第18話 大関経験者
18話目です。
3番目の国、ナプトレーマ王国(※1)では、主に、エジプト・アルジェリア・スーダン・チュニジア・チャド・ニジェール・マリ・モーリタニア・モロッコ・リビアなど、アフリカ北部の国々にある世界遺産をモデルにした村・町・遺跡・自然などが登場します。
また新キャラも多く登場しますが、よろしくお願いします。
ファラオ・イシス・太陽の船・ピラミッドなど、実際にある王の称号、女神、船の名前、遺跡なども出てきますが、あくまでこの作品内における設定ですので、ご了承ください。
<主な登場人物の紹介>
<クレード一行 計10人>
◎クレード・ロインスタイト(男・?歳)
・青色の髪をしている本作の主人公である魔法剣士。
持っている剣の名は「魔蒼剣」、盾の名は「アイオライトの盾」。
魔法の宝石グラン・サファイアにより、クリスターク・ブルーに変身できる。
宝石の輝士団クリスタルナンバーズNo.1
自分の出身地や年齢など、過去の記憶をいろいろなくしている。
別行動中のオリンスたちと合流するため、そして公爵家の孫娘であるシェルージェの捜索に協力するため、ダールファン王国の副騎士団長イルビーツたちと共にナプトレーマ王国へと向かう。
◎アンシー・ヒズバイドン(女・22歳)
・白い髪をしている新人音楽家で、ムーンマーメイド交響楽団の非常勤楽団員(元正楽団員)。
武器はハープと鞭。ハープの名は「ホワイトコーラルハープ」、鞭の名は「真珠貝の鞭」。
魔法の宝石グラン・ホワイトパールにより、クリスターク・ホワイトに変身できる。
宝石の輝士団クリスタルナンバーズNo.3
彼女の父親チャロックスキーはムーンリアス全土で名の知れた天才ピアニスト。
○ナハグニ・按司里(男・31歳)
・ワトニカ将国リュウキュウ藩出身の侍。自称、うちなー侍。
日本の世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」(文化遺産 2000年登録)からイメージしたキャラ。
○ウェンディ・京藤院(女・20歳)
・洋風な名前だがワトニカ将国キョウノミヤ藩出身。柔道家。
日本の世界遺産「古都京都の文化財」(文化遺産 1994年登録)からイメージしたキャラ。
○ホヅミ・鶴野浦(女・22歳)
・ワトニカ将国サド藩出身の女流棋士。
日本の暫定リスト掲載物件「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」からイメージしたキャラ。
○千巌坊(男・39歳)
・ワトニカ将国キノクニ藩出身の僧(坊主、お坊さん)。
日本の世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」(文化遺産 2004年登録)からイメージしたキャラ。
○リンカ・白鳥森(女・22歳)
・津軽三味線を弾く新人音楽家で、ムーンマーメイド交響楽団の非常勤楽団員(元正楽団員)。
日本の世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」(文化遺産 2021年登録)からイメージしたキャラ。
(ナプトレーマ王国にいる別行動中の仲間たち)
◎オリンス・バルブランタ(男・29歳)
・騎士(騎兵)。魔法の宝石グラン・エメラルドにより、クリスターク・グリーンに変身できる。
宝石の輝士団クリスタルナンバーズNo.2
○鵺洸丸(男・30歳)
・忍者。
日本の世界遺産「小笠原諸島」(自然遺産 2011年登録)からイメージしたキャラ。
○ススキ(女・22歳)
・新人くノ一。
<その他人物>
○イルビーツ・サウロザーン(男・35歳)
・ダールファン王国東部の騎士団を束ねる副騎士団長(三人いる副騎士団長の一人)。
魔力により魔法のランプを使うことができ、魔神を呼び出せる。
シェルージェの捜索に協力するため、クレードや兵士たちと共にダールファン王国の東の国ナプトレーマ王国へと向かう。
☆○ナプトダリオン160世(男・32歳)
・ナプトレーマ王国の現国王で、国の代表者。第244代国家元主。
本名は、カルムベトラー・ナプトダリオン。
この国では男性の王は「ツタムカーメン」と呼ばれる黄金のマスクを被るしきたりがあるため、現国王である彼も人前ではマスク姿である。そのため一部の人間を除き、その素顔は知られていない。
かなり高い魔力の持ち主で、杖のような長いアンクを持ち、アンクの光で魔獣を浄化したり、「太陽の船」と呼ばれる木造船に乗り、空を飛んだりできる。
誕生日は7月23日。
☆○パオトゥーラ・ナプトダリオン(女・27歳)
・国王160世の妻でナプトレーマ王国の王妃。美人。
誕生日は6月9日で27歳になったばかり。
☆○ネフェルーグ・ラバルペリド(男・52歳)
・ナプトレーマ王国騎士団団長。
「ラーレのケペシュ」と呼ばれる鎌型の剣を使いこなす、ファラオナイト(※)。
