃ専念できているんですからぁ」

ウェンディ「そうッスね。貴族の娘としてみればウチやレビンディ姉さんは恵まれてるッス」

 「ウチや姉さんも貴族の仕事や振る舞いとかをもっと覚えなきゃいけないのに、好きなことを自由にやらせてくれるんッスから…」

沖津灘「もし故郷のキョウノミヤ藩に帰ったら、ご両親にお礼ば言うのがよかたい」

ウェンディ「押忍。そのときは花街で暮らしている姉さんも連れて行くッスよ」


高さ27mの聖なる尖塔、宮殿やラクダ市などで知られるアガデプトスの町の砦でクレードたちは話していた。


次の日6月20日の朝、同じく町の砦にいるシェルージェは目を覚ました。

シェルージェ「えっ?ここどこ?」

 「シェルージェちゃん、ひょっとして眠っちゃったの?」

女性聖侶「シェルージェ様!お目覚めになられたのですね!」

目を覚ましたシェルージェは昨夜から看病していた女性聖侶に話しかけられた。

シェルージェ「えっ?ま、まあ…」


女性聖侶から知らせを聞き、シェルージェの元へ、ネフェルーグ・イザベリス・イルビーツたちがやって来た。

ネフェルーグ「シェルージェ様、お目覚めになって何よりです」

シェルージェ「えっと…ナプトレーマ王国騎士団のネフェルーグさんだっけ?」

ネフェルーグ「はい。騎士団長のネフェルーグ・ラバルペリドと申します」


続いて、

イザベリス「同じくナプトレーマ王国騎士団のイザベリス・デラムジャールと申します」

シェルージェ「あっ!ピラミッドの前で「シェルージェ・クランペリノ様!」って叫んだ女兵士じゃん!」

 「あの時はヒヤッとしたよ!」

イザベリス「その節はお騒がせいたしました」

シェルージェ「あなた、ナプトレーマの人じゃなくて、サフクラントの人なの!?」

 「だからシェルージェちゃんのこと、知ってたの!?」

イザベリス「はい」

 「おっしゃる通り、私はナプトレーマの騎士団員ですが、生まれはサフクラントでございます」

シェルージェ「えっ!?やっぱりサフクラントの人だったの!?」

イザベリス「生まれはそうなのですよ。私の父はサフクラントのピスパルカー侯爵そうろうこうしゃくでございます」

シェルージェ「ピスパルカー!?サフクラントの中でも名門の侯爵家そうろうこうしゃくけじゃん!シェルージェちゃんでも名前くらい覚えているよ!」

イザベリス「父の家柄を褒めていただき、ありがとうございます」

 「ですが両親は離婚し、私は母の祖国であるナプトレーマ王国までやって来ました」

 「今は母の実家である伯爵家デラムジャール家の一員として暮らしています」

シェルージェ「離婚?お父さんとお母さんが離れ離れになっちゃうってことだよね?大変だなあ」

イザベリス「はい…私もいろいろと思うところがありました…」


イザベリス「ですが私がピスパルカー家の一員だったからこそ、今回シェルージェ様をお探しすることができたのですよ」

シェルージェ「えっ?どういうこと?」

イザベリス「5年前、私は父たちと共にクランペリノ家にまでごあいさつに来たことがあります」

 「そして私もその時シェルージェ様にお会いし、ピスパルカー家の娘として自己紹介をしたのですよ」

シェルージェ「えっ!?ってことはシェルージェちゃん、前にあなたと会ったことがあるわけ!?」

イザベリス「5年前だけではございません。それ以前にも何度かお会いしご挨拶しております」

シェルージェ「えーっ、でもあなたのこと全然覚えてないよぉ」

 「だって男爵家だの子爵家だの毎日のように貴族の一族がクランペリノ家にやって来るから、いちいち覚えてられないよぉ」


イルビーツ「シェルージェ様はお忘れでも、イザベリス殿はしっかりとお顔を覚えていらっしゃったのですよ」

シェルージェ「ターバンのお兄さん?」

 「お兄さんは確かランプの魔神で戦ってた…」

イルビーツ「私はイルビーツ・サウロザーンと申します」

 「ダールファン王国騎士団の副騎士団長でございます」

シェルージェ「ダ、ダールファンってナプトレーマの隣の!?」

イルビーツ「はい。シェルージェ様の捜索にご協力したく、国の騎士団員を引き連れ参りました」

シェルージェ「そ、そうなんだ…悪いねぇ…」

 (心の中で)「(やっぱりダールファンからシェルージェのために来てくれたんだ…)」

 「(おかしらの言ってた通りだったよぉ…)」

イルビーツ「シェルージェ様が特別なお方だからこそ、異国の我々も今回動いたのですよ」

シェルージェ「特別だなんて、そんなそんな…」


ネフェルーグ「シェルージェ様、まずは国王様たちの待つアブジンベルノン神殿(※11)へと急ぎ向かいましょう」

 「国王様も王妃様もシェルージェ様のことをご心配していらっしゃいます。細かい話などはそこで後ほど」


シェルージェが続いて、

シェルージェ「そうだ!シェルージェちゃんがクランペリノ家の人間だってちゃんと証明してあげるよ!」

ネフェルーグ「皆の話などから、あなた様がクランペリノ家のシェルージェ様であることは確かだと思いますが、身元をご確認できるものがございますのなら、ぜひお見せしていただきたいです」

