第19話 シェルージェ捜索会議
19話目です。サブタイトル通り、会議の場を書いています。
主人公クレードや仲間たちの出番は少なめです。
<主な登場人物の紹介>
<クレード一行 計11人>
◎クレード・ロインスタイト(男・?歳)
・青色の髪をしている本作の主人公である魔法剣士。
魔法の宝石グラン・サファイアにより、クリスターク・ブルーに変身できる。
◎オリンス・バルブランタ(男・29歳)
・緑色の髪の騎士(騎兵)。
魔法の宝石グラン・エメラルドにより、クリスターク・グリーンに変身できる。
△アンシー・ヒズバイドン(女・22歳)
・白い髪をしている新人音楽家で、ムーンマーメイド交響楽団の非常勤楽団員。
魔法の宝石グラン・ホワイトパールにより、クリスターク・ホワイトに変身できる。
○ナハグニ・按司里(男・31歳)
・ワトニカ将国リュウキュウ藩出身の侍。自称、うちなー侍。
日本の世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」(文化遺産 2000年登録)からイメージしたキャラ。
△鵺洸丸(男・30歳)
・ワトニカ将国オガサワラ藩出身の忍者。
日本の世界遺産「小笠原諸島」(自然遺産 2011年登録)からイメージしたキャラ。
○ウェンディ・京藤院(女・20歳)
・洋風な名前だがワトニカ将国キョウノミヤ藩出身。柔道家。
日本の世界遺産「古都京都の文化財」(文化遺産 1994年登録)からイメージしたキャラ。
○ホヅミ・鶴野浦(女・22歳)
・ワトニカ将国サド藩出身の女流棋士。
日本の暫定リスト掲載物件「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」からイメージしたキャラ。
△ススキ(女・22歳)
・新人くノ一。
△千巌坊(男・39歳)
・ワトニカ将国キノクニ藩出身の僧(坊主、お坊さん)。
日本の世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」(文化遺産 2004年登録)からイメージしたキャラ。
△リンカ・白鳥森(女・22歳)
・ワトニカ将国サンナイ藩出身。津軽三味線を弾く新人音楽家。
日本の世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」(文化遺産 2021年登録)からイメージしたキャラ。
○ムナカタ・沖津灘(男・32歳)
・ワトニカ将国ヤハタ藩出身。ワトニカ大相撲の現役力士で、大関経験者。
日本の世界遺産「「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」(文化遺産 2017年登録)からイメージしたキャラ。
(※△のキャラは今回の話に登場しない)
<その他人物>
○イルビーツ・サウロザーン(男・35歳)
・ダールファン王国東部の騎士団を束ねる副騎士団長(三人いる副騎士団長の一人)。
行方不明になっているシェルージェの捜索に協力するため、クレードや兵士たちと共にダールファン王国の東の国ナプトレーマ王国(※1)へとやって来た。
○ナプトダリオン160世(男・32歳)
・ナプトレーマ王国の現国王で、国の代表者。第244代国家元主。
本名は、カルムベトラー・ナプトダリオン。
この国では男性の王は「ツタムカーメン」と呼ばれる黄金のマスクを被るしきたりがあるため、現国王である彼も人前ではマスク姿である。そのため一部の人間を除き、その素顔は知られていない。
○パオトゥーラ・ナプトダリオン(女・27歳)
・国王160世の妻でルスカンティア王国の王妃。美人。
○ネフェルーグ・ラバルペリド(男・52歳)
・ナプトレーマ王国騎士団団長。
「ラーレのケペシュ」と呼ばれる鎌型の剣を使いこなす、ファラオナイト(※)。
(※ナプトレーマの騎士団員は、男性の場合「ファラオナイト」、女性の場合「イシスナイト」と呼ばれる)
○イザベリス・デラムジャール(女・23歳)
・ナプトレーマ王国騎士団の女兵士。
ナプトレーマ王国の兵士ではあるが、王国の北にあるサフクラント公国の出身。
「ネクベトのケペシュ」と呼ばれる鎌型の剣を使いこなす、イシスナイト。
