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プロローグ

魔王と勇者パーティーが現実世界に転移してきたらしい...

久しぶりに会話した幼なじみたちにはそれぞれ勇者パーティーのメンバーが憑依していて、僕が勇者だといっている。

えっ、でも僕には勇者は憑依していないようなんですけど...?

どうなる?どうする?僕の平凡な日常カムバッーーーク!!!

高梨たかなし ゆたか15歳 高校一年生。


僕の一日はスマホから始まる。

スマホの中では今流行りの育成ゲームのキャラクターが画面の中を自由に動き回っている。

キャラクターが僕を検知し、いつものように会話をする。


「カイヌシ、オハヨウ。イッテラッシャイ!」

「ペット、おはよう。いってきます。」


課金したりこまめに世話をしてあげたりするともっとスムーズに会話ができるようになるらしいが、そこまでのめり込んではいないし、何よりペットが流暢に喋るようになってしまったらコミュ障の僕は話せなくなってしまう。

やりたいこともできることもなく怠惰に生きている僕の唯一の支えがペットなのだ。

ペットの舌足らずな喋りは僕が主であり、上位の存在であることを認識させてくれる。


そんな誰にも邪魔されない平凡な日常に何やら騒がしい音が立ち始め、ガラガラと音をたてて崩れるまではあっという間だった。



(どうしてこんなことになっているのだろう...)


ある日学校から帰ると僕の部屋に来客があった。


湊斗と綾香と...えっ?渚???


三人とも幼い頃よく遊んでいた幼なじみだったが、年を重ねるにつれ段々話さなくなり、もう何年も話していない関係である。

渚に至っては中学に入ってからずっと不登校で引きこもっていたはずなんだけど...


約束もしていないどころか何年も話していない状況でサクッと部屋にあげられてしまう幼なじみパワー恐るべし...


状況が飲み込めず呆然と突っ立っているだけの僕に渚が軽くため息をついてとんでもないことを言い始めた。


「状況を飲み込めていないようだけど、念のため確認するね。」

「キミ、勇者だよね?」



「...は?」



急に勇者とか言われて思わず声が出てしまった。


え?どうした?そういうこと言うヤツだっけ?そりゃ最近の様子は知らないけどもっと常識人だったような...



「...やっぱりまだ入っていないのか?...タイムラグがある...?」


ブツブツと呟きながら何かを考えている渚。




しばらく考えていた様子の渚が説明してくれた話によると、異世界で魔王と最終決戦しているときに、魔王が何かを呟き白い光に包まれたところ、魔王と勇者パーティーはぐるぐると光の渦に巻き込まれ、気づいたらこの世界の住民となっていたらしい。


この世界の住民の記憶も勇者パーティーの頃の記憶もあり思考も違和感がない様子から、恐らく魂が同じ人物に転移しちゃったんじゃないかと考えているようだ。


パラレルワールドの自分ってところかな?


魂が同じだからか雰囲気も似てるらしく、人間関係も近いらしい。兄弟が恋人同士とか少しの違いはあるが異世界で付き合いのあった人はこの世界でも近くにいるようだ。


それで勇者が入りそうな器はどうやら僕しか当てはまらないと。

(えー!異世界だと勇者やってるのー、よかったー!平和な世界の方で...)



「勇者が転移するのに時間がかかっているのかもしれない。魔王は勇者を検知することができるからもしかしたら勇者が転移する前に狙われるかも。」



「え...?」


はいキター。急にピンチ!!一般人の素人が魔王に狙われるなんて瞬殺じゃん!

お父さんお母さん、短い間ですがお世話になりました...

孫の顔どころか先立つ不幸をお許しください...


「魔王を倒せるのは勇者しかいない。勇者が殺されたら新しい命に転生して15歳になったら魔王を倒せる力が宿る。それまでこの世界は魔王の好き勝手にされてるだろうから、簡単には倒せないだろうね...」


え?両親どころか全世界の人への謝罪が必要?力のない勇者の器で申し訳ございません...

つーか、勇者様何で転移遅れてるの??僕の体好きにしていいから早く来てー!!こわいよー!


「えーっと、話は何となくわかったんだけど、魔王に勝てる要素のない僕は一体どうすればいいのでしょうか...?」



「大丈夫、勇者がくるまで私たちが守ってあげる...」

渚はニヤリと微笑みながらそう言ってくれた。

面白そうなことにすぐ首を突っ込む癖治ってないみたいだな。



「めんどくせーけど、魔王が牛耳る世界の方がめんどくせーからな。仕方ねーな!」

湊斗も僕の肩を叩きニカッと笑って言ってくれた。

口は悪いけどいいヤツなところは昔から変わってないな...



「この世界だと王命もないしこんなことしなくていいはずなんだけどね。あなたが死んでおにいちゃんが入れなくなったら困るからなんだからね!」

綾香が不満そうに僕をみて言った。

いつも元気でニコニコしている綾香があれ...?



「え?おにいちゃん?」


「そ。勇者は私のおにいちゃんなの!」

よろしくお願いします!

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