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第伍集:病の侵入

「その首に手を回し 少しずつ力を込めるの あなたがいくら苦しんでも、わたしは許してあげないわ 何度その命を落としても 幾度その身を引き裂かれようとも あなたのことはずっと嫌いよ ねぇ、お願い あなたを殺すのは、わたしにやらせて? だってそれが、一番良いと思うから 何故ならわたしが、この世界で誰よりも、あなたを愛しているからよ 苦しむ顔が見たい 涙も全部、わたしのものよ」

 殺意でしかこの世界に存在する理由を見つけられない少女が一人。

 彼女は今日も花を手折る。

 持って帰って飾るわけでも、この場で花冠を作るわけでもないのに、ただただその命を無意味に終わらせる。

 花弁から滴る朝露は、彼女の乾いた血をそっと撫でる。

 今更それがなんだというのだろう。

 足元に転がる燃えかす。

 それがなんだったのかは、彼女しか知らない。

「あなたの絶望が欲しい……」



 ☆



 修行を始めてから三ヶ月が経とうとしていた。

 この世界で生き抜くために、色々と必死になっていたせいで全く気にしていなかったが、知らない間に窓から見える景色は一変し、肌をかすめる風の匂いも変化していた。

「桜……」

 ギフトが元いた世界からファージが持ってきたのだろう。

 薄紅色の色彩が放つ輝きが美しい。

 桜は人の一生のようだ。

 芽吹き、膨らみ、咲き誇り、風に散りゆく。

 人間と違うのはたった一つ。

 人間はどんなに頑張っても、努力は実るどころか咲かない可能性があるということ。

 幸い、ギフトはファージの熱烈な教育のおかげで全ての属性魔法を会得し、いくつかの複合魔法まで使えるようになっていた。

 予想よりも早く成長してゆくギフトに、ファージはとてもご機嫌で召喚術や魔法薬の調剤の指導も始めた。

 今日は床に魔法陣を描かず、体内で練った魔法陣を杖から出して幻獣を召喚する練習をした。

 朝早くから始め、お昼休憩を挟んでさらに二時間ほど頑張ったので、ギフトはもうヘトヘトだった。

 食道へ移動し、ファージが作ってくれたおやつをたいらげながら、ギフトは椅子に全体重を預けるように天井を仰いだ。

「うはぁ、もう魔力すっからかんです」

「そうね、今日のところはこれで終わりにしましょう。それにしてもあんたは本当に教え甲斐のある子よね。〈硝子の魔法〉は完璧だし、〈毒〉なんて対象の臓器を指定して痺れさせたり収縮させたり捩じったり溶かしたり。もうお手のものよね! よくもまぁこんなに早く……、おっと、口が滑るところだったわぁ」

「はい?」

(最近、ファージの様子がおかしい……)

 ギフトはファージに対し、怪訝な顔を向けながら椅子を降り、食堂を後にした。

 ファージの様子がおかしいのは出会ってからずっとだが、何と表現すればいいのか、ギフトに何か隠しているふしがあった。

 いつもニヤニヤしているから、多分悪いことではない、とは思うが、ギフトはファージの様子にムカつきながらも不安を覚えていた。

 魔法を覚えた、と言っても、強力なものはまだファージの前でしか使ったことがないし、キールに教えてもらっている戦闘訓練も、果たしてどこで日の目をみることになるのか全くわからない。

 まだギフトのことを売るつもりは無いようなのに、あの二人はギフト(わたし)を強くして一体どうするつもりなのだろうか。

 不思議なのは、ギフトを強くする割には「自分の身は自分で守れ」などとは絶対に言わないことだ。

 いつだって「わたしたちが守ってあげる」と言う。

(一体、何を企んでいるんだ……?)