父の名は、リグレイドス、弟の名は、スクレイザー。
△シェルージェ・クランペリノ(女・18歳)
・黄色い髪をしている女の子。
貴族の国サフクラント公国の前大公の孫娘だが、なぜか南のナプトレーマ王国で目撃されるなど、いろいろと訳ありの人物。
この物語における重要人物の一人。
次の日6月12日。
アブジンベルノン神殿(※2)で一泊したクレードたちは、公爵家の孫娘シェルージェ・クランペリノ女史を捜索するための会議に参加していた。
会議の場には他に、ダールファン王国の副騎士団長で遠征部隊の隊長イルビーツ、ナプトレーマ王国国王ナプトダリオン160世、ナプトレーマ王国王妃パトゥーラ、ナプトレーマ王国騎士団団長ネフェルーグ、ナプトレーマ王国騎士団員のイザベリスたちもおり、まずはイザベリスが、
イザベリス「それではご報告させていただきます」
「ナプトレーマ国内でシェルージェ様らしき女性を発見したのはこの私でございます」
イルビーツ「イザベリスさん、私やクレード殿たちにもそのお話をぜひお聞かせください」
イザベリス「は、はい!」
クレード「よろしく頼むぞ」
沖津灘「オイもクレード殿たちの仲間の一人として話ば聞かせてもらうたい!」
イザベリス(心の中で)「(イ、イルビーツさんがあたしを見ている…)」
「(し、しっかり話さないと…)」 ドキドキ…
イザベリスはイルビーツに見つめられドキドキしていた。
そしてイザベリスはクレードやイルビーツたちに話しかけ、
イザベリス「あれは私が他の兵士たちと共にピラミッド(※3)周辺のパトロールをしていた時でした…」
ここでウェンディが話に割り込んで、
ウェンディ「押忍!ピラミッドはウチでも知っているッス!」
「このナプトレーマで一番有名な建造物ッス!」
「八ツ橋みたいな形や色をしているから、すぐ覚えたッス!」
イザベリス「ま、まあ外国の方にもピラミッドはよく知られておりまして…」
ホヅミ「もう、何やってるんですかぁウェンディさぁん、今会議中ですよぉ」
「そんなことをぉアピールする必要ないですぅ」
ウェンディ「これは失礼したっス!申し訳ねぇッス!」
ナプトダリオン160世「まあ何であれウェンディ殿がピラミッドのことをご存じで、私は嬉しいですよ」
「私は国王としてナプトレーマの文化や歴史などを海外にもっとアピールしていきたいですから」
ネフェルーグ「国王様、今はシェルージェ様の件を…」
ナプトダリオン160世「そうでしたね。これは失礼しました」
「イザベリスさん、話を続けてください」
イザベリス「は、はい」
「では……」
イザベリスはシェルージェらしき女性を見かけた件について話し始めた。
(ここから回想シーン)
先月5月22日。
ナプトレーマ王国騎士団や団員のイザベリスたちがピラミッド周辺をパトロールしている時のことだった。
騎士団は砂漠地帯で魔獣たちの死骸を漁っている集団を目撃し声をかけた。
ナプトレーマ兵①(ファラオナイト)「そなたらは一般人の戦士たちか?それとも商人の関係者たちか?」
「我々に身分を証明するものを見せてほしいのだが…」
男「チッ!」
兵士がそう言うと男たちはラクダに乗り逃げ出した。
ナプトレーマ兵①(ファラオナイト)「何も言わずに逃げ出すとは、もしや盗賊たちか!」
ナプトレーマ兵②(ラクダに乗ったファラオナイト)「ならば追いかけるぞ!」
イザベリス(ラクダに乗りながら)「はい!」
逃げる6人の盗賊たちを追う騎士団。
ナプトレーマ兵③(ラクダに乗ったファラオナイト)「止まれ!止まらんのならこちらも武力を行使するぞ!」
兵士たちは忠告するも盗賊たちは止まらない。
ナプトレーマ兵③(ラクダに乗ったファラオナイト)「止まれと言っているだろう!」
兵士が盗賊たちにナイフを投げた。そしてそのナイフが一人の盗賊の足に刺さり、
盗賊①「うぐっ!」
痛みを感じた仲間の盗賊を心配したのか、布で顔を隠している女盗賊が、
女盗賊(ラクダに乗りながら)「ちょっと、大丈夫!」
盗賊①「バカ!俺に近づくな!」
次の瞬間、兵士の投げたナイフが女盗賊の顔の辺りを掠めた。
掠めたナイフにより、顔を隠していた布が切れてほどけた。
女盗賊「あっ…!」
素顔をさらけ出してしまった女盗賊。しかし彼女の顔を見たイザベリスは、
