君の手で
少々残酷かと思われる表現がありますので苦手な方はお控えください。
ぎしっ…
少しの苦しみとさっきから肺に入ってこない酸素、君の手が食い込んでいる感覚、君の熱。
自分の首が悲鳴をあげているのが分かる。
自然と笑みがこぼれる。
あぁ、僕はこれから死ぬのだ。
それを見てか、君が目を見開いた。
あぁ、どうしてそんな幽霊を見たような顔をするの。
せっかくの可愛い顔が台無しだよ。
言葉は喉から出ず、目の前の空間にふわっと浮いた。
あぁ、もう君に×××とは伝えられないのか。
どうしてこんなにも喜びと悲しみが入り混じるのだろう。
僕はこんな感情豊かな人間だったのだな、と、今さらわかってもしょうがないか。
昔から"死"に関して特別な感情は抱いたことがなかった。
生き物は必ず最後を迎える。恐怖などない。
むしろ君の手で最後を迎えられるならこれほどまでに幸せなことはない。
遠のいてゆく意識と、君の泣き顔。
なんで泣いているの。
最後くらい、僕に君の幸せそうな笑顔を見せてよ。
頭を撫でようと伸ばした手が、君に届いたかは、定かではない。
初投稿となります、結城空と申します。
お読みいただきありがとうございました。
精進しますm(__)m