(※ナプトレーマの騎士団員は、男性の場合「ファラオナイト」、女性の場合「イシスナイト」と呼ばれる)
誕生日は10月6日。
☆○イザベリス・デラムジャール(女・23歳)
・ナプトレーマ王国騎士団の女兵士。
ナプトレーマ王国の兵士ではあるが、王国の北にあるサフクラント公国の出身。
「ネクベトのケペシュ」と呼ばれる鎌型の剣を使いこなす、イシスナイト。
父の名は、リグレイドス、弟の名は、スクレイザー。
誕生日は4月25日。
☆○ムナカタ・沖津灘(男・32歳)
・ワトニカ大相撲の現役力士。ワトニカ将国ヤハタ藩出身。遠賀川部屋所属。
身長186㎝・体重172㎏。
大銀杏の髷に、島と海、三人の女神が描かれた化粧まわしを締め、妖力(※ワトニカでは魔力を「妖力」という)を高めるために金製の指輪をはめている。
今年(2050K年)1月の初場所ではカド番大関であったが、負け越してしまい大関から陥落。関脇として次の3月春場所に出場するも10勝以上できず、大関に復帰できなかった。(ただ春場所では8勝7敗と勝ち越してはいる)
思うように相撲が取れないことに悩み、異国での修行を決意。そしてナプトレーマ王国へとやって来た。
ムナカタ・沖津灘の名は四股名で、彼の本名は、「ムナカタ・博多倉」。
日本の世界遺産「「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」(文化遺産 2017年登録)からイメージしたキャラで福岡県出身のイメージだが、彼の出身地(藩)や相撲部屋は、日本の世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」(文化遺産 2015年登録)のエリア8(八幡)に由来する。
誕生日は5月27日。
(☆:新キャラ)
(名前のみ登場する人物たち)
△シェルージェ・クランペリノ(女・18歳)
・黄色い髪をしている女の子。
貴族の国サフクラント公国の前大公の孫娘だが、なぜか南のナプトレーマ王国で目撃されるなど、いろいろと訳ありの人物。
この物語における重要人物の一人だが、今回は名前のみの登場。
△セーヤ・ダルファンダニア(男・25歳)
・国王の息子で、ダールファン王国の王子。
ダールファン王国でのコンサートなどを通じ、ムーンマーメイド交響楽団のマリーチェルと親しくなり、そして彼女への愛を誓った。
△マリーチェル・アフランデウス(女・22歳)
・アンシーやリンカの親友であるムーンマーメイド交響楽団の非常勤楽団員(元正楽団員)。
セーヤ王子の愛を受け入れた。
△ララーシャ・エルゴンジャルム(女・当時12歳)
・オリンス(現在29歳)が小学校6年生の時、好きだった女の子。
△飛騨雷渓(男・28歳)
・ワトニカ大相撲、第85代の現役横綱。ワトニカ将国シラカワ藩出身。長良部屋所属。
日本の世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」(文化遺産 1995年登録)からイメージしたキャラ。岐阜県出身のイメージ。
△金鯱龍(男・27歳)
・ワトニカ大相撲の大関の一人。ワトニカ将国オワリガワ藩出身。那古野部屋所属。
△欧呂鑼星(男・31歳)
・ワトニカ大相撲の大関の一人。ラープ帝国出身の外国人力士。北岬部屋所属。
ケルビニアン暦2050K年6月9日。
クレード一行やイルビーツ副騎士団長率いるダールファン王国騎士団を乗せた船は東のナプトレーマ王国の王都を目指し、サパルダースの大河を進んでいった。
そしてナプトレーマ王国の王都、トンブクドゥン地区(※2)の船着き場に着き船を下り、
クレード「ここがナプトレーマ王国の王都か…」
アンシー「約5000年の歴史を持つムーンリアス最古の国なんだけど、私は初めて来たわ」
ダールファン兵①(遠征部隊)「歴史があるのはもちろんですが、人口もダールファンより多いんですよ」
「ナプトレーマの人口は約9千万人といわれています」
リンカ「9千万、ワトニカほどは多くないベ」
千巌坊「ワトニカの人口は現在1億2千万人といわれているからな…」
ここでイルビーツ副騎士団長が、
イルビーツ「我々の国ダールファン王国から見れば、このナプトレーマはすぐ隣の国…」
「それゆえ私は何度かこの国に来たことがあります。魔獣退治の仕事でもプライベートでも」
ウェンディ「押忍!だったらイルビーツさんはこの国の地理にも詳しいんッスか?」
イルビーツ「詳しいってほどではないですよ、ウェンディ殿」
この地区で合流したナプトレーマの兵士が、
ナプトレーマ兵①(ファラオナイト・案内役)「国王様がいらっしゃるアブジンベルノン神殿(※3)へは我々がご案内いたしますので安心してください」
クレード「そうか。ならば早速向かいたいとこだな」
ホヅミ「オリンスさんたちもぉ、そこにいるとぉいいですねぇ」
リンカ「おらは初対面になるから、少し緊張するだ…」
