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第捌集:触れてはいけない花

 日を追うごとに空は高くなり、空気は冷たさを増していく。

 庭園の木々は、精霊たちに促されるように葉を燃えるような紅へと変化させていた。

「んああ、寝た気がしない……。ベッドに入った記憶が……」

 窓の外は前日の冷たい雨が空気を洗い流したように晴れ渡り、清々しい空が広がっていた。

 昨夜は強い雨脚の音をBGMにしながらずっと挨拶の練習をしたり、作った原稿を何度も読み返して内容を確認したりと忙しくしていたため、いつの間にか机に突っ伏したまま眠ってしまっていたらしい。

 そんなギフトの姿を見かねた誰かがいつの間にかベッドに移動させてくれたようだ。

 手には原稿が握られたままだった。

「はぁ……。主席入学の挨拶なんて、どうしろって言うのさ……」

 そう、今日は待ちに待った入学式。

 待ちに待っていたのは主にファージとキール、御屋敷で働いているギフト大好き隊。

「なんで当人のわたしよりも周りが盛り上がってるんだろう。プレッシャーだぁ……。全員で見に行くとかって言ってたしなぁ……」

 王立メガロスディゴス魔法学院は入学式や卒業式、運動会や学院祭など、その他様々な学内行事への参加を一般にも開放しているため、誰でも観覧が可能だ。

 そのため、いつも入学式の時期はそれに合わせて街中がお祭り騒ぎとなる。

 貴族、王族、資産家の家などは、家族のみならず従者も総出で参加することは通例であり、その家の強さを示す意味でも子息・息女の入学式は重要な行事と言える。

 カーテンについているダイヤモンドが、太陽の光を反射してキラキラと部屋を彩っていた。

 憂鬱なギフトの心境とは真逆の光景だ。

 起きてから何度目かのため息をつこうと息を吸い込んだ時、空気と一緒に良い香りも入ってきた。

 カラカラカラ……、という小気味良い車輪の音。

 カノンがモーニングティーと幸せをティーラックに乗せてこちらへとやってきた。

「ギフトさま、おはようございます。昨日は遅くまでずっと原稿を読んでいらっしゃったんですね。お身体の調子はいかがですか?」

 カノンは今日も笑顔が薔薇の花のようだ。

 しかし、ナーバスなギフトにとってそれはとても眩しすぎた。

「カノンさん……、わたしが壇上で挨拶を失敗しても好きでいてくれますか?」

「まあ! そんな些細なことでギフトさまを嫌いになると思われているなんて心外ですわ。わたしは何があってもずっとギフトさまが大好きですよ。それに、もっと自信をお持ちください。ギフトさまならなんでもうまくいきます。カノンも祈っておりますよ」

「しゅ、しゅきぃ……」

 美女は今日も心まで美女だった。

 カノンに促されるままバスルームで軽くシャワーを浴び、眠気を吹き飛ばすと、今日のためにファージが用意してくれていたオレンジの花の香油を塗り込んだ。

 オレンジの花には不浄なものを寄せ付けない効果があるらしい。

 甘く爽やかな香りに身を包み、下着を身につけてバスルームを出ると、大きな紺色の箱が用意されていた。

「こ、これはもしかして!」

「ふふふ、奥様とメイドみんなで選んだのです!」

「おおおお……。今日まで秘密にされていた制服……、んん? なんか……、思ってたのと……、違う……」

「さぁ、ギフトさま。明日からはご自分でも着られるように着付けを覚えましょう!」

「は、はあい」

 箱の中に入っていたのはギフトが想像していたブレザーやプリーツスカートではなかった。

 なんと、袴だった。

 生成色の立ち襟シャツ、左胸のところにリリーベル家の紋章〈剣を持った二人の子供を載せた八咫烏〉と、背中に大きく魔法学院の校章である〈椿と狼〉が入った山吹色の中振袖、臙脂に近い色味の落ち着いた茶色の袴、そして艶々とした黒い編み上げブーツ。

「さ、流石に制服用だから中振袖の着丈は短く整えられているとはいえ……、この袖勉強しづらくない⁉ 火の魔法使ったら焦げそう……」

「ふふふふふ、ギフトさま大丈夫ですよ。これは式典用の制服です。通学には小振袖を用意しております。それに、ギフトさまにご用意した制服はこれだけでは無いんですよ」

 カノンが手を二回パンパンっと叩くと、廊下から浮遊魔法で五十個もの紺色の箱が運ばれてきた。

「あー……」

「制服の形は四種類に絞ることができたのですが、お色味を絞りきることができず、いっぱいご用意してしまいました」

「ふぁー……」

(毎日選ぶの面倒くさそう……)

