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ハーレムエンド  作者: PP
第一章:魅了地獄
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 転送機の移動にも慣れて来た固は、歩みを止めることなく目的地へ移動できるようになっていた。向かう先は331号、トゥールが眠り、今日から自分の部屋となった場所へと向かう。


「風邪引いてないかな」


 ふと、おかゆを学食から運ぶだけだったはずなのに思わぬ時間をかけてしまった事に気づく固。トゥールという女の子を濡れたままにして悪い事をしてしまったと感じてしまう。そんな思いからか、徐々に歩調は速くなり、ノックをする事無く331号の扉をあける固。


「……ッッ!?」


 寝ているはずの彼女に気を使いながらゆっくりと扉を開けたにも関わらず、肝心のノックという行動をすっとばしてしまう固の視界には……。


「はわわわわ」


 わなわなと震える着替え中のトゥールが視界に入る。真っ白なシルクのシャツ1枚を羽織っただけの華奢な体つきのトゥールは、胸元のボタンをとめようとしたまま口をパクパクさせながら硬直していた。そんな光景をまじまじと目に焼き付けながら、固もどうしていいのかわからず硬直してしまう。


「あ、あの……取り敢えず扉しめてもらえませんか?」

「お、おぅ」


 中に入り、扉を閉めるとそこには若い男女が二人っきりに。


「その、ソレも机に置いちゃって下さい。重いでしょう?」

「お、おぉぅ」


 言われるがまま、トゥールの隣を通り過ぎると部屋の一番奥にある机におかゆの入った鍋を置いて見せる固。


「えっと、その、何と言うか……ごめ……ふぁっ!?」


 どうしてこうなったと言いたい固。背中にはヒンヤリと、柔らかな感触が固の背中全体を包み込んだ。そして振り向こうとするも、トゥールは胸元を細腕がキュッとホールドしてみせる。


「私の王子、様……ふふ、なんでだろう。初対面のはずなのに、私の部屋にいきなり現れて、私の裸をみて……なのに、なんで私、こんなにも嬉しいんだろう」


 一体何を言っているのだこの子は? 固は思考を停止させてトゥールの話に耳を傾ける。


「良ければ、貴方のお名前を教えて? 私はトゥール、14歳。後三日したら15歳になるの。好きな事は色々な小物を見る事、好きな食べ物はお米系なの、それに、ああ、何で私ったら……」


 精一杯の力で抱きしめているのだろうが、その弱々しさを感じとり、やっと固は我に返る事が出来た。


「あ、あの! ごめんなさい、ノックもせずに入ってしまって。俺は固って言います、今日からこの331号でトゥールさんと同じ部屋に入る様にとハッカさんに鍵を預かりました。えと、その……好きな食べ物はパン、です……後、好きな事は素振りで……」


 何を言っていいのかわからず、トゥールの告白をまんま返すかのように固も応える。すると、背後から小さな笑い声か聞こえて来る。


「ふふ、固様というのですね。そういえば、そのお鍋は」

「あっ、あの。トゥールさんが道端でびしょ濡れになって倒れていたので、部屋まで運ばせてもらいました。体が冷えていたようなので、温かい食べ物と思っておかゆを持って来たんです」

「あら、私の為ですの? ああ、食べるのが勿体ないわ……いや、ちょっと待って! 固様、こちらを向いて下さいな」


 トゥールは精一杯の力で固の身体を自身の方へと向けようと肩を掴む。しかし年上の男の子を振り向かせるほどの力が無くウーウーと唸る。流石に放っておくわけにもいかず、際どい姿が視界に入る事を覚悟しながら固はシャツしか身に着けていないであろうトゥールの方へと振り向く。


「手を、手を見せて下さい! お鍋を素手で持つなんて、私は固様が火傷をしてまでそんな事をしてほしくは……あら?」


 固の手をまじまじと見詰めると、確かに素手で鍋を持っていた筈の手の平には火傷の跡は一切無かった。それどころかゴツゴツした手の感触にうっとりとしてしまうトゥールである。固はというと、手の平を必死に確認するトゥールの前のめりな姿勢に、シャツから未知なる空間覗かせていたのだった。


「ぉ、ぉぉぅ」


 固も年頃の男の子なのだ。視線は完全にその未知なる領域にロックオンしてしまうも、トゥールはトゥールで固の手の感触を楽しむことに我を忘れてウットリとしてしまっていた。


「ぉ……いやいやいや、顔をあげて! ほら、火傷なんかしてないから、魔力を少し使えば多少の温度は凌げるの!」

「まぁ、固様は魔法の方向性を既に扱えるのですか!」

「い、一応」

「実は私も少しだけ扱えますの、ああ、運命ですわ!」

「まてまて、ここ魔法ギルドだからね? 皆、方向性覚えるんだからね?」

「ふふ、でも今日ここに来たという事は固様はまだ研究室は決まってないのでしょう? そうだわ、一緒の研究室に入りましょう? ああ、これから素敵な日々が……きゅぅ」


 興奮したのか、目を回し再び倒れてしまうトゥールを抱き抱えると、また後でおかゆを温め直さないといけないなと考えながらベッドに寝かしつける固であった。

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