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俺のどこかで聞いた冒険  作者: ファンタG
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第二話 さらば、友よ!

世界の運命を一身に背負った勇者一向に立ちはだかる、数々の試練! 血で血を洗う激戦の中、また一人、友が天に帰っていく… 涙は見せぬ、亡き友との約束を果たすまでは! 勇者よ、哀しみを力に無想転生するのだ! まぁでもその前に、布の服とひのきの棒をなんとかしろ!

「で、ドラゴンはどこにいるんだ?」

「知らん」蔵人(クラウド)の問いかけににべもなく答えた俺に、J・ザルゴが髭をぴくつかせた。

「早く助けないといけないんじゃないですか、勇者さま?」

 表情を曇らせて不安そうに問いかけるレムリアに、俺は、爽やかな笑顔ととびっきりのサムズ・アップを見せる。

「大丈夫、俺たちが行くまではフラグが立たないから心配ない」

「そんなものなのでしょうか?」

「世の中そんなものだ」大人の諦観で会話を打ち切った俺は、今後何をするべきか考えてみた。

 まず、ユニクロが高級店に思えてくるほどみすぼらしいこの布の服をどうにかしたい。それから、一撃で必殺どころか武器自身が必殺されるであろうひのきの棒も、なんとかする必要がある。

 そのためにはやはり金がいる。

 こういう時こそ、冒険者ギルドの求人案内が役に立つ。俺たちは、当座の資金稼ぎに最適なクエストを求めて足を向けた。

「…時給の高いのは、と」山のように張り付けられた紙に目を通していく俺に、レムリアがはしゃいだ声をかけてきた。

「良いのがありますよ勇者さま、一か月海外旅行に行けて、お薬飲むだけで20万ゴールドですって!」

「健康に長生きしたければ、やめとけ」

 しょげるレムリアに代わって、J・ザルゴが嬉しそうに尻尾を振りまわしながら近づいてくる。

「J・ザルゴ、いいの見つけてきたよ!」

「どれどれ…『来たれ、魔王軍へ! 時給1500ゴールド・交通費支給の昇給あり』、か。確かに好条件だな」

 俺はJ・ザルゴの持つ紙を奪い取ると、ギルドの受付のねーちゃんに差し出して尋ねた。

「これって、まだ空きある?」

「あら、ごめんなさ~い、これさっきの人で募集枠埋まっちゃったの~」

「じゃあ、仕方ないな」

 結局俺たちは、近所の村のゴブリン退治200ゴールドという冴えない仕事を引き受けることになった。勇者にふさわしい仕事かは分からないが、金がないと人間扱いしてもらえないのはいつの時代でも同じだ。

 その村は、グランドハイツ稲荷前城から徒歩20分の通勤圏内であった。道中、スライムが襲ってきたりゴーストが襲ってきたり、炎のマントを使ったJ・ザルゴが焼け死んだりしたが、まぁ大したことではないので詳細は省かせてもらう。

 村に到着した俺は、まず、焼け焦げた猫人間を埋葬するよう村人に依頼した。金を払えばロストしない限りは復活できるのだが、なにせ序盤なので少しでも出費は抑えたい。これが賢い主夫のやり方というものだ。

「いいんですか、勇者さま?」

「気にするな。そのうち気まぐれで生き返るかもしれんし」

 レムリアをそう諭した俺は、沈みゆく夕日が真っ赤に染めた快晴の空の彼方に、在りし日のJ・ザルゴの輝くような笑顔を投影しながらつぶやいた。

「…さらば、友よ………。で、村長の家はどこだ?」

「あの家じゃないか?」蔵人(クラウド)が親指で指し示した家の門扉には、日本赤十字社社員・NHKのシールと並んで、「村長」と書かれたカマボコ板が張り付けられていた。

「さすが、村長ともなると受信料をちゃんと払っているんだな」

「変なところに感心しないで、早く詳しい話を聞きに行きましょうよ、勇者さま」

 レムリアに急きたてられた俺は、指先一つでダウンしそうな雰囲気の年老いた村長から、詳しい事情を尋ねることにした。

 なんでも近くの洞窟に住み着いたゴブリンが、作物は荒らすわ人は襲うわ、夜中にコンビニの前でたむろするわと、やりたい放題らしい。

「なるほど、よく分かった。じゃあよろしく蔵人(クラウド)

「おまえは行かないのか?」

「今日日曜だろ? 俺は6時から『THE世界遺産』見なきゃいけないからな」

 そうやって戦地へ赴かせた蔵人(クラウド)が帰ってきたのは、ちょうど『ダーウィンが来た!』を見終わった頃だった。左手にしたゴブリンの首からはボタボタ血が垂れ続け、最近のハリウッドの特撮技術は凄いものだと俺を感心させた。

「片付けてきた」無造作にゴブリンの首を放り投げた蔵人(クラウド)にサムズアップで応えた俺は、村長から200ゴールドを剥ぎ取った。

「これでようやく装備が買えますね、勇者さま」

「そうだな。明日の朝、早速『しまむら』へ行ってみることにしよう」

 尊い犠牲を払ったが、俺たちはまた一歩、姫の救出という目的に近づいた。

 姫よ、待っていてくれ。まだ当分寄り道を続けると思うので、気長に待っていてくれ。

 読んでいただきありがとうございます。

 はい、いきなりパーティーから一人欠けました。理由は、J・ザルゴのキャラを立てるのが難しかったからです…

 書いているうちに、ありふれたファンタジーというテーマからどんどん脱線しているような気がしますが、まぁ気が向いたら方向修正するでしょう;^_^A


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