ナハグニ「リンカ殿、安心してくだされ」
そう言ってナハグニはリンカの肩に手を乗せ、
ナハグニ「オリンス殿、鵺洸丸殿、ススキ殿、皆気さくでござるから」
リンカ(怒っている)「ナハグニさん…おらの肩から手をどけるだ…」 ゴゴゴゴ…
かつては「黄金の都」や「黄金郷」などと呼ばれた伝説もある交易都市トンブクドゥン地区を抜け、一行は王都内のカイロプート歴史地区(※4)へとやって来た。
そして歴史地区の砦で、
イルビーツ「ナプトレーマの方々のお気遣いにより、今夜はこちらに泊まっていって良いそうだ」
ダールファン兵①(遠征部隊)「イルビーツ殿、それでしたら今夜はお世話になりましょう」
イルビーツ「分かった。砦の方々には私からお礼を言っておこう」
千巌坊(心の中で)「(600の聖堂に1000の尖塔…)」
「(このカイロプートは私にとって大変興味深い場所であった…)」
次の日6月10日の朝。
砦で一泊した一行はテーベルプト地区(※5)という、また別の王都の地区へとやって来た。
そして案内役のナプトレーマ兵がこの地区について説明し、
ナプトレーマ兵①(ファラオナイト・案内役)「このテーベルプト地区には古代の王族や貴族の方々が埋葬されている墓地、葬祭殿、神殿跡などが多く残っております」
「そのためこの地区は今では、死者の都、「ネクロポリス」などとも呼ばれておりまして」
千巌坊(心の中で)「(別名、死者の都か…ならば私は古代の王たちのご冥福を祈ろう…)」
「(南無阿弥陀仏…)」
そして同じ日の昼、一行は地区内にある聖カタリナップ修道院(※6)の前で、
ナプトレーマ兵①(ファラオナイト・案内役)「この聖カタリナップ修道院は我がナプトレーマで最も大きい修道院でございます」
「よろしければ皆様も中でお祈りをしていってください」
イルビーツ「ではお言葉に甘えてお祈りさせていただきます」
「私も神様へお祈りすることは大切だと思いますので」
ダールファン兵①(遠征部隊)「我々の旅やシェルージェ様の無事などを祈りましょう」
ナハグニ(心の中で)「(うーむ、「神殿に着くと何かイベントが始まるから、その前に冒険の書を記録しておくのが良い」って感じがするでござるなあ)」
ナプトレーマ兵②(ファラオナイト・案内役)「修道院には神様や天使を描いた絵画などもございますので、ぜひご覧ください」
千巌坊「ご厚意に感謝いたします…」
次の日6月11日の昼、一行は現国王のいるアブジンベルノン神殿へとたどり着いた。
立派な神殿は岩山を掘って造られており、入り口には歴代の王たちの大きな座像が4体並んでいた。
そして神殿内を進み、クレードやイルビーツたちはナプトレーマの国王ナプトダリオン160世と王妃パオトゥーラたちに出会い、
ナプトダリオン160世(黄金のマスクを被っている)「ダールファンからよくお越しくださいました」
「余がこのナプトレーマの王、ナプトダリオン160世でございます」
パオトゥーラ「ナプトダリオンの妻で、王妃のパオトゥーラと申します。ダールファンの皆様、以後お見知りおきくださいませ」
イルビーツ(跪きながら)「ハハーッ!」
ナプトダリオン160世「客人である皆様の前でも素顔を見せておりませんが、我が国では男の王は代々このツタムカーメンと呼ばれる黄金のマスクを被らなければならないしきたりがございますので、どうかご了承ください」
イルビーツ「ハッ!」
一方アンシーやクレードは黄金のマスク姿の王を見て思った。
アンシー(心の中で)「(お客さんの前でもマスク姿なんて、すごいしきたりね…)」
「(まあ、私やクレードも変身すればマスク姿になるけど、国王様のマスクとはだいぶデザインが違うのよね)」
「(私たちのマスクは科学大陸のサンクレッセル的、未来的ともいえるデザインだけど、国王様の黄金のマスクは古代から受け継がれてきた伝統的な感じだわ…)」
クレード(心の中で)「(なるほどな。マスク姿の王やこの岩山の神殿を見ただけでもダールファンとは違う国だというのがよく分かるよ)」
「(ダールファンとナプトレーマ、どちらも砂漠の国なのだが、ヴェルトン博士の言うように文化や風習などは異なるようだ…)」
そしてイルビーツは紹介状を取り出し、
イルビーツ「ナプトダリオン様、こちら我がダールファン王国の騎士団団長であるアリムバルダ殿からの紹介状でございます」
「どうぞご確認ください」
国王ナプトダリオン160世は紹介状を受け取り、目を通した。
ナプトダリオン160世「なるほど、やはりシェルージェ様の一件でこの国に足を」
イルビーツ「ハッ!」
「国王様!私たちもシェルージェ様の捜索に協力したく思っております!」
「紹介状をお書きいただいたアリムバルダ殿のためにも、どうか一仕事させてください!」
ナプトダリオン160世「分かりました。シェルージェ様を見つけるためにも人手が欲しいとこですので、ぜひお願いいたします」
イルビーツ「国王様!誠にありがとうございます!」