「……様、ギフト様?」

「あ! カノンさん。すみません、ぼーっとしてました。なんですか?」

 食堂から自室に至る廊下をあれこれと考え事をしながら歩いていたので、自分の部屋に入室していることに全く気づかなかった。

「うふふ。毎日お疲れ様です。もうすぐ紅茶の用意ができますので、お部屋着にお着替えくださいませ」

「あ、はい!」

 カノンの笑顔に見送られながら、ギフトは妖精たちに三つ編みを縄跳びの大縄のようにグルングルンされつつ自室のバスルームへ向かった。

 髪が長いので今日はカノンに三つ編みにしてもらったのだ。

 妖精たちがギフトの髪をほどき、ブラウスも脱がせてゆく。

「あああ、し、下着は自分で脱ぐから良いよ」

 妖精たちはギフトの赤くなった頬にキスをし、キャッキャと笑いながらバスルームを出て行った。

「シャワーを浴びるほど汗かいてないし、疲れてないから魔法で良いか……。すごいなぁ、この世界のわたしの身体。もう魔力が半分回復してる」

 今からギフトが使おうとしているのは、面倒臭がりのギフトが発明した『水』と『火』と『毒』と『木』と『石』と『風』の複合魔法〈全身瞬間洗浄乾燥魔法〉だ。

 完成させるまでに、三度の火傷に苦しんだ。

 『毒』を混ぜたのは、修行中に身体に残ってしまった毒素を『毒』で中和するため。

 調整ミスで何度か気絶しかけたこともある。

 でも、その甲斐はあった。

「せーのっ!」

 素っ裸のギフトの身体がお湯で覆われたかと思うと、次の瞬間にはもう泡が弾け、流水のごとく体をお湯が駆け巡り、湯気がボワっと巻き起こった。

 湯気がしゅるるるるとギフトの身体をなでるように上昇すると、髪の先まで乾いていく。

「うひい、気持ちいい!」

 頭のてっぺんから足の先までさっぱりと清潔になり、同時に芯まであたたまった。

 ギフトは身体に水滴が残っていないことを鏡で確認すると、洗面台の籠に用意されていた下着を身につけ、バスルームを出た。

 妖精たちがギフトの服を持って待っている。

「わぁ、ありがとう。おお、今日の部屋着はフロッグ(ボタン)の白シャツに黒いパンツ、そして安定のメリージェーン風ルームシューズか。ってことは……、ファージは旗袍(チーパオ)着て待ってるんだろうなぁ。リアクションするのめんどくさい」

 ファージは何かにつけてギフトにお揃いを強要してくる。

 昨日は浴衣、おとといはチマチョゴリ、その前はデール……。

 ギフトが前にいた世界を旅していたファージは、アジア圏を主に巡っていたらしく、その頃に買ったり作ったりした民族衣装が大量にあるのだそうだ。

「あいつ、鼈甲(べっこう)(かんざし)も持ってたよな……」

 ファージは良いものには金に糸目をつけず買う、というしっかりとした価値観を持っているのだが、質と量の両方が桁違いなため、もはやギフトはファージが用意してくれる服について深く聞くことをやめていた。

 金額を知ってしまうと、気安く着られなくなりそうだからだ。

 毎日シーツも付け替えられているし、毎朝起きると置かれている服やぬいぐるみ、おもちゃのプレゼントも、前の世界で触れていたものとは肌触りや機能のレベルが違う。

 一週間前など、突然ファージが部屋にやってきて「……色彩不足だわ!」と告げるや否や、どこからか本振袖を持ってきてギフトの部屋に飾り出した。

「振袖の値段聞かなきゃよかったわ、ほんと」

 今ギフトが着ているフロッグ(ボタン)の白シャツも明らかにシルクだし、白い絹糸で施された曼珠沙華の刺繍も細かいし、きっとお高いものなのだろう。

「くっ、このままでは本当にクソガキに育ってしまいそうだ……。誰か、庶民の価値観を共有できる同志が欲しい……」

 ギフトはぶつくさ言いながらリビングへ向かった。

(いったい、この家にはいくつ部屋があるんだ……。ん? なんかいい匂いが……)

