六
風が強い。辺りを囲う森がざわめいている。なんだか不気味だな。
手元にある地図が風に煽られて音を立てている。
「もう、すごい風だわ」
「ああ、とりあえずあの森へ入ろう」
「そうね、あの森で野宿かしら今日」
後ろを向くとレヴァートが、ペガサスにの背中で居眠りをしている。
「レヴァート。居眠りをするんじゃない置いてくぞ」
「・・・・・・起きないわね」
「・・・・・・置いていこう」
歩こうと一歩を踏み出すと、目の前にルックが立ちはだかる。
「邪魔だ、行くぞ」
ルックは俺をにらんだ。
「今置いていったら、この人はどうするの。ペガサスは」
「俺の知ったこっちゃない」
行くぞ、と俺は先に歩いていく。後ろで待ってよという声が聞こえる。俺は立ち止まって、ルックを見た。ルックはペガサスを見て憐みの顔を向ける。俺はあの顔が大嫌いだ。
「先に行ってる」
「ちょっと、待ちなさいよ」
やっとのことルックが走ってきた。途中で飛んでガーゴの頭の上に乗っているところが見えた。
がーご、と声が聞こえる。ガーゴが鳴いたんだ。
「お守りをペガサスの首にかけてきたわ。あれであの人は大丈夫」
「あっそ」
「あなた、可哀相とか思わないの?心配とか」
「・・・・・・いったところで、お前には分からないだろう」