 ギフトはこれからもずっと用意してもらった服を素直に着る事に決めた。


 カノンに教えてもらいながら制服に着替え、黒いブーツだけ玄関に持って行ってもらい、いつもの猫足スリッパを履いてリビングに向かうと、何やら扉の中が盛り上がっていた。

 嫌な予感をゾクゾクと感じながら扉を開けると同時に、目の前いっぱいに果物でできた豪華なタワーが現れた。

「ギフトさま!」

「ご入学!」

「まことに!」

「おめでとうございまーす!」

 空中に浮かんでいるたくさんの鈴が一斉になりだし、音がキラキラとした星のかけらとなってギフトに降り注いだ。

 十六畳ほどのリビングに、みっちりとメイドや執事のみならず庭師や裁縫室の刺繍職人など、たくさんの使用人が集まっていた。

「あ、ありがとうございます! 立派な魔女になるために一生懸命勉強してきます!」

 そう言ってギフトがお辞儀をすると、まるでお祭り騒ぎのようにたくさんの拍手が響き渡った。

 拍手の中心ではファージが大きな写真機でキャッキャしながらギフトの写真を撮っている。

 キールはどこにいるのかとギフトが周りを見回して見たら、とんでもないところでとんでもない顔をしていた。

「ぱ、パパ⁉」

「ううう、可愛いよう、なんて可愛いんだあぁあ」

 キールは身体を小さくかがめてものすごく低い位置からギフトの全身写真を泣きながら撮影していた。

「はぁああ、こんなに可愛いなんて……。しかも主席で入学なんて……。毎秒お見合いの申し込みが来てしまう……。パパは複雑な気持ちでいっぱいだよギフトぉお」

「あ、あぁ……大丈夫ですよ。そんな事にはおそらくきっと絶対にならないと思いますし、なんならわたしは絶対に断りますから安心してわたしを学校へ通わせてください」

「うおぉぉおお。才色兼備な上に考え方もしっかりしているなんて……。いつか国宝に指定されてしまうのでは……」

「パパ、一旦落ち着きましょう」

 後方から写真をこれでもかと撮っているファージに、ギフトが可愛すぎるがあまり泣き崩れているキール。

 ギフトは苦笑いしながら心の中で頭を抱えた。

(だめだ! この夫夫(ふうふ)!)

 ギフトが笑いながら途方に暮れていると、美味しい匂いと共に料理長が近づいて来た。

「さぁ旦那様も奥様もお席についてくださいませ。ギフトさま、今日の朝ごはんはいつもよりもちょっと多めに作ってありますからいっぱい召し上がってくださいね」

「わぁい! ありがとうございます!」

 この屋敷で一番職歴の長い料理長の声かけのおかげで、ようやくギフトは食卓につくことが出来た。

 椅子に腰かけると、中振袖を汚さないようにと、ニヤニヤしっぱなしのファージが平たいクリップで袖を留めて首元にナプキンをつけてくれた。

「もー、あんた超可愛いじゃない! やっぱ若い子は明るい色味の方が似合うわね! 肌の艶が服に負けないもの! ヤダァ、もう超々似合ってるー! あ、わたしはこの後着替えるんだけど、残念ながら魔法使いの正装をしなきゃなんないのよ。せっかく藤の花が描いてある綺麗な訪問着を着ようと思ってたのに……。保護者としてじゃなくて教員として参加しなきゃダメって言われちゃったのよお。だからリリーベル家の席にはキールと屋敷のみんなが座ってるわ。緊張したらそっちを見なさいね。みんなギフトの味方よ」

「あ、はい、おおお……」

 屋敷のみんな、というフレーズに余計に緊張が増してきてしまった。

 ギフトは心を落ち着けようと深呼吸を繰り返し、ゆっくりと朝食を食べ進めた。

「あーん、早く全部の制服の写真が撮りたーい!」

「あぁ……、俺はなんでこんな素晴らしい日々の始まりの中、明日から出張なんだ……」

「大丈夫よ! たった一週間だけよ。それに、毎日ギフトの写真を送るわ」

「うん……、ファージのも送ってくれよな」

「やぁぁあああああん! もちろんよぉぉおおお!」

「ファーージーー!」

「キーールーー!」

(……朝っぱらから本当にうるさいなこの人たち。静かにご飯食べなさいよ。……おい、キス始めんな!)

