はじまりのスノウ
雪が頭にかかりやけに冷たい日のことだった。気温は1度ほど、温度だけでいえば大したことはない「なぜこんなにも冷たいのだろう」と自問する。
夜1時のことだった。気が付かないうちに私の体は限界だった。
視界は斜めに切り、暗転した。
「だいじょうぶですか?」
誰かの声が頭の中で重く響く。
「運びますね……」
運ばれる私の体。
気が付くと私の体はどこか知らない小屋の中に置かれていた。
質素だけれど、どこか懐かしい、子供の頃の思い出の中のよう場所だった。
「あっ、目を覚まされましたね。もう少しでドラゴンに食べられそうになっていたんですよ?
私がいてよかったですね?」
そう少女は恩着せがましくいう。
「死にたかったんだ、余計なことを……。それにドラゴン?」
頭がおかしいのか、と言おうとして思い留まる。
「ええ、これです。今夜はごちそうです」
そういって出されるステーキ、病人には少し重い……。
まあ、なんでもいいかと思いながら少女と私は席に着き食事をとる。
「美味い……」
思わず声が出てしまう。
それに、その肉は明らかに地球の物とは違う、何かの肉だった。
「うふふ……私の料理の腕は大陸一ですから」
少女が薄気味悪く自慢する。
「大陸?ここは日本じゃないのか」
「日本?……聞いたことない村の名前ですね。遠くから来られたのですね」
その時急に銃声が轟いた。そして続いて大勢の悲鳴が聞こえる。
「おっと、まずいですね。そこにいてください」
少女はそう言い残し外へと走っていった。
意味が分からない、そう思いながら私は壁に掛けてあったライフルを持ち外へ走る。ライフルの使い方は、昔引きこもりをしていた時に学んでいた。
銃の名前は……、見たことがないものだった。
外へ出た時、もうすでに少女の姿はなかった。残されたのは抉られた地面のみ、明らかに超人的なスピードで移動していった影だけだった。