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第22話(前編) 男29歳、人生初デート(前編)

22話目です。

今回はオリンスが「ハンス」という偽名を使いますが、これは最初彼の名前はオリンスではなくハンスと設定したことが由来です。

名前をハンスからオリンスに変えた理由は、「ハンスの名前だと、この先仲間になるハリウと名前が似ている感じがしたので、ハンスの名をオリンスに変えた」、「一緒に行動する仲間の中にハンスとハリウというキャラたちがいると紛らわしい気がする」などです。


ちなみにハリウのほうは科学大陸サンクレッセル出身の陸軍歩兵で、銀色の髪をしており、ダイヤモンドの戦士「クリスターク・シルバー」に変身させる予定です。


(※今回の話は前編と後編に分かれています)


<主な登場人物の紹介>


<クレード一行 計11人>

◎オリンス・バルブランタ(男・29歳)

・緑色の髪をしている元ルスカンティア王国騎士団の騎士。

馬にまたがり騎兵として戦うことが多い。使う武器は槍(翠電槍他)と斧。愛馬の名はベリル号。

魔法の宝石グラン・エメラルドにより、クリスターク・グリーンに変身できる。

公爵家の孫娘シェルージェを勝手に連れ去った人物。

○クレード(主人公)・アンシー・ナハグニ・鵺洸丸やこうまる・ウェンディ・ホヅミ・ススキ・千巌坊せんがんぼう・リンカ・沖津灘おきつなだ

・オリンスとは別行動中の仲間たち。

クレードはオリンスが見つからずイライラしている。


<その他人物>

◎シェルージェ・クランペリノ(女・18歳)

・黄色い髪(※長髪)をしている女盗賊。「ルシア」という偽名で本名を隠す。

貴族の国サフクラント公国の前大公の孫娘だが、貴族の生活が嫌になり家出した。盗賊の頭ロイズデンたちの力を借り、南のナプトレーマ王国(※1)にやって来た。

この物語における重要人物の一人。

○ララーシャ・エルゴンジャルム(女・28歳)

・オリンスの初恋の相手。オリンスとは同郷で、小学校6年生の時同じクラスだった。

6年生の時オリンスから告白されたが、「他に好きな男子がいるから」と彼を振った。

オリンスを振ったものの、彼のことは今も頭に残っており、緑色の髪をした男性を見るとたまにオリンスのことを思い出してしまう。

28歳になった現在は故郷のジルミエンス村(※2)から出たものの、祖国ルスカンティア王国内に在住している。

○ロイズデン・ギナデルク(男・47歳)

