第23話(前編) No.4 クリスターク・イエロー(前編)
23話目です。4人目の戦士に関する話です。
この度、今年7月に行われた世界遺産検定準1級の試験に合格しました。
検定準1級所持者が描く世界遺産劇をどうぞお楽しみください。
(※今回の話も前編と後編に分かれています)
<主な登場人物の紹介>
<クレード一行 計11人>
◎クレード・ロインスタイト(男・?歳)
・青色の髪をしている本作の主人公である魔法剣士。
持っている剣の名は「魔蒼剣」、盾の名は「アイオライトの盾」。
魔法の宝石グラン・サファイアにより、クリスターク・ブルーに変身できる。
自分の出身地や年齢など、過去の記憶をいろいろなくしている。
宝石の輝士団 クリスタルナンバーズ No.1
◎オリンス・バルブランタ(男・29歳)
・緑色の髪をしている元ルスカンティア王国騎士団の騎士。
馬にまたがり騎兵として戦うことが多い。使う武器は槍(翠電槍他)と斧。愛馬の名はベリル号。
魔法の宝石グラン・エメラルドにより、クリスターク・グリーンに変身できる。
現在、公爵家の孫娘シェルージェと一緒に行動している。
宝石の輝士団 クリスタルナンバーズ No.2
○ナハグニ・按司里(男・31歳)
・ワトニカ将国リュウキュウ藩出身の侍。自称、うちなー侍。
日本の世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」(文化遺産 2000年登録)からイメージしたキャラ。
愛用している刀の名は「グスク刀」。
○ウェンディ・京藤院(女・20歳)
・洋風な名前だがワトニカ将国キョウノミヤ藩出身。柔道家。
日本の世界遺産「古都京都の文化財」(文化遺産 1994年登録)からイメージしたキャラ。
○千巌坊(男・39歳)
・ワトニカ将国キノクニ藩出身の僧(坊主、お坊さん)。
日本の世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」(文化遺産 2004年登録)からイメージしたキャラ。
○沖津灘(男・32歳)
・ワトニカ将国ヤハタ藩出身。ワトニカ大相撲の現役力士で、大関経験者。
日本の世界遺産「「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」(文化遺産 2017年登録)からイメージしたキャラ。
△アンシー(No.3)・鵺洸丸・ホヅミ・ススキ・リンカ
<その他人物>
◎シェルージェ・クランペリノ(女・18歳)
・黄色い髪(※長髪)をしている女盗賊。「ルシア」という偽名で本名を隠す。
貴族の国サフクラント公国の前大公の孫娘だが、貴族の生活が嫌になり家出した。盗賊の頭ロイズデンたちの力を借り、南のナプトレーマ王国(※1)へやって来た。
「サンフラワーブーメラン」というブーメランを武器にする他、ナイフや投げナイフなども扱える。
現在オリンスと二人で行動している。
この物語における重要人物の一人。
○レモン号(メス・4歳)
・シェルージェがオリンスと二人だけで行動している時、購入したメスのラクダ。
まだ買ったばかりだが、シェルージェはレモン号のことをとても気に入っている。
誕生日は5月10日。
○イルビーツ・サウロザーン(男・35歳)
・ダールファン王国東部の騎士団を束ねる副騎士団長(三人いる副騎士団長の一人)。
行方不明になっているシェルージェの捜索に協力するため、クレードや兵士たちと共にダールファン王国の東の国ナプトレーマ王国へとやって来た。
○ネフェルーグ・ラバルペリド(男・52歳)
・ナプトレーマ王国騎士団団長。
「ラーレのケペシュ」と呼ばれる鎌型の剣を使いこなす、ファラオナイト(※)。