イザベリス「長い黄色い髪にそのお顔…」
「もしやあなた様はサフクラントのシェルージェ・クランペリノ様では!?」
シェルージェらしき女盗賊「!!」
女盗賊はイザベリスの言葉に動揺したような様子であった。
だがその時別の盗賊が、
盗賊②「クソが!」
仲間の盗賊は地面に向かって砂袋を投げた。
砂袋が弾け、周囲を砂煙が包んだ。
ナプトレーマ兵③(ラクダに乗ったファラオナイト)「くっ!小賢しい真似を!」
イザベリス「ゴホ…っ!」
砂煙に包まれ、兵士たちは足止めを食らった。
砂煙は短時間で消えたが、そこにシェルージェらしき女盗賊や他の盗賊たちの姿はなかった。どうやら逃げられてしまったようだ。
(回想シーン終わり)
話を終えたイザベリス、しかしダールファンの兵士から、
ダールファン兵①(遠征部隊)「ちょっと待ってください!」
「それではサフクラントのシェルージェ様と思われる女性は盗賊たちの悪事に加担しているのではありませんか!」
イザベリス「仲間らしき盗賊に対して、シェルージェ様はご自分から近寄ったようにも見えました」
「シェルージェ様はあの時、ご自分の意思で仲間を気遣ったのかもしれません…」
ナプトダリオン160世「そう考えれば、彼女は自ら望んで盗賊になったという可能性もありますね」
イザベリス「シェルージェ様は、脅されて無理やり盗賊にさせられたわけではない…私はそう思うのです…」
ダールファン兵①(遠征部隊)「もしおっしゃる通りであれば、尚更たちが悪いのではございませんか!誇り高き公爵家の人間が盗賊行為などと!」
イザベリス「とにかくまずはシェルージェ様らしき女性を見つけ、保護をすることが第一優先です…」
「彼女の行為などについては、また後ほど…」
ダールファン兵②(遠征部隊)「ですがその行為により、盗難などの被害が出ているのではございませんか!」
「被害が出ても、「公爵家の人間がやったことだから」などと言って許すおつもりなのですか!」
ダールファン兵③(遠征部隊)「身分の高い公爵家の孫娘だから無罪だとでもいうのですか?一般市民が盗賊行為をすればほぼ間違いなく有罪になるというのに」
「国王様たちはその辺りどうお考えでしょうか?」
イルビーツ(遠征部隊の隊長)「口を慎め、お前たち!!」
「国王様やイザベリス殿たちに対して、あまりにも無礼であるぞ!」
イルビーツは部下の兵士たちを強く注意したが、国王は冷静に、
ナプトダリオン160世「盗賊行為も含めシェルージェ様を処罰するかどうかお決めになるのはサフクラントの現大公、サフクランドス大公様でございます」
「我々ナプトレーマの人間ではございませんので」
ダールファン兵③(遠征部隊)「左様でございますか。ですが公爵家の人間ということで甘い対応をしているようにも思えるのですが…」
イルビーツ(かなり怒りながら)「口を慎めと言っただろう!!」
「これ以上口答えをするのなら、お前たちをこの場で解雇するぞ!」
「臨時団員も含め、二度と騎士団員として雇用したりはせん!」
ダールファン兵②(遠征部隊)「大変失礼いたしました…我々はこれ以上何も申し上げません…」
ダールファン兵①(遠征部隊)「我々ダールファンの兵はイルビーツ副騎士団長や国王ナプトダリオン様に従います…」
イルビーツ「三度目はないと思え!いいな!」
ダールファン兵たちの声を聞いた王妃パトゥーラは心の中で、
パトゥーラ(心の中で)「(兵の方々の気持ちもよく分かります…王族や貴族だからと処遇を甘くしている部分は確かにあるでしょう…)」
「(もし他国出身の一般市民が盗賊行為をしていたのなら、その者を罪に問うだけではなく出身国にも賠償金を請求していたかもしれませんしね…)」
イルビーツは国王たちに深く頭を下げ、
イルビーツ「誠に申し訳ございませんでした…」
「この者たちの上司として深くお詫びいたします…」
ナプトダリオン160世「イルビーツ殿、もうよろしいですよ」
「兵の方々もご納得していただいたのなら、こちらも話を続けますので」
イルビーツ「国王様のお心に感謝いたします…」
ナプトダリオン160世「お気になさらずに」
イルビーツ「イザベリス殿にも不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした」
