END3
「良くぞ王都を守る為に働いてくれた。諸君ら八名には、褒美を授けようと思う」
「はっ……」
跪き、八人は頭を垂れた。現在、王都にある王城の中、王の間に居た。何を言っているかわからないかもしれないが、地獄図のような戦闘を無事潜り抜ける事が出来たのである。
フロイスが敵を倒し続け、リリィはクナイと鉄糸を巧みに扱い、クリュは地面を焼き焦がし罠を張り。マリーは空を駆け、抱き抱えられたケニュントトが空中落下からの必殺の蹴りを放ち。タニーマとトゥールを守りつつ、固も棒を相手に突き刺し幾度と無く棒を叩いた。
激闘だったが、強敵が現れる事もなく魔物の群れを討伐しているうちに、魔王軍は撤退を開始していた。
そして、王都西部を防衛した功労者として、今王自らの呼び出しに応えているのである。
「フロイスよ、私からの褒美だ。受け取ってほしい」
「これは……」
「碧水晶だ。私が進呈するのは、君が初めてだよ」
「ありがとうございます」
フロイス少年は碧色の結晶を受け取ると、大事そうに懐にしまった。
「それでは固よ、私はそなた達にも褒美をやろうと考えておるのだが……」
王は言葉を詰まらせる。固という少年と、その少年を信じて共に行動をした少女たち。王は知っている。王都に居る民全てを見通す王の眼を持っているのだ、固達の事情も筒抜けなのである。
「王都の法律にはな、一夫多妻は禁じられている事を知っているな?」
「はっ……」
唐突に変わる話題。固は頭を下げたまま、王の言葉を待つ。
「特例として固にその権限を与える事を褒美とするか悩んだのだが……ふぅむ」
王は並んで頭を垂れている少女たちの前を歩くと、よしと一人頷いて見せる。
「そうだな、この七名に対しては特例で婚姻を認めよう。だがな、魅了の魔法にかかったままというのは流石に気の毒だと私も思うのだよ。だからな」
手をかざし、王は念じた。途端、トゥールを除く全員がビクンと体を震わす。
「魅了を私自ら解除させてもらったよ。後は頑張りたまえ、固よ」
ニヤリ、と面白い物でもみるかのようにそう語り掛けると、王は諸君らの行動に心から感謝すると言い放ち姿を消した。
王の気配が消えたと同時に、八人は立ち上がる。
「それじゃ、俺は帰るな! 固兄ちゃん、また遊ぼうな!」
「あ、ああ」
フロイスにとって、あの地獄図だった戦場すらも遊び場みたいなものだったのだろう。力があるって素晴らしいなぁ、と天を仰ぐ固。そう、固は理解していた。力があれば本当にどれだけ良かったのだろうかと。
「固さ、ま……」
「ご主人さ、ま……」
「お兄ちゃん!」
「固ぅ……」
「固……」
マリー、ケニュントト、タニーマ、リリィ、クリュとが固を呼ぶ。何故かタニーマだけ以前の声色のままだった気がしないでもないが、皆の声色が低い。
「逃げるわよっ!」
いち早くそう言い動いたのはトゥールだった。感情の渦にスグには動きだせなかった五人を差し置いて、固の腕を掴み王城から脱出する。この時のトゥールの表情は、誰もが目を引くほど輝いていた。
本当の地獄は、ここから始まるのだった。
最終章、本当に短くてスミマセンでした。
これにてハーレムエンドは終了といたします。
ここまで読んでくださった皆様に、改めて感謝の意を込め言わせていただきます!
ありがとうございました!
余談
このお話は、魔動遊戯リィルロックという別作品に出てくる予定だった話しを急遽、分離して単品として書きおろした作品となります。魔動遊戯リィルロックにて、固君達が今後登場するかもしれません。ハーレム物ではないですが、もしも少しでも興味が湧いたならばそちらも宜しくお願いいたします。