(※ナプトレーマの騎士団員は、男性の場合「ファラオナイト」、女性の場合「イシスナイト」と呼ばれる)
○イザベリス・デラムジャール(女・21歳)
・ナプトレーマ王国騎士団の女兵士。
「ネクベトのケペシュ」と呼ばれる鎌型の剣を使いこなす、イシスナイト。
ナプトレーマ王国の兵士ではあるが、王国の北にあるサフクラント公国の出身。
ナプトレーマ王国内でサフクラントの前大公の孫娘シェルージェを見かけた人物。
○ロイズデン・ギナデルク(男・47歳)
・盗賊団の頭で、北のサフクラント公国で出会ったシェルージェを仲間に入れ、彼女を盗賊として育てた。
シェルージェからは頭として慕われており、ロイズデン本人もシェルージェのことを大切に思っている。
一方でロイズデンはシェルージェを故郷に帰したいとも思っており、クレードに彼女を託そうとするが、オリンスにシェルージェを連れて行かれてしまった。
そして6月19日の今日、クレードからシェルージェに関する報告をピラミッド(※2)の前で聞く予定ではあるが…
名剣「スカラベのケペシュ」を使いこなす。
△遠賀川親方(男・61歳)
・沖津灘が所属する遠賀川部屋の親方。
最高位は東関脇と、現在時代は今の沖津灘ほどではないが強かった。
破天荒な沖津灘に日々頭を抱えているが、海外修行など許すところは許している。
日本の世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(文化遺産 2015年登録)の構成資産「遠賀川水源地ポンプ室」からイメージしたキャラ。
なお「産業革命遺産」からイメージしたキャラは他に7人いる。
(ヤスナリ・コハル・イズヨ・タタラ・ヨゼルフ・アキシゲ・リョウフウの7人)
今回は名前のみの登場。
ケルビニアン暦2050K年6月19日。
カダミリスの町(※3)で兵士たちから、ピラミッドの中から大量の蛇型魔獣が出てくる話を聞いたオリンスとシェルージェは、
シェルージェ「オ、オリンス」
「ピラミッドに蛇の魔獣がいっぱいいるんじゃシェルージェたち近づけないよぉ」
オリンス「…」
オリンスは少し黙ってしまったが、小声で口を開き、
オリンス(小声)「(シェルージェちゃん、これを君に渡しておくね)」
シェルージェ「これ、お金の入ったお財布じゃん!」
「何で今シェルージェに渡すの!?」
オリンス(小声)「(シェルージェちゃん、静かに)」
続いてオリンスは、
オリンス(小声)「(シェルージェちゃん、俺、ピラミッドに行ってくるよ)」
シェルージェ(小声)「(えっ!?何で今行くの!?危ないよぉ!)」
オリンス(小声)「(危ないと思うけど、俺は騎士なんだ)」
「(魔獣たちがいるのなら、俺は戦うよ)」
シェルージェ(小声)「(だ、大丈夫なの?)」
オリンス(小声)「(大丈夫、クリスターク・グリーンは強い緑の戦士だよ)」
「(魔獣たちが何百、何千と現れようと絶対勝ってみせるよ)」
シェルージェ(小声)「(オ、オリンス…)」
オリンス(小声)「(まあでもピラミッドでは兵士たちも戦っているだろうからね)」
「(一緒に行動すれば数日間勝手な行動をしたことを咎められるだろうし、シェルージェちゃんのことも兵士たちにバレちゃうと思う…)」
「(いや、クレードならルシアと名乗った女の子がシェルージェちゃんだと気づいたかもしれない。それでもう兵士に報告しているのかも)」
シェルージェ(小声)「(それじゃあシェルージェちゃんがいたってことももう騎士団にバレてるわけ?)」
オリンス(小声)「(そうだろうね。クレードなら俺がシェルージェちゃんを連れ去ったと話すと思う)」
シェルージェ(小声)「(どうしよう…シェルージェの前に兵士たちが来そうで怖いよ…)」