「あんっ、うふふんっ、キールったら!」

「ファージの唇は今日も甘くて柔らかいな」

「もうっ、いけない人ねっ! そんなところも大好き! あ、そうそう、ギフトには本当に申し訳ないんだけど……。ルークがどうしても見に来たいっていうから招待しちゃった」

「はぁ……、はあ⁉」

「大丈夫、俺の隣に座らせるから」

「へ、変態同伴……」

 ギフトの気持ちはどんどんと重くなっていくのであった。


 ファージは入学式の準備があるとかで、食事が終わったらすぐに支度をして学校に行ってしまった。

 ギフトはファージから渡された『貴族専用通学門きぞくせんようつうがくゲート通行証』を使い、大層な燕尾服に身を包んだキールと手を繋いで学校へと出発することになった。

 屋敷の人達は後から絨毯で飛んでくるらしい。

 この日のためにファージは使用人全員の礼装を新しいものに買い替えたという。

「通行証って小指用指輪(ピンキーリング)なんですね」

 可愛らしいピンキーリングを身につけたギフトが玄関の扉に触れると、一瞬キラリとドアノブが輝いた。

 びっくりしてキールを見上げると、ニコッと笑ってドアノブを回すよう促されたので、ギフトは恐る恐る回してみると、そこに柔らかな光で照らされた煉瓦の道が現れた。

「すごいよなぁ。俺が学生の時は結構な大きさの鍵だったのに。今じゃこんなに小さな指輪で認証ができるんだから、技術の進歩ってすごいね」

 キールは懐かしむように煉瓦の壁に触れながら中へと入った。

 ギフトもそれにならって一歩を踏み出した。

「へぇ、鍵だったんですね」

「そうそう、その鍵を自宅のどこの鍵穴でもいいんだけど押し当てると、鍵穴の奥の方で数回カチャカチャって歯車が動くような音がして、守衛さんがいる登校用の扉がある待合室に行けるようになるんだ。俺はいっつも早めに入って守衛のおっちゃんとおしゃべりしてたなぁ。学校にあるいくつかの秘密の扉とか階段、特別な呪文でしか辿り着けない地下研究施設なんかの噂話をいっぱい教えてもらってたんだ」

「か、かっこいい!」

「だろ? だからギフトも年齢とか地位とか職業とか関係なく、友達いっぱい作って学院生活を楽しもうな!」

「はい! わぁ、とってもワクワクして来ました。なんだか挨拶もうまくいく気がします」

「そうそう、その意気だ! お、そろそろ守衛さんがいる待合室に着くぞ。この煉瓦で囲われた廊下は俺の時と変わってなくてなんだかホッとする」

「歴史と思い出がいっぱい詰まってるんですね」

 ギフトはキールが話してくれた思い出話のおかげでだいぶ心が楽になるのを感じた。

 廊下に等間隔についている様々な花の形のランプもとても可愛らしく、ギフトの目を楽しませてくれた。

 待合室のドアは突き当りを曲がってすぐのところに突然現れた。

 屋敷の豪華絢爛な扉に比べたら幾分こじんまりとした佇まいだったが、とても趣がある焦げ茶色の木の扉だった。

 上の方がアーチ状になっているのがまた可愛い。

「さぁ、この扉にもさっき家の扉にしたみたいに、指輪をしている方の手でドアノブを回してごらん」

「はい!」

 右手でドアノブをガチャっと回すと、あっさりと扉を開けることができた。

「え、あ、わぁあ! 素敵!」

「だろぉお! よかったー、変わってない!」

 待合室は真鍮色の目の荒い鳥かごのような金属囲われており、大きな球状のガラスで覆われていた。

 天井付近では様々な大きさの天体が実際の自転公転を十倍にした速さに合わせて移動を続けており、カウンターの後ろでは大きな歯車や小さな歯車が絶妙な噛み合い方で絶えず回転していた。

 歯車の下に並ぶ真鍮色と木の温もりが合わさった機器には、たくさんのスイッチやレバーがついており、どうやらここで扉の操作をしているらしい。

 防犯のためにどのスイッチがどの指輪と連動しているかは、一部の教員と守衛しか知らないという。

 ぐるぐると目と頭を回しながらキョロキョロしていると、とても優しい雰囲気の男性がカウンターに現れた。

 紺色の厚手の襟付きジャケットの左胸に金糸で校章〈椿と狼〉が刺繍してあり、袖口には階級か何かを示す銀色の線が四本入っていた。

 パンツまではカウンターの高さでよく見えないが、おそらく同じ色のスラックスだと思われる。

「おはようございます、リリーベル様」

 フルートのような優しい声音と笑顔。

 ギフトはなんだか嬉しくなって元気に挨拶した。

「おはようございます!」

 キールもギフトに続いてあいさつしようとしたその時、守衛がつけている名札が目に入り、身を乗り出した。

「おはようございます、守衛さん。あの、その名札……。お名前、モグルさんとおっしゃるんですか? もしかして……」

「はい、わたくしは前任のモグルの息子でございます。キール様のお噂は父からよく聞いておりました」

「ああ! やっぱり! 胸のバッジを見てもしやって思って……。お父上はお元気ですか?」

「はい、とても元気にしていますよ。今日は観覧席から入学式を見るんだと張り切っておりました」

「わぁあ! 会いに行かなきゃ!」

「父も喜びます。では、ギフト様、こちらのカウンターにあります認証球(にんしょうきゅう)に指輪をしている方の手を乗せてください。そうしますと反対側の扉が開きますので、そこから学校の玄関へと出ることができます」