ナプトダリオン160世「こちらこそご協力に感謝いたします」
ここでイルビーツが話を変え、
イルビーツ「ところで国王様、一つ確認したいことがあるのですが」
ナプトダリオン160世「イルビーツ殿、なんでございましょうか?」
イルビーツ「オリンス・鵺洸丸・ススキという三人の旅人が先日この王都へと向かったはずなのですが、国王様はこの方々をご存じでいらっしゃいますか?」
ナプトダリオン160世「オリンス殿たちですね。もちろん存じております」
「彼らは我が国の騎士団たちと王都に向かう途中、聖都アブルメナース(※7)の町付近に現れた魔獣たちの退治に協力してくれましたからね」
「私もその件でオリンス殿たちには感謝しておりますよ」
ここでクレードが、
クレード(跪きながら)「国王様、そのオリンスたち三人は私たちの仲間にございます」
「彼らは今どこにいるのですか?」
イルビーツ「オリンス殿たちについては私も気になります」
「オリンス殿たちはシェルージェ様の一件を知って、一緒にいた私と別れたのですから」
ナプトダリオン160世「オリンス殿たちお三方は、我が国の騎士団団長ネフェルーグ殿やシェルージェ様らしき女性を見つけた騎士団員のイリザベスさん、そしてワトニカ大相撲の力士、沖津灘関と共に、ワディ・アール・ビタンの谷(※8)へと向かわれました」
パオトゥーラ「ビタンの谷は、バシロサウルスといった大昔の鯨類の化石などが多く発見されたことから、「クジラの谷」とも呼ばれているのですよ」
国王ナプトダリオン160世の話を聞いたウェンディがここで、
ウェンディ「国王様!今、沖津灘関っておっしゃったッスね!?」
ナプトダリオン160世「ええ、三週間ほど前この国にいらっしゃいましたよ」
「なんでもしばらくの間異国で修行がしたいということで…」
ウェンディ「押忍!まさかあの沖津灘関がこの国に来ているなんて驚きッス!」
クレード「ウェンディ、そいつを知っているのか?」
ウェンディ「押忍!大関の一人かもしれねぇ人ッス!」
アンシー「かもしれないって、どういう意味なの?」
ウェンディ「押忍!沖津灘関は今年1月の初場所でカド番大関として出場したッス!」
「でも7勝8敗で負け越して、関脇に陥落してしまったッス!」
クレード「関脇ってのは大関より下の地位か?」
千巌坊「そうだ…大関は休場も含め2場所連続で負け越してしまうと、その番付も下がるのだ…」
リンカ「でも救済措置もあるだ。その次の場所で10勝以上すれば大関に復帰できるだ」
ホヅミ「沖津灘さぁんにとってぇ、その次の場所はぁ今年3月の春場所になりますねぇ」
クレード「そうなるとそいつは春場所で10勝以上できたのか?」
ウェンディ「押忍!そこまでは分かんねぇッス!」
「ウチは3月の卒業式の次の日に船に乗ってワトニカを旅立ったんッスから!」
ここで国王ナプトダリオンが、
ナプトダリオン160世「どうやら10勝以上はできなかったようですね」
「8勝7敗だったとご本人がおっしゃっていましたよ」
千巌坊「8勝7敗ですか…勝ち越しはしていますが、大関への復帰は無理だったようですね…」
ナプトダリオン160世「沖津灘さん自身も中途半端な結果を嘆いていましたよ」
「それで次の5月の夏場所にはあえて出場せず、異国で修行し「勝つための何か」を得たいと思ってワトニカから旅立ったそうです」
ウェンディ「押忍!それはそれでなんかもったいない気がするッス!」
パオトゥーラ「それでしたら沖津灘さんに直接お話をしても良いのでは?」
「オリンス殿やネフェルーグ騎士団長たちと共に、夜には神殿へ戻ってくることでしょうから」
そして国王が続いて、
ナプトダリオン160世「しかしワトニカの方々と何人もお会いできて余は嬉しく思いますよ」
「ワトニカの方により新たな産業が生まれ、それにより潤っている町や村がこの国にあるのですから」
ウェンディ「押忍!ワトニカ人が産業を生んだってどういうことッスか?」
ホヅミ「もしかしてタコさんの話ですかぁ?」
ナプトダリオン160世「その通りです。昔この国にやって来たワトニカの方が私たちの国にタコつぼ漁を広めてくれたのです」
千巌坊「その話は私も存じております…」
「今日ワトニカでタコを多く食べることができるのもその方のおかげなのだと…」
ナプトダリオン160世「このナプトレーマの近海ではタコが多く生息しています」
「それでそのワトニカの方はタコつぼ漁を思いつき、獲れたタコをワトニカで買い取るとおっしゃったようです」
パオトゥーラ「我が国ではタコを食べる習慣は今もございません。ですがワトニカの人は好んでお食べになるようなので、幸いにも高く買っていただくことができました」
ナプトダリオン160世「タコつぼ漁が儲かると分かってからは多くの人間が漁を始めました。今やタコつぼ漁は我が国にとって大変重要な産業の一つなのです」
パオトゥーラ「特にウアダンゲットの町(※9)やバルダンガーロン村(※10)ではタコつぼ漁が盛んです」