イザベリス「い、いえ、私はそこまで…」
イザベリス(心の中で)「(イルビーツさん…私にまで気を遣ってくれて…)」 ドキドキ…
国王はイザベリスに、
ナプトダリオン160世「イザベリスさん、何か付け加えてお話しすることはございますか?」
イザベリス「いえ、私からシェルージェ様に対して言えることは以上でございます」
イルビーツ「シェルージェのお顔をご覧になった兵の方は、サフクラント出身と聞いております」
「あなたがそうなのですね、イザベリスさん?」
イザベリス「はい。私は元々サフクラントに住んでおりました」
「父がサフクラントの侯爵家の出なので…」
イルビーツ「ほお、イザベリスさんは貴族の出でございましたか」
イザベリス「母のほうはこのナプトレーマの伯爵家の出なんです」
「私はサフクラント人とナプトレーマ人のハーフでございます」
イルビーツ「なるほど、国は違えど貴族同士のご結婚でしたか」
イザベリス「はい。結婚後母は父の家に嫁ぎ、このナプトレーマから貴族の国サフクラントに移り住みました」
「そしてサフクラントで私と弟のスクレイザーが生まれたのです」
イルビーツ「ですが、イザベリス殿は今サフクラントではなくこのナプトレーマにいらっしゃるようですが」
イザベリス「4年前に両親が離婚したのです…それで私はナプトレーマにある母方の家へとやって来ました…」
「私の姓である「デラムジャール」は母方の姓なのです…」
イルビーツ「左様でございましたか…」
ここで会議の場にいたオリンスが心の中で、
オリンス(心の中で)「(そうか。貴族のような高貴な方々でも離婚はするんだな…)」
続いて、
オリンス(心の中で)「(そう思うと俺は家族に恵まれているのかもね…)」
「(貧しい家庭だったけど、父さんも母さんも姉ちゃんもいつも笑顔で笑っていたし…)」
ここでナプトレーマ王国騎士団団長のネフェルーグが、
ネフェルーグ「だがイザベリスがサフクラントの人間だったからこそ、彼女はシェルージェ様のお顔を知っていたのですよ」
イザベリス「はい。5年前サフクラントにいた時、侯爵家の娘としてクランペリノ家に挨拶へ行き、その時シェルージェ様のお顔を拝見しましたので」
続いてイザベリスは、
イザベリス「間違いありません。私が砂漠で見かけたあの黄色い髪の女性はシェルージェ様です」
「前にお顔を拝見したのは5年前ですが、確かに面影はありました」
「シェルージェ様のお顔を知っている者として、見間違いなどしません」
ネフェルーグ「そう考えればシェルージェ様らしき女性が顔を隠していたのも納得できますな」
パオトゥーラ「すなわち顔を見られてはマズい人物だということですね」
ネフェルーグ「おそらくシェルージェ様としては、ご自身のことを隠しておきたいのでしょう」
ナプトダリオン160世「シェルージェ様と行動する盗賊たちもまたそう考えているのかもしれませんね」
ネフェルーグ「布などで顔を隠す盗賊は多いですが、シェルージェ様の場合は特別な事情だからということになりますね」
パオトゥーラ「シェルージェ様らしき女盗賊が顔を隠していた…そう考えればその女盗賊がシェルージェ様本人である可能性は高そうですわ」
ここでイルビーツが、
イルビーツ「それにしてもサフクラントからは何か伝令はあったのですか?」
ネフェルーグ「先月の22日にイザベリスがシェルージェ様らしき女性を目撃し、五日後の27日には公都(※サフクラントの首都)の港町地区へ向けて伝令隊を送ったのですが、サフクラント側からはまだ何の連絡もございません」
ダールファン兵④(遠征部隊)「しかし本日は6月12日です」
「皆様が伝令隊を送ってから半月程度経っておりますが、それでも向こうからの連絡がないのですか?」
ナプトダリオン160世「サフクラントはこのナプトレーマの北にある国ですが、両国間の移動は容易ではございません」
パオトゥーラ「両国の国境にはビレネイス山脈(※4)という高い山々があるため、陸からの移動が難しいのです」
「そのため両国間の移動には船を使い海から渡るのが良いのです」
ダールファン兵④(遠征部隊)「船に乗るとなると、手間もかかりそうですね」
ネフェルーグ「それでいて現大公がいらっしゃる公都の中心街は海からも離れております。伝令一つでもそれなりに時間がかかるのですよ」