「はい! わぁ、何もかもかっこいい……」

 ギフトは恐る恐る手をかざすと、ふわりと認証球が光り、来た時と反対側にある扉がギギギという音を立てて開き始めた。

「わあ! かっこよすぎてドキドキします……」

「ありがとうございます。このシステムはわたくしどもモグルの一族が開発し、日々改良を重ねております。皆様に安全に登校していただけるよう、これからも頑張ります」

「ぎ、技術者の一族……、かっこいい……」

「あははははっ……、おっと、すみません、ギフト様があまりにお可愛いことをおっしゃるのでつい……。ギフト様は不思議な方ですね。多くの貴族のお子様はこういった技術にはあまり関心を示しません。父から聞いていたキール様の小さい頃にそっくりでいらっしゃいますね」

「照れちゃう! パパ照れちゃう!」

「へぇ……、ふふふ」

 善良なキールに似ていると言われるのはあまり悪い気はしない。

 ギフトは素直に笑っておいた。

 しかし、貴族のお子様たちはこういう技術は見慣れているのだろうか……。

 やはり庶民出身のギフトとは感覚が違うのかもしれない。

「あの、他の子はここにはこないんですか?」

「はい、ここはリリーベル様専用の(ゲート)となっております。わたくしはモグル家に伝わるちょっと特別な魔法を使っているので、それぞれの(ゲート)に同時に存在し、同時に会話をしているんですよ」

「ファーーーーーーーー!」

「すごいんだよ、モグル一族って! 俺なんかつい話し込んじゃってよく一限目をすっぽかしてたなぁ……」

「わたしもそうなりそうです……」

「ははは。それは光栄です。でも、授業は大事ですよ。わたくしは放課後もここにおりますので、授業を終えてからでもなんでも質問にお答えしますからね」

「ふぉおおう……、学校最高……」

「ではそろそろ玄関の方へ。どうやら既にファージ様がお待ちのようです」

「あ、そうだった。玄関で待ち合わせしてたんだった! 愛しのファージ!」

「パパ……」

「あはははは! ではモグルさん、これから娘をよろしくお願いします」

「はい、喜んで」

 近くで見るとかなり爽やかで美青年なモグルに挨拶をすると、開かれた扉から学院の玄関へと出た。


「おお……、やっぱり豪華だなぁ……」

「すぐに見慣れるさ。おお! ファーージーー!」

「キーールーー!」

「……え? あれ、ま、ママなの⁉」

 玄関ホールに設置されている待合スペースのソファからこちらへと走って来たファージは、いつもとは全く違っていた。

 ギフトは危うくドキドキしてしまうところだった。

 目の前に現れたのは、どこからどうみても綺麗なお兄さんだったからだ。

 細身に仕立てられたチャコールグレーのパンツに同じ色のベスト、リリーベル家の紋章〈剣を持った二人の子供を載せた八咫烏〉が入ったロイヤルブルーのネクタイがあまりに美しく、そのスタイル全体を引き締めていた。

 どうやらジャケットとローブはソファにおいて来たらしい。

 余計にスタイルの良さが際立っている。

 それに、この日のために染めたグレイッシュブルーの背中まである長い髪をきっちりと低い位置で結び、流している長い前髪がやけに涼やかだ。

「うわ、なんかめっちゃ腹たつ……」

「ちょっとぉ、何よあんた。わたしのこの格好ものすごく女子学生に人気あるのよ? こぉおんなに近くで拝めることをもっと喜びなさいよね!」

「はあああああ、な、殴りたい……」

「ファージはどんな格好をしてもその内に秘める美しさが出て来てしまうんだね。俺はどうやら天使と結婚してしまったようだ」

「やん! もうキールだってその厚い胸板と色っぽい広い背中を隠し切れてないんだからぁん」

「ねぇ、流石に校舎内でいちゃつくのはやめていただけませんか。わたしがいじめられてもいいんですか? ねぇ、いいんですか?」

「何よもう、あんたって本当に枯れてるわねぇ」

 ギフトは久しぶりに烈火のごとく湧いて来た殺意の勢いのまま、今すぐここで殺してやろうかと思ったが、これから始まる学院生活が捨てがたいので心を無にすることで乗り切った。

