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俺、初戦闘だってさ。

「異世界、ね」


 なるほど。確かにこりゃ異世界だわな。

 まず、目の前に広がる広野。こんな風景は俺の住んでいた町…、ていうか国中探しても無いだろうって感じの広野だ。辺りに見えるのは高台ばかりで、建物はおろか、地平線上に山すら見えない。

 次に目に入ったのは明らか人間ではない、まるでゴブリン、と言いたくなる見た目のナニカ。


「カロロロ…」


 ふむ、話す知性はないが…


「群れる・武器を使うって知恵はあるみたいだな」


 目の前に広がるは、およそ20、いや、正確には23匹のゴブリン(仮)。手には棍棒らしき武器が握られている。

 

「だがしかし、残念だったなゴブリン(仮)共。今や俺は神の力(他力)を有した最強の(?)人間だぜ。お前らなんかケチョンケチョン(古い)にしてやる!」


 そう。俺は最早金ヶ崎ではなく、神ヶ崎といっても過言じゃない。


「さぁ、どう料理してやるか」

 

 まず、やはり異世界なら剣か、魔法だろ。

 ただ、魔力はさっきのステータスを見る限り、一抹の不安があるからなぁ…、まあ無難に剣かな。

 決めるや否や、俺は天高く叫んだ。


「神よ!俺に世界最強の剣を授けたまえ!!」


 そして、辺りにこだまする。


 たまえー、たまえー、まえー、えー、ー


「あれ?」


 何も起こらない。

 なんで?


『…ビックリして伝えられなかったけど、願い事はわたしに直接言わないと叶えられないから』


 突然聞こえたイラトの声に戦慄する。


 え、じゃあなに、今から天界に行くか死ぬまで願い事叶えて貰えないじゃないか!?


『…いや、だからビックリした』


 知るかよ!?え、じゃあなに?今実は絶体絶命?流石に2、3匹ならともかくこの匹数は無理なんだが…。


「なんて、俺が言うと思ったか?」


 残念だったな。武器を持った奴等との戦闘は既に経験済みだ。

 まぁ、チートは無きゃ無いで構わない。

 更に言うと、異世界に行くと決めた時点で生き物を殺す覚悟は出来ている。

 寧ろこっちなら殺さない為の手加減がいらない。


「手前ぇらみてぇな弱い生き物が、この俺に挑んだことを後悔させてやるよ」


 金ヶ崎舐めんなよ。訓練には多対一の戦闘訓練だってある。それ以前に、4から5人以上敵がいる場合、5人以上は余り気にしないで良い。

 攻撃が当たらないからだ。

 一番近くで攻撃している味方を殺す覚悟があればまた話は別だが、大抵は前衛が邪魔になって、囲む位にしか役に立たん。


「まあ、まずは俺の気当りに耐えられるかな?」


 俺は殺気をゴブリン(仮)共に向ける。

 実際に行動には移さないが、本気(・・)で殺す際のコンディションに意識を移す。

 その際に放たれる気当り、殺気。

 元の世界では余り通用しなかった。

 人を本気で殺す覚悟をした事のあるヤツは稀有だ。相手を殺す覚悟、あるいは自分が死ぬ覚悟をしてこなかった輩にはその気配が解らないから効かないのだ。


「お前らを…」


 だが、死と隣り合わせの世界ならどうだ?


『殺す』


 まず、後列のゴブリン(仮)が逃げ出す。


『死にたくなければ、動くな』


 次に、中列のゴブリン(仮)が棍棒を落とし、失神する。


 しかし、退路の無い前列のゴブリン(仮)だけは体を震わせながら棍棒を構える。


「7匹か。結構残ったな」


 失神したゴブリン(仮)を除いて7匹がその場で臨戦体勢をとる。


「イラトに武器貰っても楽しようとしたが、まぁ、いいさ。この程度本気を出すまでもないな」


 なにより、俺のエコバックには仕事用のカッターナイフが入っている。素手で殺るにはきついが、刃物があればこの数程度、一分もいらんな。


「ガァァァァッ!!」


 まず、一匹が恐怖を拭うかの様に叫びながら走り出す。

 蛮勇も悪くは無いが、この状況じゃ悪手だぜ?

 俺はすかさずエコバックに手を伸ばし、カッターを手に…






「あれ?エコバックが無


 

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