エピローグ
その後――
化け物たちは相変わらず、あの家に棲んでいた。
しかし、彼らは青年の下僕として飼われていた。
「おい、コーヒーはまだか。」
『はいぃ~ただいま~!』
化け物屋敷に青年の声と、化け物たちの悲痛な声が木霊する。
青年の周りでは化け物たちが、青年の肩を揉んだり、床の雑巾がけをしたりと、忙しなく働いていた。
あの後知ったことだが、青年はとある退魔師の家系の者らしい。
あの極彩色の瞳は昔、彼の先祖が神から神気を授かった証なのだそうだ。
そしてその力を受け継いだ青年は、大学進学の際、一人暮らしをするために、偶然この屋敷を不動産屋で見つけ契約したのだそうだ。
何故そんなことをしたのか後で聞いてみたら、返ってきた返答が「面白そうだったから。」だった。
このくそガ……いや、ゴシュジンサマは、そんなくだらな……いやいや崇高な理由と、その素晴らしい力でオレたちを あっという間に下僕にしてしまったのだった。
そして日々オレたちは、彼の下僕として扱き使われている。
なんてこった、本当のバケモノはあいつだったなんて。
一匹の化け物が、庭を箒で掃きながら、すっかり寒くなってきた空を見上げて独り言ちていた。
しかし……
ふと、化け物は思った。
これはこれで、いいのかも、と。