(なぜ現在女児であるわたしが大人二人を説教しなくてはならないのか……)

 ギフトがため息をつきながらむすっとしていると、音程の違うカーンカーンという鐘の音が鳴った。

 鐘の音が終わると、どこからかアナウンスの声が聞こえてきた。

『間も無く、メガロスディゴス魔法学院劇場にて入学式が行われます。受付がお済みではない保護者の皆様は、劇場入り口を入りましてすぐの場所にあるホワイエにて、御記帳と身分証明書の確認をお願いいたします』

「お、そろそろ向かうか」

「そうね、そうしましょう。わたしは先生方と行かなきゃいけないから、ギフトはキールと一緒に行って、新入生用の受付から入るのよ。手伝いの学生が席まで連れて行ってくれるから、おとなしくしてなさいね」

「わたしはいつでも大人しいですけれども」

「まあ! 可愛い格好してるのに可愛くない返事! たまにはわたしにもデレなさいよね! じゃあね!」

「はーい」

「さ、行くか!」

「はい!」

 家を出た時と同じように再びキールと手を繋ぐと、劇場の方へと向かった。

 劇場とは外廊下で繋がっており、賑やかな人の流れのなか、五分ほどでついた。

「ふぁぁ……」

 もはやツッコミすらも建物に吸収されてしまうのではないかというほど、とんでもなく大きなツンツンとした建築物が現れた。

 巨大な白い長方形の石をいくつも積み重ねて作られた、とても堅牢な今にも大天使が現れそうな白亜の城。

 尖塔がいくつも天空に向かって伸びており、その全てに金色の蔦が絡まっている。

 大きく開かれた分厚い城門には矢傷と思われるいくつもの跡があった。

 しかし、中に入ってみてさらに驚くことになった。

 外の堅牢な作りからは想像も出来ない世界が広がっていたのだ。

「な、何このクリスタルのシャンデリアの数!」

 天井から釣り下がっている巨大なシャンデリアは一つではなく、そこかしこで煌めきを振りまきながらフワフワと上下にバウンドしている。

「すごいよなぁ、俺も入学式で初めてここに入った時は、思わず外に出て同じ建物なのか確認しちゃったもん」

「天井が、ふ、吹き抜け!? で、でもそんな全部覆われてるのに……」

「ああ、あれは魔法で投影されてるんだよ。ここは学院行事以外でもいろんな団体に劇場として貸し出してるから、上映する演目にあった空模様が映し出せるようになってるんだ」

「ひゃおう」

 中は真っ赤な絨毯がびっしりと敷き詰められ、手すりや階段、そこかしこに展示されている彫刻までもが全て透明な輝きを放つ魔法強化クリスタルで出来ていた。

「この劇場は学生の間ではクリスタル宮って呼ばれてるんだ。そのまんまだけどね。さぁ、受付をしておいで。入学式が終わったらまた迎えに行くから、玄関のソファで待ち合わせしよう」