 香ばしく甘い良い香りが廊下にまで漂っていた。

 またファージが何か作ったのだろう。

 朝食と夕食は屋敷で働いている料理人たちが作るが、昼食とおやつのほとんどはファージ主導で作られている。

 ギフトの関心はすぐさま今日の幾度目かのおやつへと移っていった。

 はずだったのだが……。

「え?」

 リビングに着いたギフトの目に飛び込んできたのはおやつではなく、もっと大きなものだった。


 リビングのドアを開けると、そこにはファージの他に四人の大人がコの字型の大きなソファに座り、何やら和やかに会話を楽しんでいた。

 四人の大人たちは魔法使いと魔女の正装である(くるぶし)まである長いローブを着ている。

 ファージはギフトに気づくと立ち上がり、満面の笑顔で手招きした。

「あ、あの……」

 ギフトが恐る恐るソファの方へ近づいていくと、大人たちが一斉に顔をあげ、ギフトに向かってニコニコと微笑みかけた。

 その中でも一番恰幅の良い男性が瞳をキラキラと輝かせ、ふくよかなお腹を揺らしながら口を開いた。

「おおお! この子がリリーベル家の跡取りなんですね! なんと賢そうな! 聡明なお顔立ちをされておられるのか!」

「うふふふふ。お褒めに預かり光栄ですわ。ほら、ギフトこっちに来てご挨拶なさい」

 なんのこっちゃわからないが、おそらく位の高い大人たちだ。

 ギフトは瞬時によそ行きの顔を作った。

「初めまして。ギフト=リリーベルと申します」

 ギフトが丁寧にお辞儀をすると、大人たちがすっと立ち上がる衣擦れの音が聞こえた。

 顔を上げるとなんとも壮観な景色が広がっていた。

 ファージやキールで見慣れていたつもりだったが、やはり大人の魔法使いはすごい。

 まるで陽の光にキラキラと反射する灰神楽が上がるように、その存在は見つめるほどにもくもくと目を圧倒してくる。

 魔力の強さがそうさせているのか、全員、実際の体格よりも大きく見えた。

 その中でもひときわ優雅な雰囲気を持った女性が、一歩前へと出て話し始めた。

「初めましてギフトお嬢様。(わたくし)は王立メガロスディゴス魔法学院で副学院長を務めております、マリア=深森(みもり)=ダーソスと申します。私の隣におりますのが、我が校で学院長を務めております、リン=スコターディ。その隣が一年生の学年主任を務めております、ゾーディス=フォティア。最後に校医のサイモス=イーゴスですわ。この度は当校への入学試験へのお申し込み、誠に嬉しく思っております」

「にゅ、入学試験、ですか⁉」

 ギフトが久しぶりに聞く『試験』という恐ろしい響きと、訳のわからない状況に瞳を泳がせながらオロオロしていると、隣に立っていたファージがギフトの肩に優しく手をポンっと添えた。

「ウッフフ! サプラーイズ! ギフトは半年後には晴れて魔法学院の学生になるのよ」

 大人たちから拍手が送られた。

(え、ど、どういうこと⁉)

 動揺するギフトを置き去りに、大人たちは口々に「おめでとうございます」「いやぁ、楽しみですね」などと話しながら再びソファへと腰かけた。

 ギフトはファージに優しく腕をひかれながら、とりあえずソファに座り、大人たちの話に耳をかたむけた。

 内心はかなりせわしなく慌てていた。

(ど、どうしよう。喜ぶべきなのか……。まぁ、屋敷の人たち以外にこの世界で知り合いができるチャンスだと思えば……。いや、でも今更学校と言われても……。あ、そうか、今わたしはお子様なんだった……。わたしの入学を喜ぶ大人たちの手前、「考えさせてください」なんて言えないし……。よし、ここは子供にしかできない無邪気天使スマイルでも使っておくか……)

「わ、わぁ。が、学校に通えるなんてとても嬉しいです」

(あ、笑顔ちょっと失敗した……。待てよ……、これか! まだ売らない理由って! そりゃそうだわ! 魔法使いの世界? での常識? みたいなのいつどこでどうやって学ぶんだよって思ってたわ!)

 ギフトは胸の前で右手を左手で覆うように握りしめながらニコニコと微笑んだ。

 しかし、頭の中は独り言でいっぱいだった。

(あー、よく考えれば考えるほど学校は正直ちょっと嬉しいかもしれない。無属性の友達が欲しくてたまらない。わたしを守りつつ一緒に苦難を乗り越えてくれる仲間が一人でも多く必要だ。うん、そうだな! 半年後と言わずさっさと入学させてくれ)

 必死でポジティブな考えをひねり出し、学校へ通うことを肯定的にとらえようと努めた。

 その間も、なるべく笑顔を保ちつつ、大人たちを見回した。

 すると、目が合った。

 恰幅の良い男性――学院長のリン=スコターディだ。

「喜んでいただけてこちらも嬉しいですな! リリーベル先生から聞いているよ。君はもう……、おっと、これはまだ秘密でしたな」

「うふふふふふ。学院長ったら、まだ内緒ですよ!」

「ははは、すまんすまん! とにかく、ギフトくんには期待しているよ。是非とも主席入学を果たし、入学式は壇上で会おう!」

「わ、わあ……」

 どうやらギフトには『主席入学』以外の選択肢は無いようだ。

 突然与えられたプレッシャーに、また少しギフトが動揺し始めたら、それを心配してくれたのか、見た目の良さを全く活かしきれていない風貌の男性が頑張って笑いながら話しかけてきてくれた。

 校医のサイモス=イーゴスだ。

「ふ、ふふ。ぎ、ギフトさんは、ま、魔力量が、お、おおお、多いですね。僕なんか、い、いなくても、きき、きっと、怪我なんて、治せちゃう、で、でしょうね」

「あらあら、イーゴス先生ったら、またそんなご謙遜を」

 コロコロと笑うファージの斜め前で、もう一人の若い先生が苦笑いしながら呟いた。

 一年生の学年主任だとかいう、ゾーディス=フォティアだ。

「むしろ僕の方が教えることあるのかどうか、今から不安ですよ……」

「フォティア先生もそんなに怯えないでくださいな。娘はもちろん出来はいいですが、まだまだ子供です。魔法使いや魔女の世界での礼儀や集団行動の常識など、まだまだ学ばなくてはならないことはいくらでもありますわ」