オリンス(小声)「(だからしばらく宿でじっとしていて。さっき渡したお財布には二週間以上寝泊りできるだけのお金が入っているから)」
「(君が今どこにいるのかは絶対兵士たちに言わない。ピラミッドにいる魔獣たちを倒したら、急いで戻ってくるよ)」
「(君を盗賊のお頭に会わせるっていう約束は絶対に守る)」
「(そのためなら俺はクレードたちや騎士団を敵に回しても構わない)」
シェルージェ(小声)「(オリンス、そこまでシェルージェのことを…)」
シェルージェは下を向いた。そして、
シェルージェ(小声)「(大丈夫だよ、オリンス)」
「(シェルージェちゃんもオリンスと一緒に行くよ)」
オリンス(小声)「(シェルージェちゃん、どうして!?)」
「(シェルージェちゃんに戦いなんて危ないと思うし、兵士に保護されたらもうお頭とは会えないかもしれないんだよ!)」
シェルージェ(小声)「(オリンスだって覚悟を決めたんだもん。次はシェルージェの番だよ)」
「(それにシェルージェに戦う力がないと思ったら、大間違いだよ)」
「(シェルージェちゃんは「サンフラワーブーメラン」っていう、魔力いっぱいのすごいブーメランを持ってるもん)」
「(このブーメランすごいんだよ、どう投げたってちゃんとシェルージェちゃんのところに戻ってくるんだから)」
オリンス(小声)「(シェ、シェルージェちゃん…)」
シェルージェ(小声)「(とにかくもう行こうよ、オリンス)」
「(蛇の大群なんて二人でやっつけちゃおうよ)」
オリンス(小声)「(分かったよ、シェルージェちゃん。俺は君の覚悟を信じるよ)」
シェルージェ(小声)「(よろしくね、騎士さん)」
オリンス(小声)「(俺は騎士として何があっても君を守る!だから安心して!)」
シェルージェ(小声)(笑顔で)「(うん!)」
シェルージェはオリンスに財布を返した。そして、
シェルージェ(小声)「(ねえオリンス、どうせなら派手にやらない?)」
オリンス(小声)「(えっ?)」
シェルージェ(小声)「(街の中だけど、もうここで変身しちゃいなよ)」
「(シェルージェももう自分のことばらしちゃうから)」
オリンス(小声)「(よーし、あれこれ考えず突っ走っちゃおう!)」
シェルージェ(小声)「(そうこなくっちゃ!)」
オリンスが荷物袋からグラン・エメラルドを取り出し、クリスターク・グリーンに変身した。周りはそれに驚き、
市民①(男性)「何だあの男は!?体が光って変身したぞ!?」
市民②(女性)「見慣れないマスクとスーツ姿!?一体何者なの!?」
兵士たちも駆けつけ、
ナプトレーマ兵①(ファラオナイト)「緑色のマスクとスーツ姿…」
ナプトレーマ兵②(ファラオナイト)「もしやダールファン王国から来たオリンス殿では!?」
グリーン(オリンス)「そうです。オリンス・バルブランタです」
「国王様や騎士団のお力となるため、隣のダールファン王国から参りました」
ナプトレーマ兵①(ファラオナイト)「やはりそうでしたか。オリンス殿のことは伝令隊より聞いておりますよ」
「騎士団の活動(※シェルージェの捜索の事)にご協力していただき感謝いたします」
グリーン(オリンス)「そう言っていただけると、こちらもナプトレーマへと来た甲斐がありました」
そして、
ナプトレーマ兵②(ファラオナイト)(小声)「(オリンス殿、黄色い髪の女性をお連れのようですが、この方はもしや…)」
グリーン(オリンス)「はい。彼女はシェルージェ・クランペリノ様です」
「私たちが捜索している公爵家のお孫様です」
シェルージェ(ラクダのレモン号に乗りながら)「はーい!私、シェルージェ・クランペリノちゃんでーす!」
「サフクラントの前大公の孫娘だよ!」