「は、はいぃ」

 ギフトは新入生用の列におとなしく並ぶと、また緊張がぶり返して来てしまった。

 受付の上級生に求められるままアレキサンドライトから杖を取り出し、本人確認をすませ、案内係の学生に連れられて席についた。

 この時、ギフトは気づいていなかったが、受付をしていた学生たちの間ではちょっとした騒ぎになっていた。

「おい、来たぞ! リリーベル先生の娘さん!」

「ウワァ! マジで首席だよ!」

「すっげぇ……」

「あの杖見た⁉ まさかの金属だぜ! 使える属性数ハンパないんだけど!」

「うわぁ、俺もう先輩名乗る自信ねぇよ……」

「しかも結構可愛かったよな」

「こらこら、五つも下の子に手出そうとか男子キモいんだけど」

「おいおい、可愛いに年齢関係ないだろう」

「あたしだって付き合いたいわ!」

「いやお前彼女いんじゃん!」

「そういうお前は彼氏いるじゃん……」

「いやぁ、彼氏はいるけど彼女はいないし」

「クソだな」

「このクズが!」

「え、ちょ、えっ」

 ギフトは知らぬ間に先輩たちの話題をさらっていたのだが、当人は壇上でする挨拶を頭の中で反芻するのに忙しく、全く気が付かなかった。

 劇場内はさらに豪華な作りになっており、斜めに階段状になっている座席、そして壁には一面のボックス席が配置されていた。

 ボックス席に施された植物の装飾は繊細で美しく、劇場内に敷き詰められた深い紫色の絨毯には上品な光沢があった。

 一体何人収容できるんだというくらい広かったが、いまのギフトには何も響いてこなかった。

 早く壇上の挨拶を済ませないと、頭から内容が消し飛んでしまいそうだったからだ。

 全く笑顔を作れないその鬼気迫る姿に、運よくなのか悪くなのか、誰も話しかけてくる新入生はいなかった。


「おーい、ルーク、ここだ!」

「おう、キール今日めっちゃかっこいいじゃん」

「お前もな!」

 ルークは普段の姿からは想像できないくらいちゃんとした格好で現れた。

 深い青のスーツに光沢のあるグレーのネクタイ、焦げ茶色の革靴がとてもにあっている。

「ギフトちゃんはどこ?」

「あぁ、一階の新入生の席の一番前に座ってるよ。特別可愛いからどこにいてもすぐわかるな!」

「うん、そうだね。完全同意。首席だから挨拶するんだっけ?」

「そうそう」

「うーんと、あぁ、あれかぁ。ものすごく俯いてるね」

「どうやら緊張が再発しちゃったらしいんだ。ギフトが壇上に立つだけで大盛り上がり間違いなしなのに」

「かぁわいいね。後ろから抱きしめて耳舐めたり色々意地悪したいくらいだよ」

「殺すぞ」

「あはは! わりかし本気だから殺されても仕方ないわぁ」

「……はぁ。お前は本当に昔から変わんないなぁ」

「まぁね。それにしてもさすがだね、リリーベル家。ボックス席を十も貸し切るとは、恐れ入ったよ」

「予約は大変だったけど、屋敷のみんなが喜んでくれたから安いもんだよ」

「ヒューヒュー」

 キールとルークは久しぶりの会話を楽しんでいると、場内アナウンスが入った。

『間も無く入学式を開始いたします。途中でご気分が悪くなったり、急な用事で退室されたりするお客様は、一階・二階ともに後方の扉よりご退出ください。壁沿いのボックス席をご利用のお客様は、入って来た時と同じ扉よりご退出いただけます。それでは非常用以外の照明を落とさせていただきます』

 入学式はスポットライトに照らされた副学院長、マリア=深森(みもり)=ダーソスの開会宣言によって始まった。

 劇場内に柔らかな明かりが灯りはじめ、緊張と高揚が入り混じる静寂が訪れた。

 司会は生徒会の学生が行なっている。

 学院長のリン=スコターディからの挨拶があった後、来賓からの祝辞があり、校医のサイモス=イーゴスからは毎年行われる様々な検診についての説明があった。

 生徒会長は新入生と在校生に向けて学院での生活や生徒会について話した後、大量の白い鳩を召喚して祝いの言葉を締めくくり、運動部の部活連総代は実際に箒で数人の生徒と群舞を見せ、文化部の部活連総代は毛糸を操って大きな編みぐるみを作って見せた。

 そして、いよいよギフトの番になった。

 司会の声によってギフトの名前が劇場内に響き渡る。

「本年度首席入学者、新入生総代、ギフト=リリーベル」

「はい!」

 ギフトは可能な限り元気よく子供らしくを意識して返事をした。

 会場はその名を聞いてざわつき始めたが、緊張が峠を迎えたギフトには全く聞こえてこなかった。

 ただひたすら心の中で挨拶を復唱するだけだった。

 ギフトはまっすぐ前を向き、深呼吸をした。

 そして腹をくくり、壇上に立ち、喉に拡声魔法をかけ、扇状に広がる客席へ向けて話し始めた。

「一雨ごとに涼やかな秋を感じるこの良き日に、わたしたちは王立メガロスディゴス魔法学院の入学式を迎えることができました。本日は、このような立派な入学式を行っていただき、ありがとうございます。王立メガロスディゴス魔法学院の千年を超える歴史の中の一つになることができる喜びでいっぱいです。入学試験は大変でしたが、両親や周囲の方々からの指導、そして自分自身の努力で、王立メガロスディゴス魔法学院に入学することができました。この喜びを忘れることはできません。新しく始まる王立メガロスディゴス魔法学院での生活は、わたしにとって初めての学校ということもあり、今は希望と期待で胸がいっぱいです。勉強だけでなく学院行事や部活動にも一生懸命とりくんでいる先輩方がおられる王立メガロスディゴス魔法学院の良いところをたくさん取り入れて、悔いのない学院生活を送り、しっかりした行動が取れるよう自分自身を向上させ、新しく出会う友人たちと切磋琢磨してゆきたいと思います。学院長をはじめ、諸先生方、上級生の皆様、立派な王立メガロスディゴス魔法学院の生徒になれるようこれからも努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 新入生代表 ギフト=リリーベル」