「リリーベル先生のおっしゃる通りです。(わたくし)たちが学生に教えるのは何も勉強だけではないのです。ギフトお嬢様、わからないことや不安なことはすぐに私どもへご相談くださいね」

「は、はい! お心遣い、ありがとうございます」

「まあ、笑顔がまるで桜の舞い散る海辺のように可憐ですわね」

「あ、え、えっと、あの」

 ギフトは心臓が高鳴るのを感じた。

 滑らかに抑揚のついた声。

 子守唄のような優しい言葉。

「いいのよ、ギフト。素直に受け取って喜びなさい。ダーソス副学院長は謡うように祝福をくださるの。今あなたに光属性の守りの呪い(まじない)をかけてくださったのよ。一週間くらいあなたのことを呪い(のろい)から防いでくれるわ」

(呪いから……、防いでくれる?)

 ということは、ギフトのことをある程度知っている、ということなのだろうか。

 ファージから伝えたのか。

 そうでなければギフトの何かを視て知ったのだろうか。

「ダーソス先生、ありがとうございます!」

「うふふ、どういたしまして」

 ギフトは全くわからなかった。

 祝福だとしても、だ。

 魔法をかけられたのに。

 突然、なんのモーションも無く。

 これが魔女というものなのか。

 流石、としか言いようのない手際だ。

 こんなに優秀な教員がいるのなら、きっと安全な学校生活を送れる……、とは思えなかった。

 魔法は極めれば極めるほどに、相手に悟られることなくその力を行使できるのだろう。

(あぁ、楽しみだった気分が少し怖くなって来たな……)

 なんの前触れもなく魔法をかけてくるような魔法使いがゴロゴロいる巣窟のような場所へ行くと思うと、胃がキリキリと痛んだ。

 胃薬を持ち歩く羽目になるかもしれない。

「それで、入学試験なのですが、いつもわたしが作っていましたが今年は(ギフト)も試験を受けるので……、どなたか他の先生にお願いできますでしょうか?」

――いつもわたしが作っていた。

 ギフトは横に座るファージの顔を凝視しながら驚いた。

 まさか、ファージの仕事は……、教師なのか。

 以前から色んな人に「先生」と呼ばれていたし、なんとなくそうなのかな、とは思っていたが、ギフトにとっては寝耳に水だった。

「わかりました。リリーベル先生に限って不正などは全く疑う必要はないですが、一応、他の保護者の皆様からの目もありますから、今年は学年主任のフォティア先生にお願いしますわね」

「かしこまりました。ギフトさん、君にがっかりされないように頑張って作るからね」

「あ、そ、そんなわたしなんて……」

「あらあら、あからさまな謙遜は美徳ではなく、嫌味と取られ兼ねませんのよ。ギフトお嬢様、あなたは貴族であり、最高位の魔女への道が開かれています。時にはその権力や実力を行使することも覚えなくてはなりませんね」

「すす、すみません……」

(やだよ! もう貴族とか嫌だよ! 庶民なの! わたしは庶民! しかしこの世界では……、貴族……)