ナプトレーマ兵①(ファラオナイト)「な、なんと!?」
シェルージェのことを聞いた周りの市民たちが、
市民①(男性)「ク、クランペリノ!?」
「サフクラントの公爵家のお方がこの町に!?」
市民②(女性)「さっき何か「捜索」って言っていたけど、それはどういうことなの!?」
ナプトレーマ兵②(ファラオナイト)「み、皆様!これには特別な事情がございまして…」
ナプトレーマ兵①(小声)「(オリンス殿、シェルージェ様、詳しいお話は町の砦でお聞きしますので、ここはどうかご内密に!)」
グリーン(オリンス)「申し訳ございませんが、私とシェルージェ様はこれよりピラミッドへ向かいます」
シェルージェ「バッチリ戦ってくるよ。あとのことはよろしくね」
グリーン「エメラルド・アビリティ!キャメル・ベリル号!」
馬のエメラルド・ベリル号はラクダのキャメル号に変わった。
シェルージェ「お願いね、レモン号!」
レモン号「プエッ!」
キャメル・ベリル号に乗ったグリーンとレモン号に乗ったシェルージェは走り去った。
その様子を見た市民たちが、
市民③(男性)「う、馬がラクダに変わった!?」
市民②(女性)「ちょっと本当にどういうことなのよ!?いろいろ説明してよ!」
ナプトレーマ兵②(ファラオナイト)「ですから、今全てお話しするわけには…」
ナプトレーマ兵①(ファラオナイト)(心の中で)「(なんということだ!市民たちの前では事を荒立てぬはずだったのに!)」
カダミリスの町を出て、ひと気のない郊外の砂漠にまで来た二人、しかしそこにも蛇型魔獣たちが待ち構えていた。
蛇型魔獣たち「ジャーッ!」
シェルージェ「やばいよオリンス、こんな所まで蛇でいっぱいだよ!」
グリーン(オリンス)「大丈夫だよシェルージェちゃん!翠電槍を前に突き出して突撃するから!」
翠電槍を突き出したグリーンの突撃により蛇型魔獣たちが倒れていく。
蛇型魔獣たち(断末魔)「ジャッ…」
その様子を後ろから見ていたシェルージェは感激して、
シェルージェ「す、すごいよ!オリンス!」
そしてグリーン(オリンス)に、
シェルージェ「ねえオリンス、シェルージェちゃんもクリスタークの戦士になれないかな?」
「オリンスの戦いぶりを見てたら、シェルージェちゃんも変身してみたくなったよ」
グリーン(オリンス)「そうだね、きっといけるはずだよ!」
「シェルージェちゃんならクリスタークの戦士になれる、俺は信じているよ!」
続いてグリーン(オリンス)は、
グリーン(オリンス)「変身ができるようになるグラン・ジェムストーンはクレードが持ってるよ」
「人の意志や魔力に反応するグラン・ジェムストーンはいつどこで誰を選ぶか分からないから、クレードは戦闘中でも完成品のジェムストーンを袋に入れて持ち歩いているんだ!」
シェルージェ「よーし!だったらそのクレードさんを見つけて絶対変身するんだから!」
グリーン「そうだね!砂漠を進みながらクレードを見つけよう!」
蛇型魔獣たちを倒しながら砂漠を進む二人は、タッシリナジェルンの砂漠(※4)までやって来た。
浸食作用によって形成された数々の奇岩、古代の人々が残した多くの岩絵などがあるこの砂漠で、クリスターク・ブルー(クレード)、ナハグニ、ウェンディ、沖津灘たちやナプトレーマ王国騎士団が蛇型魔獣たちと戦っていた。
ナハグニ「グスク刀・今帰仁の太刀!」
ナハグニは刀による連続斬りで蛇型魔獣たちを倒した。
ウェンディ「押忍!比叡・延暦四方固ッス!」
「上!縦!横!崩上!」
柔道の抑込技、上四方固・縦四方固・横四方固・崩上四方固を次々と決め、ウェンディは蛇型魔獣たちを倒した。
沖津灘「奉献の基本技・銅鏡押し出しぃ!」