 拡声魔法を解き、一歩下がって礼をする。

 その瞬間、割れんばかりの盛大な拍手が劇場を満たし、ギフトは首席としての務めを立派に果たしたことを実感することができた。

 安堵し、壇上から降りようと舞台の縁に向かっていたら、客席の方から百人ほどの学生たちが大きな花束を持って駆け寄ってきた。

 ギフトは一瞬チラッと教員席にいるファージの方を見る。

「(何これどうしたらいいの⁉)」

「(好きにしていいのよ)」

「(あ、なるほど……)」

 どうやら花束を持っているのはこの国有数の貴族の坊々(ぼんぼん)やお嬢様。

 ギフトは笑顔で手を伸ばすと、花束を受け取る代わりに生まれて初めて覚えた複合魔法、ガラスの魔法で大量の蝶を作り出し、全ての花束から一本ずつ蝶に花を引き抜かせ、それを観覧席へと届けた。

 その美しさは後々伝説の新入生として語られることになる。

 (きらめ)く薄い(はね)に劇場の明かりが反射したその姿は、まるで宝石が飛び交っているようだった。

 花を受け取った保護者や客人たちは感嘆(かんたん)溜息(ためいき)をもらした。

 しかし、その中でたった一人、ギフトの魔法から花束を守りきり、真っ赤な顔で壇上に上がり、(ひざまず)いた学生がいた。

「ぎ、ギフトちゃん、にゅ、入学、おめでとう」

「メイルランスさん! わぁ、可愛いチューリップの花束、ありがとうございます!」

 この青春の輝きとも言える出来事に、会場の熱は一気に最高点に達した。

 メイルランスはピンク色の可愛いチューリップの花束をギフトに差し出し、ギフトが受け取ったのを確認すると立ち上がり、今度は右手を後ろに回して左手を差し出した。

 ギフトはちょっと驚きながらも、その手を取り、エスコートに従った。

 四年生の席の方からメイルランスに対する祝福の歓声がたくさん聞こえてきた。

「メイリーよく頑張ったな!」

「一ヶ月間の練習が実ったねー!」

「メイルランス! 人生で一番かっこいいぞ!」

 メイルランスはこれ以上ないくらい顔を真っ赤にしている。

 もうすぐ湯気でも出てきそうだ。

 ギフトも初めてのことにドキドキが止まらず、頬の熱が一向に引かなかった。

 そんな初々しい二人が階段を降り切ったとき、昏い通路の中から目の前に一人の少女が現れた。

「ギフトさん、わたしのも受け取って欲しいの」

 浮かれていたメイルランスもびっくりしたように「え?」という顔をしている。

「わたし、ちょっと用があって外に出てて、花束の時に間に合わなかったの。だから、わたしのにもさっきの魔法をかけて欲しいの」

「えっと、あの、あなたは……」

 不思議な女の子だった。

 真紅のセーラーカラーがついた黒いベルベットのワンピース。

 左胸には校章が入っているから、これもきっと数ある制服のデザインの中の一つなのだろう。

 その制服から覗く手足は雪のように白く、悪くいえば、死体安置所で冷凍されている遺体ようにまるで生気が感じられなかった。

 女の子の瞳は左右で色味がまるで違う。

 数本だけ黒い髪が混ざった煤けた古い骨のような灰色の髪。

(この子の花は、触れてはいけない)

 ギフトはどうしてかわからないが強くそう思った。

 メイルランスの手を握る手に力が入る。

 ここは壇上から降りたところにある通路で、光はほとんど当たらない。

 既に次のプログラムが始まっているため、会場中の人の目は壇上へと注がれている。

 完全な死角。

 ギフトの背に冷や汗が流れる。

「それは俺が受け取ろう」

 突如少女の後ろから大人の男性の声がした。

「る、ルークさん!」

「ほら、メイルランスがくれた花束も俺が持っててあげるから、一緒に席に戻りな。入学式の間中抱きかかえてるわけにはいかないでしょ? 君も席にお戻り。メイリー、ギフトを頼んだよ」

