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ハーレムエンド  作者: PP
第一章:魅了地獄
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「んー、はぁ……」


 気持ちの良い日光を体いっぱいに浴び、体を伸ばすも気分は憂鬱である。冴えない顔をして寝ぼけ眼のまま仁王立ちをしているのはマーガレット固という少年である。固と書いてロックと読む少年は、先日15歳になったばかりである。


 王都の南部に両親と住んでいる固は、王城の隣にあるギルド施設、魔法ギルドへの入学手続きを本日する手はずになっている。


「固、朝食の時間だぞ」


 父親の声にはい、と簡素に返事をすると、今度は母親が部屋の中へと入って来る。


「固、今日は魔法ギルドの入学手続きをする日よ、ちゃんと制服は着たかしら?」

「おはよう母さん。いや、まだ起きたばっかで」

「ぼやぼやしないで早く着替えなさい。ほら、パジャマ早く脱いで」


 言われるがままにパジャマを脱ぎ捨てると、新品の制服に袖を通す。魔法ギルドの学生服はシンプルで男物は麻100%の灰色つなぎに、紺色のズボンとなっている。更にその制服の上から学生専用のローブを羽織る事で、いっちょあがりって寸法である。


 ボタンを次々にとめていき、ローブを羽織ると新品の麻の匂いが鼻孔をくすぐる。


「あら、いいじゃない固。良いクラスに入れると良いわね?」

「母さんは過保護なんだから、全く」


 固はため息交じりに応えると、父親が既に朝食をとりはじめているリビングへと移動をする。


「おはよう親父」

「おう、固。似合ってるじゃねぇか。俺としては剣術をもっと学んで王都の警備隊にだな……」

「ちょっとアナタ。その話はもう終わったでしょう? 私達の固は魔力の保有量が多いんだから、魔法ギルドにいれようって何度も話し合ったじゃないの」

「そうだったな。固、頑張れよ! 父さんそろそろ時間だから、先に行ってくる」


 固の父親は椅子から立ち上がると、木製の防具を着込み行ってきますと母親と軽いスキンシップを交わし出て行ってしまう。固の父親は王都の警備隊に所属しているのだが、最近人事移動で警備隊の一部がエクストという王都公認の店へと派遣されているのだ。そこに固の親父も移動となり、日々エクストで仕事をしている。


 親父の身長が190㎝と長身なのだが、それに比べ固はまだ150㎝と15歳の男の子としては背が低かった。母親も158㎝と身長が低いので、母親の遺伝かと身長の事は諦めていた。


「おわ、今日のパン柔らかいね」


 いつものようにパンを千切ろうと力を込めて引き裂くと、何の抵抗もなくフワリとソレは二つになった。


「ふふ、固の入学祝よ? ちょっと奮発しちゃったテヘッ」

「母さん、良い歳して……まぁいいや、いただきまーす」


 両手をあわせると、今日も美味しいご飯をありがとうと感謝の祈りを唱える。柔らかいパンを頬張ると口の中に甘いバターの味が広がっていく。美味しい朝ごはんに、平和な朝。ただ、固にとっては少々憂鬱な朝であった。


 固は密かに、親父の跡を継ぐべく剣士になりたいと思っていた。しかし、いくら手合せをしても一太刀も通る事は無く、代わりに母さんとの魔法修行は順調に色々な魔法を扱えるようになっていった。


 それで結局、魔法の才能があるという判断の元、魔法ギルドへの手続きがされたというわけである。本人の夢は剣士になる事なのだが、いよいよ今日をもってその夢は諦める事となるのだ。


 親の期待を背負っている以上、固は嫌だと一切言わず今朝を迎えたのだ。憂鬱だが、気分を切り替えていく必要があるのだ。


「よしっ、ご馳走様母さん。しばらく帰って来れないけど、親父と喧嘩しないようにな?」

「ふふ、その時はギルドで母さんを慰めてね?」


 固の母親は魔法ギルドで学生に魔法を教える先生をしている為、これからも毎日顔を会わす事になるだろう。固は魔法ギルドの南側に建てられている学生寮へ入居する事になっている為、親父とはしばらく会う機械がなくなる。少々心寂しくもあるが、固も気持ちを切り替え行ってきますと家を出るのであった。


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