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転生+1。願い:最強の剣の場合。

「あー皆様。御覧下い。あれが昨今巷(ちまた)噂のゴブリンの群れになります」


 目の前には、またまた無限にがる荒野。

 そして、俺をとり囲うように配置されたゴブリンの群れ。


「はは。今回は、…否、俺に、二度と負けの二文字はねぇよ?」


 手には、天叢雲剣。

 よし、今度はきちんと手にあるな。

 前のまるでRPGの装備し忘れ、は二度とごめん被る。


 手には最強の剣。

 目の前にはおあつらえ向きのゴブリン(ふくしゅうあいて)

 いや、油断はすまい。

 先ずは数の確認っと。ひーふーみー…んー13か。

 前回より少ないな。しかも15に満たないから、称号返上が出来ない。


「まあ、いいさ」 


 ゆっくりと、ゴブリン共に見せつけるように鞘から剣を抜く。

 ゴブリンは武器を警戒したのか、棍棒を構える。


「ま、警戒はいいことだ。存分にするといいさ」


 剣を直ぐに抜かないのには、意味がある。


「何故なら…」


 俺の剣の師匠の一人から相伝した技のうちのひとつを見せつけるためだ。


 秘伝抜刀術、(まばた)き。


 鞘からゆっくりと剣を抜き、相手が警戒し、視線が剣に向いたところを見計らい、一気に抜き放ち、居合い切る技だ。 

 相手の視線を誘導しつつ、居合い切りの氣の運用をこなさなければならない。

 難易度が高いが、その分威力・速度共に申し分無い一撃!


「ッゼァァァァッ!!」


 本来一対一用の技で、鞘から一気に切り上げ、相手を一撃で相手を仕留める技だが、今回は集団戦。

 ()に凪ぎ払う。

 すると、近くにいた7匹程のゴブリンが吹き飛ぶ。


 一気に五匹は殺ったかな…


 そう思ったが、違和感に気がつく。


「手応えが…、ない?」


 切ったはずのゴブリン共が全員立ち上がり、奇声を発しながらこちらに走ってくる。

 俺は急いで鞘を捨て、剣を正眼に構える。


 何故だ?吹き飛んだ時点で攻撃は当たっている…。この剣の攻撃補正からして、恐らく当たるだけで致命傷は避けようがない。


「なのに、何故だ?」


 ならばと、今回は走ってきた一番近いゴブリンの攻撃に合わせて剣で一回受けてから、側面に回り込む。


「まあ、いいさ。…どうせ首を落とせば死ぬのだろう?」


 そういって、ゴブリンの首を剣で撫でるように斬る。


「ギッ」


 すると今度は容易く首が落ちる。


 俺は混乱しながらも、返り血が目に入らないよう、すぐさま後ろに下がる。

 案の定、切り口から大量の血が吹き出す。

 …、と思いきや、ゴブリンの体は光りの塊となり、直ぐに砕け散った。

 そして、そこには一枚の札が落ちる。


「うぉ、なんだ今の?つか、簡単に斬れたな…」


 なんだったんだ?それに、今の攻撃よりさっきの“(まばた)き”の方が威力は上だぞ?


 血が吹き出さず、死骸まで消えるのは有り難いが、これがドラゴンとかだったら剥ぎ取りが出来んな…。札は後で拾うにして。


 それよか、今の手応えの無さは何なんだ?

 まるで、切れ味の良い包丁で豆腐を切るように容易くゴブリンの首が落ちたぞ?

 …まあ、悩んでいる暇は無さそうだな。ゴブリンはまだまだ何匹もいる。


 今度は、仲間が一瞬で殺され混乱したのか、呆けている残りの前衛6匹を狙う。

 

「フッ!」

 

 検証を兼ねて、今度は肩から袈裟に斬る。


 まただ。


 鎖骨ごと斬ったはずが、なんの抵抗も感じさせず、ゴブリンは肩から真っ二つになる。


「セィッ!」


 次に後ろにいる奴を振り向き様に胴を斬る。

 

 その時点でやっと残りの前衛4匹が混乱を押しきり、再度攻めてくる。

 しかも、後ろの奴等は前衛に当たるのも気にせず、遠くから石を投げてきている。


「はっ、弓じゃなくて安心したぜ雑魚共!」


 はっきり言って悪手だ。俺は跳んできた石をとっさに剣で打ち返し、1匹は辛くも避けたが、残りの前衛3匹のゴブリンの眉間を撃ち抜く。


「6匹目ぇ!!」


 正直、律儀に1匹ずつ倒すのが面倒だな。

 どうせ当てれば一撃で…、いや、最初の攻撃でダメージが入らなかったのが、懸念材料だな。

 一回死んでるし、ここは面倒でも戒めの意味も含めて1匹ずつ殺りますかね。


『…、称号』

「あ?」


 頭の中で声が聞こえる。この声は…イラトか。


「称号って…」


 あ


 ・F 狩られし者 (ゴブリン)

→対象に対して先制攻撃不可

→対象からの攻撃回避不可

→称号返上条件

 ・単身にてゴブリン15匹パーティー討伐



『…先に攻撃したら、ダメージが強制的に、0』

「さいですか…」


 つか、その下に、“回避不可”って恐ろしい項目がある気が…


「ギィィィィ!」

「うぉ!?」


 ゴブリンの不意打ちをとっさに剣で弾く。

 くそっ、不意打ちとは卑怯な!