「これらの町や村は元々産業が乏しかったのですが、タコつぼ漁により今はとても潤っているようです」
ナプトダリオン160世「ワトニカの方が我が国の経済に大きく貢献してくれました」
「そのため私やパトゥーラを始め、この国の民たちの多くはワトニカや国の人々のことをとても信頼しているのです」
ウェンディ「押忍!そういう嬉しい話を聞くと、ワトニカの人間としてすごく誇らしい気持ちになるッス!」
ホヅミ「ウェンディさぁん、タコさんの話もぉ学校の授業とかでぇ聞いているはずですよぉ」
アンシー「でも私はそんな話今初めて聞いたわよ」
イルビーツ「私もですよ。ナプトレーマとワトニカにそのような関係があったとは…」
リンカ「アンシー、イルビーツさん、ワトニカで食べられているタコの多くはナプトレーマ産だ」
「おらたちワトニカ人にとってナプトレーマは馴染みのある国名なんだ」
ホヅミ「アンシーさんやぁイルビーツさんが知らないのはぁ、タコを食べない国の出身だからぁ、きっとそういう話もぉ出てこないんですよぉ」
アンシー「確かにそれはあるかもね。私、タコなんて一度も食べたことないもの」
イルビーツ「ホヅミ殿の言うように、ダールファンでもタコを食べる習慣はありませんよ」
クレード「俺も記憶をなくしてからは食ったことはないな」
「アイルクリート出身のヴェルトン博士は食ったことがあるようだが」
千巌坊「まあとにかくリンカの言うように、我々ワトニカ人からすればナプトレーマはタコの産地として知られているのだ…」
ウェンディ「押忍!だったらタコでお世話になっているこの国のためにウチらも力を貸すッス!」
ホヅミ「美味しいタコさんをぉ食べるためにもぉ、ホヅミ頑張るですぅ」
リンカ「物の怪たちとの戦いはおっかねえとこもあるけど、おらもできる限り力になるだ…」
ナプトダリオン160世「ありがとうございます。さすがはワトニカの方々です」
「その懸命さやひたむきさなどがあるからこそ、新しい道を切り拓けるのでしょう」
クレード「国王様はお前たちワトニカ人に期待しているぞ」
千巌坊「ならば我々も成果を出してみましょう…この国にタコつぼ漁を広めたワトニカのお方のように…」
アンシー「ワトニカのみんなが頑張るのなら、私たちも同じくらい頑張りましょうよ、クレード」
クレード「もちろんだ」
ここでずっと話を聞いていたナハグニは心の中で、
ナハグニ(心の中で)「(うーむ、拙者からすれば相撲の話もタコの話も正直あまり興味ないでござるなあ…)」
「(相撲はワトニカの国技だといわれておるが、どうも拙者はあまり興味が湧かなくて…)」
「(それにタコもあまり馴染みがないでござるよ…リュウキュウの者たちはそんなにタコを食わぬし…)」
「(むしろリュウキュウでタコと聞けば、海の蛸よりも「タコライス」を想像するでござるよ…)」
同じワトニカの人間でも考え方はそれぞれであった。
そして夜になり、ナプトレーマ王国騎士団団長のネフェルーグや騎士団員のイザベリスたちが神殿へと戻り、イルビーツたちは互いに挨拶し、
イルビーツ「ダールファン王国騎士団、副騎士団長のイルビーツ・サウロザーンでございます」
「我が国もシェルージェ様の捜索に協力したく思い、部隊を率い、ナプトレーマへと参りました」
「この度はよろしくお願いいたします」
ネフェルーグ「イルビーツ殿、この度のご協力に感謝いたします」
イザベリス「ダールファンからご足労いただき、本当にありがとうございます」
イルビーツ「共に力を合わせましょう。何としてもシェルージェ様を見つけ保護しなければ」
ネフェルーグ「シェルージェ様を見つけるため、ここ連日は兵たちを動かし対応しているのですが、未だ彼女の発見には至っておりません」
イルビーツ「国王様たちからもその話を伺いました。中々厳しいものですね…」
イザベリス「ですがシェルージェ様はクランペリノ前大公のお孫様です」
「簡単に捜索を諦めるわけにはいきません…」
ネフェルーグ「とにかく今後のことなどについては、明日の会議でお話しいたしましょう」
イザベリス「私がシェルージェ様らしき女性を見つけた話も改めてお話しいたしますので」
イルビーツ「よろしくお願いしますよ、イザベリス殿」
「あなた様はシェルージェ様のことをご存じなのですから」
イザベリス「は、はい…」
イザベリス(心の中で)「(イ、イルビーツさん…紳士的でなんか素敵…)」
イケメン顔のイルビーツを見てイザベリスは思った。
そしてクレードたちは仲間であるオリンス・鵺洸丸・ススキとようやく再会し、イルビーツもオリンスや鵺洸丸たちに話しかけた。
イルビーツ「オリンス殿、鵺洸丸殿、ススキ殿、お三方ともご無事で何よりです」
鵺洸丸「お心遣い感謝いたしまする。ですが、心配ご無用」
「簡単に倒されるそれがしたちではございませぬ」
オリンス「イルビーツ副騎士団長、ナプトレーマに来ていただいたんですね」