 メイルランスは素直に頷くと、ギフトの手をとって席までエスコートを続けた。

「ふふふ……。ギフトちゃんには騎士(ナイト)がたくさんいるのね……」

 ルークは不穏な笑みを浮かべる少女から目を離さないままギフトたちが遠ざかったことを確認すると、再び口を開いた。

「君だね? ギフトちゃんを殺そうとしているのは……。さぁ、本当に席に戻ったほうがいいよ。じゃないと、ここで殺すよ」

「あら、怖い怖い」

 少女は嬉しそうに笑いながらその場を後にした。

 ルークにははっきりと見えていたのだ。

 それは無属性だけが持つ特殊な能力。

 少女は笑顔の下に、ある種の恍惚としたバケモノの顔を隠していた。

 ギフトへの殺意に欲情した、(おぞ)ましい本性を。


 入学式はこれといったトラブルもなく、滞りなく全てのプログラムを終了した。

 ギフトは緊張からの解放と、メイルランスの素敵すぎるサプライズに、あの少女のことなどすっかり忘れていた。

 会場を出てすぐの扉のところで待っていてくれたルークとともに玄関へ向かう。

 珍しくルークはギフトにベタベタしようとしなかった。

 ギフトはメイルランスからもらった花束をルークから受け取り、はぐれないようにという理由で手だけ繋いで人の波の中を一緒に歩いた。

 玄関に着くとファージとキールが見つめ合いながら会話をしているのが見えた。

 ルークが二人の方へと手を振ると、それに気づいたファージとキールが腕を組みながらギフトたちの方へ近づいてきた。

「お疲れ様。ギフト物凄く良かったわよ。わたしまで褒められちゃった!」

「ファージ、なんでキールにバスタオル渡しておかなかったの? 俺のハンカチまでこいつの涙でグッシャグシャなんだけど」

「す、すまん」

「そんなとこも可愛いくて大好きよキール!」

「おいこらバカ夫夫(ふうふ)、無視すんな」

 目を真っ赤に腫らしたキールとファージが何やら話し込んでいたようだが、ギフトたちが目に入るとすぐに笑顔になって迎えてくれた。

 屋敷のみんなは先に帰ったらしい。

 後から聞いた話では、キールのように目を真っ赤に腫らした団体が大きな絨毯に乗って帰っていくのが目撃されていた。

「じゃぁ、次は今月の半ばだね。ギフトちゃんの肌に俺の指を滑らせるのを楽しみにしてるよ」

「言い方ぁ!」

「ママぁ……」

「大丈夫よ、わたしは何があっても必ずついていくから!」

 ファージは怒った猫のようにルークを威嚇した。

 そんな様子を面白そうに眺めながら、ルークは「そろそろ退散しようかな」と手をひらひらとふりながら歩き出した。

「じゃあね」

「おう! またなルーク!」

「ちゃんとご飯食べなさいよ」

 ルークが大剣に乗って飛んでいくのを見送ると、ギフトとキールは先に貴族用ゲートから屋敷へと帰宅した。

 ファージは入学式の片付けを手伝わなくてはならないらしい。

「明日からいよいよ学院生活が始まるな!」

「うん! とても楽しみです!」

「良かった良かった」

 ギフトの胸は新しい環境に向けての希望と期待でいっぱいだった。

 メイルランスのことも、今日の彼の顔や態度を見て、ちゃんと好きになれそうだった。

 浮かれた心は、今日の空のようにとても晴れやかだ。

 あの少女のことを忘れてしまうほどに。


 入学式の片づけが終わり、帰宅したファージは着替えのために自室へと向かっていた。

 胸はずっとざわついたまま。

 はやる気持ちを抑えて扉を開け、部屋に入った。

 リンリン、と電話がなった。

「もしもし」

「俺、ルーク」

「あぁ……、今日は本当にありがとう。あなたは本当に優秀だわ」

「いやぁ、あれは無属性の俺じゃないと対処できなかったやつだから」

「それでも、感謝してもしきれないわ。それで、結果はどうだった?」

 ルークは珍しく緊張したように一呼吸おいてから話し始めた。

「やばいやつだった。もしあの時ギフトちゃんが異変に気付けないまま魔法を使っていたら、花を受け取った人たちが即死するところだったよ。ギフトちゃんは殺人犯にされるところだった」

「そんなに……」

「ああ。花束全体に物凄く強力な呪いがかけてあった。墓場で育てた白い薔薇にそれぞれ違う子供の生き血を吸わせて作る古い呪術。特製の呪具(じゅぐ)だったよ」

「本当にバケモノだわ……」

「ファージが放った呪いが(やつ)の髪に絡まってたけど、もう効果が薄れてた。しかも本物の制服を着ていたところからみるに、どうやらこの世界への干渉は完了してるっぽい。早めになんとかした方がいいとは思うけど……。ファージはまだギフトちゃんにあの事を話すつもりはないんだろ?」

「ええ……、まだ話せない。まだ、ただただ幸せでいさせてあげたいの。今日メイルランスが素敵なことをしてくれたでしょう? ああいう、日常の中で起こるハッとするような喜びで満たしてあげたいの。だからお願い、もう少しだけわたしのわがままに付き合ってくれない?」

 ルークは小さくため息をつくと、フッと力が抜けたように笑った。

「いいよ、もちろん。俺に任せとけって」

「ありがとう」

「うん、じゃぁまたな」

「ええ、またね」

 ファージは静かに受話器を置くと、窓から見える満月の輝きにその身を(ひた)した。

 その心の内にある、ギフトへの愛おしい気持ちで張り裂けそうな胸を、落ち着けるために。


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