『…余所見している方が、悪い』

「あんたが話しかけてきたからだよ!?」

『…好意で、教えて、あげたのに…』


 おい、やめろ!そんな事言われたらスゲー居たたまれない気持ちになるだろ!


「「ギィィィィ!」」


 そんなことを考えていると前後(・・)からゴブリンが攻撃してくる。

 

 後ろ!?

 後衛が石を棄てて切られた仲間(ゴブリン)の棍棒を持ったのか!


「くっ、防ぎきれねぇ!」


 避けねば。


 当たり前の発想。だが、さっきも言ったが、称号のせいで避けることが叶わない。

 俺を一度殺した棍棒が再び、かつ前後から襲う。


 反射的に前のゴブリンを棍棒ごと斬り殺す。

 しかし、後が間に合わない。


 ま た し ぬ の か?


 耳鳴りがする。

 肌を撫でる風を感じる。

 目の端で捉えている棍棒がゆっくりと俺の頭目掛け降り下ろされる。

 なんとか振り向き、反撃したいが…。 

 間に合わ


「ギャフ!?」


 …、あれ、間に合った。


 俺の剣は後ろのゴブリンの腕を見事切断し、無意識の内に、反射的にその首を撥ねた。


「はぁ?」

 

 うん。間に合った。良かった良かった。

 ……って、いやいや、今のは全力出しても絶対間に合わないだろ!?


『…人ならざる者』


 再度イラトの声が響く。


 人ならざる者、そいやそんなのが称号にあったな。確か効果は…



・B 人ならざる者

→身体的制限の解除

→筋力+20

→頑丈+20

→素早さ+20


 身体的制限の解除。これか?

 あの一瞬、体感的には5秒ほどの時間に感じられたが、実際には1秒に満たなかったはずだ。でなければ俺は今ごろデッドエンドpart2だ。

 言われてみると確かに、棍棒の速度は遅く感じられた。

 

『…いぐさくとりー。アテナから聞いた話だと、天使がエイトのお姉さんに手紙を書いていた時に使った瞬間書記も、この力。物理法則無視、肉体的に不可能な動き、という事実を称号の力で歪め、可能に変える』


 まじか。

 つまり天使(ラミー)は字を書く、という行動を同時に行っていたのか。

 そして今、俺は斬る、という行動同時に行った、と。


『…理解できれば、あとは繰り返せばそのうち、なれる』

「…いいね」


 これは便利だ。


 困ったときがチャンスとはよく言ったものだ。

 死にかけたお陰で、光明が見えてきた。


「これなら、なんの心配も無く勝てるな」


 今の戦闘で判ったことがいくつかある。

 それを踏まえた上で戦えば、無傷で勝てるぜ!


「一つ!」


 俺は足を一番遠(・・・)いゴブリンに向けて一歩踏み出す。


「ギッ!?」


 と、いう行動を繰り返す。

 するとどうなるか?


「よう、最後尾」


 縮地、とは違うが、一気に距離を詰めることが可能って訳さ。

 俺は一瞬で後ろのゴブリンの目の前に立ちはだかる。


「ギィィィィ!」

「そして二つ!」


 反射的にゴブリンは手に持った石を握りしめ、殴りかかってくる。


「先制攻撃が出来なくとも!」


 俺はその動きより速く、相手の首を撥る。


 そう。先制攻撃不可。

 だが俺はたった今、相手より先に攻撃を当てた。


 何故か?