・盗賊団のかしらで、北のサフクラント公国で出会ったシェルージェを仲間に入れ、彼女を盗賊として育てた。

シェルージェからはかしらとして慕われており、ロイズデン本人もシェルージェのことを大切に思っている。

一方でロイズデンはシェルージェを故郷に帰したいとも思っており、クレードに彼女を託そうとするが、オリンスにシェルージェを連れて行かれてしまった。

そして6月19日にクレードからシェルージェに関する報告を聞く予定ではあるが…

ここはルスカンティア王国のトゥルスカナン湖(※3)。別名「翡翠の海」とも呼ばれる緑色の美しい湖。


ケルビニアン暦2050K年6月16日。

この日の夕方、湖の畔の村で、この村に住んでいるララーシャという一人の女性が食料品などの買い物をしていた。

緑色の髪をした魚屋(ベルを鳴らしながら)「さあ夕市だ!夕市だ!」

 「翡翠の海で獲れたナイルパーチ・ティラピア・ポリプテルス・ハイギョ・デンキナマズなんかを値引きしている!買うんなら今がお得だよ!」

魚屋が買い物をしているララーシャに気づき声をかけた。

魚屋「そこの美人さん!良かったらうちの魚を見ていかないか!」

 「今なら夕市でどれでもお得だよ!」

ララーシャ「そうね。じゃあナイルパーチとポリプテルスを切り身で貰おうかしら」

魚屋「ありがとね!今捌いてあげるから、ちょっと待っててよ!」


まずはナイルパーチを捌き始める魚屋。その近くをカップルが通り、

カップル(緑色の髪をした男性)「王国東部のイシマンガリソール村(※4)の沖合でまたシーラカンスが獲れたってよ」

カップル(女性)「イシマンガリソールって湿地帯で有名な村よね。ナイルワニやフラミンゴなんかが生息しているのよね」


ララーシャは緑色の髪をした男性たちを見て、

ララーシャ(心の中で)「(緑色の髪の人たちか…)」

 「(あれから15年以上経ったわね、オリンス君は今頃どうしているかな…)」

 「(振ってしまった私が言うのもなんだけど、彼には元気でいてほしいな…)」

ララーシャとオリンス。二度と出会うことのない二人ではあるが、それぞれ人生を歩んでいる。

しかしララーシャもオリンスが今11歳年下のシェルージェにアプローチをしているとは夢にも思わないだろう。



同じ16日の夕方、変身を解いたオリンスは連れ去ったシェルージェとメロエット川(※5)の川岸で休憩していた。

オリンス「遠くに四角錘の建造物が見えるね、あれがこの国で有名なピラミッドなのかな?ルシアちゃん」

シェルージェ(ルシア)「あれは「メロエットのピラミッド(※5)」っていう小っちゃいやつだよ」

 「この国で有名なのはギザフィスのピラミッド(※6)とかだよ!」

オリンス「ルシアちゃんはよく知ってるね。えらいえらい」

シェルージェ(ルシア)「そんなこと今はどうでもいいよ!」

 「それよりもどうしてくれるのよ!これから夜になって寒くなるから今日はおかしらたちの所に戻れないじゃない!」


続いて、

シェルージェ「それにさっきからルシア、ルシアって気安く呼ばないでよ!」

 「あたし本当は「シェルージェ・クランペリノ」っていう公爵家の孫娘なんだから!」

オリンス「えっ?もしかしてルシアちゃんがシェルージェさんなの?俺たちが探している」

シェルージェ「ああっ、しまった!つい口に出しちゃったよ!」

 「ああん、これじゃあ盗賊失格だよぉ!」

オリンス「そうなんだ。でも俺にとって大事なことはそこじゃないよ」

シェルージェ「えっ?」

オリンス「君がルシアちゃんでもシェルージェちゃんでもどっちでも良いんだ」

 「俺は君という女の子が好きだから」

シェルージェ「み、緑髪…」

オリンス「シェルージェちゃん、俺は緑髪って名前じゃないよ」

 「オリンス・バルブランタ、それが俺の名前なんだ」

シェルージェ「オ、オリンス・バルブランタ…」


オリンス「勝手に君を連れて行っちゃって、ゴメン」

 「だからお詫びってことで、今日は高級な宿に泊めてあげるよ」

 「美味しいお夕飯を食べて、広いお風呂に入ろうよ」

シェルージェ「美味しいご飯にお風呂…」

 「分かったよ…これから寒くなるし、今日はもう一緒に行ってあげるよ…」

オリンス「よーし!だったら早速出発しよう!」

 「周りに人がいないし、俺、グリーンに変身するよ!」


オリンスはクリスターク・グリーンに変身し、馬のベリル号をキャメル・ベリル号の姿に変えた。

