三
宿は確かに言われたところにあった。窓辺に薄く明かりがぼおんと灯っている。賑やかさはなかった。
青い日よけを潜り店の中に入る。店員の声が聞こえた。
「いらっしゃいませ・・・・・ようこそ」
若い声に反してはりがなく頼りなかった。これが情報売りの店か?じいさんよ。
青いエプロンに青いバンダナ。店員はおろおろしながらメニューを見せた。
「一泊に2000キアラです」
「二泊したい。情報売りはあんたか」
店員はきょとんとした。
「店員は僕しかいない、ということは・・・・・はい僕です
」
恐ろしくない面の心情が表に現れる店員だ。大丈夫か、この店。
「・・・・・なんかいい情報はないか」
「いい情報って言われてもなぁ、ええと」
「いや、今はとりあえず休ませてくれ。腕が痛いんだ」
まだ薄みがかった腕は、ポーションを飲んでさえこれだった。店員は驚いて俺の顔を見る。
「スライムにやられたんですか!?あの劇弱スライムに!?」
「いや、考え事をしていて」
「戦闘中に考え事!?そうするとこの人はむしろ強い人なのかも・・・・・・」
こちらにおられますのは・・・・・・。と後ろから出かかったレヴァートのみぞおちに肘をぶつける。うっとうなる声が聞こえた。
「いいから早く部屋を・・・・・・」
そういうと店員はようやく部屋に案内してくれた。