 答えは簡単。


「てめーら全員俺に石を投げやがったからな」


 ここにいるゴブリン全員に既に攻撃を受けている。

 なら、先制攻撃不可は気にする必要ない。


「そして、三つ!」


 再度高速移動し、固まっていた3匹を同時に斬り伏せる。


「ここからは、回避すらする必要がない」


 高速移動し同時に斬り伏せる。を繰り返す。

 まさに一方的蹂躙。残りのゴブリン共を速やかに斬り進める。


 …1匹を除いて。


「それに、回避出来なくとも、多分防御はできるみたいだしな」


 残り1匹。つまりここから不意打ちを喰らうことは無いだろう。


「確認のために、実験だ」


 先ずは防御。今までの戦闘で、無意識の内に剣で弾いたり受け流せたし、大丈夫だとは思うが、念の為、な。


「ギィィィィ!ギィィィィ!ギィィィィァァァァ!!」


 仲間を殺されて怒っているのか、ゴブリンは涙を流しながら、横たわる死骸から棍棒を拾い

 

 投げた。


「無駄だ」


 俺はそれを斬り落とす。


「ギャウ!」

「!?」


 俺が棍棒を斬り落とす瞬間にゴブリンは一気に距離を詰め、棍棒を横に凪ぐ。


 なろ、俺の技を見て学びやがった!?

  

 幸い、速度はそこまで速くなかった為、即座に棍棒と、同時にゴブリンの腹を斬り裂く。


 ぶしゃぁぁぁぁぁっ……


 ゴブリンの腹から盛大に血が吹き出す。

 それを思い切り浴びるが、気に止めない。まだ相手は死んでいない可能性がある。

 何が実験か。危うくまたまた死にかけたぜ。


「ぐ、が…」


 そして、血の勢いが収まると、ゆっくりとゴブリンは倒れた。


「つまり、防御、つかカウンターはOKみたいだな…」


 ゴブリンが倒れると同時に俺も倒れる。


「あー、くそ!死にかけたし、疲れた!つかなんだよ!最後の奴だけ盛大に血ぃ吹き出しやがって!」


 まぁ、最後の1匹は中々強かったが、高速移動と同時斬り。この二つがあれば、戦闘は大丈夫そうだ。


 そんなことを考えていると、辺りの死骸(ゴブリン)が光り出す。


「眩し!?あー、そいや、これなんなんだ?」


 光が収まり、辺りには札がばらまかれる。

 正直、戦闘と死にかけたせいで、精神的にも肉体的にも疲れた。動きたくない。が、気にもなったので、重い腰をあげ、顔に飛び散った血を拭いつつ、札を拾い上げる。



・ゴブリン

LV25

→血抜きされたゴブリンの死体

→古くなった汚い妖精の帽子

→古くなった汚い布の服

→古くなった汚い妖精の靴

→棍棒

→石


 なんじゃこりゃ。


『…ドロップカード』


 またもやイラトの声。

 お前もうこっちきて話せよ。


『…そう、したいけど、これでも忙しい』


 さいで。


「んで?ドロップカードって?」

『…殺した相手の死体、装備品がカードに入って、いる。オープンと唱えると、全部出てくる』

「へー、便利じゃん。だが、途中からカードになる速度下がってたぞ?最後なんかおもくそ返り血を浴びちまったし」


 おかげで、スーツがかなり臭うし、ワイシャツはかなりグロい血染めになっている。


『…途中から相手が即死していなかった』

「…いやいや、だって俺の攻撃力で斬れば即し」

『…代償』


 はぁ?


『…貴方の体は限界を越えて動いた。“人ならざる者”は前世の称号。今は普通の、人間。途中からダメージではなく、部位破損のショック死でしか死んでないから、時間に差があった。首を撥ねれば直ぐカード化』


 え、じゃあつまり…


「…ピンチの時以外に称号に頼らなければ、返り血も浴びなかったし、こんなに疲労感も無い、はず」


 …ちょー、しょっく。


『…あと、そろそろ貴方は気絶、する』

「なんでさ」

『限界を越えたのに、疲労だけの代償だと、思った?』

「ちょ、まて、一人でこんな所に気絶(ねて)たら!?」 

『…多分常人なら2日、貴方の回復力なら、8時間あれば、目が覚める』

「はち!?」


 冗談じゃないぞ!?開始早々13匹のゴブリンと悪戦苦闘してたのに、8時間も気絶?死ぬわ!絶対何かに遭遇して死ぬわ!


『…主人公補正で、美人な女の人に助けて、貰えるかも』


「ちょ、未だにこっちで人に会ったこと無いのに!?初の邂逅が美人な女の人!?…ま、まぁ?それならば、い、良いけど?」

『…ぶー』


 はっは、妬けるな妬けるな♪


『…まあ、あの(アテナ)の祝福のせいで、女の人の遭遇率がかなり、ひくいけど』


 ちょ、待て!それは聞いてない!じ、助言!助言プリーズ!いや、助言なんざいらん!結界!誰も入れないような結か…


 急に身体中の力が抜ける。なんとか、堪えようと試みるが、身体はそのまま倒れていく。

 あ、ダメだなこれ、意識がと、ぶ…






『…おやすみ、エイト』


 俺は、気を失った。

 大変お待たせしました。

 スマホがバグって、書いていた途中の一話丸々文章が消えたので、暫くやる気をチャージしていました。


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