イルビーツ「なるほど、情報の遅れには地理的な要因が絡んでいたわけですか」
ダールファン兵④(遠征部隊)「サパルダースの大河で繋がっているダールファンとはまるで事情が違いますね」
ナプトダリオン160世「ですがすでに半月程度経っているのも事実です」
「おそらくサフクラントではシェルージェ様の一件が伝わり、お迎えするための遠征部隊を編成していることでしょう」
「その準備によりナプトレーマへの到着が遅くなっているとも考えられます」
ネフェルーグ「サフクラントは部隊を率いてこのナプトレーマの王都へとやって来るはず…」
「そのため我々のほうもサフクラント公国騎士団を受け入れる準備をしているのです」
ナプトダリオン160世「ですが公国騎士団をただ待っているだけでは良いとはいえません」
「我々も動ける時に動く必要があるのです」
パオトゥーラ「カルムベトラー、今私たちの国にはダールファンからお見えになったイルビーツ殿や共に行動していらっしゃるクレード殿たちもおります」
「皆で力を合わせ、なんとしてもシェルージェ様を見つけ保護いたしましょう」
ナプトダリオン160世(本名、カルムベトラー・ナプトダリオン)「よく言ったパトゥーラよ。余も同じ想いだ」
ネフェルーグ「では、シェルージェ様の捜索範囲を拡大いたしましょう」
ナプトダリオン160世「そうですね。ピラミッド周辺だけではなく、サンガネプットの海岸(※5)や周辺の海沿い、エネディナープ山塊(※6)なども新たに捜索してください」
国王がそう言うとそばにいる兵士や家臣が、
ナプトレーマ兵④(ファラオナイト)「国王様、我が国には退治しなければならない魔獣の群れも多くおります。シェルージェ様の捜索に兵力を偏らせていては…」
家臣「私としても気になる点がございます」
「シェルージェ様がこの国で盗賊行為をしていたことが国民たちに知れ渡れば、シェルージェ様ご本人だけではなく、ご実家であるクランペリノ家の名誉も傷つけてしまいます」
「捜索の強化には賛成ですが、あまり事を荒立てては…」
ナプトダリオン160世「分かっております。その辺の事情も含め、これから話し合いをいたしましょう」
ここで会議の場にいるナハグニが心の中で、
ナハグニ(心の中で)「(うーむ、まだ話が長くなりそうでござるなあ…)」
会議はその後も続き、シェルージェの捜索や魔獣を退治するための話し合いをした。
そして会議により、クレードとオリンスはネフェルーグ・イザベリス・イルビーツたちと共にシェルージェを捜索することになり、アンシーなど他の仲間は魔獣退治をすることになった。
次の日6月13日の朝。
オリンスは砂漠を移動するためクリスターク・グリーンに変身し、愛馬のベリル号を「キャメル・ベリル号」の姿に変えるなどして、各々、出発の準備を整えた。
そして各地へと赴き…
公爵家の孫娘シェルージェを見つけるため、そしてナプトレーマ国内の魔獣たちを駆除するためクレードたちが動き出す。
次回に続く。
※1…王国の名前の由来は、「ナイル川」と、古代エジプトの王朝「プトレマイオス朝」より
※2…神殿の名前の由来は、エジプトの世界遺産「アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群」(文化遺産 1979年登録)より
☆※3…元ネタは、エジプトの世界遺産「メンフィスとその墓地遺跡-ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯」(文化遺産 1979年登録)の「ピラミッド」より
☆※4…山脈の名前の由来は、スペイン及びフランスの世界遺産「ピレネー山脈のモン・ペルデュ(or ピレネー山脈・ペルデュ山)」(複合遺産 1997年登録 1999年拡張)より
☆※5…海岸の名前の由来は、スーダンの世界遺産「サンガネブ海洋国立公園とドゥンゴナブ湾=ムカッワル島海洋国立公園」(自然遺産 2016年登録)より
☆※6…山塊の名前の由来は、チャドの世界遺産「エネディ山地の自然的・文化的景観(or エネディ山塊:自然的・文化的景観)」(複合遺産 2016年登録)より
(☆:物語初登場の世界遺産)