 あぁ、メイルランスさんに会いたい。とギフトは心から思った。

 ギフトが今唯一知っている庶民派の価値観を持っている友達だ。

「では、リリーベル先生。また明日学院で。ごきげんよう」

「ごきげんよう」

 四人の客人たちはすぅーっと消えるようにいなくなった。

 どうやら魔法で作り出した幻影を学院から飛ばしていたようだ。

「ママ、わたし疲れました。おやつをください。今すぐに」

「はいはい、すぐに用意するから。もー、あんたって本当に庶民なのね。前の世界でも別に貧しくはなかったでしょう?」

「貧しくはなかったですが、庶民の範囲内で慎ましく暮らしていたんです。アルバイトもしてましたし」

「ふーん」

 二人で食堂に移動しながら、ギフトはファージに庶民の暮らしというものを教えてあげたのだが、なんとも適当な返事しか返ってこなかった。

 ギフトはキッチンに入って行くファージの背を眺めながら、もやもやとした思いがこみ上げてきていた。

 前の世界では貴族の知り合いなど一人もいなかったし、それが当たり前だった。

 日本に限らず、世界的にも〈貴族制度〉そのものが廃止されつつあった。

 そのため、ギフトにとって〈貴族〉というものは物語上のユニコーンなんかと変わりない存在で、今でもそうだ。

 簡単に受け入れることなど出来ない。

「ほら、スコーンあっためたわよ」

「いただきます!」

 そういえば本当に旗袍(チーパオ)着てたなファージ、と今更ながらに気づいたが、もはやそんなことはギフトにとってはどうでもいいことだった。

 お金持ちと庶民の感覚の差も今この時はどうでもいい。

 目の前にあるスコーンにパイナップルジャムを乗せては食べ、乗せては食べ、をいかに効率よくこなせるかで頭はいっぱいだったからだ。





 血まみれの下半身。

 左足が見るも無残に折れ曲り、流れ落ちる血は宙を舞っていた。

「なぜ効かない! これで合っているはずなのに! なぜわたしに返ってきたの⁉ あの女は光の魔法が使えないはずなのに……。どうして、どうしてよ!」

 少女は使い物にならなくなった左足を()ぐと、片足で立ったまま自分に止血の魔法をかけた。

「このままではまずいわ……。近づけないし、こんなみっともない格好では会えないわ。足よ……、新しい足が必要ね……」

 少女は笑う。

 自分の足だったものを拾い、その血をすすりながら。





 少女が激昂したのと同じ刻、ファージはその一瞬を見逃さなかった。

 確かに攻撃を受けた。

 ギフトに与えたバングルについている宝石の一つが瞬いたのだ。

 しかし、運よくダーソスがかけてくれた祝福が防いだようだ。

 あの時、一秒でも遅かったら、ギフトは危なかった。

 手足のどれかを失っていただろう。

「誰か来たわね、こちらの世界に」

 ファージはキッチンへ行くとすぐにカノンを呼んだ。

「奥様、カノンでございます」

「カノン、ギフトと同じサイズの形代(カタシロ)を用意してちょうだい。できれば一週間以内に十体、いける?」

「お安いご用でございます」

「頼んだわ」

「御意に」

 カノンは一礼するとすぐに部屋を後にした。

 ギフトにはまだ知らせるわけにはいかない。

 半年間守りきれば、あとは学校に通うことになる。

「ギフトは嫌がるだろうけど、貴族用の通学ゲートの使用申請を出すしかなさそうね。きっと箒か大剣で通いたがるだろうけど、まだそれはさせられないわ。それにしても、こんなにも早くバレるなんて……」

 食道で呑気にスコーンを食べながら妖精たちとはしゃいでいるギフトを見つめ、ファージは胸の奥がギュッと締め付けられた。

「わたしが、必ず守ってみせるわ……」


 ギフトはお腹いっぱいだった。

 魔力は完全に回復しきっており、夕方から約束しているキールとの戦闘訓練の前に何をして暇を潰そうかと考えを巡らせていた。

「あ、そういえば……、ママ? ん? ファージさーん?」

 ファージは眉間にしわを寄せながら何かを考え込んでいるようだった。

 ギフトが下から覗き込むように大きめの声で名前を呼ぶと、ハッとしたように顔を上げた。

「え、あ、ごめんなさい。ちょっとキールとの熱い夜を思い出していたらボーッとしちゃって」

「うわ」

「何よ、不細工な顔しちゃって」

「……まぁ、熱い夜云々はいいとして。入学試験って何するんですか?」

「あぁ、あれね、あれ。秘密に決まってんでしょ」

「え、不正になっちゃうからですか?」

「違うわよ。何重にも用意したサプライズのために決まってんでしょ。あんたなら不正してもしなくても首席で入れるからあんまり気にしないことね」

「えー……」

(この世界に来てからずっと思ってたけど、ファージはわたしのことを買い被りすぎじゃない?)

 魔法だって覚えたはいいが、出力の調整がまだうまくいかず、多くの魔力を消費してしまう。

 きっと生まれながらの魔法使いや魔女はそのあたりの調整など、幼い頃から体に染み付いているのだろう。

 入学できても、新学期でいきなり落ちこぼれたりしたら流石に申し訳ない、とギフトは少し不安に駆られた。

(あぁ、わたしはうまくやっていけるんだろうか、入学して初めての学友となる子たちは本来ならば十こ歳が離れているし……)

 身体は似通ってたとしても、精神年齢的なものは隠しようがない。

 学校にいる間、ずっと子供としての外面を貼り付けていないのかと思うと、ちょっと疲れそうだと思った。

「何をさっきからうんうん唸ってるのよ。変な子ねぇ」

「いやぁ……、というか、ママは本当に先生なんですか? 前にメイルランスさんもそんなこと言ってたような……」

「そうよお。わたしは高学年の複合魔法の先生をやってるわ」

「ほえ」

「だからギフトたち低学年は違う先生が複合魔法を教えてくれるわよ」

「はぁ、先生ってそんなに細分化されてるんですか?」

「まぁ、そうねぇ」

 顔と名前を覚えられるだろうか、とギフトは心配になった。

「大丈夫よ。うちの学校イケメンの先生多いし。毎日眼福よお、もう困っちゃう! 可愛い系からロマンスグレーの紳士までなんでも揃ってるんだから!」

「いや、服屋さんみたいな言い方されても」

「あっははあん」

(この色ボケ……、おばさん? 野郎? め)