まるで巨大な銅鏡に押し出されるような力により、蛇型魔獣たちは倒れていった。
千巌坊「回復の小妖術 浅陽治光・連灯…」
一度に複数の人間を回復させる連灯の術式により、兵士たちの傷が癒えた。
ナプトレーマ兵③(ファラオナイト)「助かった。恩に着るぜ、坊さん」
千巌坊「皆を手当てすることが私の役目…」
仲間たちと一緒にいた千巌坊は後方で兵士たちの手当てをしていた。
クリスターク・ブルーに変身しているクレードのところまでやって来たクリスターク・グリーン(オリンス)とシェルージェ、そして、
ブルー(クレード)(怒っている)「オリンス!お前今までシェルージェ様を連れて何をしていた!」
「お頭から話は聞いた!俺はルシアと名乗った女盗賊がシェルージェ様だということを知っているぞ!」
グリーン(オリンス)「クレード!俺のことは後回しだ!」
「それよりも今はそっちのシェルージェちゃんにグラン・ジェムストーンを!」
ブルー「なんだと!?何を急に…」
シェルージェ「お願いだよ、青いクレードさん」
「シェルージェ、オリンスの力になりたいんだよ」
「石を頂戴」
ブルー「お待ちください、シェルージェ様。ジェムストーンは誰にでも扱えるわけでは…」
その時ブルーの袋に入っている、グラン・ジェムストーンの一つが強く光った。
ブルー「グラン・ジェムストーンの一つが光っている!?」
「それではシェルージェ様は俺やオリンスたち同様、ジェムストーンに選ばれたってことか!?」
グリーン「ブルー!シェルージェちゃんが選ばれたのならそのストーンは貰っていくよ!」
シェルージェ「ラッキー!これでシェルージェちゃんも変身できるじゃん!」
ブルー「なっ!?」
グリーンはブルーの袋から強く光るジェムストーンを取り出し、シェルージェに渡した。
グリーン「色と宝石はバッチリ決めているよね、シェルージェちゃん!」
シェルージェ「もちろん!色はイエロー、宝石は黄色い水晶シトリン!」
「ラッキーいっぱいの戦士になっちゃうよ!」
グリーン「よーし、だったらその姿を強くイメージして、シェルージェちゃん!」
「そして石を持ちながら「カラーチェンジ&クリスタルオン」って言うんだ!」
シェルージェ「任せてよ!」
強く光るグラン・ジェムストーンを手に持ち、シェルージェは、
シェルージェ「カラーチェンジ&クリスタルオン!」
(心の中で)「(シェルージェなるんだ…黄色い戦士に…オリンスと同じような宝石の戦士に…)」
シェルージェは心の中で黄色い戦士の姿を強くイメージした。
すると彼女の全身が強く光り輝き、シェルージェは黄色いマスクとスーツ(下はスカート)姿の戦士に変身した。
シェルージェ「幸運のシトリン!クリスターク・イエロー!」
グリーン「やったー!シェルージェちゃんもクリスタークの戦士になった!」
ブルー「クリスターク・イエロー!?新たな戦士の誕生か!?」
グラン・ジェムストーンを使い、シェルージェはクリスターク・イエローに変身した。
シェルージェ改めイエロー「うわっ!すっげー魔力!」
「イエローちゃん自身も変身してびっくりだよぉ!」
グリーン「イエロー!早速二人でピラミッドに向かおう!」
イエロー「あ、でもレモン号は普通のラクダの姿のままだよぉ」
「シェルージェがイエローになって強くなっても、レモン号はそのままだから危ないなあ…」
イエローは少し考えて、
イエロー「そうだ、レモン号!」
「イエローちゃんの足と合体してよ!」
「レモン号と合体できたら、すごく速く走れそうだもん!」
レモン号「プエーッ!」
イエローがそう言うと、レモン号の体が光り輝き、丸い光となった。
そしてその丸い光はイエローの足(スーツのブーツ部分)に触れ、ラクダのレモン号はイエローのブーツと融合した。
