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ハーレムエンド  作者: PP
第二章:拘束地獄
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 扉の先には、再び何もない真っ白な部屋だった。


「また似たような部屋だな」


 固がそう呟いた瞬間、目の前に半透明な正体不明の存在が再び浮かび上がる。


「いらっしゃいませ、第一の部屋へ。皆様、足元にあるマーカーの場所まで各自移動してください」


 言われるがままに、四人は部屋の中央を向き合うように立つ。中心から丁度1メートル程離れ、各自同じく1メートル程の距離があく。四人で正方形をかたどる様に立った瞬間、地面が淡く光る。その光は徐々に浮き上がり、腰のあたりまで来るとその動きを止めた。


「ここは下半身拘束の部屋、皆様には中央に御座います鍵を取っていただき、目の前の鍵穴に刺し込み解錠していただきます」


 説明と同時に、中央の地面が盛り上がり台座が出来上がる。そこには一つの鍵が輝いていた。更には目の前に浮かび上がった光の一部に鍵穴が出現したのだ。


「では、ごゆっくり御愉しみ下さい」


 声が止むと同時に、固、マリー、ケニュントト、タニーマは体の違和感に気づき声をあげる。


「何だよこれっ」

「固様っ、動けません、んっー、んっー」

「ご主人様―、うごーけーなーいー」

「んっー、んっー、はふん。お兄ちゃん助けてー」


 それぞれ声をあげる。それもそのはず、下半身の感覚が一切無いのである。おまけに、上半身を動かそうにも光の壁が遮り地面を触れる事を許さないのである。つまり、光の壁穴にすっぽり体がはまった状態になっているのである。


「これ、どうしたらいいんだよっ」


 思わず叫んでしまう固。手を伸ばしても1メートル先にある鍵には手が届かず、先ほど手に入れたアイテムの棒は腰に備えていた為取り出す事も出来ない。他の三人はどうだろうかと固はアッポイの眼で確認するも、同じく困り果てているようである。


「あうー、お兄ちゃん。うーごーけーなーいっ」

「後すこしー、少し―。うぅ、やっぱり届かないよぅ」

「困りました……」

「愉しめって、この状況下でどうすれば良いんだよっ」


 焦りから少しイラついたような声色で叫ぶと、固は三人の表情にハッとする。それは魅了にかかっているにも関わらず、少し怯えたような表情であった。


 俺が一番年上なのに、こんな場所で最初に乱れてどうすんだ。そう固は思考を切り替え、必死に考える事にする。


「なぁマリー、お前は何か魔法が使えたりしないか?」

「すいません固様」

「それじゃあケニュントト、お前は?」

「ご主人様、私は魔法が使えないのー。ごめんなさいー罵ってー」

「んー、じゃあタニーマ、お前はどうよ?」

「ごめんねお兄ちゃん、日常魔法しか使えないの」

「あっ、固様私だって日常魔法くらいなら使えますよ!」

「ご主人様ー、私は日常魔法も使えないのー。役立たずでごめんなさいー罵ってー」


 日常魔法といえば、体や歯を綺麗にしたりする魔法だ。ほとんどの人間は日常魔法が扱えるのだ。が、それが今役に立つとは到底思えない。


「ってケニュントト、日常魔法も習得してないのか?」

「はふん、ごめんなさいー。習得しなかったんじゃないのー、魔法が使えないのー」

「そ、そっか。何かごめん」

「んーん。良いの、でもちゃんとお口も体も綺麗にしてるから!」

「お、おう」


 話は振出しに戻る。ケニュントトが全く魔法が使えない体質だとわかったが、その情報が役に立つとは思わなかった。と、なると今それぞれが持つアイテムに秘密があるのではないかと、固は考えた。


「それじゃあ、今度は皆が手に入れたアイテムだ。俺は背中に棒があるんだが、どうしても取り出せないんだ。皆はどうだ?」


「固様、私のマイクは使えますわ! でも、これを手に持っても鍵には触れる事も適いません」

「さっきの声の拡張も無駄か試してみてくれ」

「わかりました。『固様ー! 愛してますわー!』……です」


 耳がキーンとなるほどの大音量の告白が鳴り響くも、鍵はビクともせず不動である。


「無念です、固様」

「気持ちはありがたく受け取っとくよマリー。ケニュントト、その首輪は何かに使えそうか?」

「ご主人様に引っ張って貰うために紐をつける穴はあるけど、紐がないよぅ」

「そ、そっか……タニーマ、その七色ネイルは何か使えそうか!?」


 最後の希望に賭け、固はタニーマに問いかける。しかし、予想通りの答えしか返ってくることは無かった。


「お兄ちゃん? ネイルは爪に塗るオシャレグッズだよ? 何も出来ないよー」

「ですよねー!」


 完全にお手上げだった。目の前に脱出する為の鍵が見えているのに手が届かないなんて。


「いや、そういや俺の魔弾で正面にいるマリーに鍵を吹き飛ばせないか試してなかったや」

「固様、流石です!」

「ご主人様、かっくいぃ!」

「お兄ちゃん、私待ってる!」


 それぞれが固の言葉に希望を持ち、その瞬間が訪れるのを今か今かと待ちわびる。しかし、いつまでたっても固の手には魔力が集まる気配がなかった。


「んー、アッポイもか?」

「ウー、ウー」


 アッポイを頭にはめたまま固は会話を交わす。アッポイも魔法生物、小規模な魔弾程度なら発生させれるはずにも関わらず、固もアッポイも魔力を練り上げる事が出来なかったのだ。


「すまない皆、どうやら魔力操作が封じられているみたいだ」


 申し訳なさそうにいう固に対して、三人娘は気にしないでと微笑みかけてくれた。そんな気遣いに固は胸中で叫び、他に手は無いかと考え続けた。


 そして無駄に時間は過ぎてゆく。

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