 キールが帰って来たらそれとなく聞いてみよう、と思った。

 王立メガロスディゴス魔法学院とは、一体どんなところなのか。


 太陽もすっかり落ち、お月様のような大きな星がふんわりと輝く時間。

 今日もあの迷惑なミュージカルが始まった。

「ファーージーー!」

「あーーなたーーー!」

(またやってるよ……)

 毎日帰ってくるたびに今生の別れみたいに叫び合って何が楽しいのだろうか。

「パパおかえりなさい」

「う、おお、おお……ただいま! ギフトの元へ帰って来たよ。パパだよ、ギフト、パパだよぉ」

「は、はい」

 このいちいち感動するのもそろそろよしてほしい。

「パパ、今日の戦闘訓練は武器を使いますか?」

「そうだなぁ、そろそろあの大剣を使う練習しなきゃな!」

「わぁ、嬉しいです」

「じゃぁ、早速着替えてくるから二十分後に中庭に集合しよう!」

「はい!」

(やった! やっとあの大剣の訓練だ!)

 今までは小型の暗器やダガー、防具だけつけた武器なしの護身術ばっかりだった。

 銀のナイフや、あるときはフォークでの戦闘訓練もあった。

 完全にギフトの体型――子供の体でも戦えるよう、身長差があっても狙える急所を的確に攻めるための武術が中心だった。

 今のギフトでは大人や体格のいい男子とはまともに戦うことはできない。

 キール曰く「急所を突いて相手に一瞬でも隙ができたらすぐさまバングルの中に逃げるか、霧か煙魔法で目眩し(めくらまし)して逃げなさい」とのこと。

 無理して立ち向かってギフトが傷つくことをよしとしない、優しくてなんとも甘い考え方だ。

 でも、その通りだとギフトも思っていた。

 だから別に反発しようとは思わない。

 頂ける愛情はちゃんと受け取っておく。

 ギフトも着替えるために一度部屋へと戻っていった。

 部屋に入ると、ベッドの上に練習着らしきものが置いてあった。

「ううん、用意されている道着が剣道用のものなのは何故だろう。ご丁寧に白袴だし。本当にファージは変な知識持ってるんだなぁ。地元の小学校の剣友会の試合が懐かしい。防具入れの中ってめっちゃ臭いんだよね。今日は……、防具は小手しかつけないみたいだけど」

 もう名前すら思い出せないが、兄が剣道をやっていた時の着替え方を思い出しながら準備をした。

 ギフトは確実に記憶の書き換えが進んでいることを感じていた。

 たまに家族の小指の骨を眺めてみるが、誰の顔も思い出せない。

 しかし、なぜか家族構成やどんな遊びをしていたかなど、身体が覚えている類のことは未だにふわっと思い浮かぶことがある。

 ひとは頭以外にも身体に記憶器官を持っているのだろうか。

「さ、いくか」

 髪をポニーテールに結い直すと、浮遊魔法で大剣を身体の左側に添うようにして浮かべ、キールが待つ中庭へと向かった。

「わお! それがファージが用意したっていうニホンのケンドウという剣術の道着だね? ギフトは何を着ても似合うから困ってしまうな!」

 キールはTシャツに鎖帷子、そして花柄の短パンに金属の脛当てというかなりラフな格好で待っていた。

「さぁ、ギフト。まずはいつものように左手側に防御魔法の魔法陣を出してごらん」

「はい」

 ピンっという音とともに直径五十センチほどの魔法陣が現れた。

「いいぞいいぞ! じゃぁ、今日はその魔法陣を大剣に沿わせるように広げて、鞘に貼り付けてごらん」

「はい」

 大剣を左手前に移動させると、その鞘の大きさと同じ、直径百五十センチくらいの円になるように魔法陣を広げていく。

 出来上がった魔法陣を鞘に魔力で固定した。

「出来ました」

「さすが我が娘! これでだいたいの攻撃は魔法陣の強さと鞘の力で防げるだろう。よし、いよいよ剣を鞘から抜いて自分の右側に浮かせてごらん」

「はい」

 鞘から剣を抜くと、持ち手を上にして右側に配置した。

「うんうん! スムーズだな! じゃぁ、今から攻撃魔法と暗器でランダムに攻撃するから、防ぎつつ反撃してみよう。最初はゆっくりやるから、大剣の操り方を身体で感じてみてね」

