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春風の中で  作者: 井藤りおう
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私、藤崎みづきは毎朝、目が覚めるとベットサイドに、おいてある眼鏡をかける。


そして、パジャマから制服に着替える。ボタンは一番上まで留め、スカートも膝が隠れるくらいの長さだ。


朝食を食べて、歯を磨くために洗面台に。

顔を洗い、櫛で髪をとかす。同級生に、染めないなんてと珍しがられている、真っ黒でまっすぐな髪。櫛は、シスコンな兄の中学の修学旅行のお土産の京つげだ。


私もカラーリングには興味があったため、高校入学当初、友人のすすめで美容院に予約をしたことがある。その日の夕食時にそのことを家族に伝えると、普段私に激甘な兄に猛反対された。

たかが髪くらいと、取りなそうとした両親にもブチ切れし、以来私の髪染めの話は我が家のタブーとなった。


空手をやめた中学三年頃から伸ばし始めた髪はもう背中のなかほどまである。それを手早く下の方でまとめ、くるりとお団子にする。

メイクはしない。

これで地味で目立たない藤崎みづきの完成だ。


なんでこんなに地味にこだわるのかって?


私の通う高校は公立の進学校だか、自由な校風のため派手目な人が多い。

チキンな私は目をつけられるのがこわいから、隅の方でおとなしくしている、というわけです。


だからといってぼっちではなく、同じように目立ちたくないと考えている子と一緒にいる。

楽しく穏やかで平穏なスクールライフ。

まっ、恋愛のれの字も見当たらないけどね。


朱里しゅり!美緒とデートしよ!」


突如教室に響いた声。


「わぉ、さすが香坂さん。大胆ね」


小さな声で友人の如月結衣は、面白がるように言った。さて、神奈月くんはどう出る?と、ニヤニヤ笑う彼女はさながら不思議の国のアリスのチシャ猫のようだった。

ついでに言うが結衣ちゃんはつり目がちな美人さんだ。本当はクラスの中心にいそうなタイプだが、本人は面倒くさがっている。


香坂さんの発言により教室はざわめいた。うるさかったようで、ようやく机に突っ伏していた神奈月くんが身を起こし、元凶である香坂さんを見た。


そして一言。


「あんた、誰だっけ?」


なんと神奈月くんは、クラス一、いや、学年一かわいいと言われている香坂美緒さんを認識していなかった。


顔を真っ赤にしてあ然とする香坂さん。

非難と抑えきれない笑い声が入り乱れる教室。

もちろん結衣ちゃんは大爆笑だった。



……うん。

神奈月くん、最強すぎです。



茶髪で無口な無気力系イケメンな神奈月朱里(しゅり)くん。

無自覚なトラブルメーカーの匂いがぷんぷんする。


これから先、彼とはあまり関わらないでおこう。


そんな決意をした高校二年の春


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