シェルージェ「うん!クランペリノ家の紋章をちゃんと持ってるもん!」

そう言ってパジャマ姿のシェルージェは、たたんで置いてあった自分の衣服を手に取った。

そして衣服に隠していた紋章をネフェルーグたちに見せた。

イザベリス「王冠、ナツメヤシ、縞模様、王宮、農夫の家、灯台…」

 「間違いありません。確かにクランペリノ家の紋章です」


シェルージェ「念のため、中身も見せてあげるよ」

シェルージェは紋章の上の部分を開き、

シェルージェ「3年前の絵だけど、紋章の中にはシェルージェちゃんの肖像画もちゃんと描かれているんだよ!」

 「それにほら、シェルージェちゃんの拇印まであるんだよ!」

 「拇印とお指の指紋が一致すれば、本人ってことでしょう?」


イルビーツ「さすがは公爵家の紋章です」

 「本人確認もしっかりとできるわけですね」

シェルージェ「家出するとき気になったから、つい持ってきちゃったんだ」

イザベリス「では、それからずっと大切に持っていらしたのですね?」

シェルージェ「うん。お頭にも言われたくらいだもん」

 「「その紋章は身分を証明する大切な物だ。いざというときにお前を助けてくれるはずだから、肌身離さず持ってとけ」ってね」

イザベリス「いざというとき、それはシェルージェ様が盗賊として捕まった場合などでしょうね」

ネフェルーグ「ロイズデンは仲間の盗賊たちの中で、誰よりもシェルージェ様のことを想っていたのだろう…」


クレードやシェルージェたちは神殿に向かうことに。

そしてシェルージェは道中クレードたちと話をすることに。

クリスターク・イエローに変身できるようになったシェルージェはクレードたちと旅をしてくれるのか?

次回へ続く。


※1…王国の名前の由来は、「ナイル川」と、古代エジプトの王朝「プトレマイオス朝」より

※2…元ネタはエジプトの世界遺産「メンフィスとその墓地遺跡-ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯」(文化遺産 1979年登録)の「ピラミッド」より

☆※3…島の名前の由来は、イギリスの世界遺産「オークニー諸島の新石器時代遺跡中心地」(文化遺産 1999年登録)より

※4…「ジュエル・アビリティ」とは、クリスタークの戦士一人一人がそれぞれ発揮できる「固有の特殊能力」。ブルーなら鳥のような翼で空を飛んだり、グリーンなら乗っている馬(エメラルド・ベリル号)をラクダ(キャメル・ベリル号)に変えたり、イエローならブーツとラクダ(愛ラクダのレモン号)を融合させたりといったところ。

なおホワイトはまだ「ジュエル・アビリティ」を発動させていない。

またブルー・グリーン・イエローたちにしても、今後戦いの中で更なる特殊能力を引き出せる可能性がある。

※5…オリンスもシェルージェを保護したことを兵士に報告せず勝手に連れ回し、クレードもまたシェルージェを誘拐したロイズデンのことを兵士に報告しなかったため、クレードは自分とオリンスの考え方が大差ないと思ったのだろう。

※6…元ネタは青森の方言、津軽弁など。『おっかねえ』は「怖い」など、『だはんで』は「だから」、『けやぐ』は「友達」、『ありがとごす』は「ありがとう」の意味。

☆※7…マーチの名前の由来は、ドイツの世界遺産「ヴィルヘルムスヘーエ城公園」(文化遺産 2013年登録)より

※8…「成る」とは将棋の用語。自分の駒(飛車・角・銀・桂・香・歩の駒)が相手の陣地に入ると「成る」ことができる。成ることで駒が動ける範囲も変わるので、駒の「強化」といったところ。

※9…元ネタは博多弁。『ばってん』は「しかし、だが、だけども」などの意味。

☆※10…町の名前の由来は、ニジェールの世界遺産「アガデス歴史地区」(文化遺産 2013年登録)より

※11…神殿の名前の由来は、エジプトの世界遺産「アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群」(文化遺産 1979年登録)より

(☆:物語初登場の世界遺産)

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