「はい! よろしくお願いします!」

 キールは火炎玉と鋭い小刀を数本ずつギフトへ放ち始めた。

 火炎玉が道着をかすめ、焦げた臭いがする。

「んん、なかなか難しいかも……」

 火炎玉は身体の近くで防ぐとダメージは受けないがやはり熱い。

 火炎玉が放つ熱のせいで汗もすごい。

 身体に外傷はないが、体力は確実に削られる。

 かといって魔法陣を前に出しすぎると小刀が懐へ飛んでくる。

 と、いうことは、剣も防御に使いつつ間合いを詰めるしかないということだ。

 うまく火炎玉を水属性に変えた魔法陣で打ち消すか、剣に反発魔法をかけて打ち返せば間合いを詰めながら反撃ができる。

 小刀は今のところはなんの魔法もかけられていないようだから、そのまま剣で打ち返せばいいが、今後魔法をまとった状態で投げられることも考慮しないといけない。

 身体に冷却魔法をかけてしまうと筋肉かこわばって動き辛いし、なによりギフトはお腹が弱いからお腹壊してしまう。

 水属性の魔法陣も火炎玉との衝突で無闇に水煙をあげないように気をつけなければ、視界が悪くなってしまう。

(あぁ、剣ってこんなに難しいのか)

「いいぞギフト! 上出来だ! じゃぁそろそろスピードと量をあげていくから集中しろよ!」

「はい!」

 次々と繰り出される攻撃を十五分間なんとか防ぎきり、十分間の休憩タイムの頃にはもうヘロヘロだった。

「よく頑張ったなぁ、えらいぞー!」

「ふあぁ……、もう身体も頭もフル回転させているのに、防ぐのがやっとで反撃なんて出来ません……」

「あっはっはっはっは! 初っ端から反撃されたらパパのプライドはズタズタになってしまうよ。それにこの訓練は……、おっとっと、なんでもないぞ!」

「なんですか?」

「あっはっはっはっはー!」

 怪しい。

 絶対に何か隠している。

 ファージが何を隠していようが、別にギフトの害になることではなかったからどうでもいいが、キールは一体何を隠しているというのだろう。

 ニヤニヤしているからきっと悪いことではないのだろうが。

 近頃二人ともなんかソワソワしているし。

(ううん、むかつく)

「続きやるぞー!」

「はーい!」

 その後、十五分戦って十分休むのを四回ほど繰り返し、今日の訓練は終わった。

 なんとかギフトも数回反撃することができたが、何一つキールにかすりもしなかった。

「はぁ、悔しいですね」

「いやいや、反撃されてめちゃくちゃびっくりしたぞ! パパはもう感無量です!」

「えええ……、でもかすりもしてないですし」

「いやいや、パパの魔力量を計ってみればわかるよ。もう半分くらいしか残ってないからな!」

「え、本当に?」

「ああ、そうだよ。もうギフトからの反撃を防いだり、ナイフに瞬発の魔法をかけるので大変だったよ」

「え? 瞬発の魔法かかってたんですか?」

「かけてたさー。ギフトがあんまりにもうまく防いでるから、小刀は本気で投げてたんだよ。火炎玉は威力を抑えてたけど、それでもすごいことなんだよ。ギフトはやっぱり優秀だなぁ」

「えええ」

 夢中でまったく気付かなかった。

(というか、わたしわりと鈍感なのかな……)

 魔法を使われていることに気づかないことに身震いした。

「あの、パパ……」

 ギフトの不安そうな顔を見て察したのか、キールは困ったように微笑みながら話し出した。

「ギフト、ファージとの約束でまだ詳しくは言えないんだが……、その、なんていうかな……。大人、とかベテラン? の魔法使いや魔女が使う魔法に十歳で気付けたら、それはもうこの世界で神を名乗れるレベルなんだよ。攻撃する側が手練れであればあるほど、魔法をかけるモーションが小さいし、無音。多重詠唱ですら省略出来ることもある。魔法を気付かせない工夫はいろんな手段がある。後々ちゃんと教えるし、ギフト自身がその方法を発見することだってあるだろう。だからまだ焦らなくていいんだよ。ギフトは幼いんだから、ね?」

 その通りだった。

 ギフト(わたし)はまだ、この世界では子供なのだ。

「……パパ、ありがとうございます」

「うんうん、素直で可愛くて賢くてこんなに素敵な娘が俺の帰りを待ってると思うと、毎日の仕事が楽しいよ。さぁ、お風呂で疲れを流しておいで。そしたらご飯を食べよう」

「はい!」





「歌いましょう、この声があの子に届くまで……」

――さんさん太陽 イチゴを照らす 兄さん駆けだす 芝生のお庭

「あの子とわたしを繋ぐ歌。あの子とわたしを隔てた歌。あの子とわたしを別れさせた歌」

 少女は健康な右足に急かされるように、白いリボンで繋げた白い左足を引き摺り歩く。

 まるで棺に供える白い薔薇のように、それだけが月明かりに浮かび上がった。

 少女の右手は彼岸花を握りつぶした後のように、血しぶきが乾き始めの闇を帯びており、背筋が凍るほどの美しさをたたえている。

 月光に向けられた横顔は、張ったばかりのハープの弦のように高揚し、微笑みで揺れている。

 左手には大きな人形の髪を掴んだまま。

 左足の無い、人形。

 人形は、小さな小さな声で木霊する。

「た、すけ、て……」

 少女は満足そうに微笑むと、ふたたび歌い始める。

――さんさん太陽 イチゴを照らす 兄さん駆けだす 芝生のお庭

「わたしも連れて行ってくれればよかったのに。わたしのことも待っていてくれればよかったのに。わたしのことも覚えていてくれればよかったのに。わたしがあの子を知らなければよかったのに……」