ススキ「わざわざダールファンからすいません…」
イルビーツ「大丈夫ですよ。私もシェルージェ様の件が気になりましたので」
オリンス「それでしたら、この国でも力になりましょう」
イルビーツ「そうですね。とにかくまずは、イザベリス殿が言うシェルージェ様らしきその女性を見つけましょう」
ススキ「私たちもここ数日、イザベリスさんたちと共に王都周辺などを捜索したのですが、まだその女性が見つからなくて…」
イルビーツ「我々ダールファンの遠征部隊も捜索に協力するつもりです」
「それで何とか対処していきましょう」
ここでクレードがオリンスに、
クレード「この国へ来る予定はなかったんだぞ」
「まったく、手間をかけさせやがって」
オリンス「それは申し訳なかったよ」
「だけどシェルージェ様は前大公の孫娘という高貴なお方なんだ。それだけの方なら放っておくわけにもいかないと思って」
クレード「まあ俺もそう思ってこの国に来たようなもんだしな…」
「お前たちを怒ったりはしないさ。変な言い方をして悪かった」
アンシー「そんな言い回しをするくらいなら、イルビーツさんのように「無事で良かった」とか言ってあげればいいのに、不器用な性格ね…」
リンカ「まあアンシー、一応謝ったんだからもういいべ…」
オリンス「白い髪の女性とりんご柄の着物を着た女性…」
「もしかして俺たちの新しい仲間なの?」
アンシー「緑色の髪のあなたがオリンスね」
「クレードたちから聞いているわ」
アンシーはオリンスたちに軽く自己紹介をした。
アンシー「私はアンシー・ヒズバイドン」
「ムーンマーメイド交響楽団の非常勤楽団員よ」
鵺洸丸「ムーンマーメイド交響楽団?確かダールファンでコンサートを予定していた…」
アンシー「ええ、正楽団員から非常勤になっちゃったけど、私とリンカは今でも楽団の一員よ」
ススキ「でも楽団員の人がどうして私たちの仲間に?」
ススキ(心の中で)「(それに彼女はもしかしたら…)」
アンシー「私たちムーンマーメイド交響楽団はソコドラ島(※11)での戦いに加勢したの」
「それで戦いの中で、私はクリスターク・ホワイトに変身できるようになったの」
オリンス「えっ!?というとアンシーは新しいクリスタークの戦士なの!?」
リンカ「そしておらはアンシーの友人としてみんなと同行しているだ」
ススキ「りんご柄の着物を着ているってことは、もしかしてりんごの産地サンナイ藩の人なの?」
リンカ「その通りだ。おらはリンカ・白鳥森」
「サンナイ藩出身で津軽三味線の奏者だ」
ここでオリンスたちと一緒にいた力士の沖津灘が、
沖津灘「ハッハッハッ!女子が二人も加わるとは実に華やかたい!」
クレード「あんたがワトニカ大相撲の力士、沖津灘か?」
沖津灘「その通りたい!ヤハタ藩出身の力士たい!」
オリンス「沖津灘とは少し前に出会ったばかりだけど、この国で俺たちと一緒に戦ってくれんだ」
沖津灘「オイは大関を経験しているたい!よろくし頼むばい!」
ナハグニ(心の中で)「(なんだかむさ苦しい大男が出てきたでござるなあ…)」
ここでイルビーツは沖津灘に話しかけ、
イルビーツ「あなたが沖津灘殿ですね」
「この国でオリンス殿たちを助けていただき感謝いたします」
沖津灘「ハッハッハッ!気にせんでもよかと!」
「力を合わせたのは、まだ数日程度の話たい!」
イルビーツ「鵺洸丸やススキ殿たち、ワトニカの方々にはいろいろと助けていただきました」
「沖津灘殿が鵺洸丸殿たちと同じワトニカの戦士であるのなら、あなたにも期待させていただきますよ」
沖津灘「お任せくだされ!オイも一度は大関になった力士、その力で人助けをさせてもらうたい!」
自己紹介などを一通り済ませ、クレードたちは夕食を食べた。
食事中もご馳走を囲いながら、クリスタークの戦士のこと、「クリスタルナンバーズ」というチーム名のこと、ダールファン王国でのコンサートのこと、セーヤ王子とマリーチェルのことなどを話した。
オリンス「そうか。そのマリーチェルさんっていう楽団員がセーヤ王子の心に光を与えてくれたんだね」
アンシー「ええ、お互いの愛を誓った時、二人は涙を流したそうよ」
リンカ「二人は永遠の愛と幸せを手に入れた思うだよ」
オリンス「それは本当に良かったよ」
「王子はお母様である王妃様を亡くしてから、ずっと落ち込んでいたようだしね」
ススキ「随分と落ち込んでいたんだもの、私も王子様が心配だったわ…」
鵺洸丸「だがこれからはそのマリーチェル殿がついておるのだ」
「きっと彼女が誰よりも王子を支えてくれるはず…」
クレード「まあムーンマーメイド交響楽団のコンサートも大成功だったし、めでたしめでたしってわけだ」
オリンス(心の中で)「(セーヤ王子とマリーチェルさんか…)」
「(俺もいつか運命の女性と出会える日が来るのかな…小学校6年生の時のララーシャちゃんとは別の女性に恋ができるかな…)」
ナハグニ(心の中で)「(王子様と下の身分の者が結ばれる…)」
