異世界からやってきた者たち
高梨 綾香 15歳 高校一年生
異世界では勇者の妹かつ聖女として魔王討伐に参加。
主に回復や攻撃力・守備力強化などの補助魔法担当。
現実世界では神社の娘で家の手伝いで巫女の仕事も手伝っているとか...
聖女と巫女は何か近い気がするので綾香に転移してきたことに少し納得した。
同級生だが学校でも評判の美少女の綾香が僕のことを「おにいちゃん」と呼んでくれる。しかも実際は赤の他人だから後ろめたいことは何一つない。悪くない。最高!
そんな邪なことを考えつつも異世界で使えた魔法が今も使えるのか尋ねたところ、
「うーん。まだ試していないからやってみるね!」
といい机の上にあったカッターを手に取り僕の腕を切りつけた。
「...え?何これ?...痛い...ヒィィィ!血が出てる~~!!」
僕が一人テンパっていると側から何やら呪文が聞こえた。
しかし何も起きない。
もう少し待ってみても何も起きない。
もう一度唱えてもらった。
何も起きない。
「魔法使えないみたい...テヘッ」
えぇーっ、それじゃあこの傷はどうするんだよ。切られ損じゃないか...
しかも了承なくいきなり切りつけるなんてこわいよ。妹でもちょっと、いやだいぶ先行き不安だよ...
そもそも魔法が使えないなんて、どうやって僕を守ってくれるんだろうか...
「豊くんごめんね、魔法使えると思ってついつい切っちゃった!」
綾香はそう言うと僕の腕を手に取り傷口にふぅっと息を吹きかけた。
!!!!!
吐息がなぞるのと同時に傷口が塞がっていくのがみえた。