イエロー「やったー!イエローのブーツからレモン号の気持ちを感じるよ!一つになれたんだね!」
グリーン「さすがだよ、イエロー!きっとレモン号が君の意志に応えてくれたんだよ!」
ブルー(心の中で)「(これはジュエル・アビリティ!)」
「(俺やオリンスも初めての変身で発動させたが、この娘は変身してすぐに発動させた!)」
「(彼女は俺やオリンスよりも素質があるということか!?)」
グリーン「レモン号も一緒ならもう大丈夫だ!」
「さあ行こう、イエロー!」
イエロー「よーし!ピラミッドに向かって出発だ!」
ブルー「グリーン!イエロー!ピラミッドには盗賊のお頭が…」
ブルーはグリーンとイエローにピラミッドで待つロイズデンのことを話そうとしたが、二人は高速で走り去ってしまった。
ブルー「まったく…なんて二人だ…」
「こうなれば俺もピラミッドに行かないとな」
ブルーを翼で空を飛び、少し離れた所で戦っているナハグニ・ウェンディ・沖津灘のところまで来た。
そしてグリーン(オリンス)やイエロー(シェルージェ)のことを話し、
ウェンディ(戦いながら)「押忍!オリンスが連れ去ったシェルージェ様がクリスタークの戦士になったとは驚きッス!」
ナハグニ(戦いながら)「オリンス殿が初変身したときと同じくらいのお強い光を拝見したので、まさかとは思っておったが」
沖津灘(戦いながら)「ハッハッハッ!変身できたんも公爵家の血筋ゆえかいな?」
ブルー「何であれシェルージェ様は変身した。そしてイエローとなったシェルージェ様はグリーン(オリンス)とともにすごい速さで「ピラミッドへ行く」と言って走っていった」
「俺としては二人が気になる。だから今すぐ追いかけたい」
「それに今日の昼ピラミッドで盗賊の頭と会う約束もしているしな」
沖津灘(戦いながら)「相手が盗賊の頭とはいえ、そこは男同士の約束」
「守らねばならんものたい!」
ブルー(クレード)「すまないな。グリーンやイエローに伝えられたら、俺はピラミッドまで行く必要なかったんだがな…」
ナハグニ(戦いながら)「できなかったのなら、ご自身でピラミッドまで行ってくだされ、ブルー殿!」
「ここは拙者らが引き受けるでござる!」
ブルー「分かった。お前らに任せる」
そう言ってブルーは空を飛んで行った。
そして、
蛇型魔獣たち「シャーッ!」
ナハグニ「邪悪なハブもどきなど、我がグスク刀の敵ではござらん!」
ウェンディ「押忍!蛇に京の女の意地を見せてやるッス!」
沖津灘「お主ら相手に黒星では遠賀野親方に申し訳ないたい!」
ナハグニ・ウぇンディ・沖津灘たちは蛇型魔獣たちと戦い、
ナハグニ「グスク刀・勝連の太刀!」
ウェンディ「平等蓮華・鳳凰袈裟固!」
「崩袈裟!後袈裟!」
沖津灘「カットグラス・百連突っ張りたい!」
蛇型魔獣たち(断末魔)「シャ…」
三人は技を使い、蛇型魔獣たちを次々と倒した。
高速で砂漠を進むグリーンとイエロー、
グリーン「ウオオッ!」
蛇型魔獣たち(断末魔)「シャバ…」
翠電槍を突き出した突撃攻撃により、蛇型魔獣たちを倒しながら砂漠を突き進むグリーン。
そしてイエローも、
イエロー「イエローとグリーンの歩みは止まらないよ!」
「サンフラワーブーメランが守ってくれるんだもん!」
イエローが投げたサンフラワーブーメランはグリーンとイエローの周りを回転しながら二人を守っていた。
蛇型魔獣たち「ジャビ!?」
回転するブーメランに触れた蛇型魔獣たちは次々と倒れていく。
グリーン「すごいよ、イエロー!俺たちの周りをグルグル回転するブーメランはまるでバリアだ!」
イエロー「イエローも驚いてるよ!変身したらこんなこともできたんだもん!」
(※後編へ続きます)