「(思えばルスカンティアのチャドラン王子とルリコ殿のようなパターンでござるなあ…)」
そしてクレードたちは食事の後、神殿の休憩室で沖津灘関と話し、
沖津灘「オイは春場所で大関から陥落しまったばい…」
ウェンディ「押忍!でも8勝7敗で勝ち越したのなら5月の夏場所もちゃんと出場すれば良かったと思うッス!」
千巌坊「ウェンディの言う通りだ…関脇としてまた良い成績を出していけば、再度大関に昇進できたであろうに…」
ホヅミ「そうですよぉ、沖津灘さんはぁ自分からぁ、大関への道を遠ざけちゃっただけですぅ」
沖津灘「その通りたい。怪我や病気でもない現役の力士が休場するのはものすごく良くないことたい」
リンカ「自覚しているなら、今すぐワトニカへ帰るだ」
「そして7月のオワリガワ場所にはちゃんと出場するだ」
沖津灘「現役の力士であるのなら、その行動のほうが正しいたい」
「だが今は「勝つための何か」を得るために、異国でひたすら修行したいと思っているばい」
「そのためならオイは番付が序二段や序ノ口まで下がっても構わんたい」
鵺洸丸「その話、それがしたちと出会った時も言っておったな…」
オリンス「でも、沖津灘のその気持ち分かる気がするな…」
沖津灘「オリンス殿」
オリンス「俺も元はルスカンティア王国騎士団の正団員だったけど、騎士団員を辞めた今ならまた違う視点で物事を見れたり考えたりできるから…」
アンシー「私も共感できるわね」
「私やリンカも元はムーンマーメイド交響楽団の正楽団員だったけど、旅をするために非常勤楽団員になる道を選んだわ」
リンカ「アンシー…」
アンシー「正楽団員から非常勤になったことで失ったものも多くあるかもしれないけど、私は決して後悔なんてしてない」
「まだ仲間になって日は浅いけど、クレードたちと旅することを選んで良かったと思っているわ」
「だから沖津灘、あなたも休場したことを悔やんではいないんでしょ?」
沖津灘「その通りたい、アンシー殿!」
「異国へ来たからこそワトニカでは掴めない「何か」があるはず、時間がかかったとしてもオイはそれを見つけてみせるたい!」
ススキ「沖津灘さん…」
ここでクレードが沖津灘に、
クレード「それであんたはこれからどうするつもりだ?」
「シェルージェ様の一件があるから力を貸しているようだが」
沖津灘「シェルージェ様とされる黄色い髪の女性…」
「彼女が見つかり、この一件が解決したらオイはまた別の国へ行くつもりたい!」
「そしてその国や地域で何か困りごとがあれば力になりますたい!それも修行のうちばい!」
クレード「だったら俺たちの仲間になれ」
「戦う力のある俺たちと旅をすれば、それは修行になるだろう」
ウェンディ「押忍!番付が大きく下がることも覚悟したのなら、ウチもそれで良いと思うッス!」
「クレードたちと旅をすることはウチにとって柔道の修行みたいなものッス!」
「こうなったら沖津灘も旅をしながら修行するッス!」
沖津灘「クレード殿!ウェンディ殿!ならばそのお気持ちに応えてみせますたい!」
「ワトニカ大相撲の現役力士、ムナカタ・沖津灘!可能な限りお供いたすたい!」
沖津灘が仲間に加わった。
オリンス「どんな事情がある人でも俺たちの仲間になってくれるのなら嬉しく思うよ」
「改めてよろしくね、沖津灘」
沖津灘「オリンス殿、そして皆の衆よ!」
「大関経験者の力、旅先でたっぷりとお見せするたい!」
リンカ「でも沖津灘さんがしばらく休場することになったら、がっかりするファンもいると思うだ…」
沖津灘「そうかもしれぬたいが、オイの他にも強き力士はいるたい!」
「横綱の飛騨雷渓関、大関の金鯱龍関と欧呂鑼星関、関脇や小結たち三役、あの者たちならオイがいなくても相撲を盛り上げてくれるはずたい!」
千巌坊「飛騨雷渓…清らかな技を得意とする「清流の横綱」(異名)か…」
ススキ「欧呂鑼星関は「極光の大関」の異名を持つ外国人力士ね」
「彼の所属する北岬部屋の北岬親方はエゾ藩出身の元力士で、親方は第78代横綱、秩府神威関でもあるのよね」
ここでホヅミが沖津灘に、
ホヅミ「でもぉ、他人任せにしてぇ、長くぅ休場するのはぁ良くないですぅ」
「沖津灘さんもぉ、どこかでぇ出場しないとぉダメだと思うですよぉ」
沖津灘「もちろん出場への意欲はしっかりとあるたい!次出場する時は、今以上に強くなってみせますたい!」
「そしてファンや応援してくれる地元の方々の期待に応えてみせますたい!」
ウェンディ「押忍!その意気ッス!」
一方ナハグニだけは、
ナハグニ(心の中で)「(うーむ…)」
「(アンシー殿とリンカ殿、可愛らしい女子たちが仲間になったと思えば、次は暑苦しい相撲取りでござるか…)」
「(体格がいい者が仲間になるのなら、ムチムチぼでぃの女子のほうがずっと良かったでござるよ…)」
千巌坊「ムっ…」
「喝ーっ!」
千巌坊は警策でナハグニを叩いた。
ナハグニ「痛っ!」