シェルージェ「ちょっとぉ、そんな変な姿目立っちゃうよぉ」

グリーン(オリンス)「大丈夫、町が見えてきたら変身を解くから」

キャメル・ベリル号「ブェ!ブェッ!」

グリーン「砂漠ならラクダのキャメル・ベリル号がいいんだ。馬の姿で砂漠を移動するとベリル号の負担も大きいからね」

シェルージェ「まあ砂漠でお馬さんなんてほとんど見ないけど…」

グリーン「俺の後ろに乗って、シェルージェちゃん」

シェルージェ「うーん、まあいいか、歩くよりも速そうだし」

シェルージェはキャメル・ベリル号に乗った。

グリーン「それじゃあ、行こう!」

夕暮れの砂漠を駆けるキャメル・ベリル号、そして後ろに乗っているシェルージェが、

シェルージェ(楽しそうに)「速っ!シェルージェ、こんな速さ体験したことないよ!」

グリーン(心の中で)「(良かった。少しでも楽しんでくれて)」


砂漠を進んで行くと、大きな都市が見えてきた。

グリーン(キャメル・ベリル号に乗りながら)「たくさんの明かりだ。あそこは大きな町なのかな?」

シェルージェ(キャメル・ベリル号に乗りながら)「あそこはフェズレーマ市(※7)かな?シェルージェ、あの町には行ったことないんだよね」

グリーン「大きな町ならいい宿があるかも!」

 「よし、変身解除だ!」

 「カラー&クリスタルオフ!」


グリーンは変身を解いてオリンスの姿に戻った。その様子を見たシェルージェが、

シェルージェ「えっ何!?オリンスもお馬さんも元の姿に戻ったけど、さっきのマスクとスーツはどこいっちゃったの!?」

オリンス「俺が今手に持ってるよ、シェルージェちゃん」

シェルージェ「えっ!?その緑の玉がそうなの!?」

オリンス「この緑の玉、グラン・エメラルドは変身するときマスクとスーツに変わるんだ」

 「魔法の力で瞬時に全身を覆ってくれるんだよ」

シェルージェ「そうなんだ。なんか面白いアイテムだな、それ」

 「ねぇ、それどこで手に入れたの?」

オリンス「グラン・エメラルドに興味あるの?シェルージェちゃん」

シェルージェ「だってシェルージェちゃん、今は盗賊だもん」

 「お宝や面白いアイテムには興味あるよ」

オリンス「じゃあ後で聞かせてあげるね」

シェルージェ「う、うん」

オリンス(心の中で)「(いいぞ!シェルージェちゃんとちょっとイイ感じになってきた!)」


フェズレーマ市にたどり着いたオリンスとシェルージェ。

二人は街の大きな掲示板を見て、

オリンス(小声)「(ほら、掲示板にもシェルージェちゃんが行方不明になっていることは書かれていないよ)」

 「(シェルージェちゃんの捜索は隠密に行っているからね)」

シェルージェ(小声)「(えー、じゃあ盗賊のシェルージェちゃんもこの町を堂々と歩いていいの?)」

オリンス(小声)「(町の人たちは知らなくても、兵士たちは君の件を知っているかもしれないから、怪しまれない程度に顔を隠しておけば大丈夫なんじゃないかな)」

シェルージェ(小声)「(だったらシェルージェちゃん、明日この町を見学したいよ)」

 「(来たことがない町だもん)」

オリンス(小声)「(よし!だったら二人で見て回ろうよ!)」

シェルージェ(小声)「(そうだね。お頭のとこに戻るのは後でいいかな)」

オリンス(心の中で)「(いいぞ!明日はこの町でシェルージェちゃんとデートだ!)」

 「(男29歳!ついに女の子と初デートだ!)」


その後二人は街の高級宿に泊まり、食事やそれぞれの入浴を済ませた。

そして二人は部屋で、

シェルージェ(宿から借りた寝巻に着替えている)「お夕飯の肉料理、美味しかったな!」

 「広くて清潔なお風呂も最高だったよ!スカラベ(※フンコロガシ)の形をした石鹸も置いてあって面白かったよぉ!」

オリンス「それは良かったよ!シェルージェちゃんが喜んでくれて俺は何よりだよ!」

シェルージェ「このベッドもふかふかじゃん!これならぐっすり眠れそう!」

 「それじゃあ、お休みなさーい!」

オリンス「えっ、シェルージェちゃん、もう寝ちゃうの!?」

シェルージェ(寝言)「うーん…むにゃむにゃ…」

オリンス「…!!」

オリンスはシェルージェの布団をどかし、同じベッドに入ろうとしたが、

オリンス(心の中で)「(ダメだ…まだその一線は超えちゃダメだ…)」

オリンスはなんとか性欲を抑え、少し離れた自分のベッドに入った。


そしてオリンスはベッドの上で冷静になって、