 いつしか人形は黙り、その身体からは力が抜けたようだった。

 もう何もない。

 ここには何も無い。

 少女は突然足を止めると、人形を川に流した。

 まるで発条(ぜんまい)仕掛けのブリキの船を流すように、そうっと流れに乗せる。

「バイバイ、ありがとう。あなたのこと何も知らないけど、多分大好きだったと思うわ」

 青白く光るのは月のせいなのか。

 少女はまた歩きだす。

「次は女の子がいいわね……」





 翌日、街は騒然となった。

 早朝、新聞配達をしていた青年が橋に何かがひっかかっているのを発見し、箒で近くまで降りてみると、それは片足のない幼い少年の遺体だった。

 新聞配達の青年はすぐさま王国軍の詰所まで飛び、警備兵を連れてきた。

 臨場した魔術法医学者によると、少年の足にはかすかに魔法が行使された形跡があった。

 太ももの付け根から引きちぎられており、血液も半分近く持っていかれた形跡があるという。

 魔力の形跡をたどると、川上から遺棄されたことが判明した。

 遺体が流されたと思われる場所からは少年の髪が多数見つかっており、どうやら犯人は髪を掴んで森を歩いて抜け出たらしい。

 昨晩は満月だったため、いつもは薄暗い森の中も光源無しで歩くことは可能だ。

 なぜ左足を引きちぎったのかはまだわかっていない。

 警備兵はすぐさま各新聞社に情報を共有し、大々的な犯人の捜索を始めた。

 しかし、事件から一週間経ってもなんの手がかりも得られなかった。

 まるで犯人はこの世界から消えてしまったかのように痕跡が追えなかったのだ。

 一ヶ月後、また同じような遺体が川で発見された。

 今度の遺体は幼い少女で左腕と左足、そして両方の眼球がなかった。

 血液は完全に抜かれており、もはや誰かが悪戯で作った人形のようであった。

 犯人はまた森の中と川上にだけ魔力の痕跡を残し、忽然と消えた。


「またやられてる…。これで三体目だわ」

「奥様……」

「カノン、形代(カタシロ)をできるだけ多く作ってちょうだい。だんだん強くなってる。一回の呪いを一体ずつじゃ防げなくなるかもしれないわね」

「すぐにご用意いたします」

「まかせたわ」

 ファージは綺麗に整えられた美しい爪を無意識のうちに噛んでいた。

 塗られた青いネイルが欠片となって唇に落ちる。

「時間が足りない……。まさか化物になるなんて思わなかったしね。あははっ、わたしのものに手を出そうなんて、いい度胸ね……」

 「少し仕返ししちゃおうかしら」と、ファージは空中から自身の杖を取り出し、手のひらを爪で切り裂き、杖に自分の血液を吸わせてゆく。

 締め切られた部屋に禍々しいほどの暗雲が立ち込める。

 黒く、黒く練られたそれは、次第に細く長い糸のついた小さな針に変わった。

 ファージがふぅっと息を吹きかけると、それは瞬く間に姿を消し、黒い魔力も引いていく。

 次の瞬間には、ファージの部屋の空気はいつもと変わらない甘いものに戻っていた。

「さぁ、この呪いから逃げてごらんなさい。殺してあげるわ……。ゆっくりと、ゆっくりとね……」

 ファージは隠していた。

 ギフトには使える属性を水・風・雷・土・毒・金と教えているが、ファージの本当の専門は〈闇〉であり、呪術そのものだ。

 しかし、それを伝えてしまうとあらぬ誤解を与え、意図しない時期にギフトは自分を殺しにくるかもしれない。

 ファージはギフトがなにもかも知った時、いや、知ってしまった時、すべてを話そうと決めていた。

「ギフト、あなたのことはわたしが命をかけてでも守るわ。ただ健やかに、この世界でしあわせにおなり……」

 ギフトはまだ何も知らない。

 誰がどんな罪を犯したのか、その理由も、結果も、何も知らない。

 真実は時に毒となって当事者すべての心を病で満たす。

 嘘で守れるものがあるのなら、平穏の一時を与えられるような偽物があるのなら、それに縋らせてあげたい。

 傷つくのはまだ先でもいい。

 最悪の結果が待つ未来がわかっているのだから。


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