「千巌坊殿!またまた拙者を!」
千巌坊「お主の煩悩は簡単に取り除けるものではないが、やはり坊主としては放っておけんのでな…」
沖津灘「ナハグニ殿!煩悩があっては土俵の上で勝つことなどできんたい!」
ナハグニ「拙者は相撲取りなどではござらん!武士・侍でござる!」
ここで沖津灘がアンシーに、
沖津灘「しかしアンシー殿があの天才ピアニスト、チャロックスキー殿の娘さんとは驚きたい!」
「チャロックスキー殿の名は音楽に疎いオイでも一度は聞いたことがあるたい!」
ススキ「そうよね。私も驚いたわ」
「ヒズバイドンって姓から、もしやと思ったんだけど…」
ウェンディ「押忍!でもウチはその人を知らなかったッス!」
ホヅミ「それはぁウェンディさんが単にぃ忘れていただけですよぉ」
「チャロックスキー・ヒズバイドンさんはぁ、音楽の教科書にぃ出てくるくらいぃすごい人なんですよぉ」
鵺洸丸「ではその娘であるアンシー殿もさぞ腕のある音楽家なのでは?」
アンシー「わ、私なんて、まだまだお父さんには全然及ばないわよ…」
クレード「だがお前の音楽はいいと思うぞ」
「通常の演奏においても戦いにおいても」
アンシー(嬉しそうに)「ク、クレード…」
続いてクレードは、
クレード「ちょうどいい、アンシー、お前の音楽をオリンス・鵺洸丸・ススキ・沖津灘たちに聴かせてやれ」
「この四人はお前の音楽をまだ聴いていないだろうからな」
アンシー「私の音楽か…」
「そうよね、オリンス・鵺洸丸・ススキ・沖津灘たちとは今日初めて会ったんだしね」
「いいわ。お休み前にみんなに私の音楽を聴かせてあげるわ」
鵺洸丸「それはありがたく思いまする…オリンス殿、ススキ殿、そしてそれがしはダールファンでコンサートを聴くことができなかったので…」
ススキ(心の中で)「(ダールファンでのコンサートかあ…)」
「(確かに聴くことはできなかったけど、私はそれでも良かったと思うわ…)」
「(だってその分鵺洸丸さんと一緒にいられたのだから…)」 ドキドキ…
続いて、
リンカ「アンシー、だったらおらも一緒にヴァイオリンを弾くだ」
「おらとアンシーでデュエットだ」
アンシー「ありがとう、リンカ」
「一緒に奏でましょう」
沖津灘「ハッハッハッ!どうせなら派手にやるたい!」
「オイたち以外の方々にも演奏を聴いてもらうたい!」
オリンス「それも良いかもね。神殿の人たちにも声をかけてみようか?」
沖津灘やオリンスの提案で、神殿にいる他の者たちも招いて演奏会をすることにした。
そして、国王ナプトダリオン160世、王妃パオトゥーラ、ダールファン王国のイルビーツ、ナプトレーマ王国騎士団員のイザベリスたちなどが集まった。
アンシーはホワイトコーラルハープを、リンカはヴァイオリンを持ち皆の前で演奏を始めた。
二人が奏でる美しい音色が神殿内に響き渡り、演奏が終わると皆二人に拍手喝采を送った。
こうして夜は過ぎた。
明日(6月12日)はシェルージェを捜索するための会議を予定している。
どのような会議になるのだろうか?
次回に続く。
今回、沖津灘の身長を書きましたが、他のキャラの身長は、
(男)クレード172㎝・オリンス170㎝・ナハグニ175㎝・鵺洸丸170㎝・千巌坊185㎝
(女)アンシー161㎝・ウェンディ158㎝・ホヅミ156㎝・ススキ145㎝・リンカ159㎝
※1…王国の名前の由来は、「ナイル川」と、古代エジプトの王朝「プトレマイオス朝」より
☆※2…地区の名前の由来は、マリの世界遺産「トンブクトゥ」(文化遺産 1988年登録)より
☆※3…神殿の名前の由来は、エジプトの世界遺産「アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群」(文化遺産 1979年登録)より
☆※4…歴史地区の名前の由来は、エジプトの世界遺産「カイロ歴史地区」(文化遺産 1979年登録)より
☆※5…地区の名前の由来は、エジプトの世界遺産「古代都市テーベとその墓地遺跡」(文化遺産 1979年登録)より
☆※6…修道院の名前の由来は、エジプトの世界遺産「聖カタリナ修道院地域」(文化遺産 2002年登録)より
☆※7…聖都の名前の由来は、エジプトの世界遺産「アブ・メナ」(文化遺産 1979年登録)より
☆※8…谷の名前の由来は、エジプトの世界遺産「ワディ・アル・ヒタン」(自然遺産 2005年登録)より
☆※9…町の名前の由来は、モーリタニアの世界遺産「ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスール」(文化遺産 1996年登録)より
☆※10…村の名前の由来は、モーリタニアの世界遺産「バン・ダルガン国立公園」(自然遺産 1989年登録)より
※11…島の名前の由来は、イエメンの世界遺産「ソコトラ諸島(or ソコトラ群島)」(自然遺産 2008年登録)より
(☆:物語初登場の世界遺産)




