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◯◯◯◯探偵  作者: てこ/ひかり
第一幕
5/28

冒険家探偵

Q, 先ずは現時点での感想をお聞かせください。


A, そうですね。本当にクタクタですけど、やっぱり行って良かったってそう思いますね。


Q, 今回前田さんは、探偵として、とある事件を追いかけ、南極探検に至ったとのことでしたが……。


A, はい。


Q, どうしてわざわざ南極まで?


A, もちろん捜査の一環です。動機が知りたくてね。とある事件で、容疑者が私に言ったんですよ。『あの南極の景色を守るためなら、僕は殺人だろうが、どんなことだって辞さない』ってね。何だか清々しい顔までしちゃって。それで、そんなに良い景色なのか、自分で確かめてみなくちゃなって。


Q, なるほど。容疑者の動機を知りたくて、南極まで出向いた訳ですね。前田さんは、南極に行く途中、北京に寄っておられますね。


A, ええ。それも当然、捜査です。


Q, そこで前田さんは北京ダッグと、上海蟹、中華三昧フルコースを注文しておられます。


A, はい。被害者の胃の中から、鴨肉が見つかりましてね。それで、鴨肉の消化具合をこの身をもって確かめようと……。どうしても捜査上、食べざるを得なかったんです。


Q, 捜査上食べざるを得なかった。それから北京を丸2日満喫した後、エジプトに向かった。


A, エジプトも良かったなぁ! 実は、担当する事件が起きた部屋が、『ツタンカーメンの間』って言う名前でね。それでツタンカーメンの存在感をこの目で確かめねばならないと、探偵の勘がそう言っていた訳です。


Q, 探偵の勘。あくまで捜査の一環だった、と。


A, もちろんですよ! あの時エジプトに出向いてなきゃ、『ツタンカーメンの間』を、私は実感として捉えることができなかった……考えるだけでもゾッとします。それからイギリスに行ってね。


Q, イギリスはどうでした?


A, 最高。もうね、最高だった。私は昔からハリー・ポッターの大ファンでねえ。イギリスと言ったらハリー・ポッターじゃないですか。魔法の国。2泊のつもりが、4泊もしちゃった……。


Q, イギリスと言えばシャーロック・ホームズじゃないんですか?


A, え?


Q, ホームズ……。


A, ……もちろんホームズだよ! 私はさっきからその話をしてるじゃないか! なんだい急に?


Q, 失礼しました。てっきり魔法界に魂を売ったのかと。


A, 魔法の……魔法のような捜査だと言ったんだ、私は! 記事ではそこんとこ上手く……書いといてくれよ!


Q, 分かりました。それでイギリスを立ち、フランス、スペイン、ポーランドと周り……各国にはどのようなご用件で?


A, フランスは……なんだったかな? そう、凶器がフランスパンだった。それに被害者の生前のあだ名が、『闘牛』でね。殺された時床に出来た血痕が、ポーランドに酷似していたんだ。


Q, それでポーランドに……。


A, 事件を解決するためなら! どんなところにだって飛んで行くのが探偵ってもんさ! たとえラスベガスだろうと、グアムだろうと、バリ島だろうと、モスクワだろうと台北だろうとドバイだろうとハバナだろうと……。


Q,  観光地ばっかりですね。


A, どんな些細な証拠でも! 地道にこの足で現地に赴き、捜査して行くのさ! そうだろう!?


Q,  大きな声出さなくても大丈夫ですよ。雑誌の記事なんで。そして先生は、最終的に南極にまで向かわれた……確か事件はまだ、解決してないんでしたよね?


A, ああ。犯人は捕まったけど、私は徹底的に調べなくては気が済まないタイプでね。たとえば私は、容疑者が日頃ハンバーガーを好んで食べていたところまで掴んでいる。それで来週、ハンバーガーと事件の関係性について調べるため、アメリカに行くつもりなんだ。必要とあらば、もう一周くらい世界を回ってみせるよ。探偵の誇りにかけてね!


Q,  なるほど。本日は冒険家兼探偵の、前田克家さんにお越しいただきました。前田さん、そんなポーズとってもあんまり意味ありません……写真とかないんで。どうも、ありがとうございました。


A, 誇……ありがとうございました。


〜Fin〜

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