オリンス「本当は町の兵士たちにシェルージェちゃんのことを今すぐ報告しなきゃいけないんだよな、捜索班の人間として…」

 「でも今は彼女と一緒にいたいし、シェルージェちゃんも今は自分のことを隠しておきたいみたいだし…だからもう少しだけ、俺たちは一緒に…」

シェルージェの寝顔を見ながらオリンスも就寝した。


次の日17日、

翌朝出発の準備をする二人は部屋の中で、

シェルージェ(宿で借りた寝巻きを着ている)「シェルージェちゃんだけじゃなくて、オリンスも布で顔を隠すの?」

オリンス「ちょっとだけね」

オリンスは昨夜宿の売店で購入した日差し避けの布を顔に巻いた。

オリンス「大丈夫だと思うけど、俺の顔を知っている兵士がこの町にいるかもしれないからね」

 「俺も一応この国の各地で戦いをした人間だしね。誰かが顔を覚えたかもしれないし」


続いて、

オリンス「それと街の中ではシェルージェちゃんのことを「ルシアちゃん」って呼ぶし、俺も自分の名前を「ハンス」って名乗るよ」

 「そのほうがより安心だと思うから」

シェルージェ「そうだね、シェルージェちゃんも本当の名前をあっさりばらしたくないもん」


続いて、

シェルージェ「それじゃあ、シェルージェちゃん、お着替えしよーっと」

オリンス「シェルージェちゃん!俺もお着換え、手伝おうか!」

シェルージェ「ダメーっ!向こう行っててよ!」

オリンス(心の中で)「(ああ、さすがにまだ無理だったか…)」


朝食を食べ、宿を出た二人とベリル号は街を歩いていた。そして工房を見つけ、

オリンス「ここは「タンネリ」っていう、皮なめしの工房なんだ」

 「ちょっと覗いていこうよ」

入り口でミントを貰ってタンネリに入る二人。

シェルージェ「へー、パレットみたいな岩にいろんな色の液体が詰まってるね」

職人「その液体はなめした皮を染める染料なんだよ、お嬢ちゃん」

 「ここで染色したなめし皮は、バック・財布・ベルト・バブーシュ(※履物)・絨毯とかに加工して、土産物として売るんだよ」

オリンス「そうなんですか、後で店に寄って見てみます」

シェルージェ「それにしても、ここ結構匂うな…」

職人「ハッハッ!皮をなめす液体には鳩の糞とかも入れてるからね!」

 「ほらお嬢さん、もう一本ミントをあげるからこれでスッキリしな」

シェルージェ「うーん…」


タンネリを出た二人、

オリンス「ごめんルシアちゃん、匂いきつかったかよね…」

シェルージェ(ルシア)「まあでもいいよ、きれいに染まったなめし皮も見れたしね」

オリンス「ル、ルシアちゃん…」

シェルージェ(ルシア)「次は買い物に行こうよ、ハンス」

 「この街、いろいろお店があるんでしょ」

オリンス(ハンス)「そうだね、気を取り直して行こうか」


街を歩く二人とベリル号、そして、

オリンス「あのブー・ジェンルッド門(※7)の先にスークと呼ばれる市場があるみたいだから、通ってみようよ」

シェルージェ「あの門の幾何学模様見たことあるな、何て言ったけな…」

オリンス「アラベスク模様だよ。唐草とかの植物をモチーフにしている文様で、お隣のダールファン王国でも見られる美術様式なんだ」

シェルージェ「そうだ、アラベスクだよ!」

 「ハンス、よく知ってたね!」

オリンス(ハンス)「大学生の時世界地理の講義で少し聞いたし、ダールファンではアラベスク模様で彩られた建物を実際に見たからね。だからちゃんと覚えているよ」

シェルージェ「へー、オ…ハンスって勉強熱心だね」

 「シェ…ルシアなんて、お勉強してもすぐ忘れちゃもん」

オリンス(ハンス)(心の中で嬉しそうに)「(シェ、シェルージェちゃんが俺を勉強熱心って!?)」

 「(褒められた…シェルージェちゃんに褒められた♡)」


ブー・ジェンルッド門を通り、スーク(※市場)に来た二人、

シェルージェ(ルシア)「わあ!お店がいっぱい!」

 「いろいろ見てみようよ、ハンス!」

オリンス(ハンス)「うん!ルシアちゃん!」


そして、

シェルージェ「うまっ!ボルトアーンジュース(※8)にモーズジュース(※8)、めっちゃうまっ!」

オリンスに買ってもらったジュースを飲むシェルージェ。


そして別の店で、

おばさん(店主)「マンゴーアイスはいかが、お嬢ちゃん」

シェルージェ「マジ!?アイス売ってんの!?」

おばさん(店主)「あたしは冷凍魔法が使えるんだよ」

 「それでアイスも作っててね」

