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ハーレムエンド  作者: PP
第二章:拘束地獄
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 何の進展も無いまま30分が過ぎ、やがて1時間が経過した頃には四人の心は想像以上に疲労していた。


「固様、私達はこのまま……」

「マリー、諦めるな。きっと抜け出す手は必ずある」


 そう、目の前にある鍵さえ手に入ればすぐにでもここから脱する事が出来るのだ。しかし、その鍵までの距離、たった1メートルという距離の壁に阻まれ続けていた。そしてついにケニュントトにリミットがおとずれる。


 固とマリー、ケニュントト本人は気づいていないが、固の右斜め前に居るケニュントトを見て顔を赤くするタニーマ。そのタニーマの視線の先には、薄い光の壁の奥、ケニュントトの下半身に向いていた。視線に気づいたケニュントト本人も、何事かと自分の足元を確認するとそこには水たまりが出来ており、下半身をキラキラと水滴が輝かせていた。


 最初は何だろうと深く考えなかったケニュントトだが、そう長い時間ケニュントトは思考を放棄する事は出来なかった。


「あう、あうあうあうあう、ご主人様こっちは絶対みないで!」


 あまりの羞恥心からか、ケニュントトは固の視線を自ら寄せるよう自爆してしまう。そして固がじっくりとケニュントトを確認するも、アッポイの眼《全方位モニター》には丁度光の反射により下半身の先にある水たまりまでは確認出来なかった。


 それがかえって良くなかった。


「どうしたケニュントト? 何かあったのか!?」


 この状況下で見ないでと言われて、見ないなんて事が固に出来る筈も無く。気になり余計にマジマジとケニュントトに異常が無いかと確認のため直視する。


「みないでぇぇ、ぅぅ、ご主人様のばかぁ」


 ばかとまで言われて、何故か安否確認の為に直視していた固も少し動揺してしまう。しかし、何か問題があってからでは意味が無いのだ。


「ちょっと待ってろ! アッポイモードオフ!」


 アッポイの眼を解除して固は小さなカボチャの眼の部分、その隙間から自らの眼を使い目視した。すると、ケニュントトの下半身からまだ出し足りないとばかりに水たまりが大きく広がっている様子を確認した。


「うぅ、ご主人様のドエスー!」

「わ、わわわゴメンケニュントト」


 慌てて視界を正面に居るマリーの方へと戻す。すると、気づいていなかったがマリーの足元も大変な事になっていた。ケニュントトの透明色とは違い黄色がかっていたがそこは今は重要では無かった。


「ま、まさか俺も」


 固は自分の足元を目視するも、どうやらまだ漏らしては無かったようだ。だが、下半身の神経が無いというのはこういう事も危惧しなければならないのかと思い、余計に早く脱出せねばという想いに焦らされる。


 そんな事を考えていた固だが、ふと視線を戻すとケニュントトの首元から淡い光が浮かび上がっているのを確認した。今度こそ、放っておくことは出来ずケニュントトに皆が注目をする。


「ああああああ……ああ……ああ……ああ、そう、なんだ……」


 誰かと会話を始めるケニュントト。そして、何かを理解したように頷き、ケニュントトは声を発する。


「ご主人様、私を視て、私のこの恥かしい姿をもっとみて!」

「えっ、わっ、今度は何だよ!」


 訳が分からず、直視するつもりもないのにケニュントトの全身を舐めるようにみてしまう固。途端、ビクッと体を震わすケニュントト。


「あぅ、恥かしいです……でも、溜まりました」


 恥ずかしさの余り伏せていた顔をあげると、首輪のつなぎ目にある中身が空洞だったガラス玉の中身に透明な液体が沸き上がり中身を満たしていた。その液体から淡い光が発せられていたのだ。


「私はこのアイテムの声を聴きました。私が羞恥心を覚える度に内なる魔力をブーストしてくれるそうです。身体強化、これがこのアイテムの力なんです」


 顔を赤らめながら説明すると、光の地面に手を尽き全力で抜け出そうと試みるケニュントト。


 バシン、バシンッと光にヒビが入りやがてそれはケニュントト周辺に広がっていく。決して人の力では壊せない硬度を持つ光の膜を、ケニュントトは力技で抜け出そうとしているのである。


「私は、ご主人様を守るんだーーー!」


 ダンッと両手で名一杯体を押し上げると、ついにケニュントトは体を光の膜の上へと移動させた。抜け出したにも関わらず、ケニュントトは這うように地面を移動すると、鍵を使って全員の拘束を解除して回った。


「おめでとうございます、最初の試練はいかがでしたか? 人は身体の一部を拘束されるだけでとてつもなく無力になる事があります。そしてその環境を補い、脱する為に人は成長をします。ケニュントト様、貴女は誰にも勝る身体強化でマスターを守りました。だけどその力は磨き続かなければ、いずれ脱する事の出来ない壁に阻まれるでしょう。ケニュントト様、貴女はゆっくり休んでいてください」


 声が響き、ケニュントトの体はポンッと小さな音と共にシャボン玉のような物に閉じ込められる。


「安心してください。ケニュントト様は力に目覚められました、後はその中から皆様を見守っていてください」

「出して―! うー、ご主人様―! 良い子良い子してよー! ねー! 出してよー! うわーん」


 ケニュントトの御陰でこの場を脱する事が出来たが、三人は複雑な表情である。今の正体不明の言う事が間違いでなければ、各自が選んだアイテムには何かしらの意味があり、その力を目覚めさせなければゴール出来ないという意味だと理解したからである。


「ケニュントト、後で頭撫でてやるからゆっくり休んでろ、な?」

「うん、絶対だよ? ご主人様、絶対だからね!」


 本当に脱する事が出来るのか不安に思いつつも、先に進むしかないと新たに現れた扉に手をかける。 


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