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ハーレムエンド  作者: PP
第二章:拘束地獄
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 三人娘はトゥールのベッドの上に腰掛けたまま、固の反応を熱い眼差しで待っていた。対する固は、腕を組み悩んだ挙句言葉を発する。


「ウー、ウー」


 が、当然伝わる訳も無く三人娘は固の次の言葉を待つ。正確には、完全に受け身の三人なのである。命令され、指示される事こそが至福だと言わんばかりに固という存在に酔いしれているのである。


「ウー、ウー」


 再び声を発するも、ただ唸り声をあげているようにしか聞こえず、気まずい時間が流れていく。


「あの、固様……?」


 思わずマリーは声をかける。喋れないという、その可能性をいち早く察知したのだ。


「もしかしてお声を?」

「ウー、ウー」

「何言ってるのマリー? ご主人様とこの前お会いした時はちゃんと会話をしていたよ?」

「お兄ちゃんの唇がぁ……はふん」

「もう、二人共まだ気づかないのですか? 固様のお顔にあるアレに」


 ビシィと指さしてカボチャフェイスに今更ながら突っ込みを入れるマリー。おお、とやっと理解したのかケニュントトとタニーマは驚き顔をしてみせる。


「わっ、ご主人様まさかの覆面プレイですか! そうなんですか!」

「お兄ちゃんの唇……ああ、あああああ」


 それぞれ妄想にふける二人を放置して、マリーは固の隣に腰掛ける。


「固様、何故そのような被り物を?」

「ウー、ウー」

「……わかりましたわ!」


 マリーは一人納得すると、固の手を握って熱く語り出す。


「これは私達に対して厳しく躾けをしていただくべく、固様なりのお気遣いなのですわね!」

「おお、ご主人様の言葉がわかるのか!」

「お兄ちゃん、そうなの?」

「ウー、ウー」

「ほら、固様がそうだとおっしゃってますわ! ふふ、私が最初に固様と意志疎通出来るようになったのね、お先にお二人さん」

「こらー、独り占めは良くないぞー!」

「お兄ちゃんは私のー」

「ウー、ウー!」


 固が伝えたい事が一切伝わらないまま、三人娘に押し倒され、固は身の危険を感じとった。決して欲情をする訳ではないが、固の意志とは無関係に何かを失うのではないかという焦りと、トゥールへの想いが入り混じる。


「ウー!!!」


 そんな感情からか、固は体を無理やり起こす。普段から鍛えてるだけあり、マリー、ケニュントト、タニーマの三人に抱き付かれたままにも関わらず立ち上がってみせるとそれぞれ甘い声があがる。


 が、そんな事もお構いなしに固は無我夢中でこの状況から脱するべく、部屋の扉に手をかける。謹慎中にも関わらず固は部屋を脱すると、転送機に向かって駆ける。


「ウー!!!」


 固は強く思った。閉じ込められた部屋の中、魅了にかかった女の子達に攻めよられる姿をトゥールに見られたくないと。


 こんな拘束された日々は嫌だと。





 固はまたやってしまったのだ。厳密には誰にも入る事が許されない部屋へ、再び訪れたのだ。解放されたい想いで一杯だったにも関わらず、固達は狭い真っ白な部屋へと辿り着いていた。


「ウー!?」


 アッポイの眼《全方位モニター》を駆使して、瞬間的にこの部屋の異常性に気が付いた。抱き付いていた三人娘は固から離れると、不思議そうに周囲を見回していた。


「ここ、何処ですの?」

「知らないよそんな事、な?」

「お兄ちゃんと一緒なら私は何処だって構わない」

「ウー!」


 そんな会話をしていた三人娘の前に固は手を広げ自らの後ろへと隠すように一歩前に立つ。


「マスター、お久しぶりです。それと可愛いお子様たちもよくいらしていただきました」

「ウー?」

「あら、声変換ボイスチェンジャーですか? まぁ私にはしっかりと肉声が聞こえておりますので、そのままお話しください」

「ウー、ウー」

「ふふ。そう来ましたか、わかりました。まずは椅子を用意したのでおかけください」


 透き通った姿をした何かは、固達にそう告げると強制的にクッションのようなふわりとした物の上に座らせる。


「わっ、固様」

「ご主人様ぁ」

「お兄ちゃん」


 三人は得体の知れない存在を目の前にし、不安な声をあげながら身を寄せ合う。


「ウー、ウー」

「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよマスター。では、改めまして」


 徐々に姿が明確化していき、ついには壁の向こう側がみえない普通の人間の姿を形どる。


「私はゾナダ。マスターの作りし存在でございます。そしてここは拘束の間、拘束から逃れる為の試練の間でございます。ちなみにマスターの趣味で777階層に作られております、覚えておりますか?」

「ウー?」

「そうですか。何も覚えておられないのですね……そうですマスター、拘束の間を体験していきましょう? そうしましょう、何か思い出せるかもしれませんし」

「ウー」

「何も心配いりませんマスター、そこにある棚から好きな物を一つだけ持ち、この先にある部屋を突破していくだけでございます。何の危険もありませんから、ご安心くださいまし」


 正体不明の存在が指差した先を固、マリー、ケニュントト、タニーマは同時に見る。そこには何も無かった筈の空間に棚が出来ており、いくつかの品々が置かれていた。


 更に視線を戻すと、先ほどまでいた存在の姿は何処にも無く、正面には一つの扉がポツンとあった。天井は2m程、前方左右はきっかり4m程の狭い空間の中に、四人は取り残されてしまったのだ。


 この拘束の間に入った瞬間から転送機が何処にも見当たらず、全方位を常に見ていたにも関わらず正体不明の存在は突然湧いて、突然消えたのだ。


「ウー」


 封印の間に続き、今度は前に進むしか選択肢の無い、不思議空間に迷い込んでしまった事を、固は嫌でも理解するしか無かった。


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