シェルージェ(ルシア)「じゃあルシアにちょうだい、おばちゃん」

おばさん(店主)「はい、一つ400カラン(※9)ね」

オリンス「あっ、お金は俺が出しますんで」

シェルージェはマンゴーアイスを食べ、

シェルージェ「うまっ!マンゴーの味が超濃厚じゃん!」


二人は市場内で昼食を食べ、

シェルージェ「焼きたてのアエーシ(※10)に羊肉のラムチョップ、最高だよ!」

 「いつもは魔獣のお肉ばっかだから、羊さん肉が食べられて嬉しいよ!」

オリンス(心の中で)「(シェルージェちゃんって結構食べるだな)」

 「(公爵家に居た時もよく食べていたのかな?)」

シェルージェ「うまっ!レモンのリムーンジュースもうまっ!」


二人は市場の土産物で、

オリンス「いろいろな色や模様のバブーシュ(※履物)が売っているね、ルシアちゃん」

シェルージェ(ルシア)「ほんとだ。たくさん吊るしてあるね」

オリンス「朝見学した工房でなめした皮も使っているんだろうな」

 「ルシアちゃんも一つどう?」

シェルージェ(ルシア)「うーん、サンダルやスリッパみたいな履物は今いらないかな…」

 「お母さんたちへのお土産ならいいけど」

オリンス「えっ?お母さんたち?」

シェルージェ(ルシア)「あっ!?それは、その…」

オリンス「ルシアちゃん、もしかしてお母さんたちのところに帰りたいの?」

シェルージェ(ルシア)「あっ…あの…」


オリンスに母親たちのことを聞かれたシェルージェ(ルシア)だが、誤魔化そうと、

シェルージェ「そうだハンス!」

 「バブーシュはいいからこれ買ってよ」

オリンス(ハンス)「これは小さなピラミッドとスフィンクス…」

その時店主(中年男性)が出てきて、

店主(中年男性)「ミニピラミッドはリサイクルガラスで作ったやつで、ミニスフィンクスはアラバスター製なんだ」

シェルージェ(ルシア)「アラバスターって何?ルシア、知らないよ」

店主(中年男性)「雪花石膏っていう白い鉱物のことさ。アラバスターは彫刻の素材としてもよく使われているよ。柔らかくて加工しやすいんだ」

シェルージェ(ルシア)「へぇー、そんなの初めて知ったよぉ」

 「でもどっちもきれいだから欲しいな」

オリンス「大丈夫だよ、ルシアちゃん」

 「俺が両方勝ってあげるから」

店主(中年男性)「ガラスのミニピラミッドは500カラン、アラバスター製のミニスフィンクスは4000カランになるよ、大丈夫かい彼氏さん?」

オリンス「か、彼氏…お、俺が…」

店主に彼氏と言われ、オリンスは、

オリンス(ハンス)「俺が彼氏…シェ…ルシアちゃんの彼氏♡」

シェルージェ「ハンス、買ってくれたのは嬉しいけど、なんか気持ち悪いよ」


続いて服屋で、

シェルージェ「この黄緑のTシャツや茶色のショートパンツ、いいな」

 「ねえハンス、買ってよ」

オリンス(ハンス)「ル、ルシアちゃんがTシャツ!?ショートパンツ!?」

シェルージェ(ルシア)のTシャツやショートパンツ姿を想像するオリンス。

オリンス(心の中で)「(シェルージェちゃんがTシャツ…シェルージェちゃんがショートパンツ…ああ♡)」

Tシャツやショートパンツ、その他、黄色のターバン・黄色のアウトドアジャケット・黄色のスパッツ・黄色のソックス・黄色と茶色のブーツ・革製のベルトなどをオリンスに買ってもらったシェルージェ。

シェルージェ(心の中で)「(今は正体隠さなきゃいけないから、後で着てみようっと)」


二人は宿に戻り泊まる部屋の中で、

シェルージェ「あーっ!今日も楽しかったー!」

オリンス「シェルージェちゃんが楽しんでくれて、俺は何よりだよ!」

シェルージェ(笑顔で)「いろいろ買ってくれたり、美味しいものを食べさせてくれたり、本当にありがとう、オリンス」

オリンス(ときめいて)「シェ、シェルージェちゃん…」


シェルージェ「ねえ、オリンス」

 「シェルージェをピラミッドへ連れて行って」

オリンス「えっ!?」

シェルージェ「シェルージェ、このミニピラミッドとミニスフィンクスを見てたら本物のピラミッドやスフィンクスが見たくなったよ」

 「お願いオリンス、連れて行って」

オリンス「任せてよ、シェルージェちゃん!それじゃあ明日この町を出よう!」

シェルージェ「うん!」

(※後編へ続きます)

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